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【医師監修】糖尿病に果物は良い悪い?血糖値をあげにくいフルーツの食べ方を紹介

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糖尿病に果物は良い悪い?血糖値をあげにくいフルーツの食べ方を紹介

当記事は、綱島東口内科・糖尿病内科クリニック 院長 近藤義宣先生にご監修いただきました。
執筆はライター
前間弘美(管理栄養士)が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧は
こちらをご覧ください

「糖尿病をもっているんだけど果物って食べていいの?」
「果物の甘さって、血糖値に影響するのかな」
「たくさん食べて良い果物はある?」

1年中食べられるものから季節ごとに旬の美味しさを味わえるものまで、果物はとても魅力的ですよね。

でも糖尿病の方にとっては、甘い果物がどのように血糖値へ影響するのか気になるもの。

そこで今回は、糖尿病と果物の付き合い方について、わかりやすくお伝えいたします。それぞれの果物の適量もまとめているので、ぜひ最後までお付き合いください。

糖尿病と果物の付き合い方

糖尿病と果物の付き合い方

糖尿病の方が果物を食べる際には、適量であることが大切です。

1日に食べる果物の量は80kcalまでにしましょう。というのも、日本糖尿病学会による「糖尿病食事療法のための食品交換表」では、果物は1日に80kcal(1単位)と決めているからです。

食品交換表では食事1単位を80kcalと決め、1日に食べてよい食事量を単位で示しています。

果物が血糖値に与える影響

果物は、ブドウ糖や果糖といった糖を多く含むので、血糖値を上昇させます。ところが果物には糖だけなく食物繊維も含まれます。

適度に熟した果物には水溶性食物繊維が豊富です。水溶性食物繊維には消化管の中で糖質の吸収を遅らせ、血糖値の急激な上昇を抑える働きがあります。

ところが、果物には血糖値の急上昇を抑える食物繊維が含まれるから糖尿病に良いのか、というと半分イエスで半分ノーです。

その理由は、果物に含まれる果糖にあります。

果糖とは?

果糖とは?

果糖とは、果物やはちみつに多く含まれる糖類の一種です。

他の糖類とは違い、果糖自体が血糖値を急上昇させることはありません。

しかし果糖は吸収されるとすぐ、10~20%が肝臓でブドウ糖と中性脂肪に作り替えられます。そのため、1日に食べる果物の量が多いと果糖とブドウ糖の量が増え、血糖値を急上昇させる要因になってしまうのです。

また中性脂肪が肝臓にたまりすぎると、脂肪肝のリスクが上がります。

脂肪肝は血糖値を下げる働きのあるインスリンの効きを悪くする疾患ですので、中性脂肪も多くならないように気を付ける必要があります。

さきほど「果物は糖尿病に良いのか」という問いに対し、半分イエスで半分ノーとお答えしました。

なぜなら果物は適量であれば、食物繊維・ビタミン・ミネラルなどの栄養素が糖尿病や健康によい効果をもたらすものの、過剰なら血糖値を上昇させるリスクになってしまうからです。

つまり、果物は食べる量が大切といえます。

参考記事:はちみつは血糖値に影響するの?〜糖尿病に良いのか検証しました〜

果物の量と食べるタイミングについて

くり返しになりますが、糖尿病の方が安心して食べられる果物の目安量は、1日約80kcalです。

【80kcalあたりの果物の重さ】
【80kcalあたりの果物の重量】
*食品交換表を参照

果物は、はかりで重さを確認してから食べるのが理想です。ただし、はかりがなく80kcal分がどのくらいなのか悩む時は、片手の掌にのるくらいの量を判断の基準にすると良いでしょう。

また、果物は食後に楽しむことをお勧めします。

果物には水溶性の食物繊維が豊富ですが、基本的に糖質は多めです。そして、血糖値を上げやすいブドウ糖も含まれています。

糖尿病の方は血糖値を一定に保つメカニズムが働きにくくなっていますので、空腹時に果物を食べると血糖値が上がりやすく、血糖コントロールは乱れる可能性があります。

たとえば、果物であるバナナ1本の糖質量(21.4g)と主食である8枚切り食パン(19.9g)の糖質量は、さほど差がありません。

血糖コントロールを良好に保つためにも、果物は食後のデザート程度に楽しむようにしましょう。

どんな果物がオススメ?

どんな果物がオススメ?

さまざまな果物の中で、おすすめしたいのはキウイフルーツです。

なぜなら、キウイフルーツは果物の中でもとくに食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富だからです。食物繊維は生活習慣病予防効果の期待されている栄養素で、ビタミンやミネラルは体の調子を整えるために欠かせない栄養素です。

どんな果物を食べるか迷ったときはぜひキウイフルーツを食べて、糖尿病の合併症予防や重症化予防につなげていきましょう。

参考記事:まさにフルーツの王様!キウイの栄養と効能効果~管理栄養士が徹底的に解説~

梨やりんごは安心して食べられる?

糖尿病の方でも、梨やりんごは安心して食べることができます。

【80kcalあたりの糖質量】
【80kcalあたりの糖質量】

80kcalあたりの梨とりんごはおおよそ1/2個で、糖質量はほとんど同じです。

梨とりんご、どちらもシャキシャキとした食感が美味しい果物です。気分や季節で好きなものを選んで食べてくださいね。

参考記事:梨はカロリー&糖質が低めでダイエットにオススメ!〜健康効果もご紹介〜
参考記事:りんごの栄養成分と効能効果〜健康によいは本当なのか管理栄養士が徹底検証!〜

みかんやグレープフルーツなら問題ない?

みかんやグレープフルーツなら問題ない?

みかんやグレープフルーツも、もちろん食べても問題ありません。

【80kcalあたりの糖質量】
【80kcalあたりの糖質量】

80kcalあたりのみかんはおおよそ2個、グレープフルーツは1/2~2/3個が目安です。

「酸味の強いグレープフルーツなら、1個食べても大丈夫なのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。ところが、グレープフルーツを1個食べると糖質量は30gと適量から大幅に増えてしまいまい、血糖コントロールが乱れるリスクがあります。

酸味が強くても、果物はあくまで糖質の多い食べ物だということを忘れずに、適量を心がけましょうね。

参考記事:みかん1個の糖質やカロリーは?ダイエットや糖質制限に良いのか分かりやすく検証
参考記事:グレープフルーツのカロリーと糖質は低め〜効果的な食べ方・注意点なども解説〜

糖尿病で食べてはいけない果物はある?

糖尿病患者さんが、食べてはいけない果物はありませんが気をつけたい果物は「アボカド」です。

アボカドは糖質は少ないですが、脂質の多い果実です。そのため、食品交換表では果物ではなく、油と同じ仲間に分類されています。

また、アボカド1個あたりのエネルギー量はおおよそ270kcalです。

カロリーや脂質の摂り過ぎは体重増加につながりやすく、インスリン抵抗性(※)を高め、糖尿病の進行や合併症を招く要因になります

(※)インスリンの効き具合

糖尿病の方がアボカドを食べる際は、食事から摂る油の量と調整しながら、1日1/4~1/3個程度にすると良いでしょう。

参考記事:アボカドのカロリーと糖質量〜ダイエットでの注意点を含めシンプルに解説〜

バナナやパイナップルは甘いけど大丈夫?

バナナやパイナップルは甘いけど大丈夫?

糖尿病であってもバナナやパイナップルが食べられないことはなく、どちらも食べて大丈夫です。

【80kcalあたりの糖質量】
【80kcalあたりの糖質量】

80kcalあたりのバナナは1本、パイナップルはおおよそ1/8個です。

南国育ちで甘みの強いバナナやパイナップルは食べてもよいのか、気になりますね。どちらも適量であれば問題ないので安心して食べてくださいね。

参考記事:バナナの糖質・カロリーなど栄養効果〜太るのかも含めポイント解説〜
参考記事:パイナップルのカロリーと糖質はやや低め〜缶詰やダイエットでの活用法も紹介〜

スイカやメロンはどう?

スイカやメロンも、もちろん食べて構いません。

【80kcalあたりの糖質量】
【80kcalあたりの糖質量】
※すいかの糖質は差引法による利用可能炭水化物

80kcalあたりのすいかは2切れ、メロンは1/3~1/2個程度です。

とくに、すいかはたくさん食べがちな果物なので量を確認しながら食べましょう。個体差のある果物なので、できるだけはかりを使ってくださいね。

参考記事:スイカのカロリーと糖質は低い〜適量や栄養素も分かりやすく紹介〜
参考記事:メロンのカロリーと糖質は低め〜種類別や栄養も分かりやすく紹介〜

妊娠糖尿病の果物の食べ方

妊娠糖尿病の果物の食べ方

妊娠糖尿病の場合も、果物は1日80kcalを目安に取り入れると良いでしょう。

食後のほか、間食としてもお勧めです。

一般的に果物には、貧血予防につながるビタミンCが多く含まれています。また、いちごやキウイ、バナナには、胎児の正常な成長に欠かせない葉酸が豊富です。

くれぐれも食べる量に気をつけながら、お好きな果物を楽しんでくださいね。

参考記事:妊娠糖尿病とは〜胎児への影響・予防・食事までをシンプルに解説〜

まとめ

糖尿病の方が果物を食べる時には、量が大切ということがわかりました。

血糖値の観点からみると、果物は適量ならば良いが食べ過ぎると悪い、といえます。

糖尿病と上手に付き合いつつ果物を楽しむには、1日80kcal分を食後に食べることをお勧めします。

当記事を参考に、糖尿病をもっていても美味しい果物を楽しく食べていただけると幸いです。

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監修医師

綱島東口内科・糖尿病内科クリニック 院長 

近藤義宣先生

【ご略歴】 東京大学 文学部 行動文化学科社会 心理学専修課程、横浜市立大学 医学部 医学科卒業後、国立国際医療センター・横浜市立大学附属市民総合医療センター・茅ヶ崎市立病院、横浜市立大学附属病院 内分泌糖尿病内科、小田原市立病院 糖尿病内分泌内科、横浜市立大学附属市民総合医療センター 内分泌糖尿病内科での勤務を経て、2020年に綱島東口内科・糖尿病内科クリニックを開院し、院長を務める。

【資格】 日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医、日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医、日本内分泌学会 内分泌代謝科(内科)専門医・指導医


参考文献

厚生労働省 e-ヘルスネット
日本糖尿病学会編・著 糖尿病食事療法のための食品交換表第7版
文部科学省 日本食品標準成分表2020年版

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