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糖尿病の自己管理を楽にするセルフモニタリング~ストレスを観察しよう~

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当記事の執筆は、臨床心理士・公認心理師  石倉美希が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

糖尿病の治療をしていく上で欠かせない自己管理。食事や血糖値など、管理すべき項目がたくさんあるため「管理すること自体がストレスだ」と感じる方もいらっしゃるでしょう。

実はそうしたストレスによって、さらに糖尿病のコントロールがうまくいかなくなる悪循環にはまってしまう危険があります。

そこで今回はストレスを観察する方法「セルフモニタリング」によって、糖尿病治療の自己管理を少しでも楽にしていくヒントをお伝えいたします。ぜひ最後までご覧ください。

糖尿病の自己管理ってなに?

糖尿病の自己管理とは、食事や運動、服薬などをコントロールし、血糖値を安定させていくことです。糖尿病治療ガイド2022-2023では、糖尿病治療の目標として「糖尿病のない人と変わらない寿命とQOL」が掲げられています。

糖尿病は適切に自己管理をしていくと、合併症の予防や進行を緩やかにできるといわれています。

参考記事:糖尿病とはどんな病気?症状・原因・治療などをわかりやすく解説
     【医師監修】糖尿病の合併症についてまとめました〜発症の順番や予防法も紹介〜

管理すべき項目

糖尿病の方が管理すべき主な項目は以下の通りです。どれも重要な項目ではありますが、どの点を重視していくかは主治医とよく相談して決めましょう。

管理すべき項目

よく使われているツール

管理する項目が多くなると、その一つひとつを覚えておくのは大変なため、記録を付けている方も多いでしょう。記録するためのツールにも色々あり、それぞれに長所短所があります。

ノートなどアナログなツール

 ノートなどアナログなツール

 

長所:必要な項目だけ、好きな形式で記録できる。診察の時に主治医に見せやすい。
短所:文字情報がメインだと変化がわかりにくい。記録が増えてくると管理が大変。

アプリなどのデジタルなツール

アプリなどのデジタルなツール

 

長所:さまざまな記録デバイスとの連携ができたりするため、入力が楽。数値をグラフ化したり、視覚的に確認しやすい。
短所:使い慣れるまでに時間がかかる。

 

各ツールの長所を活かし、場面に応じて使い分けるのもオススメです。自分にあった記録方法を見つけると、管理も楽になりますよ。

参考記事:シンクへルスアプリの紹介記事①(前編)
     シンクへルスアプリの紹介記事②(後編)

自己管理を楽にする鍵はストレスに向き合うこと

糖尿病のコントロールにむけて管理するべきは血糖値を始めとした身体的指標ですが、自己管理を少しでも楽にしたいという場合にはストレスにも着目してみましょう。

身体的指標の記録と同様にストレスについても記録を付けて観察すると、自分の心の動きやそれに伴う行動のクセを見つけられます。

そうした自分の心や体の変化について観察することを心理学では「セルフモニタリング」といいます。

ストレスをセルフモニタリングする方法

ストレスをセルフモニタリングをするには、以下の4項目に分けて整理するのがオススメです。

書き出すことで、自分のストレスや心身の変化が視覚的にわかりやすくなります。

ストレスをセルフモニタリングする方法

イライラをセルフモニタリングしてみましょう

例として、仕事場面でのストレスを整理していきます。

イライラをセルフモニタリングしてみましょう

書き出した内容をチェックするポイントはイライラやがっかりなどの気分に伴って「考えたこと」「行動」です。

「自分がもっと準備をしていたら…」という考えは責任感の強さでもありますが、やむを得ない事情もあったかもしれません。「うまくいかなかったのは自分の責任」と考え過ぎる思考パターンとなっていないかセルフモニタリングで見つけられるとよいですね。

また、ストレスから「ランチでやけ食い」という行動パターンにも注目してみましょう。いつもは食事に気を使っているにもかかわらず、食べることをストレス解消の手段にしてしまっている可能性があります。

ストレスをセルフモニタリングしていくと、どんな時にどんなことを考え、行動しているかを認識できるようになります。そしてそのパターンが分かると「いつもの悪い流れだな」と気づき、違うストレス対処行動をしてみるきっかけになるでしょう。

ストレスのセルフモニタリングを通して、糖尿病のコントロールに関する悪循環も発見できたら、自己管理しやすくなりますね。

自己管理がうまくいかない原因は「やる気」だけではない

自己管理がうまくいかない原因は「やる気」だけではない

糖尿病の自己管理がうまくいかない背景には本人のやる気だけではなく、環境が整っていないことや周りのサポート不足も関係しています。

糖尿病は生活習慣の影響を受けやすい疾患です。そのため、周りから自己管理の必要性を強く求められてうんざりとしてしまったり、「自分の努力不足だ」と自己嫌悪に陥ってしまったりするかもしれません。

しかし、自己管理がうまくいく要因には大きく2つの要因があるといわれています。

内的要因:糖尿病治療への前向きな気持ちや自己効力感(自己管理ができているという感覚)など

外的要因:本人を取り巻く環境、医療従事者からのサポート体制など

「がんばろう!」という気持ちだけでなく、周囲の理解を得て自己管理がしやすくなるように環境を整え、自己管理の方法を具体的にサポートしてくれる人やツールを活用するのが重要です。

まとめ

糖尿病の自己管理を楽にするには、自分にあった記録方法を見つけることと、ストレスのセルフモニタリングを行うことが重要です。

セルフモニタリングで自己管理がうまくいかない原因や自分の考え、行動のパターンを見つけると、ストレスを減らすだけでなく糖尿病のコントロールも楽になります。

また、自己管理は「やる気」の問題だけではありません。続けやすくするために環境を整え身の回りのサポートを活用していきましょう。

糖尿病の自己管理は大変ですが、当記事を参考にストレスをセルフモニタリングしていただけるとうれしいです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
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【参考文献】
・一般社団法人日本糖尿病学会(2022):糖尿病治療ガイド2022-2023,文光堂
・伊藤絵美(2020):セルフケアの道具箱,晶文社
・西尾育子(2017):成人期2型糖尿病患者のセルフケア促進因子に関する研究
・日本糖尿病教育・看護学会誌,21(1),19-27

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