【管理栄養士監修】脂肪肝の人が食べてはいけないものとは?~オススメ食品もご紹介~
当記事の執筆は、管理栄養士 松原知香が担当しました。
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お酒の飲みすぎや食べ過ぎによって引きおこる「脂肪肝」。
肝臓は、私たちの体のさまざまな機能を支える重要な臓器なので、脂肪肝から肝硬変になり、その機能が低下してしまうと健康に悪影響が及びます。
できればなりたくはないですが、脂肪肝は健診受診者の30%に認められるとも指摘されています。もし健康診断などで脂肪肝と言われたら、これ以上悪くならないように食べてはいけないものがあるのか知っておきたいところです。
そこで今回は、脂肪肝の方が食べてはいけないものについてや、脂肪肝の改善方法をご紹介します。
オススメ食品についても紹介していますので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
脂肪肝の人が「食べてはいけないもの」はあるのか
結論から言いますと、脂肪肝の人が食べてはいけない食品は一般的にはありません。
とはいえ、アルコールが原因で脂肪肝になった人は1日も早く禁酒に踏み切ることが大切です。
避けたほうが良い食品
つづいて、脂肪肝の人にオススメできない食品を挙げます。
・甘い菓子や菓子パン
・肉の脂身
・揚げ物これらの食品は糖質や脂質を多く含むものです。肝臓の負担となるだけでなく、中性脂肪の蓄積にも繋がりますので控えめにしてくださいね。
また最近、果糖と脂肪肝の進展の関連も指摘されています。果糖の摂りすぎにも注意が必要です。
参考記事:脂質異常症の食事改善ポイントとは?~管理栄養士がわかりやすく解説~
【医師監修】脂質異常症になったら食べてはいけないものってあるの?~コンビニ食の活用方法の解説付き~
バナナは食べてもいいの?
バナナは食べてよいですが、バナナのみの食事や食べ過ぎには注意が必要です。
なぜなら、バナナは他の果物よりもショ糖を多く含むからです。ショ糖は肝臓で代謝されてエネルギー源になる成分ですが、使われないと中性脂肪として蓄えられます。
そのため、バナナのみで食事を済ませたり、一度にたくさんバナナを食べたりすると脂肪肝を引き起こしやすいと言えるでしょう。
一方で、バナナには体にとって大切な栄養素が豊富に含まれているのも事実です。まったく食べなくする必要はなく、間食などに1日1本程度であれば安心して食べて大丈夫です。
参考記事:【医師監修】バナナのカロリーと糖質は高い?〜太りにくい理由も解説〜
お酒は飲んでもいいのか
アルコールが原因で脂肪肝になった人だけでなく、過食が原因の人についても1日も早い禁酒をオススメします。
その理由は、アルコールの影響で中性脂肪の合成が促進されるからです。
アルコールは肝臓で分解されますが、アルコールが体内にあると肝臓は他の栄養素よりもアルコールの分解を優先しておこないます。そうすると、一緒に食べたものがエネルギーに変換されずに中性脂肪となって蓄積されてしまいます。
それゆえ、脂肪肝の方は禁酒をして肝臓をいたわってあげてくださいね。
参考記事:糖尿病とアルコールの付き合い方~適量や飲み過ぎ対策を紹介~
肝臓に悪い飲み物
糖質を多く含む、清涼飲料水や加糖の缶コーヒーは控えるようにしましょう。
とくにペットボトルに入って売られている「フレーバーが付いた水」は、無色透明であることから糖質が含まれていないと思われがちです。しかし実際には糖質が含まれているものも多いため、水のようにゴクゴクと飲んでしまうと、気づかないうちに糖質を摂取することになってしまいます。
また仕事中など、眠気防止のために缶コーヒーを飲む場合はブラック(無糖)を選ぶようにしましょう。
参考記事:肝臓に悪い意外な食べ物ランキング!ご自身の食事を見直してみましょう
脂肪肝の解消には食生活の改善が効果的!
脂肪肝の主な原因は過食とお酒の飲みすぎですので、食生活の改善はとても重要です(その他に薬剤が原因で発症するものなどもあります)。
脂肪肝の解消には、摂取カロリーと消費カロリーのバランスがポイントになります。その理由は、過食や飲みすぎで摂取カロリーが多すぎたり運動不足で消費カロリーが少ないと、余ったエネルギーは中性脂肪となって肝臓に蓄えられてしまうからです。
さて、肝臓についた脂肪には「付きやすく取りやすい」特徴があります。つまり食生活の改善を早く始めるとその分効果も早く現れるというワケです。5%以上の体重減少でQOLが、7-10%以上の減少で肝組織学的改善が期待できます。
一方で再発した脂肪肝は重症化しやすいので悪しき食習慣とはキッパリ決別しましょう。
参考記事:脂肪肝とは〜原因・症状・改善方法をシンプルに解説〜
糖質・脂質制限は効果的?
糖質・脂質制限食は効果が見られることが多いです。
なぜなら食べ過ぎが原因で脂肪肝になった人にとって、摂取カロリーを抑えると肝臓の負担を減らすことにつながるからです。たとえばごはんを大盛りから少なめに変えたり、調理法を「揚げ」から「茹で」に変えるなどの工夫は簡単にできるため積極的に行いましょう。
しかし極端な糖質・脂質制限は心的ストレスになったり栄養バランスが崩れたりするため、オススメできません。
参考記事:糖質制限ダイエットって効果があるの?適切な食材と方法を徹底解説
脂肪肝解消に効果的な食品
代表的な食品は以下になりますので参考にしてください。
・納豆:肝臓で脂肪の代謝を高めて、脂肪の蓄積を抑える
・ヨーグルト:良質なたんぱく質(ホエイ)が含まれているため肝臓の保護に役立つ
参考記事:【医師監修】脂質異常症とヨーグルトの関係をコレステロール値ごとに解説
【重要】脂肪肝を放置することが危険な理由
脂肪肝は内臓の周囲に脂肪がついている内臓脂肪とは異なり、本来脂肪がたまるはずのない臓器の中に脂肪がたまっている状態で、体にとっては異常事態です(内臓脂肪とは別もの)。
肝臓は大きな余力を持った臓器なため、負担がかかり続けてもすぐにその機能へ影響が及ぶことはありません。
ゆえに、脂肪肝となっても自覚症状はほとんどないのです(中には血行不良により、疲れやすくなったり肩こりなどの症状が出る方もいます)。
そのため脂肪肝と診断されたにもかかわらず、対応を先送りにしてしまう人も多いのが現実です。
肝硬変になる可能性も
肝硬変は、肝臓がダメージを修復する際につくる線維(コラーゲン)の増殖により、肝臓全体が硬くなり肝機能が低下する疾患です。
肝硬変の原因は、B型肝炎やC型肝炎の肝炎ウイルスや自己免疫疾患などいくつかあり、脂肪肝もその一つです。
肝硬変になると、以下のような肝臓の主な働きが低下してしまいます。
②消化液である胆汁を作る
③有害物質の解毒・排泄
④免疫機能を調整する
このほかにも、肝臓が関わっている体内の働きはじつに500以上にもなるため、肝硬変になって肝臓の機能が低下すると、私たちの体にさまざまな悪影響があると言えます。
以上のことから、脂肪肝と指摘を受けたら解消に向けて早めに動き出しましょう。
参考記事:【医師監修】脂質異常症は治るの?~日常生活の改善点や食事の摂り方までサクッと解説~
まとめ
以上、脂肪肝の人が食べてはいけないものについて解説しました。
肝臓についた脂肪は皮下脂肪よりも落としやすいので、よい食習慣を早く身につけることが大切だとわかりましたね。
それでは、当記事があなたの健康づくりに役立てば幸いです。
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参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット 脂肪肝
一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 脂肪肝は内臓脂肪よりも深刻? 脂肪肝が筋肉のインスリン抵抗性を引き起こす
J-STAGE 内臓脂肪と異所性脂肪
J-STAGE 酢酸の生理機能性
健康長寿ネット レシチン・コリンの硬化と摂取量