ケールの栄養は天然のサプリメント~生や加熱での効果の違いも解説~

当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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ケールと聞いてピンとこない方も、青汁と聞けばいかがでしょうか?
そう、あの青汁の成分として有名なケール。
生活習慣病を予防する働きのある栄養素も豊富に含まれます。
「何となく体によさそう」と感じられている理由をケールの栄養素から紐解いていきます。ケールを使った美味しいレシピも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ケールの栄養成分と効能効果
ケールには、美肌や健康に役立つ栄養素がたっぷり含まれています。
それぞれの栄養素と働きについて、解説していきます。
美肌に役立つビタミンC
ケールに含まれるビタミンCは、同じアブラナ科のブロッコリー(ゆで)と比較して約1.6倍です。
なお、ビタミンCは美肌を目指す方にとって重要な栄養素の1つです。
ビタミンCは肌の保湿力を高めるコラーゲンの合成に関与するため、乾燥する季節には欠かせません。
ケール1枚(約100g)には81mgのビタミンCが含まれており、これだけで1日に摂取したい量の3/4が摂れる優れものです。
血圧に関与するカリウム
カリウムは、血圧上昇を抑える働きがあり、高血圧予防に有効とされているミネラルです。
カリウムは体内の水分バランスを保つ働きがあるため、むくみを感じやすい人は不足している可能性も。
なお、塩辛い物が好きで「ラーメンは汁まで飲んでしまう」という方は塩分を控えるのと合わせて、カリウムが含まれる食品の同時摂取もオススメです。
なぜなら、カリウムは体の余分な塩分を排泄する働きがあるからです。
血圧が気になる方は、ラーメンを食べる前後にケール入りの青汁を飲むのもよいでしょう。
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骨粗鬆症対策に役立つカルシウム
実のところ、体内に最も多く含まれるミネラルはカルシウムです。そしてカルシウムの99%が骨と歯に存在するほど、骨や歯に重要な栄養素です。
骨はカルシウムの貯蔵庫とも呼ばれ、体内カルシウム量のバランスを取っています。カルシウムが不足すると、骨粗鬆症などの原因になるので注意が必要です。
とくに日本人は、カルシウム摂取が不足傾向なので積極的に摂りたいですね。
なお、厚生労働省の食事摂取基準によると30~74歳の男性はカルシウムの推奨量が750mgとされています。
しかし令和元年の国民健康栄養調査によると、平均摂取量は505mgと下回っています。
ケール1枚(約100g)にはカルシウムが220mg含まれているので、不足分の大半を補えるでしょう。
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生活習慣病予防に欠かせない食物繊維
食物繊維は、摂取量が多いと生活習慣病(※)の発症率が抑えられるといわれている栄養素です。
(※)生活習慣病とは、糖尿病、脂質異常症、高血圧、動脈硬化などのこと
なお、食物繊維には水に溶ける水溶性と、水に溶けない不溶性があります。
ケールには、便通をよくするのに有効な不溶性食物繊維が多いです。
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抗酸化作用をもつポリフェノールやビタミンがたっぷり
ケールには抗酸化力を発揮するポリフェノールやβ‐カロテンやビタミンA、C、Eが含まれます。
抗酸化成分は、体内でサビとなり肌老化にかかわる活性酸素に対抗する役割を持ちます。
活性酸素は、増えすぎると生活習慣病などにも影響するといわれている物質です。
そのほか、抗酸化作用を持つビタミンA、C、Eをすべてを含むのもケールの魅力ポイント。
ちなみに、ビタミンA、C、EはまとめてビタミンACE(エース)とも呼ばれます。
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ケールは生で食べると危険って本当?
ケールは生で食べても問題ありません。
少し葉がごわついていますが、そのままミキサーでドリンクにすると摂取しやすいです。
デメリットや副作用はあるのか
ケールは、通常の食事に含まれる摂取量であれば安全といわれています。
しかし、授乳中や妊娠中の方は安全を確保するだけの情報が少ないため、多量摂取を控えるようにしましょう。
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ケールは冷凍保存できる食材か
自家製青汁などでジュースにする場合は、栄養素をぎゅっと閉じ込められる冷凍もオススメです。
なぜなら、ケールは冷凍したほうが抗酸化成分が増加する可能性もあるといわれるからです。
冷凍したケールをそのままお好きな食材と共にミキサーにかければ、オリジナルスムージーが作れます。
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ケールは加熱すると栄養はどうなるの?
ケールを加熱すると、ビタミンCなどの熱に弱いビタミン類は損失してしまいます。さっと軽く湯通しする程度にとどめましょう。
なお、湯通しすることで苦味が多少緩和されますので、より食べやすくなります。
また、スープなど汁ごと食べられる調理法にすると、水溶性のビタミンCを余すことなく摂れるのでオススメです。
ちなみに調理法の違いによるビタミンC量を比較した研究では、生に次いで、さっとゆで、冷凍、加熱、冷凍+加熱の順で徐々にビタミンC量が減っていきます。(※)
ビタミンC量を逃さず摂るなら、さっとゆでた状態か、冷凍を活用すると良いでしょう。
ケールを使った美味しいレシピ
栄養価を余すことなく摂るなら、断然サラダがよいでしょう。
またケールに含まれるβカロテンは、油とともに摂取することで吸収が高まりますので、亜麻仁油やえごま油などを一緒にかけると効果がアップします。
しかし、苦味が際立っているのも事実です。そこで苦味を抑え、栄養価の損失も最小限に抑える場合には、軽く塩ゆでがおすすめです。
それでは、ケールの栄養をなるべく損なわずおいしく食べられるレシピをご紹介します。
【生ハムアボカド巻き】
・ケール 2枚
・生ハム 6枚
・アボカド 1個
【作り方】
①沸騰したお湯にケールの葉を数十秒入れ、軽く柔らかくなったら取り出し、3cm幅に切り水気を切る(茎の部分は少し細目にカットすると食べやすい)
②生ハムでケールとアボカドを巻いたらできあがり
※お好みでクリームチーズなどと一緒に巻くのもオススメ
【ポイント】
塩味の強い生ハムと良質の脂質を含むアボカドが、ケールのクセをまろやかに食べやすくします
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【鶏肉とレンコンきのこの塩麹(こうじ)和え】
・ケール 4枚
・鶏ささみ 150g
・れんこん 1/2個
・エリンギ 1本
・パプリカ 1個
・えのき 1/2束
・バター 10g
・塩麹 15g
・塩・こしょう 少々
【作り方】
①沸騰したお湯にケールの葉を数十秒入れ、軽く柔らかくなったら取り出し、3cm幅に切り、水気を切っておく
②鶏ささみを、塩麹に漬け、しばらく置いておく
③れんこんは薄切り、パプリカ・エリンギ・えのきは一口大にカットする
④鍋にバターを入れ②・③を順に、火が通るまで炒める
⑤塩こしょうで味をととのえたら火を止め、①を和えてできあがり
【ポイント】
ケールを最後に和えることで栄養価の損失を最小限に抑え、損失しやすいビタミンCは含有量の多いパプリカでカバーします
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まとめ
以上、ケールは生活習慣病などに効果的な栄養成分を多く含んでいる、とわかりました。
とくに塩分の多い食生活を送っている方や、目の疲れやすい現代人にオススメです。ケール入りの青汁が多く世に出回っているのも納得ですね。
当記事を参考に、ぜひケールを食事の一品として取り入れてみてください。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
文部科学省 食品成分データベース
厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2025 年版)」 策定検討会報告書 令和元年国民健康・栄養調査報告
消費者庁 機能性表示食品について
厚生労働省 健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~
Elzbieta Sikora et al.The antioxidant activity of selected cruciferous vegetables subjected to aquathermal processing:Food Chemistry.2008;107:55-59