みつばの栄養と香りの効果〜ストレス解消に役立つって本当?~

当記事の執筆は、管理栄養士 佐藤久美が担当しました。
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「1本の茎に3枚の葉が付くこと」が名前の由来となった、みつば。
みつばは古くから野草として食べられており、江戸時代以降に栽培が始まりました。
そんなみつばには「糸みつば、切りみつば、根みつば」の3種類があり、現在の主流は糸みつばです。
みつばには奥ゆかしい香りがあり、日本古来のハーブといわれています。
そのため、みつばは栄養のためというより、香りを楽しむために料理の引き立て役として食べることが多いかもしれません。
そこで今回は、普段気にかけることの少ないみつばの栄養について迫ります。
香りを活かしたサラダのレシピも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
みつばの栄養と効能
みつばは、ほうれん草や人参などと同じ緑黄色野菜(※)に分類されます。
(※)緑黄色野菜とは、食べられる部分100g中にβ‐カロテンを600μg以上含む野菜のこと
そしてβ‐カロテンが豊富なだけでなく、ビタミンKやカリウムなど生活習慣病の予防に役立つ栄養素も含まれます。
順に詳しく見ていきましょう。
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抗酸化作用のあるβ‐カロテン
みつばのやわらかい葉には、β‐カロテンが豊富です。
β‐カロテンは抗酸化力が強いため、活性酸素から体を守る働きがあります。
活性酸素は常に体内に存在する物質ですが、増えすぎると細胞を傷付けてしまいます。
そして体内の細胞が傷付けられると、動脈硬化が進行したり、生活習慣病や老化の原因となったりするのです。
活性酸素は加齢とともに増えやすく、ストレスや喫煙、紫外線によっても増加します。
したがって、ストレスの多い方や屋外で作業する機会のある方は、β‐カロテンを積極的に取り入れるとよいでしょう。
ちなみに、β‐カロテンは油脂との相性がよく、一緒に摂れば吸収率が高まります。
そのためみつばを親子丼の上にのせたり、ごま油と和えるナムルにしたりすればβ‐カロテンが効率よく吸収されるでしょう。
骨の形成に関わるビタミンK
みつばには、骨の健康維持に欠かせないビタミンKが含まれます。
骨の健康といえば、カルシウムをイメージする方もいらっしゃるかもしれません。
もちろんカルシウムも大切ですが、同時にビタミンKも摂らなければカルシウムの利用効率は下がります。
なぜなら、ビタミンKもカルシウムが骨にくっつくのを助けるといった重要な役割を担っているからです。
そのため、ビタミンKの摂取量が少ない高齢者は大腿骨骨折の頻度が高まるとの報告もあります。
なおビタミンKも油脂との相性がよいため、一緒に食べればβ‐カロテン同様吸収率のアップが期待できます。
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高血圧予防に役立つカリウム
みつばには、高血圧の予防に役立つカリウムも豊富です。
なぜなら、カリウムには摂りすぎたナトリウム(塩分)を排出する働きがあるからです。
塩分の過剰摂取は高血圧の原因となりますので、血圧が気になる方は塩分を控えるとともに積極的にカリウムを摂取するとよいでしょう。
さらに、みつばは香りが豊かなため、薄味で調理しても物足りなさを感じにくいです。
味噌を減らした味噌汁や、醤油を減らした和え物にみつばを加えれば、美味しく減塩できますよ。
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加熱すると栄養価は変わるのか
みつばを加熱すると、独特の香りが弱くなるでしょう。
また、ビタミンCなど熱に弱い栄養素が減少します。
さらに、茹でるとカリウムなど水に溶けやすい栄養素が流れ出てしまいます。
みつばは火の通りが早いため、美味しく栄養を補給するためには加熱や茹で時間は最低限に留めるとよいでしょう。
水に溶けやすい栄養素も余すことなく摂るには、汁物など溶け出た栄養素ごと食べられる料理がオススメです。
食べすぎるとどうなる?
みつばの食べすぎによって体調を崩す可能性は、少ないでしょう。
ただしどんなものであっても、極端に偏って食べるのは好ましくありません。
さまざまな食材をバランスよく食べましょう。
ストレスを鎮める効果はあるのか
みつば独特の香りにはストレスを鎮める効果や、食欲を増進させる効果があるといわれています。
みつばの香りを楽しみながら調理、食事をすると心が穏やかになるかもしれないですね。
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簡単レシピ!みつばサラダ
みつばの香りを活かした、切って和えるだけの簡単「みつばときゅうりのサラダ」を紹介します。
ごま油と一緒に生で食べるため、香り豊かなみつばの栄養を効率よく摂れる一品です。
・みつば 1束
・きゅうり 1/2本
・焼きのり 1/2枚
・すりおろしにんにく 小さじ1/4
・いりごま 大さじ1/2
・ごま油 大さじ1
・鶏がらスープの素 小さじ1/2
・塩 少々
【作り方】
①みつばは3cm幅、きゅうりは千切りにする
②ボウルに①と手でちぎった焼きのりを入れる
③②のボウルにすりおろしにんにく、いりごま、ごま油、鶏がらスープの素を入れて、和える
④塩を適量加えて味を調えたら、完成
まとめ
みつばは料理を引き立てる脇役として使われがちですが、下記のようにたくさんの栄養を含んでいます。
・ビタミンK:骨の形成に関わる
・カリウム:高血圧予防に役立つ
さらに、みつば独特の香りは減塩の味方となったり、ストレスを鎮めたりする効果が期待できます。
ご紹介したレシピも参考に、たまにはみつばを主役にした料理を楽しんでみてはいかがでしょうか?
それでは、当記事があなたの健康維持にお役立ていただけたら嬉しいです。
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参考文献
独立行政法人農畜産業振興機構 みつばの需給動向調査情報部
日本骨粗鬆症学会 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版