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心を落ち着かせる方法~不安・緊張・イライラにもう振り回されない~

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心を落ち着かせる方法~不安・緊張・イライラにもう振り回されない~

当記事の執筆は、臨床心理士・公認心理師  石倉美希が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

環境の変化やストレスがかかる場面で、なんだかソワソワ落ち着かない、ドキドキしてしまうというとき、どんな風に対処していますか?

心が落ち着かないのは、不安や緊張、イライラという感情に振り回されてしまっているからかもしれません。
今回は、すぐに心を落ち着かせたいときにできる方法と感情に振り回されにくくなる習慣について解説します。ぜひ最後までお付き合いください。

今すぐに心を落ち着かせるには?

   今すぐに心を落ち着かせるには?

体や心の働きを自動的に調整する自律神経は、興奮やストレス時に優位になる交感神経と、リラックスするときに働く副交感神経のバランスで成り立っています。

心を落ち着かせるには副交感神経を優位にするのが大切です。

腹式呼吸をする

腹式呼吸をすると、副交感神経が優位になりやすいと報告されています。また、腹式呼吸をする前と後では、不安や緊張、混乱といったマイナスな気分が改善するといわれています。

心が落ち着かないときは、呼吸に意識を向けてみましょう。

腹式呼吸のやり方
①背筋を伸ばし、目を軽く閉じる。お腹に手を当てる。
②口から息をゆっくりと吐く。
③鼻からゆっくりと息を吸う。

呼吸は5分程度続けてみてください。

息を吐くときはお腹がへこみ、吸ったときに膨らむと、正しい腹式呼吸ができていますよ。

腹式呼吸の感覚がつかみにくい方は、仰向けで横になると自然に腹式呼吸になります。

筋弛緩法で緊張を取る

交感神経が優位のときは、体に力が入ってしまうものです。気づかないうちに体に力が入ってしまっていて、あとからどっと疲れが出るという方も多いでしょう。そんな体の緊張を取る方法の1つに筋弛緩法があります。

座ったままで簡単に取り組める、肩の筋弛緩法をご紹介します。

相談相手も1人ではなく、筋弛緩法のやり方

筋弛緩法のやり方
①椅子に浅めに座り、両足は肩幅程度に開く  
 膝の角度は約90度で、足の裏を床にしっかりつける
②5秒間力を入れ、力を抜いたあとは20秒ほどその感覚を味わい、数回繰り返す

体の力を意識的に抜くのはなかなか難しいものです。力を抜くためにはまず、力を逆に入れてみると、解放される感覚を味わえますよ。

他のことに意識を向ける

心が落ち着かないときには、何かに心がとらわれてしまって、そのことばかりを繰り返し考えてしまったりするものです。心理学では同じことを繰り返し考えてしまう状態を反すうといいます。

反すうによってストレスから立ち直るヒントを得られる場合もありますが、その思考から抜け出せなくなり、心身の健康に悪影響となることも多いのです。

抜け出すためには、以下のような行動を取り、意識を別のことに向けるのが効果的です。

・散歩など軽い運動をする
・外の景色を見る
・誰かと話す
・音楽を聴く
・温かい飲み物を味わう

あることを考えないようにしようとすると、かえって考えてしまうという心理学の実験もあります。思い切って、行動を起こすと気持ちも切り替わりますよ。

感情に振り回されにくくなる習慣

感情の高ぶりは、人間の自然な反応であり、必ずしも悪いことではありません。とはいえ、普段から穏やかな心で過ごしたいものですよね。大切なのは、心が落ち着かない瞬間があっても、感情に振り回されないことです。

日々の生活の中でできる工夫をまとめました。

睡眠をしっかり取る

睡眠不足の状態は、日中の眠気や疲れだけでなく、感情の不安定さや注意力や判断力の低下も引き起こすといわれています。睡眠が十分とれていないと、普段だったらうまく対処できる出来事でもうまくいかなくなったり、感情的になってしまったりする可能性があるのです。

よい睡眠は量(睡眠時間)と質(睡眠休養感)が重要といわれています。

睡眠の質をアップさせる方法については、関連記事をぜひご参照ください。

関連記事
睡眠の質を上げる方法をご紹介~1日の過ごし方を見直そう~

自分の心身の状態を観察する

自分の考えや行動をを客観視することをメタ認知といいます。鳥の目のように、自分を俯瞰(ふかん)する力のことです。このメタ認知がしっかり働いてくれることで、冷静に物事に対処できるようになります。

このメタ認知は、普段から自分の状態を観察する習慣をつけることで鍛えられます。ふとしたときに「今自分はどんな気分かな?」と考えてみてください。

また、アプリなど簡単に入力できる方法で記録をしておくと、読みかえしやすくて便利ですよ。

関連記事
糖尿病の自己管理を楽にするセルフモニタリング~ストレスを観察しよう~

コーピングのレパートリーを増やす

ストレスへの対処方法をコーピングといいます。何かストレスを感じたときの対処は

・ストレスの捉え方や気分を変えて対処するコーピング
・問題の解決でストレスに対処するコーピング

の大きく2つに分けられます。

どちらがよいということはなく、臨機応変に使い分けられるのが理想的です。

いつも同じコーピングを使えたらよいのですが、毎回同じ状況とは限りません。そうしたときのためにも、選択肢を多く持っておきたいですね。

関連記事
コーピングリストでストレスに備える!~具体例100個もご紹介~

頼れる人・場所とつながる

心が常に穏やかで、まったく波風が立たないという方はなかなかいません。心が落ち着かないことは誰にもあることなので、「自分だけではない」と思えるとほっとしますよね。

普段から、相談できる人や場所とつながりを持っておくと、いざ困ったことが起きてしまったときにも安心です。

相談相手も1人ではなく、

・家族
・友人
・趣味の仲間
・上司や同僚
・相談窓口

というように、悩みの内容に応じて選択肢があると、相談しやすいだけでなく、適切な解決策を見つけるのにも役立ちます。

厚生労働省 こころを落ち着けるためのWebサイト

落ち着かない背景にある感情

落ち着かない背景にある感情

「心が落ち着かない」と感じるとき、原因が分からなくて対処に困ることがあるかもしれません。心のザワザワの背景によくある感情としては不安・緊張・イライラや焦りなどがあります。それぞれの感情の特徴を知ると、対処法も選びやすくなりますよ。

不安

不安ははっきりとした対象がない恐怖といわれています。人とのやり取りや、未来のことなど、不確定なものに対して抱きやすいですよね。

しかし、不安はストレスを感じたときに、自分の身を守る行動を取ったり、失敗しないように計画を立てたりするのに役立つ感情です。

心が落ち着かない背景に、不安が隠れていると感じたら、まずは何に対して不安を感じているかと自分に問いかけてみましょう。不安の中身がわかると、「そこまで考える必要はないな」と気持ちの揺れが少し落ち着くかもしれません。

緊張

緊張は、物事に素早く対応するための感情といわれています。緊張すると、交感神経が優位に働き、心拍数や血圧が上昇します。これはとっさの動きに対応するために必要な体の準備なのです。

ある程度の緊張は、むしろ「しっかりやらなければ」と自分をうまくコントロールし、よい結果につながることもあります。緊張を和らげるには、成功のイメージを具体的にし、本番に近い環境でリハーサルを繰り返すとよいでしょう。

緊張をほぐす他の方法については、ぜひ関連記事もご覧ください。

関連記事
緊張をほぐすのに効果的な方法7選~ツボ・ストレッチ・呼吸法など~

イライラ・焦り

イライラは怒りだけでなく、思い通りにならないことへのもどかしさや焦りからも生じます。「本当はこうしたい・こうでありたい」という理想のイメージとのギャップがあるときに生じる感情ともいえますね。

「自分自身をよりよくしたい」と自分を高めてくれる感情だ、と視点を変えてみるとイライラした気分も少し受け入れやすくなるのではないでしょうか。

どうにかしてイライラを抑えたいという方は、関連記事で紹介する工夫も取り入れてみてください。

関連記事
とまらないイライラを抑えるには~すぐに使える対処法も紹介~【医師監修】

まとめ

環境の変化やストレスで心が落ち着かないとき、不安や緊張、イライラに振り回されずに対処するには

腹式呼吸:ゆっくりと深い呼吸で副交感神経を優位にし、不安を和らげる
筋弛緩法:意識的に筋肉に力を入れ、その後緩めることでリラックスする
意識を別のことに向ける:散歩や音楽などで思考のループから抜け出す

をまず試してみましょう。

また、穏やかな気持ちで過ごし、感情に振り回されたくないという場合には

十分な睡眠:感情の安定と判断力向上のために重要。
自分の状態を観察:メタ認知を鍛え、冷静に対処できる力を養う。
コーピングを増やす:ストレス対処法を複数持ち、状況に応じて使い分ける。
相談できる相手を持つ:家族や友人など、悩みに応じて頼れる人を確保する。

いうことを日々意識していきましょう。

心の落ち着かなさには不安・緊張・イライラなどが隠れている可能性があります。心の中の感情に名前がつくと、対処もしやすくなりますよ。

本記事が心を落ち着かせ、穏やかな日々を送るヒントになりますと幸いです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。

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参考文献
厚生労働省 こころを落ち着けるためのWebサイト
厚生労働省  e-ヘルスネット
厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド 2023
松浦他(2024). 腹式呼吸が健常者の気分, 脳活動,心臓自律神経活動へ 与える急性効果  理学療法やまぐち 2. 17-23.
志村他(2023). 生活習慣と睡眠の問題が精神的不調に与える 影響についての縦断的分析 精神神経学雑誌 125(1).  27-41.

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