人参の栄養成分がすごい!~効果的な料理法ととっておきレシピを紹介~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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1年中スーパーなどで見かける人参は、季節によって北海道から九州まで産地を変えながら通年作られています。
また、人参は肥大した根を食べるいわゆる「根菜」です。
根菜は、人参以外に大根・ごぼう・かぶがあり、どれも健康によいイメージがありますね。もちろん人参にも多くの栄養が含まれています。
今回はそのような人参の栄養成分について、詳しくお伝えしたいと思います。人参の栄養を効果的に摂れるレシピもご紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
人参の栄養素と効能
人参には江戸時代に中国から来た東洋種と、明治時代に日本に来た西洋種があります。なお東洋種は、お正月料理などに使われる金時人参のことです。
今回は現在主流となっている西洋種についてお話ししますね。
目や肌の健康を保つβ-カロテン
β-カロテンは体内でビタミンAに変換される栄養素で、目を乾燥から守り、視力を調整します。
またβ-カロテンは抗酸化作用が強く、肌の老化や動脈硬化の進行を予防する効果が期待できる栄養素です。
カロテンは人参の英語名「キャロット」が由来となるほど、人参にはβ-カロテンが豊富に含まれます。
高血圧を予防してくれるカリウム
カリウムは、体の中の塩分や水分のバランスを保つ栄養素です。
摂りすぎた塩分を体から排出してくれるので、むくみの改善や血圧を下げる効果があります。
整腸作用のある食物繊維
食物繊維には、水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維があり、人参にはどちらも含まれています。
なお不溶性食物繊維は、便のかさを増すことでスムーズな排便を促す栄養素です。
また、水溶性食物繊維は脂質・糖・塩分などを吸着して体の外に排出する働きがあるため、生活習慣病の予防・改善効果が期待できます。
皮の特筆すべき栄養素とは?
皮に含まれる主な栄養素は、中身の人参とほとんど変わりありません。
しかし、体に有用な栄養素であるβ-カロテンは「中身よりも皮に多く含まれている」という特徴があります。
もしも皮つきで食べることに抵抗がなければ、丸ごと人参を食べると余すことなく栄養を摂取できてオススメです。
葉に多く含まれる栄養素
人参の葉には、普段私たちが食べている根の部分と比べて、カリウムや鉄、ビタミンCが多く含まれています。
一方で、根に比べるとβ-カロテンは少ないので、葉も根も上手にとり入れていきたいですね。
人参の葉は、小松菜やほうれん草などと同じ葉物野菜として調理するとよいでしょう。
炒め物やパスタの具として食べると美味しいですので、お店などで見かけたらぜひお試しください。
参考記事:人参のカロリーと糖質は高いの?~糖質代謝に配慮したレシピも紹介~
生と加熱、より栄養成分を逃さない食べ方は?
人参は、生のままが1番栄養成分を逃さず食べられます。
なぜなら人参を茹でると、カリウムやビタミンCなどの水に溶けやすい栄養素がお湯に溶けだし減ってしまうからです。
しかし、人参は茹でるとやわらかくなり多く食べられようになるので、生で食べるのがあまり好きでない方は無理せず加熱して食べるとよいでしょう。
油で炒めると効率よく栄養が摂れる
人参は油で炒めることで、生の状態よりもβ-カロテンの吸収率が高まります。
なぜならβ-カロテンは油と相性がよいので、一緒に調理することで吸収力が上昇するのです。
また油で炒めるだけでなく、人参を油の入ったドレッシングと一緒に食べるとβ-カロテンの吸収力はアップします。
β-カロテンを積極的にとりたい方は、人参を使った炒め物やドレッシングをかけた人参サラダにしてもよいですね。
人参を毎日食べると、お肌に効果的って本当?
人参にはβ-カロテンやビタミンCが含まれているため、肌をきれいにする効果が期待できます。
なおβ-カロテンやビタミンCが肌に与える影響は、以下の通りです。
・ビタミンC:日焼けやシミを予防する
またβ-カロテンとビタミンCには抗酸化作用といって、体が酸化されるのを防ぐ働きがあります。
そのためβ-カロテンとビタミンCの摂取は、体が過剰に酸化されることで起こる肌老化を防止することにつながるのです。
参考記事:エイジングケアは何から始めればいいの?〜肌対策や生活習慣についても紹介~
食べすぎるとどうか
人参を食べすぎても、大きな問題はありません。
しかし「人参を食べすぎるとビタミンAの過剰摂取になるのでは?」と心配される方もいらっしゃるでしょう。
人参にはβ-カロテンが多く含まれ、β-カロテンは体内でビタミンAに変わります。実はビタミンAを摂りすぎると、肝機能などに異常をきたす恐れがあります。
ところが、β-カロテンは体内にビタミンAが充分に存在するときは、ビタミンAには変換されません。つまり、人参を食べすぎても健康に大きな害はないといえるのです。
しかしどのような食べ物でも1つに偏るのではなく、さまざまな食材を食べる方が健康によいといえます。人参に限らず、バランスよく食べることが大切ですね。
栄養満点!にんじんが主役のレシピをご紹介
それでは、人参をたっぷり使ったメインのおかずにもなる「人参たっぷりのひき肉入りオムレツ」をご紹介しましょう。
このレシピでは油を使って調理するので、人参に含まれるβ-カロテンの吸収率がアップします。
また卵やひき肉を使うことで、人参にあまり含まれていないたんぱく質(※)を補えます。
(※)たんぱく質とは、筋肉や皮膚を構成する栄養素のこと。
・人参 1本
・合い挽き肉 100g
・卵 3個
・牛乳 大さじ3
・油 大さじ1
・塩(卵用) 少々
・塩(具用) 小さじ1/2
・こしょう 少々
・ケチャップ 適量
【作り方】
①人参は千切りにし、卵と牛乳をよく混ぜて塩を少々加えておく
②フライパンで合い挽き肉を炒め、油が出てきたら人参を入れてさらに炒める
③人参がやわらかくなったら塩・こしょうで味付けしてお皿に移す
④キッチンペーパーできれいに拭いたフライパンに油をひき、②を入れ半熟になったら、③を入れて形を整える
⑤火が通ったらお皿に移して、ケチャップをかけたら完成
参考記事:やはり卵は最強食品!~栄養成分と効能効果を管理栄養士が解説~
参考記事:トマトの栄養と効能はやはりすごい!~加工品についても詳しく解説~
まとめ
以上、人参はβ-カロテン、カリウム、食物繊維といった体に有用な栄養素が多いとわかりました。
また、皮や葉っぱにも栄養素があります。皮には多くのβ-カロテンや食物繊維が含まれるので、抵抗のない方は皮ごと食べると人参の栄養を余すことなく摂取できます。
なお、油と一緒に食べることでβ-カロテンの吸収力がアップするので、ご紹介したレシピもぜひお試しください。
それでは当記事が参考となり、栄養たっぷりの人参を食卓に取り入れていただければ幸いです。
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参考文献
文部科学省 食品成分データベース
厚生労働省 e-ヘルスネット
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
独立行政法人農畜産業振興機構 今が食べ頃!甘くて美味しい“春にんじん”