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糖尿病と高血圧の関連性~症状と対策をわかりやすく解説~

血圧の基準値

健康診断で血糖値や血圧が高いと指摘されてしまった・・・

食生活の変化により、今や国民病とも言える糖尿病や高血圧。実は糖尿病患者さんは高い確率で高血圧を合併しやすいと言われています。

「なぜ糖尿病になると高血圧になりやすいの?」と疑問に思う方もいるでしょう。

ここでは、糖尿病と高血圧の関係性についてわかりやすく説明していきます。

当記事を読むことで、血糖値と血圧コントロールの方法について理解できますので、最後までお付き合いくださればと思います。

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糖尿病患者さんが高血圧を合併しやすい理由

あなたは健康診断のときなどに、測定している血圧が何を示してるわかりますか?

その答えですが、心臓から全身の各組織に血液を送り出す血管(=動脈)の圧を示しています。

動脈は強い圧がかかるため3層構造となっており、その中にはゴムのような弾性繊維があります。そのため動脈は弾力性があることを覚えていてください。

では、高血圧はどのようなときに生じるのでしょうか。血圧を上昇させる要因は主に5つあります。

①血液の粘り気(粘ちょう度)が高い
②心臓の筋肉の収縮力が強い
③血管の弾力性が少ない
④細い動脈などにおける血液の通り道が狭い
⑤血管を流れる血液量が多い


では血圧を上げる要因がわかったところで、糖尿病患者さんの血液や血管の状態を説明していきましょう。

糖尿病患者さんの血液について

ブドウ糖の濃度(血糖値)が高くどろどろとした血液です。分かりやすく言うと砂糖が多く入った砂糖水のような血液といえます。よって血圧をあげる因子①血液の粘ちょう度が高いに当てはまります。

そして、粘ちょう度が高い血液を体全体に送り出すためには体のポンプの働きをしている心臓の力が強く必要になります。よって血圧をあげる因子②の心臓の筋肉の収縮力(血液を全身に送る力)が強い状態にも当てはまります。

ブドウ糖は血管を傷つける?

細胞に入るとエネルギー源として役に立つブドウ糖ですが、血液の中では、血管を傷つけ動脈の弾力性を失わせてしまうことも(先ほど動脈には弾力繊維があると話しました)

よって血液中のブドウ糖の濃度が高い糖尿病患者さんの血管は、血圧をあげる因子③の血管の弾力性が少ない状態といえます。さらに、どろどろとした砂糖水のような血液は、血管の壁にへばりつき流れにくくなります。

また糖尿病患者さんの血液はプラークという異常物質を血管の壁に作ってしまい、血管の中を狭めてしまうため、血圧をあげる因子④細い通り道を通るため末梢血管(心臓から離れた血管)の抵抗力が上がりさらに血圧は上昇していくのです。

血糖値を一定に保とうとする力

私たちの体は、体の中の環境を一定に保つ力があります。そのため血糖値が高い時に血液の中の糖分を薄めようと体が自然に働きかけます。結果、体内で水分補給を行い血液の量を増やす働きが出るためのどが渇き、水分を多く摂取するようになるのです。

さらに、細胞の中にある水分を血管に引き込むため血圧をあげる因子⑤の血管を流れる血液量が増え、多くの血液を流すために心臓が大きな力を使って全身に血液を運ばなければならなくなります。(血圧をあげる因子②にもあてはまりますね)

よって糖尿病患者さんは、血圧をあげる5つの因子にすべて当てはまっているため、高血圧を合併しやすいということがお分かりいただけたでしょうか。

糖尿病と高血圧の合併で起こるリスク

糖尿病と高血圧を合併することは、とてもとても危険な状態です。
なぜかというと、血管を傷つけてしまい、血管の弾力性が失われた状態(=動脈硬化)をより促進させてしまうからです。

動脈硬化が進むとどのようなことが起きるのでしょうか。

動脈硬化が進むと

動脈硬化

血管は硬くなり、血液の通り道も狭くなります。そのため血液の流れが悪く、血管がつまりやすい状態になることも。

特に脳や心臓の血管に被害が起きやすいと言われています。

そして心臓の血管に被害があると心筋梗塞や狭心症などを引き起こし、脳血管に被害があると脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血を引き起こします。

これらの病気はあなたも聞いたことがある病名ではないでしょうか。

動脈硬化の怖いところは自覚症状がない状態で進んでいくことです。突然、脳や心臓へいく血流が途絶え、突然死となってしまうリスクがとても高い状態が動脈硬化です。

糖尿病患者さんは心筋梗塞や狭心症などの心疾患のリスクが2~6倍、脳卒中が約2倍と言われています。
さらに高血圧患者さんは心筋梗塞をおこすリスクは2〜3倍、ととても高い倍率です。

よって、糖尿病と高血圧を合併していると、何倍も何十倍も心疾患や脳血管疾患を起こす可能性が高いと言えます。

さらには日本の死因で2番目に多いのが心疾患、3番目に多いのが脳血管疾患です。糖尿病と高血圧を合併していると、寿命を短くしてしまうリスクがとても高いといえます。

参考記事:糖尿病は心筋梗塞・脳梗塞に要注意

高血糖と高血圧の関係_血管へのリスク

少しでもリスクを減らすためには血糖値のコントロール、血圧のコントロールが必要となります。

では高血圧を予防・コントロールすることについてお話をしていきます。

高血圧を予防・コントロールするには

まずは食事に気をつけよう

糖尿病と高血圧には食事に要注意

血圧が高いとあなたも「塩分を控えめにしなきゃ!」と言いますよね。なぜ塩分が高血圧を引き起こすのでしょうか。

先ほど私たちの体の中は、環境を一定に保とうとする力があると話したのは覚えていますか?血液中の糖分が高いときと同じように、塩分が血液中に多くあると薄めようとする力が働きます。

あなたもしょっぱいものを食べたりすると、喉が渇いていっぱい水分を取っているでしょう。経験のとおり、血管を流れる血液の量が多くなり血圧が高くなってしまうのです。そのため、塩分を控えることが高血圧予防につながるということになります。

食塩摂取量の目安は1日で女性6.5g未満、男性7.5g未満、高血圧の方は6.0g未満が推奨されています。さらに塩分を控えるために、次のことに注意して食事をとるよう心がけてください。

① 漬け物や煮物など塩分を多く含んでいる食品は控える。
② ラーメンなどの麺類のめんつゆは飲まないようにする (ラーメンには1人前6~7gの塩分が含まれています)
③ 外食や市販のお総菜を控える (塩分が多く含まれています)
④ カリウムを含んでいる野菜や海藻、果物を摂取する
(カリウムはナトリウムを尿中に出す働きがあります。しかし、腎機能障害があるとカリウムを体に溜め込んでしまうので、危険な状態となるので注意してください)


また血糖値をコントロールすることも高血圧予防につながるので、糖質を控えることも血圧をコントロールすることにつながると言えますね。

参考記事:糖尿病に間食&おやつはダメ?現役栄養士が徹底指導
参考記事:ラーメンの糖質&カロリーはどう?ダイエットや糖質制限中の食べ方を紹介

食事以外で血圧をコントロールする方法

高血圧の原因となる生活環境として、運動不足、睡眠不足、お酒の飲み過ぎ、喫煙、ストレスなどさまざまな生活要因が高血圧につながります。

適度な運動、規則正しい生活が血圧をコントロールすることにつながり、そして、必要時には血圧を下げるお薬を内服する方法もあります。

生活習慣を見直していくことがとても大事ですが、医師と相談の上、内服をはじめることも血圧をコントロールするためにはとても大事な方法です。

血圧はどの程度まで下げるか

では、具体的に血圧はどのくらいでコントロールすればよいのでしょうか。

糖尿病と非糖尿病の血圧コントロール値

 

糖尿病患者さんは、非糖尿病患者さんよりも血圧を低い値でコントロールしなければなりません。

血圧をコントロールすることは、将来的に心疾患や脳血管障害を起こすリスクを軽減することにつながります。目標値に血圧が収まるよう、糖尿病患者さんは血圧のコントロールにも注意していきましょう。

まとめ

血糖を測定(正常血圧にしよう)

糖尿病患者さんは、血圧を上げる要因にすべて当てはまるため高血圧を合併しやすいことがわかりましたね。

そして、糖尿病と高血圧を合併すると動脈硬化が急速に進み、生命予後が短くなるリスクがとても高い状態となります。

糖尿病患者さんは血圧を130/80mmHg以下でコントロールし、将来心疾患、脳血管疾患を起こし、寝たきり状態や突然死とならないためにも高血圧を予防していくことが大事です。

今回糖尿病と高血圧の関係性や、リスクを説明していきました。

当記事をきっかけに生活習慣を見直す機会にしていただけると幸いです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは血糖値や血圧の記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてくださいね。
シンクヘルスの紹介

 

参考文献
看護につなげる形態機能学 菱沼典子 株式会社メヂカルフレンド社 2018年 p2-8.15-21.198
わかりやすい病気のはなしシリーズ37
動脈硬化 一般社団法人日本臨床内科医会学術部編 一般社団法人日本臨床内科医会 p1-6
病気がみえる7 脳・神経 医療情報科学研究所編 株式会社メディックメディア 2015年p62
日本動脈硬化学会一般の方々向け 動脈硬化の病気を防ぐガイドブック
高血圧 https://www.j-athero.org/guide/kiken/03.html
糖尿病・耐糖能異常 https://www.j-athero.org/guide/kiken/02.html
厚生労働省 日本人の食事摂取基準
(2020年9月8日)

eヘルスネット 動脈硬化(2020年9月8日)
eヘルスネット 高血圧(2020年9月8日)
順天堂大学医学部附属順天堂医院 栄養部
高血圧症の食事療法(2020年9月8日)
一般向け高血圧治療ガイドライン解説冊子 高血圧の話 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会 認定NPO法人日本高血圧協会
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML 2014年 p11

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