ビールの糖質&カロリーは太る原因か〜他のお酒と比較しながらポイント解説〜

当記事を監修した専門家:管理栄養士・糖尿病療養指導士 白石香代子 、編集長 宮田亘造(詳しいプロフィールはこちらをご覧ください)
「ビールは太るお酒というイメージが強いんだけど、実際どうなのかな?」
適度な炭酸と爽やかな苦味が人気のビール。「まずはビールで乾杯」という場面も多いと思います。
また「ビールの糖質やカロリーは他のお酒より多いのかな…」など心配の声が聞かれることもしばしば。果たして本当のところはどうなのでしょうか。
そこで今回は、ビールが太る飲み物なのかどうかを検証してみることにしました。
さらに糖質やカロリーの比較からお勧めのビールをランキング形式でご紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
ビールの糖質やカロリーを紹介
最初に、ビールの糖質やカロリーはどのくらいなのか見てみましょう。
ビール(350ml)1本あたりの糖質は約11gで、これはコンビニのおにぎり1/3個とほぼ同じ量です。また500mlのビールでは15.5gの糖質量となり、コンビニのおにぎり半分よりやや少なめとなります。
このことから、ビール1本あたりの糖質はさほど多くないことがお分かりいただけると思います。
一方のカロリーは、500mlのビール1本でコンビニのおにぎり1個とほぼ同じ(350mlでおにぎり3/5個ほど)とやや高めです。
焼酎など他のお酒と比較
次に、他のお酒と比べてみましょう。
上の表にまとめましたが、焼酎やウイスキーの糖質はゼロ、ワインの糖質は1.4gと低めです。そしてビールの糖質は日本酒と大きな差がないことも、お分かりいただけると思います。
そしてカロリーは、同量のお酒の中ではビールが最も低いです。
なおハイボールが好きな方も多いと思いますが、ハイボールの原料はウイスキーです。ですのでウイスキーを炭酸水で割ったハイボールにも、糖質は含まれません。
しかし炭酸水ではなくコーラやジンジャーエールで割ったハイボールは、糖質もカロリーも高くなりますので気をつけてください。
参考記事:糖尿病と飲酒の関係~アルコールの影響や飲み過ぎないための秘訣を紹介~
参考記事:ハイボールの糖質はゼロだがカロリーは高め〜商品の比較やオススメも紹介
ビールは太る飲み物なのか
ビールは太る飲み物と思われがちですが、飲む量によります。
なぜならすでにお伝えしたようにビール(500ml)1本の糖質量は15.5gで、ご飯お茶碗ですと1/6杯ほど、8枚切り食パン1枚より少ないです。
またカロリーはやや高めとお伝えしましたが、例えばビール(500ml)を2本飲んだ場合は390kcalで、ご飯お茶碗1杯(200g)より多いカロリー摂取となってしまうのです。
つまり1本程度であれば、ビールが太る直接の原因にはならないと言えるでしょう。
しかし4本5本…と飲酒量が多くなると、ビールの摂取カロリーは当然高くなります。
摂取カロリーが消費カロリーを上回ると、余分なカロリーは最終的に脂肪として体内に蓄積されて太る、ということになります。ですので、量には注意が必要です。
糖質オフと糖質ゼロの違いについて
最近は糖質オフや糖質ゼロなど、様々なビールを見かけますよね。
この2つにはどのような違いがあるのか、下記にまとめてみました。
例えば、糖質オフビールは通常のビール(100mlあたり3.1gの糖質)より0.6g以上の糖質を抑えているものということになります。
また、従来の商品より25%以上糖質カット(通常のビールで考えるならば3.1gの25%軽減ですので2.3g以下)したものも、糖質オフビールと表示されます。
そして糖質ゼロは、糖質オフよりさらに糖質を抑えたものです。例えば350mlのビールであれば1.7g未満、500mlでも2.5g未満と糖質が非常に少ないビールのことを指します。
余談ですがビール工場では糖質を減らすために、様々な製法が用いられています。一例をご紹介すると、ビールの製造過程において、アルコール発酵を行う微生物(酵母)に糖を多く食べさせ、糖質を軽減しているケースなどです。
ビールに関する様々な質問をまとめました
それではビールに関してよく挙げられる質問について、お答えしていきますね。
毎日ビールを飲むと太るの?
あなたが健康で適量を飲むのであれば、毎日のビールが原因で太ることはないでしょう。
ここでの適量とは、厚生労働省が示す『節度ある適正な飲酒』の指標とし、1日平均純アルコールで約20g、つまりビール(500ml)で換算すると約1本です。
なぜならすでにご紹介しましたが、ビール(500ml)1本あたりの糖質はご飯お茶碗1/6杯とほぼ同じ15.5gで、糖質制限ダイエットの一つの目安なる40g以下(1食あたり)よりはるかに少ないからです。
また、ビール(500ml)1本のカロリーはご飯お茶碗半分より少し多めで、さほど高くありません。
一緒に食べるものが揚げ物など高カロリーな内容に偏らない限り、心配しなくて良いと思います。
寝る前にビールを飲むのは大丈夫?
「お酒を飲んでベットに入るとよく眠れる」という噂もありますが、就寝前のビールは控えた方が良いでしょう。
寝る前のお酒で確かに寝付きはよくなりますが、問題は寝付いた後の睡眠の質です。
アルコールは、感情などをつかさどる脳の活動を高めることがあります。そのため、寝てからしばらくして酔いが覚めてくると脳の活動が活発になり、睡眠を妨げる原因になることがあるのです。
睡眠の質が良くないと睡眠不足になる可能性が高くなります。そして睡眠不足が慢性的になると、糖尿病や心筋梗塞などの疾患リスクが上昇することも明らかになっています。
糖質ゼロなら糖質制限中でも飲んでいいの?
糖質ゼロビールでしたら、糖質制限中でも飲むことは可能です。しかし、ビールに含まれる炭酸ガスやホップ(※)などが胃を刺激し、食欲が増すことが懸念されます。
(※)ホップはビールの主な原料で、苦味や香りのもとになる植物です。
ですので特に飲まなくても良いのであれば、糖質制限ダイエット中のビールは控えた方が良いです。
しかし、もしアルコールを我慢すること自体がストレスになる場合は、適量である1本程度をお勧めします。
太らないビールをランキング形式で紹介
糖質量とカロリーの比較から、適量であれば太りにくいと考えられるビールを3つ、ランキング形式で発表します。
【第3位 キリンビール 一番搾り】
麦本来の味が楽しめるビール、キリンの一番搾り。
糖質量は100mlあたり2.6gで、あとマイナス0.1gであれば、糖質オフと言える基準(ビール100mlあたりの糖質が2.5g以下)にもなる商品です。
カロリーは100mlあたり40kcalと、一般的なビールとほぼ同じです。
【第2位 パーフェクトサントリービール 糖質0.】
コマーシャルでもよく目にする、こちらのビールが第2位です。
糖質はゼロですが、泡立ちとコクはビールと同じ。飲みごたえもバッチリです。
カロリーは100mlあたり32kcal、一般的なビールと大きな差はありません。
【第1位 キリンビール 一番搾り 糖質0】
日本では初めて販売された糖質ゼロのビール缶です。美味しさは普通のビールと変わらず、非常に飲みやすいビールです。
さらにカロリーも100mlあたり23kcalと、とても低いのも魅力ですね。
とはいえ、今回はあくまでも糖質量とカロリーに着目したランキングです。味にはそれぞれ好みがあるうえで、参考にしていただければと思います。
まとめ
以上、ビールは適量であれば太る直接的な原因にはならないことがお分かりいただけたと思います。
また他のお酒との比較で、ビールの糖質量はワインやウイスキーより多いですが、カロリーはお酒の中では低いことも分かりました。
ちなみに太らないようにビールを飲むなら、1日あたりビール(500ml)1本が良いでしょう。飲み過ぎには気をつけたいですね。
当記事を参考に、美味しく健康的にビールを楽しんでいただけると幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスではカロリー&糖質を含む食事・体重・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてくださいね。
参考文献
日本食品成分表2021八訂 医歯薬出版編
消費者庁省 栄養成分表示について
東京都 栄養成分表示ハンドブック P17 ゼロ(0)と表示できる基準
厚生労働省 eーヘルスネット 睡眠と生活習慣病の深い関係