糖尿病に間食&おやつはダメ?現役管理栄養士が徹底指導
当記事の執筆は、管理栄養士 白石香代子が担当しました。
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気分転換や仕事の合間、疲れた時に間食としておやつを食べると、ほっと一息…幸せな気持ちになれますよね。
あなたはおやつについて、こんなふうに思うことはありませんか?
「糖尿病をもっているとおやつは食べたらダメなの?」
「どんなおやつなら安心して食べられる?」
「コンビニのスイーツを食べたいけど良いのかな?」
原則として、糖尿病の方がお菓子を食べるのは好ましくないとされています。しかし日常生活の中では、お菓子を全てを断つのは難しいのが現実ではないでしょうか。
今回は、糖尿病の方が間食としておやつを食べられる方法について、わかりやすくお伝えいたします。管理栄養士おすすめのおやつも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
※動画で閲覧したい方はこちらをどうぞ(少し画像が粗いかもしれませんが、ご容赦ください)。
目次
糖尿病におやつはOK?
もちろん、糖尿病の方はおやつを食べても大丈夫です(医師からの指導がある場合はそちらを優先してください)。
ただし糖尿病を治療する上で、気をつけなければならないことがあります。なぜなら、間食することで血糖値に大きな影響を与えるリスクがあるからです。
とくに血糖値へ大きく影響する栄養素は、糖質です。一般的な甘いおやつには糖質が多く含まれているので、食べると血糖値が急激に上がります。
よって、血糖値が急激に上昇すると糖尿病が悪化するだけでなく、合併症を発症するリスクが上がってしまいます。
下記は、おやつが血糖値に与える影響をグラフにしたものです。
何も食べていない状態の血糖値に変化はありませんが、甘いお菓子やスナック菓子を食べると血糖値は上昇します。
たとえば間食におやつを食べ、血糖値が下がり切らないまま食事を摂ると、食事におやつ分の血糖値が上乗せされ高血糖状態になってしまいます。
さらに、糖尿病の方の血糖値は下がりにくいため、高血糖状は長く続く可能性が高いです。おやつを食べた時間帯によっては、夜間の血糖値が下がらないまま翌朝を迎えるかもしれません。
このような状況が日常的に続くと、HbA1c(※)が上がり合併症のリスクも高くなります。
(※)過去1~2か月間の血糖値の平均
このような話を聞くと、糖尿病になったらおやつは食べてはダメなのか…と思われるかもしれませんが、そうではありません。
糖尿病の方は、量と選び方さえ守ればおやつを食べられるのです。
おやつの糖質量は1日10gまでを目安にする
一般的には、糖尿病の方のおやつは糖質10g程度におさめるのがよいといわれています。
下記に糖質10g分の洋菓子と和菓子をまとめました。
そのほか、せんべい1枚10gあたりの糖質は10g、クッキー1枚10gあたりの糖質が10gです。糖質10gのおやつはかなり少ないですね。ゆっくりと味わって食べるか、もう少し糖質量の低いおやつを選べば満足感が得られるでしょう。
参考記事:糖尿病のおやつに和菓子は良いの?
低糖質または血糖値が上がらないおやつは何?
低糖質で血糖値の上がりにくいおやつは、ナッツ類や炒り大豆です。
ナッツ類
ナッツ類は他の一般的な食品と比べて糖質量がとても少ないので、糖尿病の方のおやつにピッタリです。さらにナッツ類には噛みごたえがあるので、少量でも満腹感を得られやすいというメリットがあります。
ただし、ナッツ類は高カロリーなのが気になります。糖尿病食事療法のための食品交換表によると、ナッツ類は油脂類と同じグループに属するほど脂質が多く、カロリーも高めです。
そこで、おやつとしてナッツ類を食べる場合は、食品交換表の1単位である80kcal分の量を目安にすることをお勧めします。
参考までに、素焼きアーモンドであれば15粒、ピーナッツは12粒、くるみは8粒、カシューナッツは10粒ほどです。
参考記事:ナッツ類と血糖値の関係〜見落としがちな点をシンプルに解説〜
煎り大豆
大豆を丸ごと煎った、煎り大豆の主な栄養素はたんぱく質で、糖質は少なめです。
ポリポリとした噛みごたえで、ナッツ類と同じく適度な満腹感を与えてくれるのが魅力と言えます。
食べる目安としては、1日あたり20gがよいでしょう。
煎り大豆20gのカロリーは80〜90kcalほどで、糖質量は約3gです。
参考記事:大豆の栄養価は高い!~子どもにも大人にも嬉しい成分が豊富~
甘いものは食べて良いのか?
糖尿病の方は、基本的に甘いものはあまり食べない方がよいです。
甘いものは糖質が多く含まれるからです。摂取した糖質はブドウ糖に変換され、血糖値に大きく影響します。
また、甘いものにバターや乳脂肪のような脂質が多く含まれている場合は、血糖値は上がった後、下がりにくい傾向があると言われています。
良好な血糖コントロールを保ちつつ合併症を予防する糖尿病治療の観点から考えると、甘いものはお勧めできません。
しかし、どうしても甘いものが食べたい日もありますよね。
おすすめはハイカカオチョコレート
甘いチョコレートが食べたいなら、ハイカカオチョコレートがおすすめです。
ハイカカオチョコレートとは、カカオ成分が70%以上のチョコレートのことをいいます。チョコレートの材料であるカカオに含まれる、ポリフェノールの効果を期待できるチョコレートです
下記のグラフは15日間、ハイカカオチョコレートを食べた後に75gブドウ糖負荷試験(※)を行った結果を表したものです。
(※)ブドウ糖75gを溶かしたサイダーのような飲み物を摂取した後、数回にわたって血糖値を測定する糖尿病の検査
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Grassi D.et al.(2005).Am.J.Clin.Nutrit,81:611-614を参考に作成
普通の食事よりも、ハイカカオチョコレートを食べた方が、血糖値の上昇を抑えられていると分かりますね。
血糖値に良い効果が期待できるハイカカオチョコレートなら、日常的に取り入れても安心ですね。
おやつとして午前と午後にわけて食べるほか、食前に食べるのもよいでしょう。ただし、ハイカカオチョコレートのカロリーは高めなので、1回に食べる量は1片5gです。1日3~5回ほど食べて大丈夫ですよ。
参考記事:糖尿病とチョコレートのほろ苦い関係~かんたん低糖質レシピも!~
クッキーも大丈夫?
クッキーは1~2枚であれば大丈夫です。
クッキーの材料は小麦粉と砂糖が多いので、少量でも糖質は多く血糖値を上げやすいです。たくさん食べると血糖値の急上昇につながりますが、量に気をつければ食べられますよ。
基本的な考え方としては、クッキー10gあたりの糖質10gを目安とします。
大きめのクッキーであれば1枚あたり10gのものが多く、小さめのものであれば4〜5gのものがほとんどです。そこで、クッキーを食べる時は大きいもので1枚、小さめなら2枚がよいでしょう。
参考記事:ダイエット中に間食を選ぶポイントとは?〜ランキングやレシピも大公開~
ケーキは食べて良いの?
ケーキの種類と量によっては食べてもよいです。
ショートケーキやチーズケーキ、ロールケーキなどケーキには色々な種類がありますよね。
ではケーキのカロリーや糖質はどのくらいなのでしょうか?1切れあたりの栄養価を比較しながら食べるのに適切か解説いたします。
ショートケーキやチョコレートケーキ、モンブランは1切れあたり300~400kcal台と高カロリーで、糖質も30~40g台と高いことがわかります。カロリーや糖質の面から考えて1回の間食に食べられる量は、1/5~1/4切れです。
レアチーズケーキはケーキの中では糖質は低めですが脂質が多いので、体重増加につながる可能性があります。そのため1/4切れ程度が、安心して食べられる量といえます。
糖尿病の方におすすめなのは、ロールケーキやスフレチーズケーキで、量は1/3~半分程度食べても大丈夫です。
少量じゃ物足りないな、という方は手作りケーキもオススメですよ。
参考記事:糖尿病でもクリスマスメニューを楽しみたい!~カロリー&糖質を抑えるコツを紹介~
コンビニなど市販では何を選ぶとよい?
コンビニやスーパーでは、低糖質のアイスやケーキ、ワッフル、クッキーなどを選ぶとよいでしょう。
もし低糖質でないスイーツを選ぶ場合は、成分表示を見て糖質10g以下を1日1個までを基準に選んでくださいね。
参考記事:糖尿病のコンビニ活用術〜選び方や組み合わせを管理栄養士が直伝〜
参考記事:糖尿病でも舐められる飴はある?〜どうしても食べたい時のおすすめも紹介〜
まとめ
糖尿病患者さんがおやつを食べる際、選び方と食べる量が大切なことわかりましたね。
おやつの糖質は10g以下を基準に選びましょう。
ナッツ類や煎り大豆は糖質が少なく満腹感を得られやすいので、とくにおすすめの間食です。ハイカカオチョコレート1片を1日に3~5回食べるのもよいです。
クッキーやケーキ、市販のスイーツを食べる際は、成分表示を見て糖質10g以下になるよう気を付けてくださいね。
それでは当記事を参考におやつを上手に取り入れながら、毎日の血糖管理に役立てていただけると幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは血糖値や食事の記録がカンタンにできます。おやつなどの食事管理でぜひ活用してみてくださいね。
参考文献
女子栄養大学出版部 香川芳子監修 七訂食品成分表2016
カロリーSlism TOP
長崎女子短期大学紀要 第42号 平成29年度 間食が食後血糖値に及ぼす影響 古賀克彦著
富士フィルムファーマ株式会社 食品中の糖質含有量の目安 徳島大学 黒田暁生先生、濱田康弘先生監修
PubMed ダークチョコレートを短期間投与すると、健康な人のインスリン感受性が大幅に上昇し、血圧が低下します