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トマトは糖質があるのに血糖値を下げるの?~糖尿病にもよいのか解説~

トマト

当記事の執筆は、管理栄養士  白石香代子が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

「トマトは好きなんだけど、血糖値が高い私が食べても問題ないのかしら・・・」

トマトを食べると医者が青くなる(=1日1個のトマトで医者要らず)という言葉もあるように、トマトはさまざまな病気を防ぐ栄養素が含まれる食材といわれています。

しかし、気になるのはトマトの甘さからくる糖質。糖質量を制限している糖尿病の方が、トマトを食べてもよいのでしょうか

今回はトマトに含まれる糖質量からトマトジュースの良し悪しまでご紹介しています。ぜひ最後までお読みください。

※また動画でもトマトについて解説しています。以下のYoutubeでご覧ください。

トマトに血糖値を下げる効果はあるのか

トマトを食べて血糖値が上がる場合に考えられる要因

トマトの色素成分であるリコピンには、血糖値を下げるインスリンというホルモンの働きを促進する効果があります。そのため、トマトは高血糖予防によいといわれてる食材です。

トマトのリコピンによってインスリン分泌が後押しされ、高血糖を抑制(=緩やかな血糖上昇)するため、血糖値を下げるといえます。

糖尿病の人にも向いている?

トマトは糖尿病の方にもオススメできる食材です。

糖尿病は「インスリンが充分に分泌されない」または「インスリンの効きが悪い」ことで血糖値が上がる病気です。血糖値を下げるには、インスリンが十分に働ける環境が必要となります。

リコピンのインスリン分泌促進の効果は、インスリンの分泌が十分にされていない糖尿病の方にとってよいといえるでしょう。

また、トマトは低GI食材でもあるため食後の血糖上昇を抑えたい場合にもオススメです。

参考記事:リコピンとは?効能効果やオススメの摂り方を管理栄養士がポイント解説

トマトを食べて血糖値が上がる場合に考えられる要因

私たちの身体には個体差(身体的な特性)があるため、トマトのように一般論で糖尿病によいとされている食品が、ある人にとっては血糖値を上げる食品になることは起こりえると考えられます。

この個体差については、食物アレルギーを考えるとわかりやすいかもしれません。

同じ食品を食べて、とくに影響がない人もいれば痒みや下痢などアレルギー症状が生じる人がいるように、食品に対する反応には個人差があります。

トマトを食べたら誰しも必ず血糖値が下がる、という断言はできません。人によっては血糖値が上がることも考えられます。それぞれに合った食事を行うことが大切です。

トマトの糖質はどれくらい?

甘い野菜であるトマト。糖質がどのくらい含まれているのか気になりますよね。

トマト1個(150g)あたりの糖質量は4.7g、ミニトマト1個(20g)あたりの糖質量は0.9gと、野菜の中では平均的な糖質量で、食品全体でみると低めです。

では100gあたりで比べてみるとトマトとミニトマトの糖質はどちらが多いのでしょうか?

トマト(約2/3個)ミニトマト(約5個)
糖質3.1g4.6g
※100gあたり

実は、トマトよりもミニトマトの方が糖質は多めです。参考までに、同量で比較するとカロリーもミニトマトの方が高いです。

なおトマトのGI値(※)は30で、低GI(血糖値を上げにくい)食品に分類されています。

(※)GI値とは糖質の吸収度合いを表したもの。GI値が低いほど血糖値の急激な上昇を抑えられる。

参考記事:ミニトマトのカロリー・糖質は低い?ダイエット中の適量についても解説

フルーツトマトは大丈夫?

フルーツトマトは果物として食べよう

フルーツトマトの糖度は高いため、血糖値が気になる方は食べ方に注意しましょう。

通常のトマトを特殊な方法で栽培し、甘みを高めた(=糖度を上げた)ものがフルーツトマト。そのため中には果物と同じような甘さのものもあるほどで、糖質もトマトやミニトマトより多くなります

糖質が高いものを食べると血糖値は上昇しやすくなりますので、フルーツトマトは野菜ではなく果物として楽しむのがオススメです。

参考記事:【医師監修】糖尿病に果物は良い悪い?血糖値をあげにくいフルーツの食べ方を紹介

トマトジュースの飲みすぎはよくない?

トマトジュースは飲み過ぎに注意

トマトジュースの飲みすぎは、糖質の過剰摂取につながり、血糖コントロールを乱す可能性があります。

たとえば、1Lのトマトジュースを飲んだとしましょう。

トマトジュース100mlあたりの糖質量は2.9g、もし1Lなら29gの糖質摂取となります。これは6枚切り食パン1枚(糖質28.9g)とほぼ同じ糖質量です。

したがって、トマトジュースは1日あたり200ml程度を目安にするとよいでしょう。

参考記事:糖尿病に効果のある飲み物はあるの?トクホ飲料やコーヒーの効果も解説

その他、アドバイスや注意点について

トマトジュースを飲む際は、塩分を気にしましょう。一般的なトマトジュースには100mlあたり0.3gの食塩が含まれています。

糖尿病は高血圧を併発しやすい疾患で、1日あたりの食塩量は6gが推奨されています。

トマトジュースも、無塩のものを選ぶと安心です。

参考記事:【医師監修】糖尿病と高血圧の関係~メカニズムと対策をわかりやすく解説~

取り入れるタイミングは、朝or寝る前or食前?

朝にトマトを取り入れると、血糖値は下がりやすいでしょう。

なぜなら動物実験やヒト試験によると、朝がリコピンを効率よく吸収できるとの報告があるからです。

また、トマトのリコピンは熱に強いという特性があります。トマトスープやトマト煮込みにして食べるのもよいですね。

空腹時の血糖値に対する影響

トマトなら1個、トマトジュース200mlであれば、空腹時の血糖値に大きな影響を与える可能性は低いでしょう。

しかし、いくらリコピンに血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待できるといっても、一度にトマト5個やトマトジュース1Lのような多食多飲は避けた方が安心です。

糖質の摂りすぎがリコピンの効果を打ち消し、空腹時血糖値を上げる要因になることもあるでしょう。

妊婦の場合に気をつけること

妊娠中は、トマトの調理法に注意しましょう。

なぜならトマトには、生で食べると体を冷やす作用があるからです。

妊娠中はホルモンのバランスが変化したり、お腹が大きくなってきたりすることで血流が悪くなり冷えやすくなる場合があります。

つわりやお腹の張り、足のむくみなどには冷えが関係していることもあるのです。

夏の暑い時期に生のトマトはよいものですが、冷えが気になるときはトマトを加熱調理して食べると安心です。

参考記事:【医師監修】妊娠糖尿病とは〜原因・治療・食事までシンプルに解説〜

まとめ

糖尿病とトマトの関係まとめ

以上、糖尿病の方にとってもトマトはオススメの食材であることがおわかりいただけましたね。

トマトは血糖値を上げにくい低GI食品で、野菜の中では糖質は低めです。そして、トマトのリコピンにはインスリンの働きを促進し血糖値を下げる効果が期待できます。

また、「リコピンは朝取り入れると血糖値が下がりやすい」という研究結果もあります。時間帯に悩む方は、朝に取り入れましょう。

そして、リコピンはトマトよりトマトジュースに多く含まれます。トマトジュースの活用もオススメですが、一般的なものには食塩が含まれています。無塩のトマトジュースを選ぶようにしてください。

なおフルーツトマトは糖度が高く、一般的なトマトより糖質も高めですので、トマトとしてではなく果物として楽しむと安心です。

以上、血糖値とトマトについて、ご紹介しました。

日々の食事にトマトを上手に取り入れながら、血糖管理を行っていただけると嬉しいです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは糖質&カロリーを含む食事・体重・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてくださいね。
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参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット カロテノイド

農林水産省 フルーツトマトはどういうトマトかおしえてください
文部科学省 食品成分データベース
J-Stage 名古屋文理大学紀要第7号 2型糖尿病患者の健康管理-血糖値の改善効果に果たすリコピンの役割
東北女子大学・東北女子短期大学 紀要 トマトの摂取時刻の違いによるリコピンの生体内利用
カゴメ株式会社 朝にトマトジュースを飲むと機能性成分リコピンが効率的に吸収されることをヒト試験で確認
一般社団法人 糖化ストレス研究会 適正な糖質摂取についての考察

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