エネルギーの塊!ひまわりの種の栄養と効能~カロリーや一日摂取量も解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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生命力を感じさせる黄色が特徴的なひまわりは、世界中で「太陽を象徴する花」として愛されています。
日本では観賞用として親しまれているひまわりですが、もともとは種を食べるために栽培されていたと言われています。その昔、原産地の北アメリカではひまわりの種は先住民たちの貴重な栄養源だったとか。
というわけで、今回はひまわりの種の栄養成分と効能について解説します。どうぞ最後までお付き合いください。
目次
ひまわりの種の栄養と効果効能
それでは、ひまわりの種の栄養について見ていきましょう。
血中コレステロール低下作用のある「リノール酸」
ひまわりの種に最も多く含まれている栄養素は脂質で、重量の約半分を占めています。
ところで、脂質と聞くとマイナスのイメージを抱く方がいるかもしれません。
しかしひまわりの種に多く含まれる脂質は、体内で作られないため食品から摂取する必要があるリノール酸です。ひまわりの種から作られたサンフラワー油に含まれるリノール酸含有量は、全ての食品の中で堂々の第1位です。
リノール酸は血中コレステロール値を下げる働きがあると言われていますが、残念ながら悪玉コレステロールだけでなく、善玉コレステロールにも作用します。
ひまわりの種には、体を健康に保つための成分が豊富なのですが、メリットとデメリットを理解した上で摂取してくださいね。
ちなみに、善玉コレステロールを増やすためには、EPAやDHAを多く含む食品(とくに青魚)の摂取や、適度な運動が効果的ですよ。
参考記事:オメガ3脂肪酸とは?効果と多く含まれる食材をシンプルに解説
血中コレステロールとは
血中コレステロールには、悪玉コレステロールと善玉コレステロールがあります。悪玉コレステロールは摂りすぎると動脈硬化の原因となることもあるため、悪者にされがちです。ところが悪玉コレステロールは重要な役割を持っています。それは、肝臓で作られたコレステロールを全身に運び、細胞膜やホルモンなどの構成成分となることです。
一方で善玉コレステロールには、全身で余ったコレステロールを回収する役割があり、動脈硬化から身を守る働きがあります。
つまり、コレステロールは人の体にとって重要であると同時に、悪玉と善玉のバランスが重要なのです。
悪玉コレステロールと動脈硬化の関係
悪玉コレステロールが血液中に増えすぎると、血液がドロドロになり、流れにくい状態となります。血流の悪い状態が続くと血管内部に血液中のミネラル分(カルシウムなど)がこびりつき、血管壁は硬くなって弾力性を失います。
この状態が動脈硬化です。弾力性を失った血管にとって、血液を流す作業はとても負担が大きいです。
つまり、血液をサラサラに保つことが動脈硬化の予防と言えるでしょう。
強い抗酸化作用のある「ビタミンE」
ビタミンEの特徴は強い抗酸化作用です。抗酸化作用は体をサビつかせない効果のことで老化防止が期待されます。
抗酸化作用をもつ栄養素はビタミンE以外にもいくつかありますが、それらを総称して抗酸化物質と呼びます。
さて、抗酸化物質の役割は活性酸素(※)からわたしたちの身を守ることです。
※活性酸素は免疫機能などに関わる物質
本来は体に必要な活性酸素ですが、増えすぎると細胞を酸化させます。細胞が酸化すると肌にシミやシワを作ったり、生活習慣病の原因にも。
抗酸化能力はもともと体に備わっているのですが、その働きは加齢とともに減っていきます。そのため、ビタミンEのような抗酸化物質を含む食品を摂取して、いつまでも若々しさを保ちたいですね。
参考記事:【医師監修】抗糖化とは~老化の原因「糖化」のメカニズムや対策を徹底解説~
参考記事:【医師監修】肌の老化は糖化が原因?〜4つの対策を徹底解説〜
便秘解消の立役者「食物繊維」
ひまわりの種には食物繊維が豊富です。さて食物繊維には、水に溶けにくい不溶性食物繊維と、水に溶けやすい水溶性食物繊維があります。
ひまわりの種にはどちらも含まれますが、とくに不溶性食物繊維が多いです。
不溶性食物繊維は、腸内の水分を吸ってカサを増やすことで腸壁を刺激し便通を促す働きがあります。よって不溶性食物繊維は便秘解消の立役者といえるでしょう。
一方で、水溶性食物繊維は腸内をゆっくりと進むため、食後血糖値の急上昇を抑えます。また吸着作用があるため、腸内のコレステロールをくっつけて体外へ排出する働きも。
食物繊維は日本人が不足しがちな栄養素なため、積極的な摂取が求められています。
しかし食物繊維を1日3回の食事だけで摂取しようとするのは、なかなか難しいです。ひまわりの種は手軽に食べられるため、食物繊維の摂取源にはもってこいの食材といえるでしょう。
気になるひまわりの種のカロリーは?
ひまわりの種のカロリーはとても高く、可食部100gあたりで611kcalです(1粒あたりのカロリーはおおよそ1.5kcal)。
種には植物が育つためのエネルギーを蓄えられており、かつ含まれている成分の半分以上を脂質で占めているため、とてもカロリーが高いのです。
ところでテレビの野球中継で、選手がひまわりの種をしきりに食べている姿を見かけることがあるかと思います。エネルギー消費の多いアスリートならばたくさん食べてもそれほど問題ないのですが、普通の人が同じように食べてしまうとカロリーオーバーです。
カロリーの摂りすぎは、肥満をはじめとする生活習慣病の原因となるので気をつけましょう。
【栄養価の比較】ひまわりの種とかぼちゃの種
日本人になじみのある食用の種といったら、かぼちゃの種ではないでしょうか。
※100gあたり
ひまわりの種にはビタミンEがとても豊富で、なんとかぼちゃの種の20倍です。
ひまわりの種に多く含まれるビタミンEは、強い抗酸化作用で美容にも効果的です。かぼちゃの種と比べて食べる機会の少ないひまわりの種ですが、実は製菓材料や料理のトッピングとして使えます。ぜひお試しくださいね。
ひまわりの種には毒があるって本当?
ひまわりの種の栄養成分には、人の体にとって毒となるものは基本的には含まれていません。
農薬などが種に残る可能性がありますが、基本的には安全性に疑いがあるものは国内で流通しません。店頭で売られているものであれば、安心して食べられるでしょう。
噂の真相解明!食べすぎは危険なのか!?
結論から申し上げますと、食べ過ぎても命を脅かすような成分は含まれていません。
しかしすでにご説明したとおり、ひまわりの種には脂質や食物繊維が豊富です。
脂質や食物繊維の摂り過ぎは、吐き気や胃の不快感や腹痛をもたらすことがあります。そのため、ひまわりの種を食した後に体調不良となった方が、体にとって害のある成分が含まれていると想像したとしてもおかしくありません。
そのようなことから「ひまわりの種を食べ過ぎると危険」という噂が広まったと考えられます。
1日あたりの摂取量
ひまわりの種(殻付きのもの)の1日の摂取目安量は、片手の手のひらに乗るぐらいがよいでしょう。体によい栄養素がたくさん入っているからといって、食べ過ぎには要注意です。
まとめ
ひまわりの種には、リノール酸・ビタミンE・食物繊維が豊富だとわかりましたね。
体に良い成分が多いですがカロリーが高いため、1日の摂取量は片手に乗るぐらいがちょうどよいでしょう。
それでは当記事を参考にして、日々の食生活にひまわりの種を取り入れていただければ幸いです。
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参考文献
女子栄養大学出版部 八訂食品成分表2022
厚生労働省 輸入食品に対する検査命令の実施 e-ヘルスネット
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
国立研究開発法人 国立循環器病研究センター HDL機能に関する研究