マグロの栄養と健康効果~刺身のカロリーについてもわかりやすく解説~

当記事の執筆は、管理栄養士 佐藤久美が担当しました。
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赤身魚の代表格であるマグロ。
刺身や寿司ネタとしても人気の魚です。
そんなマグロは美味しいだけでなく、健康維持に役立つ栄養も豊富です。
そこで今回は、マグロの栄養と健康効果について解説します。
マグロを食べすぎるデメリットについても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
マグロの栄養と効能
マグロは部位によって食感や味だけでなく、栄養価も異なります。
ここでは赤身に多いたんぱく質、トロに多い脂質、血合い肉に多いセレノネインについて見ていきましょう。
なお、栄養価は基本的に流通量の多いメバチマグロの値を記載しています。
体作りに欠かせない「たんぱく質」
マグロの赤身100gあたりには、25.4gのたんぱく質が含まれます。
これは、たんぱく質の豊富なイメージのある鶏ささみ(100gあたりたんぱく質23.9g)よりも多いです。
ちなみに、マグロのトロ100gあたりに含まれるたんぱく質量は23.9gと、同量の鶏ささみと同じです。
それゆえ、トロに含まれるたんぱく質が少ないとはいえません。
より効率よくたんぱく質を補うには、トロよりも赤身のマグロがオススメというわけです。
なお、たんぱく質は筋肉や臓器を構成する主要な要素です。
マグロも活用しつつ、しっかりと摂りましょう。
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健康維持に役立つ「脂質」
マグロのトロには、EPAやDHAといった健康維持に役立つ脂質が豊富です。
EPAとDHAには血液中の中性脂肪を低下させたり、炎症を抑えたりする働きがあります。
また、EPAはとくに抗血栓作用に優れているため、心血管系の疾患予防効果が期待できるでしょう。
一方、DHAは脳の機能維持に有効であると報告されています。
ちなみに、マグロの赤身にもEPAやDHAは含まれますが、その量はトロの1/3未満です。
EPA | DHA | |
トロ | 320.0mg | 1300.0mg |
赤身 | 80.0mg | 370.0mg |
※100gあたり |
なお、本マグロ(天然)のトロにはよりEPAやDHAが多く含まれます。
どのくらい多いかといいますと、100gあたりに含まれるEPA、DHAはそれぞれ1400mg、3200mgです。
同じトロでも、マグロの種類によってEPAやDHAの含有量が大きく異なるとは驚きですね。
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強い抗酸化成分「セレノネイン」
2010年、マグロの血液から強い抗酸化作用をもつセレノネインが発見されました。
セレノネインは活性酸素(※)を除去する働きに優れており、糖尿病などの生活習慣病予防や疲労回復効果が期待されています。
(※)活性酸素は私たちの体内に常に存在しているものですが、増えすぎると細胞を傷つけてしまう
セレノネインを摂取するには、マグロの血合い肉を食べるのがオススメです。
新鮮な血合い肉を選べば、独特の臭いもさほど気にならないでしょう。
どうしても臭いが苦手という方は、さっと下茹でしたり、揚げたりすると食べやすくなります。
効果的な食べ方は刺身?
マグロの栄養を余すことなく摂るには、刺身などの生食がオススメです。
なぜなら、加熱調理するとマグロから脂が流れ出てしまうからです。
そうすると、先ほどお伝えしたEPAやDHAといった成分も減少します。
とくに揚げ物やグリル焼きでは、EPAやDHAの損失が大きくなると考えられます。
ゆえに、マグロの栄養を効率よく摂るには生食が適しているのです。
刺身や寿司などシンプルな食べ方は、マグロそのものの味わいも楽しむうえでもオススメです。
アレンジを楽しみたいときには、生のマグロとアボカドで作る「ポキ丼」はいかがでしょうか?
アボカドと和えることで、マグロに含まれない食物繊維が補えます。
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マグロのカロリー
マグロは、部位によってカロリーも異なります。
どのくらい異なるのか、赤身とトロのカロリーを比較してみましょう。
100gあたりのカロリー | 刺身1切れあたりのカロリー | |
赤身 | 115kcal | 12kcal |
トロ | 158kcal | 16kcal |
つまりマグロは赤身4切れとトロ3切れが、同程度のカロリーとなります。
いくら健康によいといってもEPAやDHAは脂質ですから、これらが多いと当然カロリーも高くなるのです。
ちなみに本マグロのトロはより脂質が多く、その分カロリーもメバチマグロより高めです。
本マグロのトロは100gあたり308kcalですから、トロ1切れは赤身約3切れ分のカロリーに相当します。
ビンチョウ、メバチなど種類による違い
日本で食べられている主なマグロは、5種類です。
・ミナミマグロ:主に刺身として利用、クロマグロに次ぐ高級品
・メバチマグロ:主に刺身として利用、流通量が多い、目が大きい
・キハダマグロ:刺身や缶詰に利用、体色が黄色味かかっている
・ビンチョウマグロ(ビンナガマグロ):油漬けの缶詰として利用、長い刀状の胸びれをもつ
これらのマグロについてカロリー、たんぱく質、脂質(EPA、DHA)を比べてみましょう。
カロリー | たんぱく質 | EPA | DHA | |
本マグロ/赤身 | 115kcal | 26.4g | 27.0mg | 120.0mg |
本マグロ/トロ | 308kcal | 20.1g | 1400.0mg | 3200.0mg |
ミナミマグロ/赤身 | 88kcal | 21.6g | 10.0mg | 64.0mg |
ミナミマグロ/トロ | 322kcal | 20.3g | 1600.0mg | 4000.0mg |
メバチマグロ/赤身 | 115kcal | 25.4g | 80.0mg | 370.0mg |
メバチマグロ/トロ | 158kcal | 23.9g | 320.0mg | 1300.0mg |
キハダマグロ | 102kcal | 24.3g | 32.0mg | 150.0mg |
ビンチョウマグロ | 111kcal | 26.0g | 43.0mg | 140.0mg |
※100gあたり |
上の表から、マグロの種類によってもたんぱく質や脂質の含まれる量に差が生じるとわかります。
体に悪い?デメリットはあるのか
マグロを食べすぎると、カロリーや脂質の摂りすぎにつながります。
とくに脂質の多いトロや、油漬けの缶詰には注意が必要です。
ゆえに赤身とトロをうまく組み合わせ、1食1人前(約80g)を目安に楽しむとよいですね。
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妊娠中は食べすぎに注意
魚は妊娠中にも積極的に摂りたい食材の1種ですが、マグロの食べすぎには注意しましょう。
なぜなら自然界に存在する水銀がマグロに取り込まれており、食べすぎると胎児に影響の出る可能性があるからです。
食べる量に注意が必要なマグロは本マグロとミナミマグロ、メバチマグロで、摂取目安を下記に示します。
・ミナミマグロ:1回約80gとして週2回まで
ほかにも注意すべき魚があり、食べ合わせに配慮が必要です。
詳しくは厚生労働省が提示しているパンフレットをご覧ください。
なおキハダマグロとビンチョウマグロは含まれる水銀の量が少ないため、一般的なツナ缶を食べる分にはとくに気にしなくてよいでしょう。
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まとめ
今回は、マグロの栄養について紹介しました。
マグロに含まれる特筆すべき栄養素は、下記のとおりです。
・脂質(EPA、DHA):トロに多い、血液中の中性脂肪を低下させる、炎症を抑える
・セレノネイン:血合い肉に多い、強い抗酸化作用がある
このように、マグロには健康的な身体を維持するために必要な栄養素が詰まっています。
ただし、妊娠中は食べる量に配慮が必要です。
ツナ缶も利用しながら、マグロをはじめとした魚を上手に取り入れましょう。
それでは当記事を参考に、マグロを楽しんでいただけたら幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
水産庁 1.主要なかつお・まぐろの種類
神奈川県 未病改善にマグロが効くか、ヒトでの臨床試験で検証 ~マグロの継続摂取による酸化ストレスの改善~
「健康食品」の安全性・有効性情報 【第19回】魚油
PubMed Mechanisms of Docosahexaenoic and Eicosapentaenoic Acid Loss from Pacific Saury and Comparison of Their Retention Rates after Various Cooking Methods
厚生労働省 妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項