【医師監修】CGMで糖尿病と上手に付き合おう~血糖コントロールを良好に~
当記事は、内科認定医・糖尿病専門医 古賀 萌奈美先生にご監修いただきました。執筆はライター 前間弘美(管理栄養士)が担当しました。
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最近よく耳にするCGM(※)は、専用のセンサーを体に装着して1日の血糖値の変動を見える化するものです。糖尿病の方がCGMを使うことで、血糖トレンドが把握でき血糖値の管理に効果的といわれています。
(※)CGM(持続性グルコースモニタリング)は、皮下に刺した細いセンサーで間質液中のグルコース濃度を持続的に測定する医療機器のこと
血糖トレンドとは、1日の血糖値の変動データです。従来の血糖値測定方法では、血糖測定したタイミングの血糖値しか把握できませんでしたが、CGMは24時間の血糖変動を把握できます。
ところが、いくら糖尿病の方にはCGMがオススメだといわれても、具体的に何がよいのかわからない方もいらっしゃるでしょう。
そこで、今回はなぜ糖尿病の方にCGMが普及しているのか、わかりやすくお伝えいたします。
目次
糖尿病の方にCGMが普及している理由
CGMは従来「点」でしか捉えられなかった血糖値の変動を「線」で見ることができ、血糖トレンドの把握が可能になるため、糖尿病の方に普及しています。
糖尿病の方の血糖値は食事や運動、健康状態、薬の量によって刻々と変動します。決められた時間の血糖値測定では見逃していた、高血糖や無自覚低血糖を把握できるようになるのがCGMの特徴です。
また自己血糖測定では穿刺針や測定器の準備が必要でしたが、CGMでは専用機器やスマートフォン内のアプリのみで血糖値を知ることができるため、忙しい方や外出先でも手軽に測定ができます。
CGMを導入できる病院はこちらから検索できます。
参考記事:個々の血糖トレンドはCGMで把握〜食事・運動の行動変容につなげよう〜
CGMは血糖コントロールに役立つ
CGMを使用すると、自分の血糖変動が専用機器やアプリで見られるようになるので血糖コントロールに役立ちます。
また、弊社の開発する食事や血糖値の管理アプリシンクヘルス(無料)は、CGMと連携でき自身の生活習慣と血糖トレンドを照らし合わせて見られます。
それでは、CGMとシンクヘルスアプリを連携した場合のメリットを3つ紹介いたしましょう。
①食事管理のモチベーションがアップする
まず、食事面では自分にとって血糖値の上がりやすい食事や食べ方を、把握しやすくなります。
シンクヘルスアプリではCGMのグラフ上に食事のアイコンが表示され、さらにグラフの下には、食べたものや時間の記録が表示されます。
実際に自分が食べたものと血糖トレンドを照らし合わせられるので、何を食べた時に血糖値が上がりやすいか、実際に食べる順番、スピードなどを意識することで、血糖トレンドがどのように変化するかを視覚的に把握することができます。
血糖トレンドは膵分泌能、これまでの生活習慣などとも大きく関わっており、個人差が大きいので自身の血糖トレンドを把握することが大切です。
シンクヘルスアプリに記録することで、血糖値と食事内容の関連が見える化し、モチベーションも上がると考えられます。
参考記事:血糖値を上げない食べ方について管理栄養士が解説~順番や糖質量も~
②運動効果が目に見えて感じられる
次に運動面では、どのように血糖値が下がるか目に見えるようになるため、とくに食後の運動効果が実感できるでしょう。
シンクヘルスアプリでは食事と同様に、CGMのグラフに運動記録が表示されます。歩数などは、Google Fit やアップルヘルスケアなどと連携することで自動入力され、反映されます。
今までは、食後に歩くとよいとはわかっていても、なかなか効果を実感できなかったかもしれません。
しかしアシンクヘルスアプリでCGMと運動の関係を見ると、運動の効果が目に見えて実感することができます。
また、過去の血糖トレンドと比較しながら、自身の運動による血糖トレンドの変化を見える化できるので、モチベーションアップにも繋がります。
参考記事:食後の運動は血糖値の改善につながる〜オススメの運動を動画で紹介〜
③自身の傾向を把握できる
シンクヘルスアプリに記録を続けると、過去の記録から高血糖や低血糖になりやすい時間帯や行動など、自分の傾向が把握できるようになります。つまり、血糖トレンドを把握できるようになるのです。
とくに1型糖尿病の方や、インスリン依存性の2型糖尿病の方では血糖値の変動が大きく、食事や運動による影響も受けやすくなります。女性の方であれば月経前後でも変化が見られます。
自分の血糖トレンドを把握することで、血糖コントロールを良好にするための行動がとりやすくなります。
糖尿病の方にとっては、高血糖だけでなく低血糖に陥るのも恐ろしいことです。低血糖になりやすい時間帯や行動がわかると、事前に対策しやすくなりますね。
ちなみに、1型糖尿病患者を対象とした研究では、isCGMを導入したことで従来の針を使った血糖測定であるSMBGと比較して38%低血糖時間を減少させたという報告もあります。
参考記事:低血糖とはどのような症状?~原因や高血糖についてもわかりやすく解説~
糖尿病だとCGMが保険適応になるって本当?
正確には、インスリン療法をおこなっている糖尿病患者さんは、CGMの使用が保険適応となります。
以前は1型糖尿病の方のみでしたが、2022年より2型糖尿病でインスリン療法を受けている方も保険適応となりました。気になる方はぜひ担当医に相談してくださいね。
リアルタイムCGMとFGMの違い
これまで一括りにCGMと説明をしていましたが、CGMにはリアルタイムCGMとFGMの2種類があります。
リアルタイムCGMは常に血糖変動が自動で測定・記録されるのに対し、FGMは自分で測定操作を行うことで過去数時間の血糖変動を記録できる点が違います。
少し詳しくお話ししますと、CGMはContinuous Glucose Monitoringの略で、リアルタイム持続グルコ ース測定という意味です。FGMはFlash Glucose Monitoring(フラッシュグルコースモニタリング)の略です。
FGMは通称名で、正式にはisCGM(intermittently scanned CGM)といいます。日本語では、間歇(かんけつ)スキャン式持続グルコース測定の意味です。
間歇(かんけつ)とは、 「一定の時間の間隔をおいて起きたり止まったりすること」の意味です。FGMは自分でスキャンした時に血糖変動が記録されるので、一定期間スキャンを忘れると過去の記録が破棄されてしまいます。
ただし、最近ではisCGMのことを、FGMではなくCGMと呼ぶ方がほとんどです。CGMといっても、リアルタイムCGMとは限らないのでご留意ください。
SMBGとは
SMBGはSelf Monitoring of Blood Glucoseの略で、血糖自己測定という意味です。指先から採取した血液を、血糖自己測定器で読み取って簡易的に血糖値を測ります。
血液検査で測定する血糖値と比べると誤差はあるものの、測定を行った時点での血糖値を自分で把握できます。「食前」「食後」「就寝前」など決まったタイミングで測定することで、血糖変動を把握するのが目的です。
ただし、SMBGを行わない時間の血糖値はわからないため、測定時点での血糖値が上昇中なのか下降中なのか読み取るのは難しいです。
CGMを導入できる病院はこちらから検索できます。使ってみたい方は一度受診して相談してみてください。
参考記事:CGMとは?~毎回針を刺さない持続血糖測定器で血糖値を知ろう~
まとめ
以上、なぜ糖尿病の方にCGMが普及しているのか、お伝えいたしました。
糖尿病の方がCGMを使うと、生活習慣と照らし合わせて血糖トレンドが把握できるようになります。無自覚の高血糖や低血糖状態を数値で確認できるようになるため、より良好な血糖コントロールに役立つのです。
それでは、当記事があなたの生活のお役に立ちますと幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
【参考文献】
一般社団法人日本糖尿病学会 リアルタイム CGM 適正使用指針
認定特定非営利活動法人日本IDDMネットワーク CGM FGM
日本糖尿病学会誌 61(12):809~811,2018