トマトジュースの効果と栄養〜毎日飲むメリットやポイントも解説〜
当記事の執筆は、管理栄養士 佐藤久美が担当しました。
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赤い野菜の代名詞といえばトマト。
「トマトが赤くなると医者が青くなる」といわれるほど、トマトの栄養価は高いです。
ではトマトを加工したジュースは、生のトマトと同様の栄養素が摂れるのでしょうか。
そんな疑問を解決すべく、当記事ではトマトジュースの栄養や効能について解説します。
オススメの飲み方についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
トマトジュースの栄養と効能
トマトジュースにはリコピンをはじめ、健康や美容に嬉しい栄養素が含まれます。
さっそく、どのような効能効果があるのか見ていきましょう。
カロリーと糖質は生のトマトと大差なし
トマトジュースは100mlあたり15kcal、糖質は2.9gで生のトマトと大差ありません。
参考までに、同量(200g)のジュースと生のトマトでカロリーや糖質を比べてみましょう。
カロリー | 糖質 | |
トマトジュース(コップ1杯) | 30kcal | 5.8g |
生のトマト(大きめ1個) | 40kcal | 6.2g |
※200gあたり |
上の表のように、コップ1杯(200ml)のトマトジュースは大きめのトマト1個とほぼ同じ重量です。
そして意外に感じるかもしれませんが、ジュースの方が生のトマトよりも糖質が少ないです。
そのためカロリーや糖質を気にされている方でも、トマトジュースは日ごろの生活に取り入れやすいでしょう。
参考記事:トマトの栄養と効能はやはりすごい!~加工品についても詳しく解説~
抗酸化力の高いビタミンACE
トマトジュースにはビタミンA、ビタミンC、ビタミンEが含まれます。
これらは抗酸化ビタミンと呼ばれており、ストレスや病気に対する抵抗力を高める役割を持っています。
ただし生のトマトに比べると、トマトジュースの抗酸化ビタミン含有量はやや少ないです。
一方でトマトジュースは、忙しいときや外出先でも取り入れやすいでしょう。
ゆえに抗酸化ビタミンを手軽に補う飲み物として、トマトジュースは有用です。
血圧が気になる方に嬉しいミネラル
トマトジュースには、カリウムやマグネシウムなどのミネラルが含まれます。
そして、なんとカリウムは生のトマトより多く、マグネシウムは同じ量がトマトジュースに含まれています。
なおカリウムとマグネシウムの働きは、以下の通りです。
・マグネシウム:栄養素の合成や分解に関わる、血管を広げることによる血圧低下作用
老化に対抗するリコピン
トマトの最大の特長とも呼べる栄養素、リコピン。
リコピンは抗酸化力に優れており、生活習慣病予防や老化の進行を遅らせる働きを持っています。
なお同じように抗酸化作用があるといわれる他の成分よりも、リコピンの抗酸化力は非常に強いです。
たとえば、先ほど紹介したビタミンEと比べて100倍以上の働きがリコピンにあると報告されています。
リコピンの摂取目安量は1日あたり15~20mg程度といわれており、トマトジュース150~200mlに相当します。
参考記事:リコピンとは?効能効果やオススメの摂り方を管理栄養士がポイント解説
トマトジュースに期待される健康効果とは
実は生食用として出回っているトマトよりも、トマトジュースなどに利用される加工用トマトのほうがリコピン含有量が多いです。
したがってトマトジュースは、生のトマトを食べる以上にリコピンの効果が期待できます。
そこでリコピンの効果について、もう少し詳しく見ていきましょう。
悪玉コレステロールを低下
リコピンには、LDL(悪玉)コレステロールを下げる働きがあります。
その効果は高く、摂り方次第ではコレステロールが高めの人に使用される薬に匹敵するともいわれるほどです。
なおLDLコレステロールは、増えすぎると血管の壁にたまり、動脈硬化の進行につながります。
リコピンを手軽に摂れるトマトジュースで、動脈硬化の進行を抑える働きが期待できるのは嬉しいですね。
高めの血圧を低下
リコピンには、血圧を低下させる作用もあります。
とくに最高血圧と呼ばれる、収縮期血圧を下げる効果が認められています。
またトマトジュースを飲むことで、血圧が下がったという報告も。
なおトマトジュースには、リコピン以外にも血圧改善効果のあるカリウムやGABA(※)が含まれます。
血圧が気になる方は、トマトジュースを活用してみてもよさそうですね。
(※)GABAとは、アミノ酸の1種です。
参考記事:血圧の平均を知ろう〜年代別にまとめました〜
参考記事:高血圧にトマトジュースがよいといわれる理由~デメリットや飲み方も~
「朝」に飲むのが効果的!
効率よくリコピンを身体に取り入れたいのであれば、朝にトマトジュースを飲みましょう。
なぜならリコピンの吸収率は、昼や夜に比べて朝が最も高かったと報告されているからです。
トマトジュースをそのまま飲むのもよいですが、ミネストローネにアレンジして朝ごはんにするのもオススメです。
トマトジュースを毎日飲み続けた結果
トマトジュースを飲み続けると、どのようなメリットやデメリットが生じるのでしょうか?
毎日飲んだ場合に考えられることを解説していきます。
メリット
お伝えしているように、リコピンの摂取により悪玉コレステロール値が下がる、高めの血圧が下がるといったメリットがあります。
なおこれらは、1ヶ月以上といった長期摂取した場合での報告が多いです。
ゆえにトマトジュースを飲み続けることは、私たちの体に有益であるといえるでしょう。
デメリット
トマトジュースの種類によっては、塩分が添加されているものもあります。
そのようなトマトジュースを飲み続けることで、塩分を過剰に摂取してしまう可能性があるでしょう。
また、飲みすぎはカロリーオーバーにもつながります。
コップ1杯のトマトジュースでリコピンは十分に摂取できますので、飲みすぎないようにしましょう。
トマトジュースの選び方
トマトジュースは、使うシーンや目的に合わせて選ぶとよいでしょう。
1回で飲み切れる量の物、家族みんなで飲む量の物、塩分が入っていないものなどがありますので、いろいろと比較してみてくださいね。
なお市販のトマトジュースには、特定保健食品に認定されているものと、機能性表示食品に分類されているものがあります。
・機能性表示食品:科学的根拠に基づいた情報が消費者庁へ届けられ、食品の機能性を事業者の責任において表示されているもの
いずれにしても、そればかり飲むことがよいわけではありませんので、日ごろの食事状況に応じて活用しましょう。
また、トマトジュースによるコレステロールや血圧の改善を期待するのであれば、各メーカーが記載している目的や摂取量、飲み方に従ってくださいね。
まとめ
以上、トマトジュースの栄養と効能について紹介しました。
トマトジュースは、リコピンはじめとするトマトに含まれる栄養を手軽に補えます。
メリットやデメリットも正しく把握し、上手に活用できるとよいですね。
それでは当記事が参考となり、健康の維持増進にトマトジュースをお役立ていただけたら幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
文部科学省 食品成分データベース
AgriKnowledge カロテノイド含有野菜のヒト健康への寄与およびその利用 に関する研究
公益財団法人長崎県学校給食会 トマト
PubMed Protective effect of lycopene on serum cholesterol and blood pressure: Meta-analyses of intervention trials
カゴメ株式会社 朝にトマトジュースを飲むと機能性成分”リコピン”が 効率的に吸収されることを”ヒト試験”で確認