レバーの栄養と効能~牛・豚・鶏レバーの違いや食べやすくなる工夫も紹介~
当記事の執筆は、管理栄養士 松原知香が担当しました。
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焼き鳥や焼肉でおなじみのレバーは、鉄分やビタミンなどの栄養素が豊富に含まれた食材です。
またレバーと一言でいっても牛・豚・鶏と3種類のレバーがあり、それぞれ栄養素の量が違います。
そこで今回は、レバーの栄養とその効果について解説いたします。食べ過ぎによる注意点や、苦手な方も食べやすいレシピもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
レバーには普段不足しがちな栄養素が豊富
レバーは、その栄養価の高さから乳幼児の栄養補助として離乳食などにも使われています。では、具体的にどんな栄養がどのような働きをするのか、みていきましょう。
貧血に効果的な鉄分
レバーに含まれる鉄分は体に吸収されやすく、貧血予防になります。
血液中の赤血球には体中に酸素を運搬する働きがあり、鉄分は赤血球の構成成分として使われています。鉄分が少なくなると、赤血球の減少により酸素が行き渡らず、貧血を引き起こしてしまうのです。
厚生労働省の日本人の食事摂取基準によると、月経のある成人女性が1日に必要とする鉄分は10.5g~11.0gですが、実際に摂れている量は6.8~8.9gであり、意識して鉄分を摂る必要があります。
レバーには、鉄分が非常に豊富に含まれているため、少量を食べるだけでも不足分を補うことができますよ。
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目や皮膚を健康に保つビタミンA
ビタミンAはいくつかの成分からできているのですが、その主成分はレチノールという栄養成分です。
レチノールは目や皮膚の粘膜を健康に保つ効果があり、不足すると薄暗いところで視力が維持できなくなったり、皮膚が乾燥したりといった症状がでてしまいます。
レバーには、このレチノールが豊富に含まれています。ビタミンAは油と相性が良い栄養素なので、油で炒めたり揚げたりすると効率よく吸収できますよ。
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疲れの予防にビタミンB1、ビタミンB2
ビタミンB1は糖質、B2は糖質や脂質からエネルギーを作り出す際に必要とされる栄養素です。
ビタミンB1、B2が不足するとエネルギーがうまく作り出せず、疲れやだるさを感じるようになります。さらにビタミンB2は皮膚や髪、爪の再生にも関わっており、不足することで口内炎など皮膚や粘膜に炎症が生じる可能性があります。
とくに運動習慣のある方はより多くのビタミンB1が必要となるので、積極的に摂取しましょう。
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赤血球をつくる際に必要な葉酸
葉酸は「造血のビタミン」と呼ばれ、赤血球を作る際に必要な栄養素です。
またたんぱく質の生合成にも関わり、体の成長に欠かすことのできない成分です。特に、胎児の発育と密接な関係があるため、妊娠中の女性は積極的な摂取が推奨されています。
レバーには、葉酸が豊富に含まれているので、貧血気味の方や妊娠中の女性、さらに今後妊娠を望む女性は、食事にレバーを取り入れるとよいですよ。
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新しい細胞を作るのに欠かせない亜鉛
亜鉛は鉄分と同じミネラルの一種で、食べ物の消化・吸収・代謝に関わる酵素を作る際に必要な栄養素です。
さらに細胞内に存在するDNAの合成にも使われ、新しい細胞が作られる骨や肝臓などの臓器組織では欠かせない存在なのです。
しかし、近年食生活の乱れから亜鉛不足になり味を感じにくくなるなど、味覚障害を訴える方が増えています。
食事摂取基準によると、成人男性では11mg、成人女性では8mgの亜鉛の摂取が推奨されています。豚レバー100gには6.9mgの亜鉛が含まれているので、推奨量の半分以上を補うことができますよ。
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牛・豚・鶏レバーに含まれる栄養素の違い
普段、私たちの食卓になじみがあるレバーといえば牛、豚、鶏のレバーですよね。それぞれ上記でご紹介した栄養素を比較してみましょう。
牛レバー | 豚レバー | 鶏レバー | |
カロリー | 119kcal | 114kcal | 100kcal |
糖質 | 3.7g | 2.5g | 0.6g |
たんぱく質 | 19.6g | 20.4g | 18.9g |
脂質 | 3.7g | 3.4g | 3.1g |
鉄 | 4.0mg | 13.0mg | 9.0mg |
亜鉛 | 3.8mg | 6.9mg | 9.0mg |
ビタミンA | 1100μg | 13000μg | 14000μg |
ビタミンB1 | 0.22mg | 0.34mg | 0.38mg |
ビタミンB2 | 3.0mg | 3.6mg | 1.8mg |
葉酸 | 1000μg | 810μg | 1300μg |
*100gあたり
*ビタミンAはレチノール活性当量を記載
牛レバーと豚・鶏の栄養素の大きな違いはビタミンAです。
豚、鶏レバーは牛レバーの10倍以上のビタミンAを含んでいますが、牛レバーでも十分な量を含んでいます。
さらに、鉄と亜鉛に注目してみると、豚レバーが他の2つと比べてより多く含まれていることがわかります。
このように、鶏、豚、牛レバーには若干の違いがありますが、いずれにしても栄養豊富であることに変わりはありません。
健康状態やその日の料理に合わせて使い分けると良いでしょう。
レバーはダイエットに向いている?
レバーは、ダイエット中の栄養補助に向いている食材です。
ダイエット中は、運動や食事制限によりビタミンやミネラルが不足しがちです。レバーには、これらが豊富に含まれています。
例えば、鶏ささみはたんぱく質が豊富な上にカロリーが低いので、ダイエットレシピによく使われます。しかし、ミネラルの1つである鉄分は鶏レバーと比べると1/30しか含まれておらず、鶏ささみだけを食べていると鉄分不足で貧血を引き起こしてしまう可能性があるのです。
高たんぱく低カロリーのダイエットメニューに、不足しがちな栄養をプラスする目的でレバーを取り入れると良いかもしれません。ただしあくまでも補助向きの食材ですので、食べ過ぎてしまわないように注意しましょう。
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レバーを使った料理のカロリー
では、実際にレバーを使ったメニューのカロリーはどれくらいなのでしょうか。
これを知っておくと、普段の食事にレバーを使ったメニューをプラスした場合、カロリーの摂り過ぎにならないか判断することができますよ。
レバー串
焼き鳥でおなじみのレバー串ですが、使っているのは鶏レバーで1本約40gです。
気になるカロリーは41kcalで、もも串の64kcalと比べると低カロリーだとわかります。しかし、たれには糖質と塩分が多いため、注意が必要です。
食事の補助としてなら、1/2〜1本を目安に食べるとよいでしょう。
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レバニラ
中華料理の定番であるレバニラは、一般的に豚レバーを使用します。
1人前でレバーを50g使い、カロリーは176kcalです。油を使用するのでレバー串と比べるとカロリーはやや高めです。
しかし、同じ炒め物の肉野菜炒めは1人前323kcalなので、レバニラはおかずとしてはヘルシーな料理といえます。
こちらも、味付けはやや濃いめで塩分を多く含むため、栄養補助として取り入れる時は1人前の半分ほどにとどめるとよいでしょう。
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栄養豊富でも食べ過ぎは禁物
栄養豊富でカロリーが低めであれば積極的に食事に取り入れたいところですが、レバーの食べすぎには注意が必要です。
一番注意が必要なのはビタミンAの過剰症です。
一度に大量に食べた場合、腹痛やめまいなどが現れてその後皮膚が粉をふいた状態になります。また、毎日一定量を食べ続けた場合は関節や骨の痛み、皮膚の乾燥や脱毛といった症状が現れます。
毎日大量に食べていると痛風になる可能性も
レバーには痛風の原因となるプリン体が多く含まれています。
プリン体は体内で尿酸に変換され排出されますが、血液中の尿酸量が多くなると尿酸が結晶化し関節等に沈着します。すると息を吹きかけただけで関節に激痛が走る、いわゆる痛風になってしまうのです。
レバーを食べる際には適量を心がけましょう。
「レバーを食べると髪の毛が薄くなる」のは本当か
インターネットなどでは「レバーを食べると髪の毛が薄くなる」という噂を目にします。確かにレバーに含まれるビタミンAを摂り過ぎることにより、脱毛の症状が現れる可能性はあります。
ただし、適量を食べる分には特に気にする必要はないでしょう。
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1日の目安量
食事摂取基準では成人のビタミンAの上限量は2700μgREAとされており、これを鶏レバーに換算すると19g、豚レバーでは約20gになります。
レバー串が1本約40gですので、1日の食べる量はレバー串約1/2本以下を目安にすると食べ過ぎを防ぐことができますよ。
また、プリン体についてもレバー串1/2本なら59.3㎎で、痛風を予防する目安量である400㎎を超えることはありません。
ただし、他にも魚介類にもプリン体が多く含まれているので、痛風が気になる方はレバーだけでなく、これらの食材についても食べ過ぎに注意しましょう。
レバーが苦手な方必見!おいしく食べられる方法
栄養満点なレバーですが、味や食感が苦手という方も多いのではないでしょうか。
確かに、血生臭いにおいが気になると食べ辛いですが、適切な処理をすると驚くほどおいしく食べられます。
レバーは下ごしらえが大切
レバーを調理する上で肝心なのは下ごしらえです。
オススメは牛乳に浸す方法です。牛乳のたんぱく質などはレバーの臭みの原因となる物質を吸着して取り除いてくれます。
10分程レバーを牛乳に浸して、その後水でよく洗ってから調理するだけで独特な臭みを抑えることができますよ。
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【管理栄養士考案】食べやすいレシピをご紹介
今回は、カット済みで売られていてまな板や包丁を洗う手間がない豚レバーを使ったレシピをご紹介します。
【豚レバーの竜田揚げ~カレー風味~】
豚レバー(カット済み) 100g
生姜チューブ 2cm
にんにくチューブ 2cm
しょうゆ 大さじ1
酒 大さじ1
片栗粉 大さじ2
カレー粉 小さじ1
油 大さじ3
レモン お好みで
(下処理用)
牛乳 レバーが浸かるくらい
【作り方】
①ボールにスライス済みの豚レバーと、牛乳を浸るくらい入れて10分放置する
②牛乳を捨てて、レバーを水でよく洗う
③保存袋に生姜チューブ、にんにくチューブ、しょうゆ、酒と②を入れて30分漬けこむ
④別の保存袋に片栗粉とカレー粉を入れてよく混ぜ、③を加えてまんべんなく粉がつくように振る
⑤フライパンに油をしき、④を片面2~3分ずつ揚げ焼きにする
しっかり下処理をすることで、レバーの臭みを抑えられます。さらににんにく、生姜、カレー粉で香りつけし、食欲をそそるレシピになっています。ぜひ一度お試しください。
まとめ
ビタミンやミネラルが豊富なレバーは、貧血予防や目や皮膚を健康に保つといった効果をもつ栄養素を豊富に含んでいます。
ただし、食べ過ぎることによってビタミンAの過剰症やプリン体の多量摂取から痛風を引き起こす可能性があるため、食べる量には注意が必要です。
また、レバーの臭みが苦手な方は牛乳に浸すといった下処理をしっかり行うことで食べやすくなりますよ。
さらに、ご紹介したレシピはレバーが苦手な方でも食べやすい味付けになっています。使う調理道具も最小限ですので、ぜひ一度お試しください。
それでは当記事を参考に、適量のレバーを普段の食事の栄養補助として取り入れて、健康的な毎日をお過ごしください。
なお弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは、体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
文部科学省 食品成分データベース
厚生労働省 e-ヘルスネット 日本人の食事摂取基準2020 各論(微量元素)
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版
カロリーSlism TOP
株式会社明治 乳のワザ 牛乳で臭み消し