睡眠の質を上げる方法をご紹介~1日の過ごし方を見直そう~
当記事の執筆は、臨床心理士・公認心理師 石倉美希が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください
忙しい毎日を過ごす方にとって、睡眠はとても貴重な心身の疲労回復手段です。しかし日本人は世界の中でも、睡眠時間が短い傾向にあります。仕事や育児、介護などの事情でなかなか睡眠時間を確保できない人も、睡眠の質を上げて効率のよい睡眠を目指してみませんか?
今回は睡眠の質を上げる1日の過ごし方をご紹介します。ぜひ最後までお付き合いいただき、ご自身が取り入れられそうな方法を見つけてください。
目次
睡眠の質って何で決まるの?
睡眠の質というのは寝つき・睡眠の深さ・目覚めという大きく3つの要素で決まります。
睡眠時間も重要ですが、長いほどよいわけでもありませんし、個人の体質や年齢によっても必要な睡眠時間は変わります。睡眠の質は、睡眠時間と並んで重要なものです。
①すぐに眠れる
1つ目は寝つきがよいかどうかです。ベッドに入ってから約10~20分で眠れるのが理想的なリズムです。ベッドに入った瞬間、数分で寝落ちしてしまうのは、睡眠時間が足りなかったり、睡眠の質が低いのかもしれません。
②ぐっすり眠れる
2つ目は深く眠れているかどうかです。睡眠はノンレム睡眠という深い眠りと、レム睡眠という浅い眠りが周期的に繰り返され、だんだんと眠りが浅くなって自然に目を覚ますのが基本のリズムとなります。寝ついたあとに深く眠れず、浅い睡眠が繰り返されると、夜中に目が覚めてしまうのです。
③気持ちよく目覚めている
3つ目は朝すっきり起きられているかどうかです。睡眠時間が短くても、朝起きたときに「良く寝た!」と思えたら、睡眠の質は高いといえるでしょう。
逆にしっかり寝たはずなのに疲れが取れない、日中に強い眠気があるときは、睡眠の質が低いか睡眠時無呼吸症候群など、他の病気が隠れている場合もあります。
参考記事:睡眠時無呼吸症候群とは〜原因・症状・治療をポイント解説〜
睡眠の質をチェックしてみよう
睡眠の質を決める3つの要素をふまえて、ご自身の睡眠の質をチェックしてみましょう。
▢ 就寝時間と起床時間はおおむね一定である
▢ 日中に耐えられないくらいの眠気がない
▢ 夜中に目が覚めてしまうことはない
▢ 朝起きてからすぐに行動できる
▢ 就寝してから10~20分程度で眠れる
▢ 起床時、よく眠れたという満足感がある
▢ 日中に過度な疲れを感じない
※このチェックリストは不眠症などの病気を診断するものではありません。
多くチェックがつけられた方は、睡眠の質が高いといえます。
睡眠の質が悪くなると、心や体にさまざまな影響を及ぼします。
参考記事:不眠は血糖値に影響する?糖尿病と睡眠の深い関係を徹底解説
あまりチェックがつかなかった方は、以下の睡眠の質を上げる方法を試してみましょう。
時間帯別!睡眠の質を上げる1日の過ごし方
睡眠の質を上げる方法を、1日の過ごし方に沿って具体的にご紹介していきます。
朝~午前中
朝起きてから、午前中にオススメの過ごし方は以下の通りです。
朝起きてすぐにカーテンを開ける
目に光を取り込むことで、メラトニンという睡眠ホルモンが15~16時間後に分泌され、夜になると自然に眠気が起こります。
また、体内時計は1日24時間よりも少し長く、約1時間の誤差があります。朝にしっかり日光を浴びると、誤差がリセットされるのです。
部屋の位置によって、日光を浴びることが難しい場合は、せめて部屋の明かりをしっかりと付けるようにしましょう。
少なくても朝食を取る
睡眠と覚醒のリズムが乱れている人ほど、朝食の欠食率が高い、朝食の量が少なすぎる、昼食と夕食の量が多いというデータがあります。少しでも朝食を取ると、生活リズムにメリハリが生まれ良い睡眠につながるでしょう。
また、トリプトファンというアミノ酸には睡眠ホルモンの分泌を促す作用があります。
トリプトファンが多く含まれるバナナは手軽に食べられ、朝食にもピッタリです。
参考記事:バナナの糖質・カロリーなど栄養効果〜太るのかも含めポイント解説〜
午後~夕方
昼過ぎから夕方にかけての過ごし方の工夫は以下の通りです。
午後の早めの時間に短時間の昼寝をする
疲れが溜まってくる午後には、15~30分程度の昼寝がオススメです。昼休憩時に、目を閉じリフレッシュしてみましょう。30分以上の仮眠は、目覚めが悪くなりますので注意してください。
カフェインの入った飲み物は夕方まで飲み終える
カフェインの覚醒作用は約4~5時間です。午後はノンカフェインの飲み物に切り替えておくとよいでしょう。カフェインには利尿作用もあります。夜にトイレに起きることも睡眠の質に影響してきますので、ご注意ください。
軽い運動を継続して行う
強度の高い運動を1回行うよりも、軽い運動を継続し、習慣とするのがオススメです。また、寝る直前に運動してしまうと脳が興奮し、落ち着くのに時間がかかります。仕事のある方は帰宅時に1駅分だけ歩いてみることから始めてみませんか?
ウォーキングのポイントは以下の記事を参考にしてみてください。
参考記事:ウォーキングは糖尿病の治療に効果的〜正しい方法で血糖値を改善〜
夜~就寝前
夜から就寝前の過ごし方は、睡眠の質に大きな影響があります。すべて実践するのは大変ですが、1つでも意識して取り入れてみましょう。
早めの夕食をとる
就寝時間の2~3時間前までに食事を終えましょう。直前まで食べていると、睡眠が浅くなるだけでなく胃もたれなど胃腸の不調にもつながります。食事の時間によって体内リズムも崩れてしまうため、できるだけ同じ時間に食事を取るようにしましょう。どうしても夕食が夜遅くなってしまう方は、夕方に一度食事を取り、軽い夜食で補うのがオススメです。
湯舟で温まる
人は体の深部体温が下がっていくときに、眠くなります。湯舟で温まり、一度体温を上げてから眠りにつくと、スムーズに入眠できます。寝る直前に入浴したり、お湯の温度が高すぎるとかえって覚醒してしまうため、就寝時間の2~3時間前、38~41℃の温度での入浴を目安にしましょう。
照明を控えめにする
明るい照明は脳が覚醒しやすくなります。間接照明などで明るさを控えめにしたり、暖色の照明に切り替えるのもオススメです。コンビニやスーパーの照明も強い光ですので、夜に長居は控えましょう。
寝る前のアルコールや喫煙を控える
アルコールで酔うと眠くなり寝つきはスムーズになるものの、明け方の睡眠は浅くなるため、質の低い睡眠となってしまいます。アルコールの利尿作用でトイレが近くなるため、夜中に目が覚める可能性も高まるでしょう。
また、就寝直前の喫煙も脳が興奮するため、睡眠に悪影響です。
参考記事:糖尿病とアルコールの付き合い方~適量や飲み過ぎ対策を紹介~
喫煙の影響をわかりやすく解説!~デメリットを理解してたばこをやめよう~
テレビやスマートフォンの使用を控える
液晶画面のブルーライトは、目の奥にまで届く強いエネルギーを持った光です。夜遅くまで使っていると、体内時計が狂う原因にもなります。刺激的な内容のコンテンツは脳も興奮し、寝つきに影響してしまいます。
どうしても眠れないときの過ごし方
日中に睡眠の質を上げる方法を試しても、どうしても眠れないという場合には以下のように過ごしてみましょう。
睡眠はささいな変化でリズムが崩れやすいものです。眠れない日が数日程度であれば、まずは以下の方法を試しながら様子をみましょう。
ベッドから出て過ごす
眠れないときに、ずっとベッドの中でゴロゴロと寝返りを打っていませんか?横になることで、体の疲れが取れると考える人も多いですが、眠らなければという緊張が高まり、かえって寝つけないことも。
どうしても眠れない場合、一度ベッドから出て温かい飲み物を飲んだり、静かな音楽をかけたりして眠気が来てからベッドに入り直しましょう。起きている間、テレビやスマホなど刺激の多い活動は控えてくださいね。
遅寝早起きのリズムにする
眠れない日が続いてしまうとついしてしまうのが、早い時間にベッドに入ることです。あまり早い時間に眠ろうとしても眠気がなかなか来ないですよね。眠れなくて夜遅くなってしまったときも、起きる時間はずらさないのが重要です。
病院で相談するべきタイミングは?
睡眠の質が低下してしまっていると、気持ちの落ち込みや集中力の低下など体や心にさまざまな影響が出ます。また、メンタルヘルスの不調が睡眠の問題として現れる場合もあります。
参考記事:ストレスの影響は体と心に現れる!~糖尿病とストレスの関係性~
さまざまな方法を試しても、2週間以上続けて睡眠の問題を感じている場合には、専門家に相談してみましょう。
睡眠の相談をするには、精神科や心療内科がオススメです。最近では睡眠に関する専門病院(睡眠外来)もあり、気軽に相談しやすくなっています。
まとめ
睡眠の質は睡眠の長さとともに大切です。
睡眠の質は、すぐ眠れるか・ぐっすり眠れるか・すっきり起きられるかの3つで決まります。
睡眠の質が下がっているときは、1日の過ごし方を見直してみましょう。
日常の習慣を少し変えるだけでも、睡眠の質を上げられますよ。
それでも寝付けない場合には、眠くなるまでベッドに入らない、遅寝早起きにするように心がけましょう。
1日の過ごし方を工夫しても睡眠の問題が続く場合には、我慢せずに専門家に相談してくださいね。
今回の記事が睡眠の質を上げ、1日を気持ちよく過ごすのに役立つと幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
【参考文献】
厚生労働省 e-健康づくりネット
厚生労働省 e-ヘルスネット 快眠と生活習慣
厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針2014