バナナの糖質・カロリーなど栄養効果〜太るのかも含めポイント解説〜

「ちまたでバナナを食べると太ると聞くけど、本当のところはどうなんだろう?」
手軽に美味しく食べられる果物、バナナ。なんと日本人がよく食べている果物では1位だそうです。
そんな人気のバナナですが、甘いので食べたら太るという声もあります。果たしてどうなのでしょう。
実は、バナナを食べること自体が太る理由にはならないのです。
今回はその理由を栄養学の見地から解説していきます。効果的なバナナの食べ方までご紹介しますので、最後までお読みいただけると幸いです。
※当記事はうるうクリニック港南台 院長、長田潤先生に監修をいただきました。
目次
バナナの栄養について
バナナには、ビタミンやミネラルなど私たちの体の調子を整える栄養素が含まれています。そしてポリフェノール(※)も多いのが特徴です。
(※)ポリフェノールは食べ物の甘みや酸味などを作り出す成分で、動脈硬化などの疾病予防に役立ちます。
気になる糖質は?
バナナ1本(100g)の糖質は19.4gで、他の果物と比べるとやや多めに含まれています。りんごやみかんに比べると糖質は多いです。
意外と低カロリー?
カロリーが高そう…と思われがちなバナナですが、実は1本あたり93kcalと低カロリーです。
参考までに、ご飯1杯(150g)は234kcal、食パン1枚(80g)は198kcalです。比較するものによりますが、「朝ごはんの主食はバナナ」というあなたにとって、バナナはさらに低カロリーな食べ物と言えますね。
参考記事:糖質の多い果物ランキング~糖質制限中にオススメの果物もご紹介~
注目の栄養成分を紹介
まず、バナナの注目の栄養素は、ビタミンB6です。1本で、ほぼ1食分の目標量を摂ることができます。
ビタミンB6は食べ物のタンパク質がエネルギーとなる時に必要な栄養素で、筋肉や血液が作られるときに働きます。そのため、スポーツなどでたんぱく質を多く摂る人ほど必要な栄養素です。
次に、モリブデンです。モリブデンは鉄分の働きを強める栄養素で、別名「血のミネラル」とも言われます。モリブデンもバナナ1本で1食分の目標量を補うことができ、貧血予防に役立ちます。
その他、果物の中でもバナナに含有量が多いのがマグネシウムです。マグネシウムには骨の健康維持、体温の調節機能などがあります。
太る?太らない?ダイエットには不向きなのか
結論から言うと、低カロリーのバナナはダイエットに向いている=太りにくいと言えます。また血糖値の観点からも見ても、ダイエットに適した果物なのです。
バナナは甘いので糖質が多いと思われがちですが、すでにお伝えしたとおり、糖質はさほど多くはありません。
糖質が多いと血糖値が急激に上がり、インスリンが分泌されて血糖値は下がるのですが、実はこのインスリンには糖を中性脂肪にして蓄える働きもあります。
ですから、インスリンが出すぎないこと(血糖値を急激に上げないこと)が大切なのです。
そこで指標の一つ、GIをご紹介します。GIは、食品に含まれる糖質の吸収度合い(血糖値の上昇速度)を示したものです。
バナナのGIは47で、血糖値をあげにくい低GI食品に属します。なので、バナナを食べた後のインスリンは分泌しすぎることなく、糖は速やかに吸収されますので、バナナ単独で太るリスクは低いのです。
以上より、血糖値の観点でもバナナはダイエットに向いていると言えます。
バナナを毎日食べると便秘解消?
便秘に良い栄養素の一つに食物繊維がありますが、バナナを毎日1本食べても、便秘解消には繋がりにくいでしょう。
その理由ですが、バナナには便の体積を自然と増やして排便を促す水溶性食物繊維が含まれています。しかし、バナナ1本あたりの食物繊維は1.1gで目標量(※)から見ると少ないのです。
(※)食物繊維の目標摂取量は、18~64歳では1日あたり男性21g以上、女性18g以上とされています。
ですので便秘が気になるあなたには、便通の改善に役だつ乳酸菌の活用がおすすめです。特にビフィズス菌を配合したヨーグルトを一緒に食べると、効果が得られやすいと思います。
参考記事:水溶性食物繊維のイヌリンとは?効果からサプリの選び方までわかりやすく解説
糖質制限でも1本ならOK
バナナ1本あたりの糖質は食べられる箇所が100gなら19.4gです。糖質制限にも様々ありますが、体に無理なく続けられる糖質制限として推奨しているのは、1日あたり120g(1食40g)の糖質を摂る方法です。
参考記事:糖質制限ダイエットって効果があるの?適切な食材と方法を徹底解説
糖質制限中でもバナナを食べても大丈夫ですが1本までとし、他の食材で1食あたりの糖質が40gを超えないよう、組み合わせを考えましょう。
バナナはいつ食べると効果的?
バナナは食べる時間帯によって、得られる効果が違います。
実は朝バナナは血圧にも良い
バナナにはカリウムが含まれています。カリウムは体の中の塩分を調節するのに役立つ栄養素ですので、高血圧の改善に推奨される栄養素の一つです。
カリウムは果物、いも類や豆類など幅広い食材に多く含まれており、果物ではバナナのカリウム量は他に比べて多いです。
朝は交感神経(活動時に働く神経)によって心臓の働きが活発になりますので、1日の中でも血圧が上がりやすくなります。そのような時間帯に、バナナを食べてカリウムを摂るのは血圧対策の一つとして有益と言えるでしょう。
昼に食べてエネルギーチャージ
昼食の役割は、午後の活動に必要なエネルギーを補うことです。
バナナの糖質は果糖が多く、果糖は糖質の中でも吸収の早い糖類です。そのため、体内に素早く取り込まれて、エネルギーの補給に役立ちます。
「仕事で疲れた」「午後は運動しよう」などの時、バナナが活動の原動力になることでしょう。
夜のバナナは心の癒し
バナナにはトリプトファンというアミノ酸が含まれています。
トリプトファンには、気持ちや感情を調整して心の安定を保つ働きのある、脳内ホルモン「セロトニン」を増やす働きがあります。
ですから夕食にバナナを食べることで、1日のストレスや緊張が和らぎ、リラックス効果が得られやすくなる利点があります。
誰でもカンタン!おすすめの食べ方を紹介
それでは、バナナの食べ方についてご紹介しましょう。
今回ご紹介するサラダでは、たんぱく質と食物繊維の量をアップすることができます。
たんぱく質を摂ると、筋肉が増えて代謝がアップし太りにくい体質になります。また血糖値の上昇を抑制する働きがある食物繊維は、ダイエットに役立つ栄養素です。
【バナナとサラダ豆のヨーグルトサラダ】
・バナナ 1本
・サラダ豆(市販) 50g
・ヨーグルト(無糖) 100g
【作り方】
1、バナナは皮を剥き、一口大に切る。
2、ボウルにバナナとサラダ豆、ヨーグルトを入れて、混ぜ合わせる。
3、器に盛って完成。
まとめ
以上、バナナは太りにくい果物で、健康に役立つ栄養素が豊富なことがお分かりいただけたと思います。
バナナ1本は93kcalと低カロリーで、血糖値を上げにくい低GI食品であることもダイエットに向いている理由と言えます。
なお、食べる時間によって期待できる効果が変わってきます。その日のコンディションに応じてバナナを取り入れるのも良いでしょう。
今回の記事により、バナナをより安心して食べていただけると嬉しいです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは糖質&カロリーを含む食事・体重・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてくださいね。
参考文献
日本バナナ輸出組合調べ「バナナ果物消費動向調査」2016
J-STAGE 日本食品保蔵科学会誌, バナナ追熟過程のポリフェノール成分の変化 ,2003 年 29 巻 6 号 p347-351,村清司ら
厚生労働省 eヘルスネット インスリン
厚生労働省 eヘルスネット 乳酸菌
厚生労働省 eヘルスネット カリウム
医歯薬出版株式会発行 日本食品成分表2021八訂
グリコ 栄養成分ナビゲーター
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