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昆布の栄養は野菜と似ている?~意外と知らない健康効果をわかりやすく解説~

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昆布の栄養は野菜と似ている?~意外と知らない健康効果をわかりやすく解説~

当記事の執筆は、管理栄養士  佐藤久美が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

「よろこぶ」に通じる縁起物の昆布。

昆布はお節料理に用いられるなど、昔から日本人とって馴染み深い食材です。

縁起物やうまみ成分のイメージが強い昆布は、私たちの健康を維持する上で重要な栄養素もたくさん詰まっています。

なんとなく体によさそうと認識していても、昆布が体にどのような効果を与えるのか知らない方も多いはず。

そこで今回は、昆布の栄養について詳しく解説していきます。

手軽に食べられる昆布の加工品についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

昆布の栄養と効能

昆布の栄養と効能

昆布は「海の野菜」と表現されることがあるように、ミネラルや食物繊維を豊富に含みます。

そこで昆布に含まれる栄養素が体にどのような効果を与えるのか、順に見ていきましょう。

体の調子を整えるミネラルがたっぷり

昆布はカリウム、カルシウム、鉄、ヨウ素など、さまざまなミネラルを含みます。

それぞれの栄養素の働きは、以下の通りです。

カリウム:高血圧やむくみの原因となるナトリウム(塩分)を排出する
カルシウム:骨や歯の主要な構成成分、筋肉収縮や神経興奮の抑制に関わる
鉄:体に酸素を運ぶために重要な栄養素
ヨウ素:甲状腺ホルモン(※)の主要成分

(※)甲状腺ホルモンとは、基礎代謝やたんぱく質の合成を促進したり、脂質の代謝に関わったりするホルモンのこと。

なお、一般的に昆布をはじめとする海藻類はミネラルが豊富です。

そこで昆布のミネラルにどのような特徴があるのか、ほかの海藻と比べてみました。

海藻の比較

上の表から、昆布はほかの海藻と比べて鉄の含有量は少なく、ヨウ素が多いとわかりますね。

便秘解消に役立つ食物繊維

乾燥した昆布は、全体のおよそ1/3が食物繊維です。

昆布に含まれる食物繊維の中でも代表的なものに「アルギン酸」や「フコダイン」があります。

これらは昆布のぬめりのもととなる水溶性食物繊維で、働きは以下の通りです。

アルギン酸:コレステロールや血糖値の上昇を抑える、便秘の予防
フコダイン:血液凝固の抑制、免疫力の向上

出汁にも活用!うまみ成分

出汁にも活用!うまみ成分

昆布のうま味成分と言えば「グルタミン酸」です。

かつて人の味覚は「酸味、塩味、苦味、甘味」の4つを基本としていました。

しかしそれだけでは表せない味があると研究が進められ、昆布に含まれるグルタミン酸の発見に至りました。

そしてグルタミン酸の味覚は「うま味」と名付けられたのです。

和食に欠かせない出汁の美味しさの秘訣は、うま味成分であるグルタミン酸にありますね。

昆布の適量ってどのくらい?

昆布の適量に明確な決まりはありません。

ただし日本人の食事摂取基準(2020年版)では、18歳以上におけるヨウ素の推奨量は1日0.13mg、多くとも3mgまでとしています。

なお、昆布に含まれるヨウ素の量は次の通りです。

ヨウ素の含有量

昆布を食べると、あっという間に推奨量や上限を超えてしまいますね。

一方で過剰となったヨウ素は、尿として排出されます

したがって昆布を食べたことで、一時的にヨウ素の上限を超えても心配はいりません。

しかしダイエットのために毎日のように昆布を中心とした食事、間食にも昆布を食べるといった極端な食事は控えましょう。

ちなみに日本人のヨウ素摂取量は、1日約1〜3mgと推定されています。

この量であれば、ヨウ素の不足も過剰もしていません。

ゆえに偏った食事をしなければ、ヨウ素の過剰摂取について過度に気にする必要はないでしょう。

食べすぎるとどうなるのか

食べすぎるとどうなるのか

食物繊維が豊富な昆布は食べすぎると、下痢を起こしやすくなります

なぜなら昆布に含まれる食物繊維は、便をやわらかくする働きがあるからです。

日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、食物繊維の1日の摂取目標量は18〜64歳の男性で21g以上、同年代の女性で18g以上とされているので、これを大幅に超えるような摂取量ですと、下痢のリスクが高くなります。

ただし、普段の食事で昆布による食物繊維の過剰摂取は考えにくいです。

参考までに、乾燥した真昆布10gには食物繊維が3.2g含まれます。

市販のおやつ昆布などは1袋約10g前後なので、1日の食べる量をこの程度に抑えれば、昆布による食物繊維の摂り過ぎはおきにくいでしょう

適量を摂る分には便秘の予防・改善に役立ちますので、うまく活用するとよいですね。

昆布出汁の取り方

昆布出汁の取り方

ここでは、一般的な昆布出汁の取り方をご紹介します。

出汁に適した昆布は、真昆布、羅臼(らうす)昆布、利尻昆布、日高昆布です。

【材料~作りやすい分量~】
・出汁用昆布 10~20g
・水 1000ml

【作り方】
①昆布の表面を、固く絞った布巾でさっと拭く。
②鍋に昆布と水を入れ、30分ほど漬ける。
③30分経ったら中火にかけ、沸騰直前で昆布を取り出したら、完成。

【ポイント】
昆布は水洗いしないでください。洗うと、うま味成分が流れてしまいます。
昆布を煮すぎると、風味が落ちてしまいます。鍋底から小さな気泡が出てきたら、昆布を取り出してください。

出汁を取ったあとの昆布に栄養はあるのか

出汁を取る前の栄養価には敵いませんが、出汁を取ったあとの昆布にも栄養は残っています

とくにカルシウムや鉄など、水に溶けにくい不溶性の栄養素は残っているでしょう。

ゆえに出汁を取ったあとの昆布は佃煮やふりかけにアレンジすると、栄養を余すことなく摂れますね。

毎回調理するのが大変な場合は、都度冷凍保存しておき、まとめて調理するのがオススメです。

昆布の加工品を紹介

昆布の加工品を紹介

昆布には出汁に適しているもののほか、結び昆布や刻み昆布などさまざまな種類があります。

お茶やお菓子などの加工品もあるので、お気に入りの昆布を探してみるのもよいですね。

ここでは「とろろ昆布」と「おしゃぶり昆布」についてご紹介していきます。

とろろ昆布

昆布を酢に漬けてやわらかくしてから、細く削ったものがとろろ昆布です。

とろろ昆布は、おにぎりや汁物で食べることが多いですね。

下処理が不要で、食べたい量だけさっと取り出して使えるのも、とろろ昆布の魅力ではないでしょうか。

おしゃぶり昆布

おしゃぶり昆布は、昆布本来のうま味を楽しめるお菓子です。

昆布を短冊状に切り食べやすくしたもので、梅などをまぶしたものも人気です。

歯ごたえがあるので、口さみしくなったときに食べるのに適しています。

ただし梅をまぶしたおしゃぶり昆布は塩分が高くなりがちですので、食べすぎには注意しましょう。

まとめ

以上、昆布の栄養についてご紹介しました。

昆布に含まれる栄養や効能は、以下の通りです。

カリウム:高血圧やむくみの原因となるナトリウム(塩分)を排出する
カルシウム:骨や歯の主要な構成成分、筋肉収縮や神経興奮の抑制に関わる
鉄:体に酸素を運ぶために重要な栄養素
ヨウ素:甲状腺ホルモンの主要成分
アルギン酸:コレステロールや血糖値の上昇を抑える、便秘の予防
フコダイン:血液凝固の抑制、免疫力の向上
グルタミン酸:うま味成分

昆布には過剰摂取に注意したいヨウ素が多く含まれるので、偏った食事は避けましょう。

しかし通常の食事をしている分には、ヨウ素の摂取量について過度に心配する必要はありません

それでは当記事を参考に、日々の健康維持に昆布を役立てていただけたら幸いです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。

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参考文献
文部科学省 食品成分データベース
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020 年版) 「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書
厚生労働省 甲状腺の病気
水産省 6-3 水産物に含まれる主な機能性成分
J-STAGE 世界に広がる「うま味」の 歴史とこれから
環境省 ヨウ素について
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
高橋書店 「素材よろこぶ 調味料の便利帳」

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