【医師監修】人間ドックの内容とは?健康診断との違いや対象者について解説
当記事は、内科認定医・糖尿病専門医 古賀 萌奈美先生にご監修いただきました。
執筆はライター 松原知香(管理栄養士)が担当しました。
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年齢を重ね身体のあちこちが気になるという方、人間ドックを受けたことはありますか?
ほとんどの方は毎年、健康診断を受けているでしょう。その健康診断よりも細かく検査できるのが、人間ドックです。
しかし実際にどのような検査を行って、何がわかるのかを知っている方はごくわずか。
そこで今回は、人間ドックの検査内容や対象者についてわかりやすく解説します。
気になる時間や費用についてもお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
人間ドックの検査内容
病院によって異なりますが、人間ドックの基本検査はおおよそ以下の9つです。
検査項目 | 検査内容 |
眼科検査 | 視力、眼圧、眼底検査 |
聴力検査 | 2種類の音が聞こえているか確認 |
循環器検査 | 心電図、血圧 |
呼吸器検査 | 胸部レントゲン |
血液検査 | 採血 |
尿検査 | 採尿 |
便検査 | 2日分の採便 |
腹部超音波検査 | 肝臓など臓器の状態を超音波で確認 |
消化管検査 | バリウムを用いて胃部レントゲン |
これに身長、体重をはかる身体測定と医療面接、問診が加わります。
病気の発見に役立つの?
もちろん、人間ドックの結果は病気の早期発見に有効です。
ただし、人間ドックの数値や結果だけで診断ができないこともあります。
実のところ、人間ドックの結果を受けて「要精密検査」などのチェックが入った場合はさらに詳しい検査を受ける必要があるのです。
人間ドックの結果は、あなたの身体で起こっている不具合を発見するきっかけとして捉えるとよいでしょう。
参考記事:血圧とは〜高い&低いとどう体に影響するかカンタン解説〜
参考記事:糖尿病予備群を正しく知ろう 〜症状・血糖値の仕組み・予防をわかりやすく解説〜
健康診断との違い
健康診断やメタボ健診と人間ドックの違いは、検査項目の免除や受診の義務にあります。
また一般的な健診は検査結果が後日送付されるだけの場合が多いのに対し、日本人間ドック学会の機能評価認定を受けた施設での人間ドックには医師から当日の結果説明があります。
さらに、健診結果やライフスタイルに合わせた専門スタッフによる保健指導(生活改善や治療のアドバイス)も受けることができ、生活習慣改善への第一歩につながりやすいです。
なお病気の早期発見を目指している点では、健康診断と人間ドックに違いはありません。
検査項目の違い
人間ドックでは、上記のようにさまざまな検査を行います。
そのため健康診断よりも検査項目が多く、さまざまな病気の早期発見につながります。
したがって健康診断で問題がなかった方も、人間ドックで異常が見つかる可能性があるのです。
受診の義務について
人間ドックの受診に義務はありません。
本人が必要だと判断して検査を申し込む、任意の検査となります。
一方健康診断は、会社などの事業主が労働者に対して1年に1回必ず受けさせなくてはいけないのです。
ちなみに腹囲の測定をするメタボ健診(特定健診)も、生活習慣病予防の観点から40~75歳を対象に行うものになっています。
受けたほうがよい検査はあるの?
基本の検査内容でも十分ですが、必要に応じてオプション検査を受けるとよいでしょう。
人間ドックでは基本の検査項目に加えて、オプションとしてCT検査や上下部内視鏡検査、脳のMRI検査や骨密度、腫瘍マーカー(※)などを調べられます。
(※)腫瘍マーカーとは、正常な細胞よりがん細胞から多く分泌される物質で、がんの種類や進行状況の目印になるもの。
オプションについては、検査機器の有無で施設ごとに調べられる項目が変わる可能性もあります。ゆえに、受診する病院で自分が受けたいと思う検査が実施されているか、事前に確認するとよいでしょう。
参考記事:【医師監修】糖尿病だと心筋梗塞や脳梗塞になりやすいのはなぜ?~症状も解説~
人間ドックの対象者
次に、人間ドックは何歳から受けられるのか、男女で違いはあるのかなど、対象者について解説します。
何歳から受けられるのか
人間ドックは20歳以上であれば、誰でも受けられます。
ただし、人間ドックの検査費用は健康診断に比べて高額です。
そのため、お住まいの市町村、ご所属の健康保険協会または健康保険組合、契約している保険会社によっては、人間ドックの費用補助を行っています。
健康保険組合によって異なりますが、その対象は35〜40歳以上とするケースが多いでしょう。
男性・女性で検査内容に違いがある
人間ドックのオプション検査では、性別によって異なる項目があります。
・女性:乳がん、子宮がん、卵巣がん
このように、性別によって異なる疾患について調べられます。
受けない方がよいといわれる理由
人間ドックは体の不具合を発見するきっかけとなるものですから、病気かどうかを判断したい方には適していません。
・すでに病気であることが判明していて、重症度を調べたい場合
・病気の治療を望む場合
このような方は、一般外来を受診しましょう。
参考記事:【医師監修】糖尿病の検査や診断はどうやって受けるの?~わかりやすく解説~
参考記事:【医師監修】糖尿病性腎症とは〜検査・治療・予防についてわかりやすく解説〜
人間ドックの費用・時間・場所
ここからは、人間ドックの費用や時間、場所について解説します。
自己負担はどのくらいか
検査を受ける医療機関にもよりますが、費用は基本検査だけであれば3~7万円です。
人間ドックは、基本的に医療保険が使えず全額自己負担です。
ただし先ほども触れましたが、加入している健康保険組合によっては補助が出るので、自己負担額は一律ではありません。詳しくは、ご自身が加入している健康保険組合にお問い合わせください。
検査にかかる時間について
こちらも検査を受ける医療機関によって異なりますが、半日〜1日のところが多いです。
ただし時間にゆとりをもって検査を受けられる宿泊コースがあるところも。日帰りと宿泊でも検査内容はほぼ同じですから、受診する時期のスケジュールによって選ぶとよいでしょう。
総合病院とクリニックはどちらで受けるとよい?
検査項目は基本的に大きく変わらないため、総合病院とクリニックどちらでもよいですが、検査できる項目に違いが出ることがあります。
自宅から近い、交通の便がよいなどご自身のお好きなところを選べます。
なお、日本人間ドック健診協会が運営するe人間ドックでは、人間ドックを受けられるお近くの医療機関が簡単に検索できます。ぜひご活用ください。
また日本人間ドック学会が人間ドック健診施設機能評価を行い、さまざまな審査項目をクリアした優良な施設のみを「機能評価認定施設」と認定しています。
一度認定されたら終わりではなく、5年ごとに更新審査も行われており、どこで人間ドックを受けるか選択する際の一つの基準となります。
まとめ
人間ドックは、健康診断よりも細やかな検査を受けられるので、健康への不安が募る35~40歳以上の方にオススメです。
また、女性の場合はオプションで乳がんや卵巣がん検査も行えます。
費用としては3~7万と高額ですが、加入する健康保険組合によっては補助がでる可能性もあるので、確認するとよいでしょう。
繰り返しになりますが、人間ドックは身体の不調を見つけるきっかけであり、病気と判断する場ではありません。定期的な受診が、病気の早期発見・早期治療へとつながるのです。
自分の健康を見つめ直して、年を重ねても健康な毎日を送りたい方は、人間ドックの受診を検討するとよいですね。
それでは、当記事がこれからも健康で元気な毎日を過ごすきっかけになれば幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット 特定健診・特定保健指導について
公益財団法人日本人間ドック学会 検査表の見方 (2018 年 4 月改訂版) 婦人科検診
国立病院機構 大阪医療センター 腫瘍マーカー(臨床検査科)
日本人間ドック健診協会 e人間ドック