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【医師監修】血圧をすぐに下げる方法はあるのか〜食事や運動が大切〜

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血圧を下げる方法〜食べ物や生活でのポイントを分かりやすく解説〜

当記事は、内科認定医・糖尿病専門医 古賀 萌奈美先生にご監修いただきました。
執筆はライター 前間弘美(管理栄養士)が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

「自分が高血圧だと知っているけれど、何をしたらいいかわからない…」
「明日は健康診断だからすぐに血圧を下げる方法を知りたい」

現在20歳以上の日本人において、2人に1人は高血圧といわれています。一方で高血圧は自覚症状がないため、治療をしない方が多いのも事実です。

たしかに高血圧は自覚症状はないものの、命にかかわる合併症を引き起こす可能性があり、もし高血圧が完全に予防できれば、年間10万人以上の人が死亡せずにすむと推計されています。

そこで今回は血圧を下げるための具体的な方法を、お伝えしていきます。生活の中に取り入れやすいものばかりなので、ぜひ最後までお付き合いください。

血圧を今すぐ下げる方法はあるの?

血圧を今すぐ下げる方法はあるの?

残念ながら、血圧を下げる即効性のある方法はないです。

ただし、継続することで血圧を下げる方法はあります。血圧は食事・運動などの生活習慣を見直し、正しい習慣を継続することで下げられます。

また医師に処方された薬を服用すると、血圧が下がるでしょう。

血圧が高いと、血管に負担がかかり動脈硬化が進行します。動脈硬化が進行すると心筋梗塞や脳卒中を引き起こす可能性があるため、血圧を下げる必要があるのです。降圧療法(※)により拡張期血圧を5~6mmHg下げると、3~5年間 の脳卒中の発症を42%軽減するという報告もあります。

(※)血圧を下げること
参考記事:【医師監修】血圧の平均を知ろう〜年代別にまとめました〜

血圧を下げる方法について

血圧を下げるには

・減塩
・食事内容
・運動
・肥満の改善
・節酒
・禁煙

といった生活習慣の改善が有効です。

また、医師から処方された薬の服用も血圧を下げるために大切な治療方法です。

減塩

減塩

高血圧の方が血圧を下げるために欠かせないのは、食事の塩分を1日6g未満にすることです。

そこで減塩のコツをお伝えします。

・麺類のスープは残す
・減塩調味料やだしを活用する
・汁物は具沢山にして汁の量を減らす
・酸味や香辛料を効かせて物足りなさをカバーする
・ハムや練り物、お惣菜、漬物などの塩分の多い食品は控えめに
・醤油やタレは「かける」よりも「つける」

日本は醤油・みそなどの塩分の多い調味料や漬物などを好む食文化から、塩分を多く摂る傾向にあります。令和元年の国民健康栄養調査によると、成人の平均塩分摂取量は1日10.1gです。

そのため、塩分を1日6g未満に抑えるというのは、難しく感じるかもしれません。6g未満の目標が達成できなくても、米国心臓病学会は現在より2.5gの減塩で降圧が得られると示しています。いくら減塩が大切とはいえ、食事が楽しめなくなっては本末転倒です。

長く続けられるように、減塩のコツを取り入れていきましょう。

参考記事:醤油の塩分量はどれくらい?~減塩のコツや他の調味料の塩分量を解説~
参考記事:糖尿病でも塩分制限は必要?~塩分の摂取目安量や控える方法も解説~

食事内容

血圧を下げるために

毎日の食事では、野菜や果物を積極的に摂りましょう

野菜や果物に豊富に含まれるカリウムは、体の中の余分な塩分を体から排出させる働きがあります。そのため野菜や果物をたくさん食べてカリウムを充分に摂ると、高血圧の予防・改善できるのです。

ただし、果物の食べすぎはカロリー・糖質の摂りすぎにつながるので糖尿病患者は80kcal程度が推奨されています。また慢性腎臓病の方は、その程度に応じたカリウム制限が必要となります。一度主治医に可能な摂取量を確認してみてください。

参考記事:血圧を下げる&上げる飲み物・食べ物とは〜身近な食品をランキングで紹介〜

運動

習慣的な運動や身体活動量の増加は、血圧を下げることがわかっています。

具体的には、

・ウォーキング(速歩)
・ステップ運動
・スロージョギング
・ランニング

といった有酸素運動をややきついと感じる負荷で、できれば毎日40分以上続けることが目標です(18-64歳では60分以上の運動が推奨されています)。

いきなり運動を始めるのは体に負担があると感じる場合は、

・掃除
・洗車
・子どもと遊ぶ
・速歩きで買い物する

など、身体活動量を増やすところから始めましょう。

習慣的な運動は収縮期血圧(上の血圧)を2-5mmHg低下、拡張期血圧(下の血圧)を1-4mmHg低下させるといわれています。

また習慣的な有酸素運動は、高血圧の方の収縮期血圧を8.3mmHg低下拡張期血圧を5.2mmHg低下させる効果があるとの報告も。

運動は継続することが大切です。無理せず続けられる範囲で、習慣化していきましょう。

参考記事:血圧を下げる運動とは〜方法やコツをポイント解説〜

ふくらはぎのマッサージは効果的?

現時点では、マッサージによる血圧低下の効果ははっきりわからないのが事実です。

というのも、ふくらはぎのマッサージによって血圧が下がるという研究結果や血圧は下がらなかったという結果があるからです。

とはいえ、ふくらはぎへのマッサージが自分にとって気持ちよく、ストレス解消につながるのであれば続けるとよいでしょう。ストレスは高血圧の大敵です。

ストレス解消法として、ふくらはぎのマッサージを行うのであれば効果的といえるかもしれません。

肥満の改善

肥満の改善

肥満による高血圧発症リスクは、BMI 20kg/m²未満を1とするとBMI 25.0-29.9kg/m²では1.5-2.5倍になると推定されています。

BMI=体重(kg)÷身長(m)²

BMIが25以上の方は、BMI25未満を目指して減量しましょう。

なお肥満の原因は食べすぎや運動不足の場合が多く、肥満を改善することで減塩や運動習慣にもつながります。3%以上の減量で有意な降圧結果が示され、体重1kg減少につき収縮期血圧は約1.1mmHg、拡張期血圧は約0.9mmHg低下すると推定されています。

節酒

アルコールは継続して飲み続けると、血圧を上げる原因となります。そこで、下の表にて1日の適量をお伝えします(女性はこの約半分の量が適量となります)。

ビール日本酒焼酎ワインウイスキー
ブランデー
1日の適量500ml1合半合2杯ダブル1杯

お酒は適量の範囲内で楽しみましょう。

参考記事:ビールはカロリーと糖質が高くて太りやすい?〜他のお酒と比較して解説〜

禁煙

喫煙は、短期的には血管収縮作用や交感神経活動の亢進により、長期的には動脈硬化により血圧を上昇させ、1本の喫煙で15分以上の血圧上昇を招くことが示されています。

喫煙は高血圧を介してだけでなく、直接脳血管疾患病の発症リスクとなります。

また喫煙は癌や呼吸器疾患の危険因子でもあるため、禁煙はとても大切です。1人で禁煙するのは難しいという方は、禁煙外来で相談するのもよいかもしれませんね。

参考記事:喫煙の影響をわかりやすく解説!~デメリットを理解してたばこをやめよう~

薬を飲むことも大切な治療

薬を飲むことも大切な治療

医師から処方された血圧を下げる薬を服用することは、大切な治療の1つです。

薬は副作用のあるものや注意が必要なものもあるため、医師、薬剤師の説明をしっかりと聞き正しく服用することが重要です。

また、薬を勝手に中断するのはとても危険です。

薬を飲むことがストレスに感じる場合や副作用が出現したときは、自己判断で中断せず、必ず医師に相談するようにしてください。

日常生活で気をつけるポイント

生活でのポイント

日常生活においては、十分な睡眠とストレスを解消することが大切です。

睡眠をしっかりとることで、心と体が休まり血圧が安定します。

また、ストレスを感じると血圧は一時的に上昇します。始めは一時的な上昇でも、続くことで慢性的に血圧が上がることも。

ストレスは早めに解消していきましょう。

参考記事:ストレスで起こる体や心の異変~生活習慣病への影響も解説~

まとめ

血圧をすぐ下げる方法はありませんが、食事や運動などの生活習慣の改善を継続することで血圧を下げられます。

大切なのは正しい生活習慣を続けることです。生活習慣の改善は高血圧だけでなく、肥満や糖尿病、脂質異常症などの予防・改善にもつながります。

それでは当記事が、生活習慣を改善するきっかけとなるとうれしいです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは血圧・体重・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてくださいね。

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参考文献
日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019

・高血圧、心疾患と脳神経疾患 日本内科学会雑誌  101:2163~2170,2012
・J-STAGE マッサージに血流の改善効果はあるのか 高血圧とストレス
日本予防医学会雑誌 健常成人男女に対するふくらはぎマッサージの効果

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