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【医師監修】人工甘味料は血糖値を上げないって本当?~デメリットも解説~

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人工甘味料は血糖値を上げないって本当?~デメリットも解説~

当記事は、綱島東口内科・糖尿病内科クリニック 院長 近藤義宣先生にご監修いただきました。
執筆はライター  前間弘美(管理栄養士)が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

最近コンビニやスーパーでよくみかける、低カロリー・低糖質のお菓子や飲み物。なぜ甘味はそのままで、カロリーや糖質を減らせるのでしょうか?

それは「人工甘味料」という人工的につくられた甘味成分を使っているからです。人工甘味料は摂取カロリーや糖質を減らせるので、肥満や糖尿病などの生活習慣病に予防効果が期待できます。また、虫歯の原因をつくりにくいメリットもあります。

一方で、人工甘味料は食品添加物だから摂りすぎは健康によくない、といった話を聞いて不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。

そこで、今回は人工甘味料が血糖値を上げない理由デメリットについてお伝えします。わかりやすく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

人工甘味料を摂っても血糖値が上がらない理由

人工甘味料にはブドウ糖が含まれないため、血糖値が上がりません。

そもそも人工甘味料とは、人工的に化学合成された非糖質系甘味料のことです。砂糖やオリゴ糖は糖質系甘味料に分類されます。

人工甘味料を摂っても血糖値が上がらない理由

(※1)糖質を含む甘味料
(※2)糖質を原料とせずに作られた甘味料

砂糖はブドウ糖と果糖という2つの糖が結びついたもので、ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源です。

そして、私たちが砂糖を摂取すると、ブドウ糖と果糖に分解・吸収されます。その後、吸収されたブドウ糖は血管に入り、血糖値を上昇させます。血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。

人工甘味料はブドウ糖を含まない甘味料だから、血糖値を上げないのです。

参考記事:脳の栄養「ブドウ糖」とは〜効果から食べ物まで幅広く紹介〜
参考記事:砂糖のカロリー&糖質は本当に高い?~砂糖を摂ると太るのか徹底検証〜

人工甘味料は血糖コントロールにデメリットがあるのか

人工甘味料は血糖コントロールにデメリットがあるのか

人工甘味料が血糖コントロールに与える影響は、まだはっきりとわかっていません

ただし、いくら血糖値を上げないからといって人工甘味料を摂りすぎると、健康に影響する可能性はあります

甘味が強い

人工甘味料は砂糖と比べて、200~600倍の甘味があります。人工甘味料は少量で甘味を付けられるため、摂取カロリーや摂取後の血糖値の上昇を抑えるのが特徴です。ところが、人工甘味料の強い甘みに慣れると甘味に鈍くなり、より強い甘味を求めるようになります

また、本来私たちの体は甘味を感じれば、血糖値が上昇する仕組みになっています。ところが人工甘味料を摂ったときは、甘味を感じているのに血糖値が上がりません。すると、体内のバランスが崩れ脳からたくさん食べて血糖値をあげるように命令が出る、という一説もあります。

より強い甘みを求めて糖分の摂取量が増えたり、食事量が増えたりすると、糖尿病や肥満などの生活習慣病につながる可能性があります。

参考記事:【医師監修】糖尿病は生活習慣の改善で予防〜今から食事・運動・生活を見直そう〜
参考記事:【医師監修】肥満と糖尿病の関係〜治療と予防における2つの基本をカンタン解説〜

腸内フローラの変化

腸内フローラの変化

腸内フローラは腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)のことです。腸壁にすきまなく並んだ細菌がお花畑(flora)のようにみえるため、腸内フローラと呼ばれています。

まだ動物実験の段階ですが、サッカリンという人工甘味料が腸内フローラにおいて構成する細菌を変化させ耐糖能異常が引き起こされた、という研究報告があります。

耐糖能異常とは糖尿病ではないものの、血糖値が正常値より高い状態です。つまり、人工甘味料が腸内フローラを変化させることで、血糖コントロールに影響を与えるかもしれないと考えられます。

参考記事:糖尿病と腸内環境の乱れに関係はあるのか~おならのにおいについても解説~

人工甘味料の摂取目安量

人工甘味料の摂取目安量に決まりはありませんが、1日の摂取許容量(※)が設定されています。

(※)食品添加物の安全性評価を行う国際機関「JECFA」が設定

日本で主に使われている人工甘味料は、

・アスパルテーム
・アセスルファムカリウム
・スクラロース

の3つです。

アスパルテームは体重1kgあたり40mg以下、アセスルファムカリウムとスクラロースは体重1kgあたり15mg以下が摂取許容量といわれています。

参考までに下の表は厚生労働省が実施した、成人における人工甘味料の一日摂取量の調査(令和元年)の結果です。

人工甘味料の摂取目安量
*1日あたり
*摂取許容量は成人1人あたりの量を平均体重(58.6㎏)で算出

調査によると、成人における人工甘味料の摂取量は許容量をはるかに下回るとわかりますね。

注意点

注意点

人工甘味料は主に低カロリー飲料やお菓子に使われますが、ヨーグルトや漬物などに入っていることもあります。

目に見えないものなので、無意識に摂取していることが多いでしょう。人工甘味料を極端にこわがる必要はありませんが、摂りすぎにならないように意識するとよいかもしれませんね。

低カロリー飲料を毎日飲むと糖尿病になるの?

低カロリー飲料を毎日飲むとかならずしも糖尿病になるわけではありませんが、糖尿病になるリスクを高める可能性は考えられます。

まだ研究段階ですが、人工甘味料の入った低カロリー飲料を週に237ml以上飲む人は、まったく飲まない人と比較して1.7倍糖尿病になりやすい、という報告があります。

ただしこの研究は、もともと糖尿病のリスクが高い肥満の方が対象となっている可能性があり、まだはっきりとしたことは言えません。

とはいえ、人工甘味料の摂りすぎによる健康への影響を考えると、低カロリー飲料を毎日飲むのはやめた方がよいでしょう。

参考記事:炭酸飲料と糖質~「糖質ゼロ」と「カロリーゼロ」の違いも詳しく解説~

自然派甘味料や天然甘味料もオススメ

自然派甘味料や天然甘味料もオススメ

自然派甘味料や天然甘味料は、原材料が自然由来の甘味料です。代表的なものとして「ラカント」や「ステビア」があります。

人工甘味料も国が認めている食品添加物ですので、決して危険なものではありません。とはいえ化学的につくられたものに抵抗のある方は、植物由来の自然派甘味料や天然甘味料を使うと安心かもしれませんね。

ちなみにラカントは、エリスリトールという血糖値に影響しにくい糖質と、ウリ科の植物であるラカンカからとれるエキスを混ぜてつくられます。実は糖質がゼロではありませんが、血糖値を上げにくい自然派甘味料なのです。

ステビアは、キク科の植物で糖質ゼロの天然甘味料です。糖質ゼロなので、血糖値への影響はないといえます。

参考記事:ラカントのカロリー&糖質はゼロ?~気になる味やダイエット活用法まで解説~
参考記事:植物由来の天然甘味料「ステビア」とは〜味・効果・安全性など徹底解説〜

ラカントが本当に血糖値を上げないのか検証

弊社スタッフが、自然派甘味料「ラカント」を使って、血糖値への影響を検証してみました。

無糖のブラックコーヒーに、砂糖とラカントそれぞれ5g入れたものを飲み、血糖値の変化を記録します。

【砂糖入りコーヒーの場合】

【砂糖入りコーヒーの場合】

砂糖入りコーヒーは、飲み始めてから徐々に血糖値が上がり、30分後にピークを迎えています。その後、コーヒーを飲んでから50分程で正常値に戻りました。

 

【ラカント入りコーヒーの場合】

【ラカント入りコーヒーの場合】

ラカント入りコーヒーは、飲んでもほとんど血糖値が上がりませんでした。ちなみに、砂糖入りとラカント入り、どちらのコーヒーも同じぐらいの甘さです。

検証結果より、ラカントは砂糖代わりに使用できて、血糖値を上げにくいとわかりますね。

まとめ

以上、人工甘味料はブドウ糖が入っていないため、血糖値を上げないとわかりました。

また、人工甘味料は生活習慣病や虫歯の予防効果が期待できるものの、摂りすぎは健康によくない可能性があります。人工甘味料をこわがって避ける必要はありませんが、メリットとデメリットを理解した上で適度に使うとよいですね。

それでは当記事を参考に、人工甘味料と上手に付き合っていただけると、うれしいです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
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監修医師

綱島東口内科・糖尿病内科クリニック 院長 

近藤義宣先生

【ご略歴】 東京大学 文学部 行動文化学科社会 心理学専修課程、横浜市立大学 医学部 医学科卒業後、国立国際医療センター・横浜市立大学附属市民総合医療センター・茅ヶ崎市立病院、横浜市立大学附属病院 内分泌糖尿病内科、小田原市立病院 糖尿病内分泌内科、横浜市立大学附属市民総合医療センター 内分泌糖尿病内科での勤務を経て、2020年に綱島東口内科・糖尿病内科クリニックを開院し、院長を務める。

【資格】 日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医、日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医、日本内分泌学会 内分泌代謝科(内科)専門医・指導医

【参考文献】
J-STAGE 人工甘味料と糖代謝 人工甘味料が引き起こす血糖コントロール不全 エリスリトール 甘みに関する教育内容の再構築と指導
独立行政法人農畜産業振興機構 
近年における人工甘味料の動向

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