糖尿病に亜鉛は良いの?〜効果・食べ物・サプリメントについて紹介します〜
当記事の執筆は、管理栄養士 白石香代子が担当しました。
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亜鉛は糖尿病に関係している栄養素だ、という話を耳にしたことはありますか?
たしかに亜鉛と糖尿病には関連があります。そこで今回は、糖尿病と亜鉛の関係を中心にお伝えすることにしました。
亜鉛が含まれる食べ物やサプリメントに関することまでご紹介しますので、ぜひ最後までお読みくださいね。
糖尿病と亜鉛の関係
亜鉛はインスリンを作るすい臓で必須のミネラルなので、糖尿病と関連があるといえます。ちなみに、インスリンは血糖値を下げるホルモンです。
つまり、亜鉛が不足するとインスリンの分泌が減り、高血糖状態を長引かせる原因となる可能性があります。そして血糖値の高い状態が長く続くということは、糖尿病もしくは糖尿病予備群といえるのです。
参考記事:【医師監修】隠れ糖尿病ってなに?~診断基準や気になる症状についても解説~
亜鉛不足と糖尿病
なおアメリカで82000人を対象行われた調査によると、亜鉛の摂取が少ないグループは多いグループと比べて約17%糖尿病の発症リスクが高かったそうです。この結果から、亜鉛不足は糖尿病発症リスクとなりうると考えられます。
ただし、亜鉛の摂取量と糖尿病の関連性は現在も研究中なので、まだはっきりとしたことはわからないのが現状です。
そもそも亜鉛とは
亜鉛は、体中に存在する200以上の酵素を構成するミネラルで、さまざまな化学反応に関わり体を正常に動かします。
主な働きは
・生殖機能の維持
・肌を健康にする
などが挙げられます。
また亜鉛はDNAの合成に必要なので、胎児や乳児の発育に欠かせません。亜鉛は体内で合成できない栄養素のため、食べ物から摂る必要があります。
亜鉛を多く含む食べ物を紹介
亜鉛は牡蠣やうなぎ、豚レバー、牛もも肉(赤身)、チーズ、抹茶などに多いのが特徴です。そのほか亜鉛は魚介類や肉類、野菜、海藻類、豆類など幅広い食べ物に含まれています。
参考までに、厚生労働省の日本人のための食事摂取基準によりますと、亜鉛1日あたりの摂取推奨量(18-74歳)は男性11mg、女性8mgです。
例えば、ご飯1杯(150g)・サバ1切れ(100g)・納豆1パック(50g)を食べると、男性は1日の推奨量の半分以上、女性はおおよそ4/5程の亜鉛が摂れます。
参考記事:やっぱりすごい!うなぎの栄養成分~体に嬉しい効果について詳しく解説~
吸収阻害に注意
亜鉛の吸収に影響を与えるのは、フィチン酸やシュウ酸、食物繊維、リン酸塩です。
フィチン酸は玄米、シュウ酸はほうれん草、食物繊維は野菜、リン酸塩は加工食品に含まれます。亜鉛はさまざまな食品に含まれるので気にしすぎる必要はありませんが、不足している方は吸収阻害に注意しましょう。
参考記事:玄米は栄養たっぷり!~白米との違いやオススメの食べ方をご紹介~
参考記事:ほうれん草の栄養成分が健康を後押し~効果的な食べ方やレシピもご紹介~
糖尿病に亜鉛のサプリメントは良いのか
亜鉛サプリメントが糖尿病に良い、と言い切るのは難しいです。
なぜなら、糖尿病と亜鉛の関連性はまだ研究中ではっきりとしたことは言えないからです。
海外で行われた肥満の方を対象とした研究では、1日30mgの亜鉛サプリメントを摂取することでインスリン抵抗性(※)の改善がみられた、といわれています。また、亜鉛の摂取が糖尿病やメタボリックシンドロームを減少させる、という報告もあります。
(※)インスリンの効き具合
とはいえ亜鉛は多くの食品に含まれています。魚や肉、野菜や豆類など様々な種類の食品を食べることで、推奨量の亜鉛を摂取できるでしょう。
市販のサプリメントは、亜鉛単独のものからカルシウムやマグネシウムなどが配合されたものなど色々あります。手軽さは魅力ですが、どれが良いのか分かりにくいというデメリットも。
もし亜鉛のサプリメントが気になる場合は、主治医に相談することをおすすめいたします。
副作用はある?
亜鉛の過剰摂取によって、副作用を起こすことはあります。症状としては、吐き気や嘔吐、下痢や頭痛などが多くみられるようです。
しかし、亜鉛の摂取上限量は1日あたり40mgと推奨量よりかなり高い数値が設定されています。そのため、通常の食事で過剰摂取になることはほとんどありません。
つまり過剰摂取になるのは、健康効果を期待して上限量を超える亜鉛をサプリメントなどから摂取した場合と考えられます。
食べ物から取り入れている方や、医師の指導のもと亜鉛のサプリメントを服用している場合は、心配しなくて良いでしょう。
参考記事:糖尿病はマグネシウムで予防?〜理由・食べ物・サプリを分かりやすく解説〜
まとめ
以上、亜鉛はインスリンを作るすい臓に必須のミネラルなので、糖尿病と関連があるとわかりました。
海外の研究では亜鉛不足が糖尿病発症リスクとなるほか、亜鉛のサプリメントを摂取することでインスリン抵抗性の改善がみられる、という報告はあります。
たしかにインスリンは血糖値を調節するホルモンなので、亜鉛は糖尿病と関係するといえます。というのも亜鉛が不足するとインスリンの分泌が減り、血糖値の高い状態が長く続く可能性があるからです。
とはいえ、亜鉛は魚介類や肉類、野菜、海藻類、豆類など私たちが普段摂取する食品に含まれます。つまり、さまざまな食品をバランスよく食べることで、サプリメントに頼らなくても亜鉛の推奨量を満たせるでしょう。
上記を踏まえた上で、亜鉛のサプリメントが気になる方は主治医に相談してみてくださいね。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは血糖値や体重・血圧の記録がカンタンにできます。食事の記録もできますので、日々の血糖コントロールにてぜひ活用してみてくださいね。
参考文献
日本衛生学会 日衛誌 (Jpn. J. Hyg.) 69 15–23(2014)亜鉛と糖尿病
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
厚生労働省 食事摂取基準2020
日本食品成分表2021(八訂) 医歯薬出版株式会社