【医師監修】血圧が高い時はどう対処する?〜方法や改善法をわかりやすく紹介〜
当記事は、内科認定医・糖尿病専門医 古賀 萌奈美先生にご監修いただきました。執筆はライター 松原知香(管理栄養士)が担当しました。*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください
自宅で何気なく測った血圧が、いつもより高くてびっくりした経験はありませんか?
血圧は、気温変化やストレスなどが要因で上がります。
急に血圧が上がった時には、めまいや頭痛などの症状が現れて不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
そこでこの記事では、血圧が高い時の対処法をお伝えしていきます。
血圧が高い時の過ごし方や改善方法もご紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
血圧が高い時の原因と過ごし方
過去の研究によると、血圧が上がる際は寒さ、便秘、運動不足などが原因として考えられるという報告があります。さらに精神的なストレス、ケガやお腹の不調による痛みも血圧上昇の原因とされています。
血圧が高い場合は、これらの要因を取り除いたうえでゆったり過ごすことが大切です。
すぐにできる具体的な方法としては、
・寒いと血圧が上がるため部屋の温度を調節する
などがあげられます。
症状がなければ受診しなくてもOK
高血圧の診断には7日間(最低5日間)の血圧測定が必要となります。いつもよりも血圧が高めだけれど、特に自覚症状がないときは安静にしてしばらく様子をみるのも手です。
血圧が下がってくるようなら、慌てて病院に行く必要はありません。ですが、血圧が高い状態が続いて受診をしたときに医師にみせられるよう、記録はきちんと残しておきましょう。
血圧が急に高くなるのはなぜ?
普段よりも血圧が急激に上がる原因はいくつかありますが、その中でも意外と多いのが「正しく測れていない」ことが挙げられます。
血圧を測る直前に飲食をする、また測っている最中に話したり血圧計をまくときに緩く巻いたりすると、実際の血圧よりも高く測定されます。高い時は、まず血圧を測りなおしてみましょう。
なお、血圧を測定するのに推奨されている条件は、朝(起床後)1時間以内、排尿後、朝の服薬前、朝食前、および晩(就寝前)に、座位で1-2分安静後に測定をすることです。
また1機会で2回測定することが勧められており、異常に血圧が高かった際には測りなおしてみることも有用です。
参考記事:【医師監修】血圧の年代別平均と正常値を知ろう〜高血圧や低血圧についても解説〜
たばこは1本でも血圧を上げる
喫煙は1本でも交感神経活動の亢進、酸化ストレスの増大、血管収縮により15分以上の血圧上昇を引き起こすことが示されています。慢性的な喫煙は動脈硬化を引き起こし、これも血圧上昇の要因となります。
これらの要因を排除しても急激に血圧が高くなっているときは、体に不調が起こっている可能性があります。
参考記事:喫煙の影響をわかりやすく解説!~デメリットを理解してたばこをやめよう~
症状がある場合は病気の可能性も
急な血圧上昇とともに、頭痛やろれつが回らない、体の片方だけ痺れて動かしにくいなどの症状がある場合は、脳梗塞などの命に関わる病気の可能性が高いです。すぐに受診しましょう。
その他、腎臓が急激に悪くなった時も血圧は急に上がります。もともと持病がある場合は特に注意が必要です。
血圧を安定させるためのポイント
血圧を安定させるためには、いくつかのポイントがあります。それぞれをご紹介しましょう。
食事内容を見直す
血圧安定にとって、食事の改善は欠かせません。
血圧を上げる原因となる塩分は控えめにしましょう。目標は成人男性が7.5g、女性は6.5g未満です。
また、野菜やきのこ類に含まれるカリウムは、余分な塩分を水分と一緒に体の外へ排出する働きがあります。ただし慢性腎臓病を有する方はその程度によってカリウム制限が必要となりますので、目標摂取量を主治医に確認してください。
また飲酒習慣は高血圧の要因となります。エタノールで男性20-30mL(おおよそ日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合、ワイン2杯に相当)、女性はその半分の10-20mL以下に制限することが勧められています。
参考記事:血圧を下げる&上げる飲み物・食べ物とは〜身近な食品をランキングで紹介〜
軽めの運動を取り入れる
運動は血圧を安定させる上でとても有効です。
とはいえ、いきなり1時間以上のランニングから始めるのではなく、ウォーキングなどまずは軽い運動を習慣化させることから始めましょう。
高血圧の改善には、軽強度の有酸素運動を毎日30分、もしくは180分/日以上行うことが推奨されています。
参考記事:【1日2分】血圧を下げるのに役立つストレッチを紹介〜やり方や効果を解説〜
禁煙、体重管理、睡眠も大切
食事や運動に加えて、禁煙、適切な体重管理、睡眠時間の確保も、血圧を安定させる上では大切です。禁煙については先ほどもふれた通り、たばこを1本吸うだけでも血圧へ悪影響をおよぼします。
さらに、肥満は高血圧をひきおこす要因となるため、適切な体重を維持することもポイントの1つです。
また、血圧は睡眠状態にも影響されます。睡眠時間が5時間未満の方や睡眠時無呼吸症候群を有する方、交代勤務の方は特に高血圧になりやすいと言われています。
出来る限り、6~8時間の睡眠を確保すると共に、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には睡眠外来を受診してみるとよいです。
参考記事:睡眠時無呼吸症候群とは〜原因・症状・治療をポイント解説〜
即効で血圧を下げる方法はあるのか
テレビやネットで、すぐに血圧を下げる方法が取りざたされることもありますが、信ぴょう性はありません。
病院では薬剤を投与して危険な高血圧を速やかに下げることもありますが、通常は日々の生活を見直して、血圧を上げる原因を改善していきながら、少しずつ血圧を下げることが望ましいです。
まとめ
血圧が急に高くなったりすると、身体の調子が悪くなったのではないか…とびっくりしますよね。生活習慣が悪かったのかと、自分を責める方もいるかもしれません。
しかし、まずは血圧を測って「いつもと違う」ことに気づけた自分をほめてあげてください。
そして血圧が高いときには、身体も心もゆっくりと休めることが必要です。しかし頭痛やめまいなどの自覚症状もあるときは、なるべく早めに病院受診することをお勧めします。
なお血圧測定の記録は治療を行う上でも大事なデータとなりますので、残すようにしましょう。
毎日の血圧測定を習慣にして、もしも急に高くなった時には、この記事を読んで冷静に対処して頂けたら幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは血圧・体重・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてくださいね。
【参考文献】
・高血圧診療ガイド2020 日本高血圧学会 高血圧診療ガイド2020作成委員会 文光堂
・高血圧治療ガイドライン2019 日本高血圧学会