Sync Health Blog

【医師監修】高血圧とはどんな状態?~症状や生活習慣での改善ポイントを解説~

  • カテゴリ
  • ※こちらの記事は広告が含まれます
高血圧とは~症状や生活習慣での改善ポイントなど分かりやすく解説~

当記事は、内科認定医・糖尿病専門医 古賀 萌奈美先生にご監修いただきました。執筆はライター  松原知香(管理栄養士)が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧は
こちらをご覧ください

「健康診断で高血圧の可能性を指摘されたけど、高血圧になると何が大変なのかな?」

高血圧は自覚症状がないまま進行していき、脳卒中や心筋梗塞など命に関わる病気につながることから「サイレントキラー」と呼ばれています。一方で、仮に高血圧が完全に予防できれば、年間10万人以上の人が死亡せずにすむと推計されているのです。

しかし、健康診断などで高血圧の可能性を指摘されても、その重要性を認識していない方も多いようです。実際、高血圧であるにも関わらず未治療の方は40%にものぼると言われています。

そこで今回は、高血圧の症状や原因などの概要と、食事や運動、薬による治療について解説していきます。

ぜひ最後までお読みください。

高血圧と診断基準

高血圧とはどのような状態?

高血圧とはずばり、「血圧が高い状態」をいいます。

高血圧と診断されるのは、収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上です。

血圧とは

血圧の基準値

血圧は、心臓から送り出された血液が血管の壁に与える圧力を数値化したものです。

成人の血圧の基準値は、診察室血圧で収縮期血圧<120mmHg、拡張期血圧<80mmHgと言われています。(家庭血圧では収縮期血圧<115mmHg、拡張期血圧<75mmHg)

心臓から送り出される血液の量と、血管の拡張で血圧の高さは決まってきます。また、血管の弾力性も関係があるのです。

さらに血圧は、腎臓や神経系、内分泌系、血管内皮からの物質など、多くの因子によって調整されています。

つまり、体の中の水分が多くなり血管壁を押す力が強い、あるいは血管の弾性が低下して血管壁が硬くなり血管が拡張しなくなることで、血管への圧力が大きくなり高血圧へとつながるといえます

原因について

高血圧の90%は、甲状腺や副腎などの病気を原因としない本態性高血圧だといわれています。この本態性高血圧は、あなたがよく耳にする生活習慣により起こる高血圧です。

原因になる生活習慣は、塩分の取りすぎ、肥満、ストレス、お酒の飲みすぎ、喫煙などがあります。また遺伝や体質、加齢などによって起こります。

参考記事:【医師監修】血圧が高い時はどう対処する?〜方法や改善法をわかりやすく紹介〜

どのような症状があらわれる?

高血圧よる症状

「高血圧になったらどうなるんだろう」

そんな心配を感じている方も多いと思いますが、冒頭でもお伝えした通り、高血圧は自覚症状がほとんどないため、症状で気づくことは難しいと言われています。

しかし、かなり血圧が上がった際にはいくつか症状が現れることもあるため、参考にするとよいですよ。

もしかして高血圧?初期症状をチェックしてみよう

それでは、かなり血圧が上がったときの初期症状としてみられるものをいくつかご紹介します。

頭痛
 めまい
 肩こり
 不眠  
 動悸
 食欲不振
倦怠感


これらの症状はあくまでも一例であり、高血圧にプラスして他の病気が原因とも考えられます。

まずは自宅で血圧測定を行い症状が出現しているとき、落ち着いているときの血圧を確認してみましょう。血圧高値や症状が続くようであれば医療機関を受診しましょう。

高血圧に潜む大きなリスク

高血圧に潜む大きなリスク

高血圧の状態を放置してしまうと、いろんな病気のリスクが高くなりますので注意が必要です。

脳血管障害(脳出血、脳梗塞など)

高血圧により脳の血管に圧をかけてしまった結果、血管の壁が破けて脳出血を起こしてしまうリスクがあります。

また、高血圧に加えて血管の壁が硬くなる(動脈硬化)状態も加わると、血管が詰まり脳梗塞を引き起こしてしまうのです。

心疾患(心肥大、心不全、狭心症、心筋梗塞など)

血圧が高い状態で心臓が全身に血液を送っていると、心臓の血管や心臓自体の負担が大きくなります。

その結果、心臓の一部が大きくなってしまう心肥大や心不全を来したり、動脈硬化により心臓を栄養する血管が細くなることで発症する狭心症や心筋梗塞が大きなリスクです。

腎臓の疾患(腎不全、尿毒症など)

腎臓には血液の中にある老廃物や水分、取り過ぎた塩分などを尿と一緒に体の外へ出してくれる働きがあります。

腎臓の血管の壁が硬くなる(硬化)すると腎臓へ行く血液の量が少なくなり、腎臓が機能しなくなっていくのです。

低血圧にも注意

高血圧の方で血圧を安定させる薬(降圧薬)を服用している場合は、薬が効きすぎてしまい低血圧になる可能性もあります。

特に立ち上がった際にたちくらみやめまいといった症状があらわれやすいです。

また、高齢者の方は自律神経障害も合併していることが多いため、立ち上がってふらついた際にケガをしないよう、注意が必要です。

生活習慣の改善と薬で高血圧を治療

生活習慣の改善と薬で高血圧を治療

「普段の生活でどんなことに気をつけたらいいだろう」

生活の中で手軽に気を付けることができることがありますので、順番にご紹介しますね。

食事でのポイント

・減塩

・減塩

食塩を減らした食事を意識してみましょう。目標塩分摂取量は6g/日以下です。

料理を作るときはいつもより少し味付けを薄くしてみたり、塩気のあるお菓子やおつまみなども量を減らして、野菜や果物に置き換えるとよいでしょう。

特に和食は味噌や醤油など調味料自体の塩分量が高いので、減塩の調味料に替えてみることも有用です。

・カリウムが多く含まれる食材を取り入れてみる

・カリウムが多く含まれる食材を取り入れてみる

カリウムは体の中の水分を体外へ出してくれる作用があります。カリウムが多く含まれる食材は、野菜ではほうれん草やジャガイモ、果物ではバナナやキウイがあります。

また、ひじきやわかめといった海藻類にも多く含まれているため、みそ汁の具材などで入れてみてはいかがでしょうか。

ただし腎機能低下がある方はカリウム制限が必要となることがあります。

参考記事:血圧を下げる方法〜食べ物や生活でのポイントを分かりやすく解説〜

適度な運動も大切

適度な運動も大切

ウォーキングのような有酸素運動を適度に取り入れることが大切です。

運動をする時間が取れない!という方でも、

・階段をなるべく選ぶ
・1駅前で降りて歩く

といった普段の生活の中でできる軽い運動をぜひ行ってみてくださいね。

では、どうして高血圧予防のために運動も必要なのかというと、運動を行うことで筋肉にたくさんの酸素や栄養を運ぶために血管が広がるからです。

また、運動はストレス軽減にもつながり血圧を上げようとする交感神経の緊張が緩くなります。

参考記事:【1日2分】血圧を下げるのに役立つストレッチを紹介〜やり方や効果を解説〜

その他の改善ポイント

その他の改善ポイント

食事や運動以外にできる血圧の改善ポイントは以下の通りです。

・禁煙
・飲酒を控える
・ストレスをためない

特に喫煙はそれ自体が脳卒中や心筋梗塞の原因ともなります。受動喫煙を含めた禁煙が必要です。

参考記事:【医師監修】高血圧を予防する生活習慣とは~5つのポイントを各分野の専門家が解説~

高血圧の薬を紹介

高血圧の薬

場合によっては医師のアドバイスのもと、高血圧の薬を使用することもあります。

以下のとおり、血圧を下げる効果のある薬剤を紹介しましたので、診察にあたって参考にしてくださいね。

薬の名称作用機序
カルシウム拮抗薬
(ニフェジピンなど)
血管に直接作用します。血管を広げることで血圧を下げます。
ARB
(カンデサルタンなど)
血管を収縮させるホルモンが作用するのを妨げることで、血圧を下げます。
ACE阻害薬
(エナラプリルなど)
血圧を上げるホルモンの生成を抑えることで、血圧を下げます。
利尿剤
スピロノラクトンなど)
腎臓に働きかけて尿からナトリウムと水分の排泄をすることで血圧を下げる薬です。
α1遮断薬
(ドキサゾシンなど)
交感神経への刺激が伝わるのを阻んで、末梢血管を広げて血圧を下げます。
β遮断薬
(アテノロールなど)
心拍数と心機能を抑えることで、心臓から押し出される血液の量を減らし、血圧を下げます。


参考記事:高血圧の薬「降圧剤」とは〜効果・種類・副作用を分かりやすく解説〜

まとめ

高血圧とは血圧が高い状態で、自覚症状がほとんどありません。そのため、放置してしまうと脳梗塞や心筋梗塞といった命に関わる病気につながることも。

また、高血圧は塩分を控えた食事や、適度な運動、その他ストレスをためないといった方法で予防、軽減することができます。

当記事によって、高血圧の重大性と治療や予防法について理解を深めていただければ幸いです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは血圧・体重・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてくださいね。
糖尿病の記録 体重の記録 血圧の記録 生活習慣病の管理はシンクヘルスで一括管理

 

参考文献

・厚生労働省 e-ヘルスネット 高血圧
・高血圧管理の向上に求められること  日本内科学会雑誌111巻3号 544-549
・小袋朋子編、(2020)疾患別 看護過程の展開 第6版、学研メディカル秀潤社
・向井直人編、(2018)、看護過程に沿った対症看護 病態生理と看護のポイント 第5版、学研メディカル秀潤社

LATEST BLOG最新ブログ記事

記事一覧へ