きゅうりは栄養がない?~効能とあわせ管理栄養士が徹底解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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常備野菜として冷蔵庫にあることの多いきゅうり。食事に彩りを加えてくれるので、付け合わせやサラダに、と料理での出番も多いですよね。
そんなきゅうりは「栄養がない」と言われることが、よくあります。しかし本当にきゅうりの栄養はなく、彩りだけなのでしょうか?
いえいえ、そのようなことはありません。きゅうりにも栄養はあります。
そこで今回は、きゅうりの栄養について管理栄養士がわかりやすく解説いたします。ぜひ最後までお付き合いください。
目次
きゅうりの栄養成分と効能
きゅうりにはカリウム・ビタミンC・食物繊維・β-カロテンが比較的多く含まれています。
それでは栄養成分の効能について、くわしく解説していきますね。
高血圧の予防・改善に効果的なカリウム
カリウムは尿中の塩分の再吸収を抑えて体外に排出するため、血圧を下げる作用があります。そのため、高血圧の予防や改善効果があるといわれるのです。
なおカリウムは水溶性のミネラルなので、煮たり茹でたりすると水に溶け出してしまいます。サラダなどきゅうりを生のまま食べると、効率よくカリウムを摂れるでしょう。スープのように汁ごと食べられる料理もよいですね。
参考記事:高血圧とは~症状や生活習慣での改善ポイントなど分かりやすく解説~
コラーゲンの生成を促すビタミンC
ビタミンCは肌や血管の材料となるコラーゲンの生成を促進する働きがあります。
またビタミンCは非ヘム鉄(※)の吸収を助け、鉄の吸収率をアップします。
(※)植物性食品に多く、動物性食品に多いヘム鉄と比べて吸収率の低い鉄
実は多くの動物は体内でビタミンCを作れますが、ヒトは体内で合成できないため食事から摂取する必要があるのです。
ビタミンCは水に溶けやすい上に、加熱調理で壊れてしまう特徴があるため、さっと洗って生で食べると効率よく摂取できます。
参考記事:【簡単】サラダでダイエット!〜おすすめ食材・レシピをわかりやすく紹介〜
腸内環境を整える食物繊維
きゅうりには、便の量を増やして腸の運動を促し便秘を解消する効果の期待できる不溶性食物繊維が多く含まれます。さらに、不溶性食物繊維には不要なものを吸着して体外に排出する働きがあります。
またきゅうりには少ないものの水溶性食物繊維も含まれ、水を吸収して膨らみ満腹感を得るほか、食後血糖値の上昇を緩やかにする効果も。
どちらの食物繊維も腸内細菌のエサとなるため、腸内環境を整えるためにもぜひ積極的に取り入れたい栄養素です。
抗酸化作用の強いβカロテン
βカロテンは体内で必要な分だけビタミンAに変換され、目の健康を保つ働きがあります。
またβカロテンは強い抗酸化作用があるため、動脈硬化の進行を抑える働きも期待されています。
塩もみすると栄養価が変わる?
結論からいいますと、きゅうりを塩もみしても大きく栄養価は変わりません。
ただし塩もみして水分を絞ると、100gあたりのカロリーが少し増えます。また、水に溶けだすことでビタミンCやβカロテンがやや減る可能性も。
しかし、塩もみをすることでのメリットもあります。
・色が鮮やかになる
・味が染み込みやすくなる
・かさが減ってたくさん食べられる
加熱するとどうか
ビタミンCなど熱に弱い栄養素は、加熱調理をすることで成分が壊れてしまう可能性があります。
ただし、βカロテンは油と一緒に加熱すると吸収率がアップするといった特徴も。
摂取したい栄養素がある場合はその栄養素の特徴を活かし、効率的に摂れる調理方法を選択するとよいですね。
参考記事:野菜でダイエット効果を高めよう!~オススメの食べ方やレシピを紹介~
きゅうりがビタミンCを破壊するというのは嘘?
きゅうりがビタミンCを破壊することはありません。
「きゅうりがビタミンCを破壊する」という噂は、きゅうりに含まれる酵素がビタミンCの型を変えてしまうことから広まったようです。
しかし実際はビタミンCの型が変わっても、効果まで変わるわけではないことが最近の研究でわかりました。ビタミンCを積極的に摂りたい方も、安心してきゅうりを食べてくださいね。
きゅうりはカロリー・糖質が低くダイエットに効果的
先にも記載しましたが、きゅうりは100g当たり13kcalで、95%が水分で構成されています。にんじんや玉ねぎ、じゃがいもなどの一般的な野菜と比べても「低カロリーで低糖質」な野菜です。
そんなきゅうりはダイエットの強い味方になってくれます。ダイエット中の人にオススメなのは、食前にきゅうりを1本食べるという方法です。
きゅうりの豊富な水分で満腹感が得られ、食事の摂取量、つまりは摂取カロリーを抑えられます。
参考記事:きゅうりの糖質&カロリーは低い〜栄養やダイエットでの活用法も紹介〜
きゅうりの美味しい食べ方のレシピをご紹介
きゅうりに含まれている栄養成分を効率よく摂るためには、「加熱をしない」がポイントです。
そのままでも十分美味しいきゅうりですが、ひと手間加えてさらに美味しくアレンジしてみませんか?
【きゅうりの塩昆布和え】
・きゅうり 2本
・塩昆布 大さじ1と1/2
・鶏がらスープの素 小さじ1
・ごま油 大さじ1
・塩 少々
・いりごま 大さじ1
【作り方】
①きゅうりはめん棒で叩いてから乱切りにし、塩をふってきゅうりから水気が出るまで置いておく
②きゅうりの水気を切り、残りの材料を加えて和える
参考記事:昆布の栄養は野菜と似ている?~意外と知らない健康効果をわかりやすく解説~
栄養面でズッキーニと違いはあるのか
きゅうりとよく似た見た目をしているズッキーニの栄養面での違いを比較してみました。
きゅうり | ズッキーニ | |
カロリー | 13kcal | 16kcal |
糖質 | 2.0g | 2.3g |
カリウム | 200mg | 320mg |
ビタミンC | 14mg | 20mg |
βカロテン | 330μg | 320μg |
食物繊維 | 1.1g | 1.3g |
*100gあたり
きゅうりとズッキーニの成分を比べてみると、ズッキーニの方がカリウムを多く含みますが、栄養面で大きな違いはありません。
調理方法は異なる
きゅうりは生や漬物で食べるのが美味しいですが、ズッキーニは皮が硬く加熱調理で美味しく食べられます。
見た目も成分も似ているきゅうりとズッキーニの向いている調理方法は、全く異なります。摂りたい栄養素別に使いわけられる点も嬉しいですね。
まとめ
きゅうりにはカリウムやビタミンC、食物繊維、βカロテンが比較的多く含まれています。それぞれの主な効能は以下の通りです。
カリウム:高血圧の予防・改善
ビタミンC:コラーゲンの生成を促進
食物繊維:腸内環境を整える
βカロテン:抗酸化作用が強い
「きゅうりは栄養はない」なんてことはないと、わかりましたね。
またきゅうりは低カロリー、低糖質の野菜なのでダイエットの強い味方です。このように、きゅうりの役割は食卓の彩りだけではありません。栄養成分や効能を知ると、きゅうりを見る目が少し変わりますよね。
それでは、当記事が少しでもあなたの健康にとってお役に立てれば幸いです。
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参考文献
文部科学省 食品成分データベース
厚生労働省 e-ヘルスネット