ししとうの栄養と効能~ピーマンとの違いからレシピ紹介まで解説!~
当記事の執筆は、管理栄養士 高木万智が担当しました。
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6~9月に旬をむかえる「ししとう」。現在ではハウス栽培も行われており、ほぼ年間を通して食べられる野菜です。
食事の中の主役として並ぶことは少ないですが、特徴的な香りと歯ごたえ、そして少しの苦みが美味しいので、お料理の名わき役としてお好きな方も多いのではないでしょうか。
ちなみにししとうは「獅子の口の形に似ている唐辛子」から名づけられたそうです。
今回はそんな「ししとう」の栄養成分について詳しく解説していきます。最後にはししとうを主役にした簡単レシピもご紹介しますので、どうぞ最後までお付き合いください。
目次
ししとうの栄養と効能
ししとうは小さいながらも栄養素がたくさん含まれています。さっそく、ししとうに含まれる栄養素を見ていきましょう。
高血圧予防に大切な「カリウム」
カリウムは、体内にたまった塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります。ちなみに日本人の塩分摂取量は年々減ってはきていますが、依然として多い状態です。
塩分摂取量が多いことは、高血圧と直接的につながります。そのため、余分な塩分の排出を促すカリウムは高血圧予防にとても重要な役割があるといえます。
参考記事:高血圧とは~症状や生活習慣での改善ポイントなど分かりやすく解説~
免疫力を高めるための「β‐カロテン」
β‐カロテンは体の中でビタミンAに変換される栄養素です。
ビタミンAは皮膚や粘膜を正常に保ち、免疫を活発にしています。皮膚や粘膜が健康であると、外敵や異物の侵入を防ぎます。
そのため、ビタミンAのもとであるβ‐カロテンとしての摂取も大切です。また、β‐カロテンそのものも、体の老化を防ぐのに役立ちます。
皮膚や髪を健康に保つ「ビタミンB6」
ししとうに含まれるビタミンB6の量は0.39mg。これは、生野菜の中でトップ10に入るほど多い含有量です。
またビタミンB6はさまざまな代謝を担っており、その中でもとくにたんぱく質の代謝で重要な役割を果たしています。
ちなみにたんぱく質は、私たちの肌や髪の毛を作っている成分です。
ビタミンB6を摂取するとたんぱく質の分解や再生が促され、肌や髪の毛を健康な状態に維持することができます。
そのほかにもビタミンB6は神経伝達も担っているため、精神症状との関わりもあります。
老化を防ぐ「ビタミンC」
ビタミンCといえば、抗酸化作用。抗酸化作用とは、細胞が傷んで古くなってしまうのを食い止める作用のことです。
また、お肌の弾力を保つコラーゲンの生成にも欠かせない栄養素ですので、内面からのアンチエイジングが期待できる栄養素です。
参考記事:エイジングケアは何から始めればいいの?〜肌対策や生活習慣についても紹介~
血行を促進する「ビタミンE」
ビタミンEは毛細血管(※)を広げて血流を促進します。つまり、体のすみずみまで栄養素を運ぶのに大切な栄養素です。
血流を促進することで、肌の新陳代謝を活発にしたり、疲労物質を取り除いたりする役割があります。
(※)体の中の細く、細かい血管。体の中心部ではなく皮膚表面や体の先端部などにある。
ししとうとピーマンの違い
ししとうはピーマンの小さいもののようにも見えますが、実はピーマンよりも多くの栄養素を含んでいます。
ししとう | ピーマン | |
カロリー | 24kcal | 20kcal |
糖質 | 1.2g | 2.3g |
カリウム | 340mg | 190mg |
β‐カロテン | 530mg | 400mg |
ビタミンE | 1.3mg | 0.8mg |
ビタミンB6 | 0.39mg | 0.19mg |
ビタミンC | 57mg | 76mg |
※100gあたり |
上記の表を見ると、ほとんどの栄養素でししとうがピーマンを上回っているとわかるでしょう。
唯一、ビタミンCはピーマンに軍配が上がりました。しかしししとう100gに含まれるビタミンCの量は、レモン果汁100gよりも多く含まれています。野菜の中では多いといえるでしょう。
参考記事:ピーマンの栄養成分は素晴らしい!~素材を活かした調理法と最強レシピを公開~
ししとうはダイエットにいいって本当?
ししとうは唐辛子の仲間ですが、同じようなダイエット効果はないと考えられます。
そうはいっても、ししとうはカロリー・糖質ともに低く、栄養素が豊富です。ダイエット中の栄養補給にピッタリの野菜といえるので、積極的に取り入れましょう。
カプサイシンを含んでいるのか
ししとうにはカプサイシンがあまり含まれません。
ししとうは唐辛子の中でも「甘唐辛子」という品種です。品種改良により、辛み成分でありダイエット効果が期待されているカプサイシン(※)を、ほとんど無くすように作られています。
カプサイシンをほとんど含まないため、ししとうは辛くありません。稀にとても辛いししとうがありますが、それはししとうを育てる成育環境によって作り出されたものです。
(※)カプサイシンには、エネルギー代謝や発汗を促進するアドレナリンを分泌させる働きがあります
参考記事:キムチの栄養はダイエットに効果的?~食べ過ぎを防ぐ適量と食べ方も紹介~
食べすぎるとどうなる?
ししとうをたくさん食べることで栄養素の過剰症となる心配はありません。
しかし、ししとうばかりを食べていると栄養が偏ってしまいます。
厚生労働省では野菜の摂取目標量を1日350gとしていますので、野菜の組み合わせのうちの1つとしてししとうを食べるとよいでしょう。
ししとうを調理する時のポイント
ししとうは生で種ごと食べられるので、栄養素をまるごと摂れる野菜です。
そんなししとうのオススメの調理法や、保存方法をご紹介していきます。
調理方法のポイント
ししとうを丸ごと食べるときには、上部の「がく」といわれる部分は取り外しましょう。
また、丸ごと加熱調理をする際には破裂を防ぐために穴をあけるか、切り込みを入れると安全に調理ができます。
なお、ビタミンCは加熱調理に1番弱い栄養素といわれています。そのため、加熱調理をする場合はなるべく高温・短時間で済ませるのがオススメです。
脂溶性ビタミンであるβ‐カロテンは油と一緒に食べることで吸収がよくなりますので、炒め物や揚げ物にしてもよいでしょう。
保存方法のポイント
ししとうは、冷蔵保存が基本です。キッチンペーパーで包み、チャック付きの袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保管してくださいね。
冷凍する場合は水で洗い、水気をよく切ってからフリーザーバックに入れて保管します。
冷蔵であれば3週間、冷凍の場合は1か月を目安に使い切りましょう。
ししとうを使った簡単レシピ
ししとうを主役にした簡単レシピを2つご紹介します。
シンプルが一番!「焼きししとう」
高温短時間で調理することで、ビタミンCを逃さずとれる簡単レシピです。
・ししとう 6本程度
・かつお節 1g(お好みで)
・醤油 小さじ1/2
【作り方】
①ししとうのがくを取る
②ししとうに穴をあける
③グリル、トースターなどの高温で少し焦げ目が付くまで焼く
④お好みでお醤油と鰹節をかけて完成
ししとうが主役!「ししとうとひき肉の味噌炒め」
油と一緒に食べることでβ‐カロテンを最大限に吸収できるレシピです。
炒める時間は短めに、手早く行いましょう。
・ししとう 1パック(100g程度)
・合いびき肉 200g
◆合わせ調味料
・味噌 大さじ1
・豆板醤 小さじ1/2
・醤油 小さじ1
・ラカント 小さじ1
【作り方】
①ししとうのがくを取る
②合わせ調味料を混ぜておく
③フライパンを熱してひき肉を炒める
④ひき肉の色が変わって火が通ったらししとうを加えて炒める。ししとうに油がまわって鮮やかな色になったらOK
⑤あわせた調味料を入れてさっと炒めたら完成
まとめ
以上、ししとうの魅力がおわかりいただけたでしょうか?
ししとうには、β‐カロテン、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンEなどの栄養が多く含まれていました。また、ピーマンと比べても多い栄養素がほとんどであることがわかりました。
調理も簡単でダイエットのお供にはピッタリです。また簡単レシピもぜひお試しいただければと思います。
それでは当記事を参考に、ぜひ普段の食卓にししとうを活用してみてください。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
【参考文献】
文部科学省 食品成分データベース
厚生労働省 e-ヘルスネット
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
独立行政法人農畜産業振興機構 ししとうがらしの需給動向
農林水産省 カプサイシンに関する情報