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糖尿病でも塩分制限は必要?~塩分の摂取目安量や控える方法も解説~

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糖尿病でも塩分制限は必要?~塩分の摂取目安量や控える方法も解説~

当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

「糖尿病の人は糖質に気を付けていれば大丈夫」

そう思っていらっしゃる方が多いのではないでしょうか?

ところが糖尿病の食事療法では、糖質だけでなくカロリーや脂質、たんぱく質、塩分、食物繊維をバランスよく摂取することが大切です。

「私は高血圧でないから、塩分制限は必要ないんじゃないの?」

たしかに糖尿病の方は、高血圧や腎症を合併していなければ厳しい塩分制限は必要ありません。ただし、塩分を控えた方が高血圧など合併症のリスクを減らせるのです。

そこで、今回は糖尿病の方が塩分を控えた方がよい理由についてお伝えします。塩分を控える方法についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

なぜ糖尿病だと塩分の摂りすぎに気を付けるのか

くり返しになりますが、塩分の摂りすぎは糖尿病の合併症につながるおそれがあるので、注意が必要です。

実は、塩分が血糖値に直接影響することはありません。ところが、過剰に塩分を摂ると高血圧症や糖尿病性腎症、体重増加を引き起こす可能性があります。

そこで、糖尿病の方は適量の塩分を摂るように心がけたいのです。

参考記事:高血圧とは~症状や生活習慣での改善ポイントなど分かりやすく解説~
参考記事:糖尿病性腎症とは〜検査・治療・予防を分かりやすく解説〜

肥満になる可能性も

肥満になる可能性も

一般的に塩分の多い食事は食欲が増し、食べる量が増えるとおのずと体重も増加します。

そして過剰な体重増加によって肥満になると、インスリンが効きにくくなるインスリン抵抗性を引き起こす可能性があるのです。

インスリン抵抗性があるとインスリンが分泌されているにもかかわらず、上昇した血糖値が正常値に戻りにくくなります。糖尿病の方は血糖コントロールに影響する可能性があるので、肥満にならないようとくに注意したいですね。

参考記事:満腹になるのに太りにくい!ダイエットにいい食べものランキング~選び方も徹底解説~

動脈硬化を進行させる

糖尿病や高血圧症は、動脈硬化を進行させる要因の一つです。

動脈硬化とは、心臓から全身に血液を送り出す動脈の血管が硬くなり、弾力性が失われた状態をいいます。動脈硬化が進行すると血管が詰まりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす可能性も。

動脈硬化は血管の老化なので避けられませんが、進行の要因は減らせます。塩分摂取量を適量に保ち、高血圧症を予防することで動脈硬化の進行を遅らせましょう。

糖尿病をもっていると塩分摂取量の目安はどのくらい?

糖尿病をもっていると塩分摂取量の目安はどのくらい?

厚生労働省による食事摂取基準では糖尿病のあるなしにかかわらず、塩分摂取量の目安は男性7.5g以下、女性6.5g以下といわれています。

ところが令和元年国民健康栄養調査によると、成人の塩分摂取量の平均値は10.1gです。なお男女別に見ると、男性10.9g、女性9.3gです。

さらに年齢別に見ると、男女ともに60歳代が1番多い傾向にあります。老化によって進行しやすい動脈硬化の進行を遅らせるためにも、目安量に近づくよう減塩に努めましょう。

高血圧や糖尿病性腎症がある場合は塩分6g以下に

糖尿病の方で高血圧や腎症を合併している場合は、塩分摂取量の目安は6g以下です。

ただし、これはあくまで一般的な指標です。病院で主治医や管理栄養士の食事指導を受けている場合は、そちらを優先してくださいね。

塩分を控えるポイント

日本人の塩分摂取源の7割は、醤油や塩、みそをはじめとした調味料です。調味料は調理中や食卓で味付けをする際に調整できるので、意識すれば減らせます。

①うま味・酸味・香辛料・香りを効かせる

①うま味・酸味・香辛料・香りを効かせる

うま味や酸味、香辛料や香りをきかせると、塩分を控えた料理でもおいしさを感じられます

たとえば

・濃いめにだしをとって塩や醤油の使用量を減らす
・レモンやゆずを絞って物足りなさをカバー
・唐辛子やコショウ、わさびで味にアクセントを加える
・ネギや青じそ、にんにくなどの香りで塩味を際立たせる

のような方法があります。

②塩分を見える化する

塩分を控えるといっても、普段自分がどのくらい塩分を摂っているのかわからない方も多いでしょう。

そこで、代表的な調味料やドレッシングの塩分量をまとめました。塩分を見える化することで料理や食事をする際に、自分がどのくらいの塩分を摂ろうとしているのか、わかるようになります。

1食あたりの塩分摂取量を2~2.5gに抑えると塩分摂取目安量に近づけますので、ぜひ実践してみてください。

調味料の塩分量

 

ドレッシング塩分量
*大さじ1あたり

上の表をみると、低カロリーマヨネーズやノンオイルドレッシングの塩分は普通のものと比べて2倍以上多いことがわかります。カロリーを控えたい時は低カロリーやノンオイルのもの塩分を控えたい時は普通のものを選択してください。

なお、参考までにラーメンスープの塩分量は1杯当たり、おおよそ6.8gです(醤油ラーメンの場合)。飲み干すと、1日の塩分摂取目安量のほとんどを占めることがわかりますね。

実はある研究によると、ラーメンを食べる際にスープを意識的に残した場合、スープからの塩分摂取量は平均1.3~1.5gだったという結果があります。さらに一般的な麺類においても、汁を意識的に残すとすべて飲み干した場合と比べて1.6~4gの減塩効果があったのです。

麺類の汁は味見程度にして、できる限り残すように心がけましょう。

参考記事:糖尿病とラーメンの上手な付き合い方~血糖値が上がりにくい食べ方のコツを紹介~

③加工食品は食べすぎない

一般的にウインナーやちくわ、カップラーメンなどの加工食品は、保存期間を長くするために塩分を多く添加しています。

そのため、日常的に加工食品を食べると塩分を摂りすぎる可能性が高いのです。加工食品をまったく食べないのは難しいですが、食べる回数や量を減らせるよう意識しましょう。

参考記事:ちくわの栄養を徹底解説~低カロリーでも食べ過ぎには要注意~

妊娠糖尿病の場合はどうか

妊娠糖尿病の場合はどうか

妊娠糖尿病の方は糖尿病の方と同じく、合併症がなければ厳しい塩分制限は必要ありません(主治医からの指導がある場合を除く)。ただし、妊娠中でも健康な方と同じく、塩分摂取量の目安は6.5g以下です。

妊娠中に塩分を摂りすぎると、妊娠高血圧症候群やむくみの原因となります。妊娠高血圧症候群は赤ちゃんの成長にもかかわるので、とくに注意したいです。また、妊娠高血圧症候群やむくみは母体に負担となるので、できるだけ予防したいものですね。

とはいえ、妊娠高血圧症候群やむくみの原因は塩分の摂りすぎだけではありません。あまり神経質になりすぎず、バランスのよい食事を心がけてください。

参考記事:妊娠糖尿病とは〜胎児への影響・予防・食事までをシンプルに解説〜
参考記事:
妊婦さんがなりやすい妊娠高血圧症候群とは〜症状・対策などカンタン解説〜

まとめ

以上、糖尿病の方は合併症になりやすいため塩分を控えた方がよい、とわかりました。

糖尿病のあるなしにかかわらず、日本人の塩分摂取量の目安は男性7.5g以下、女性6.5g以下です。ところが実際、成人において塩分摂取量の平均値は10.1gというのが現実です。

糖尿病の方は合併症を防ぐため、糖尿病でない方は健康を保つために、無理のない範囲で塩分を控えるよう意識しましょう。

それでは当記事を参考に、塩分は控えつつ食事を楽しんでいただけるとうれしいです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。

血糖値分析

【参考文献】
糖尿病診療ガイドライン2019 食事療法 
日本高血圧学会 高血圧ガイドライン2019

厚生労働省 令和元年 国民健康・栄養調査結果
国立研究開発法人国立成育医療研究センター 妊娠と妊娠糖尿病
文部科学省 食品成分データベース
厚生労働省 e-ヘルスネット
J-STAGE 麺料理摂取時における意識的に汁を飲まない場合の汁および汁からの食塩摂取量

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