リコピンとは?効能・効果の観点からわかりやすく解説

当記事を監修した専門家:管理栄養士・糖尿病療養指導士 白石香代子 、編集長 宮田亘造(詳しいプロフィールはこちらをご覧ください)
「雑誌でリコピンが体にいいって、聞いたけど本当?」
「リコピンはトマトに多く含まれるんだって?」
最近よく聞くリコピン。
実際にどのようなものか、知りたいところですよね。
そこで当記事ではリコピンの効能・効果を含めた全体像がわかるよう、シンプルに情報をまとめました。
最後までお読みいいただければリコピンの良さが理解できますので、ぜひお付き合いください。
目次
トマトに多く含まれるリコピンとは?
リコピンとは天然の色素で、トマトに多く含まれることからわかるよう、赤色の色素です。トマトがリコピンの代表格であるものの、スイカ、柿などにも含まれています。
そして、ただの色素というだけでなく、リコピンが持つ抗酸化作用により、健康的にも様々な効果があると言われています。
参考記事:トマトは糖質があるのに血糖値を下げる?糖尿病にも良いのか検証
抗酸化作用って何?
言葉通り体の酸化を抑えるということですが、体が酸化すると、
①老化の進行
②シミ・シワ、肌荒れ
③生活習慣病
④動脈硬化
などの原因になったりします。そしてこれらの要因になるのが体内にある活性酸素。
活性酸素そのものは、細菌やウイルス防止に役立つのですが、増えすぎてしまうと健康な体にまで害を与え、上記4つを中心とした体内トラブルを起こしてしまいます。
なので活性酸素を上手にコントロールし、適度に酸化を抑える食事をとる必要があります。
リコピンの効能・効果
それではリコピンの主な効能・効果にはどういったものがあるでしょうか?
以下、順番に解説していきます。
体全体や肌の老化を防止(アンチエイジング)
活性酸素による体全体、ひいては肌の老化を、リコピンの持つ抗酸化作用で抑えることができます。つまりはいわゆるアンチエイジングに効果的です。
日焼け防止にも効果
活性酵素自体、実は肌に紫外線を浴びることで発生します。そして紫外線の侵入を抑えようと出てくるのがメラニンです。このメラニンが日焼けに繋がります。
しかし、事前に体内にリコピンがあると、紫外線によりできる活性酵素を消してくれるので、メラニンを大量に作る必要がなくなり、日焼け防止となるのです。
動脈硬化による高血圧・心筋梗塞・脳梗塞などの病気を防ぐ
リコピンの抗酸化作用により、過剰な活性酸素のにより生じた血管の老化、つまり動脈硬化を防ぐことができ、血流が改善されその後の様々な疾患予防に繋がります。
繰り返しになりますが、動脈硬化は端的に表すなら血管の老化です。老化が起こると肌がたるむのと同じように、血管も年齢とともに弱り、しなやかさも低下します。
その結果、血管が血液の流れる量に対して思うように伸縮できず、高血圧の原因になるリスクも。さらに動脈硬化が悪化すれば血流に耐えれず破裂したり、狭くなった血管に血栓ができ詰まったりという現象が起こりやすくなります。その症状が起きる場所によっては、心筋梗塞や脳梗塞などといった重い症状を引き起こすケースがあるのです。
ダイエットにも効果あり
血管が抗酸化により若く保たれ、良好な血流が維持されると、肥満の防止につながります。
というのも血管の老化が続き、血液の循環が悪いと、血流に乗って栄養を体の隅々に運べなくなります。その結果、各器官に栄養が届かず通常の働きができなくなって代謝が落ち、肥満の原因になることも。
その他にも血液がうまく循環しないことで、体の中心部で温められた血液が全身に回らず体温が下がる、さらには冷えによって脂肪燃焼に必要な体温の上昇がストップしてしまい、肥満にも繋がります。
血糖値の抑制にも効果
実は、リコピンはインスリン(血糖値の上昇を抑えるホルモン)の働きを促進する効果があります。
糖尿病は「インスリンが充分に分泌されない」、もしくは「インスリンの効きが悪い」ことで血糖値が上昇する病気です。血糖値を下げるには、インスリンが充分に働くようにする必要があります。
なのでトマトのリコピンにより【インスリン分泌が後押しされ、高血糖を抑制し、血糖値を下げる】という流れが、血糖値の抑制にリコピンは良いと言われている要因です。
一方で『効果なし』と言われる理由
その人の体格差はもちろん、日々の食事が乱れていたり運動が少ないなどの原因で、リコピン摂取による思った効果が出ないこともあります。
もし、リコピンを摂取しても期待通りの効果が感じられなければ、普段の食事の見直しと適度な運動を続け、生活習慣の改善を図るのが先です。
適切な摂取量について
リコピンの摂取量の目安は、一日15~20mgと言われています。トマトで換算すると大きめのものを2個食べる形になりますが、トマトジュースだと150~200ml飲めば1日の摂取量をカバーできます。
市販のフレッシュトマトジュースを選べば、手軽でオススメですよ。
過剰摂取は体に悪い?
当然ですが、どんなに健康によい食べ物でも、食べ過ぎると気分が悪く可能性はあるので、注意が必要です。また、人の体は栄養分をバランスよく摂取することで成り立っています。
リコピンも、あくまで体に必要な一成分と思い、適度に摂取するとよいでしょう。
リコピンを摂取するデメリット
自然由来の成分であるため、リコピンを摂取することで体に大きな害悪を及ぼすことは無いと考えられます。しかし前述の通り、過剰に摂取して栄養バランスを崩すことだけは避けましょう。
サプリメントは効果的か?
通販でよくあるリコピンのサプリは、一般的には効果が見込めます。しかしサプリに依存して日常の食生活を改善しないのは本末転倒です。リコピンのサプリはあくまで補助食品であることを意識して摂取するとよいでしょう。
そこでカゴメのリコピンが含まれるサプリは、商品の科学的根拠や安全性などの情報を企業の責任で消費者庁へ「届け出」を行う、機能性表示食品です。さらに、トマトをよく扱うメーカーが出すサプリということで、安心感もあるため、試してみるとよいですね。
リコピン吸収率を高くする方法
リコピンを含んだ物をそのまま生で食べることで、リコピンを摂取することも可能ですが、リコピンの吸収率を高めるためにも油と一緒に食べることをオススメします。
というのも、リコピンは脂溶性(油に溶けやすいこと)のため、油と一緒に調理して摂取すると吸収率が高まります。
また、リコピンはトマトソースやスープなど、加熱して食べる方法もよいです。なぜなら、加熱することでリコピンが含まれる植物の細胞壁が壊れ、体内での吸収率が上昇するからです。
また、リコピンを含む脂溶性の成分は、加熱しても成分が壊れることが少ないと覚えておくとよいでしょう。
まとめ
以上、トマトなどに含まれるリコピンの成分について解説しました。
・体全体や肌の老化を防止(アンチエイジング)
・日焼け防止
・動脈硬化による高血圧・心筋梗塞・脳梗塞などの病気を防ぐ
・ダイエット
・血糖値の抑制
など、リコピンの持つ抗酸化作用などがあらゆる場面で効果を発揮します。
ぜひ、日々の食卓で積極的に摂取してみてください。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは食事・運動の記録がカンタンにできます。日々の血糖コントロールにてぜひ活用してみてくださいね。
参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット 抗酸化物質
厚生労働省 e-ヘルスネット 動脈硬化
食品安全委員会 <参考資料>
名古屋文理大学紀要第7号 2型糖尿病患者の健康管理-血糖値の改善効果に果たすリコピンの役割 芳本 信子、吉川 祐子ら