じゃがいもの栄養成分と効果効能をポイント解説~栄養がないって本当?~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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現在では、食卓に欠かせない定番野菜として親しまれているじゃがいも。
その昔、江戸時代に飢えをしのぐための作物として広まったと言われています。
日本ではじゃがいもをおかずとして食べることがほとんどですが、世界には主食として食べている国もあります。
様々な食べ方のできるじゃがいもですが、淡白でクセのない味わいのために栄養がないと思われることも。
今回はじゃがいもに隠された栄養成分と効果効能を解説していきます。管理栄養士考案のレシピを載せましたので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
じゃがいもの栄養成分と効果効能
それでは、じゃがいもの栄養成分について詳しく解説していきましょう。
「第六の栄養素」食物繊維
食物繊維は消化吸収されないため、人間にとってエネルギー源にはなりません。
しかし、健康な体を保つための重要な成分なので、「第六の栄養素」と呼ばれています。ちなみに五大栄養素は、炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルの5つです。
食物繊維には水に溶けやすい水溶性食物繊維と、水に溶けにくい不溶性食物繊維にわかれます。
水溶性食物繊維の働きは、食後の血糖値上昇を緩やかにするほか、血中コレステロール値の低下や高血圧予防などがあります。
一方で不溶性食物繊維には、水分を吸収して便のカサを増やします。さらに、有害物質を吸着して便と一緒に排出し腸内をきれいにしてくれる効果も。
じゃがいもには水溶性と不溶性両方の食物繊維が含まれているので、糖尿病など生活習慣病の予防と腸内環境の改善効果のどちらも得られます。
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抗酸化作用を有するビタミンC
ビタミンCは抗酸化作用があるので、シミやくすみの原因となる活性酸素を取り除く効果が期待できます。また肌の構成要素であるコラーゲン作りをサポートします。
ちなみに、じゃがいもの可食部100gあたりのビタミンC量は28mgです。これは、なんと同じ重さのみかんに含まれるビタミンC量の80%に相当します。
高血圧予防に効果のあるカリウム
カリウムはミネラルの一種で、ナトリウム(塩分)を排出する働きによって、塩分の摂りすぎを調節し高血圧を予防します。
なぜならカリウムは腎臓でナトリウム(塩分)の吸収を抑制し、尿中への排泄させ血圧を下げる効果があるからです。
なお、じゃがいもの可食部100gあたりに含まれるカリウム量は410mgで、野菜の中では多い方ですよ。
紫色のじゃがいもの栄養成分
紫色のじゃがいもの、特徴的な栄養成分はアントシアニンです。
アントシアニンは、ブルーベリーや紫玉ねぎ、赤ワインにも含まれる抗酸化作用のある成分で、シミやしわの予防に役立ちます。
また、アントシアニンは水に溶けやすい性質があります。
そのため、スープなどに紫色のじゃがいもを入れると、スープ全体が青く色づくことがあるのでご注意を。
さて気になる味ですが、その奇抜な見た目とは裏腹に普通のじゃがいもと同じ優しい味わいです。見かけたらぜひ食べてみてくださいね。
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「新じゃが」の栄養
新じゃがは貯蔵期間が短いため、長期間保管され1年中市場に出回っている一般的なじゃがいもよりもビタミンCが豊富です。
また普通のじゃがいもと同様に、カリウムや食物繊維が豊富に含まれています。
新じゃがは、皮もみずみずしく食べやすいのが特徴です。皮ごと食べることで、皮に含まれる栄養成分まで余すところなく摂取できますよ。
ただし、芽が出ているものや緑色の皮は注意が必要です。ソラニンやチャコニンと呼ばれる毒素が含まれているため、芽は必ず取り除き皮は分厚く剥きましょう。(心配なときは食べるのを控えることをオススメします)
ちなみに「新じゃが」は品種名ではありません。収穫後、長期間貯蔵せずに出荷されるじゃがいものことを、品種に関係なく「新じゃが」と呼びます。
じゃがいもはダイエットに向いている?
ダイエットの天敵と思われがちなじゃがいもですが、実はダイエットに活用しやすい食品です。
ダイエット中は食事量を減らすので、必要な栄養成分が不足しやすい傾向に。
じゃがいもは主食のような満腹感を得られるうえに、不足しがちなビタミンやミネラル、食物繊維を摂取できます。そこで、食べる量と調理方法に注意すれば栄養バランスを整えやすく、ダイエットにも活用できる食品といえるのです。
太る要因?じゃがいものカロリーについて
カロリー | |
じゃがいも | 59kcal |
やまいも | 118kcal |
さつまいも | 126kcal |
ながいも | 64kcal |
*100gあたり
上記の表の通りじゃがいもは、いも類の中ではカロリーは低めです。とはいえ、油を使った調理法や、組み合わせる食品によってはカロリーが高くなります。
ダイエット中にじゃがいもを食べるときは、「蒸し」や「茹で」などカロリーが上がりにくい調理法で食べましょう。
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やっぱりじゃがいもには炭水化物が多いの?
炭水化物 | |
じゃがいも | 17.3g |
食パン | 46.4g |
ごはん | 37.1g |
うどん(ゆで) | 21.6g |
スパゲッティ(ゆで) | 32.2g |
*100gあたり
炭水化物が多めなじゃがいもですが、ごはんやパンなどの主食と比べると低いです。しかし当然ですが、食べる量が増えれば摂取する炭水化物の量も増えるため、食べる量には注意が必要です。
なお炭水化物は、脳や体のエネルギー源となる糖質と、私たちの体では消化されないためエネルギー源になりにくい食物繊維でできています。
糖質は私たちの体に重要な栄養素である一方で、摂り過ぎると中性脂肪に変わり肥満につながる可能性があります。ダイエット中のじゃがいもは1日1/2個程度にするとよいでしょう。
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じゃがいもは筋肉に効果あるの?
じゃがいもは筋肉のサポート役としてオススメの食品といえます。まず筋肉がよい働きをするためには、筋肉周辺の状態も整えておく必要があります。
そこで重要になるのが、じゃがいもに含まれているビタミンCの存在です。
なぜなら、ビタミンCには、筋肉と協力して体を動かしている骨や関節(※1)、腱(※2)の構成材料であるコラーゲン作りのサポートをする働きがあるからです。
つまり筋肉周辺のケアが、筋肉が持つ力を最大限発揮することにつながるといえます。
(※1)関節とは骨と骨をつなぐ部位のこと
(※2)腱とは筋肉と骨つなぐ部位のこと
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じゃがいもに含まれるタンパク質は少ない
栄養豊富なじゃがいもですが、残念ながらタンパク質はほとんど含まれていません(じゃがいも100gあたり、タンパク質は1.8g程度)。
参考までに、同量の豚肉(肩ロース)に含まれるタンパク質は17.1g、木綿豆腐には7.0gです。タンパク質は、肉や魚、大豆などの食品から摂取しましょう。
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じゃがいもの栄養を逃がさない「賢い」加熱方法
じゃがいもの栄養成分を無駄なく摂取するためには、調理方法に工夫が必要です。
ビタミンCを減らさない加熱のコツ
ビタミンCは加熱により壊れやすく、水に溶けやすい性質があります。
しかし嬉しいことに、じゃがいもに含まれるビタミンCは、でんぷんに包まれているため加熱しても壊れにくいです。
ただし水に溶けやすいため茹でるよりも、電子レンジで加熱するほうがビタミンCをより多く残すことができますよ。
カリウムを無駄にしない加熱のコツ
カリウムは水に溶けやすいので茹で時間が長く、水やお湯に触れる断面が多いほど、よりたくさん流出します。
そこでカリウムを無駄にしないコツは、
・汁物以外で食べるときは、皮ごと加熱して流出を防ぐ
といえます。
管理栄養士直伝!じゃがいもを使ったダイエットレシピ
油不使用なのでダイエット中にも活用しやすいじゃがいもレシピを紹介いたします。
ビタミンCとカリウムをの流出を防ぐために、皮ごと電子レンジで加熱するのもポイントです。寒い時期は温かいスープとして、夏場は冷製スープとして食べられますよ。
【じゃがいもと豆乳のポタージュ】
・じゃがいも 1個
・玉ねぎ 1/4個
・豆乳 250cc
・コンソメキューブ 1/2個
・塩・こしょう 少々
・パセリ(飾り用) 少々
【作り方】
①じゃがいもは皮付きのまま切らずにラップをして、電子レンジで竹串が刺さるまで加熱する
②皮をむいた玉ねぎはかたまりのままラップをして、電子レンジで竹串が刺さるまで加熱する
③豆乳と①②をミキサーに入れて、なめらかなるまで混ぜる
④③を温めて、調味料で味をととのえたらできあがり
今回は手に入りやすい普通のじゃがいもで作りましたが、紫色のじゃがいもで作ると華やかな見た目になります。おもてなし料理としても最適ですよ。
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まとめ
以上、じゃがいもの注目すべき栄養成分と効果効能についてお伝えしました。
最後にまとめますとじゃがいもは、
・紫色のじゃがいもにはアントシアニンが含まれ、シミ・しわ予防に役立つ
・じゃがいもは芋類の中でカロリーが低く主食と比べて糖質が低いため、ダイエット中でも活用しやすい
・ビタミンCを逃さないためには、電子レンジで加熱する
・カリウムは水に溶けだすため、スープは残さず飲み切る、茹でるときは皮ごと加熱する
となります。
じゃがいもはジャンクフードとして食べることが多いため、カロリーは高く栄養がないと思われがちな野菜の1つです。
今まで食べるのを控えていた方は、これを機に食卓に加えてみてくださいね。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
【参考文献】
名取貴光 新・野菜の便利帳(健康編) 高橋書店 2016 p.128-129
厚生労働省 e-ヘルスネット
農林水産省 ジャガイモによる食中毒を予防するために
農研機構 北海道農業研究センター (研究成果) 赤肉・紫肉色のカラフルポテト新品種「シャイニールビー」と「ノーブルシャドー」
J-Stage スポーツと栄養
JAグループ とれたて大百科 じゃがいも