お酢の効果を一挙公開!~健康・調理への影響や飲むタイミングも解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 佐藤久美が担当しました。
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「お酢は体にいい」
なんとなく聞いたことのある方も多いのではないでしょうか?
実のところ、お酢は塩とともに人類最古の調味料であり、体験的に知られるさまざまな効果が伝承されています。
そこで今回は、お酢の効果について科学的根拠が明らかになったものを紹介していきます。
健康にまつわるものから調理に対するものなど、幅広くお伝えしますのでぜひ最後までご覧ください。
目次
お酢の健康効果6選!
さっそく、お酢の健康効果を6つ紹介します。
②高めの血圧を下げる
③血糖値の上昇率を穏やかにする
④骨粗しょう症の予防
⑤疲労回復
⑥便秘解消
なお、お酢の健康効果は「酢酸」によるものです。
酢酸とは、酸っぱさの正体であり、酢全体の4〜5%を占める成分です。
①ダイエット効果
お酢には、肥満気味の方に対して内臓脂肪や体重の減少を助けるなどダイエット効果が期待できると報告されています。
なおこの実験では、食酢(酸度5%)約15ml含む飲料を朝晩2回にわけて12週間毎日摂取しました。
その結果、下記のような体の変化が得られています。
・体重:平均1.6%減少
・腹囲:平均1.5%減少
このようなダイエット効果は、お酢の主成分である酢酸が次のように働いたためと推測されています。
・脂肪燃焼に関わる分子の遺伝子発現を促進させる
ダイエットに励む方は、食事や運動などの改善とともにお酢を取り入れてみるのもよさそうですね。
参考記事:お酢にダイエット効果があるってホント?~飲み方やタイミングも解説~
参考記事:【簡単】ダイエットの成功はモチベーションを上げること〜そして楽しく続けましょう〜
②高めの血圧を下げる
お酢には、高めの血圧を下げる効果も期待できます。
血圧が高めの方が、食酢(酸度5%)約15ml含む飲料を10週間毎日摂取すると、次のような血圧低下が見られたそうです。
・最低血圧(拡張期血圧):平均8.0%減少
これにも酢酸が大きく関わっていると推測されています。
・酢酸を代謝する過程で、血管を広げる物質が作られる
なお高めの血圧を改善するには、減塩も大切です。
そして、お酢には減塩を後押ししてくれる働きもあるのです。
こちらに関しては後ほど「お酢の調理効果4選!」で詳しくお伝えしますね。
参考記事:血圧を下げるお茶~選び方やオススメ商品をランキングでご紹介~
参考記事:【医師監修】血圧をすぐに下げる方法はあるのか〜食事や運動が大切〜
③血糖値の上昇率を穏かにする
お酢には、食後血糖値の上昇率を抑制するとの実験結果もあります。
血糖値とは血液中のブドウ糖濃度を測定したもので、だれでも食後は上昇するものです。
しかし血糖値が急激に上がってしまうと、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが過剰に分泌されます。
インスリンには余分な糖を脂肪に変えて体に蓄える働きもあるため、過剰に分泌されると太りやすくなるでしょう。
また血糖値の高い状態が続くと糖尿病のリスクが高まったり、血管が傷んだりします。
そして血管が炎症を起こすと、血管の壁が厚みを持ったり硬くなったりと動脈硬化が進行しやすくなります。
つまり食後血糖値の上昇率を穏かにすることは、肥満や糖尿病のリスク低減や動脈硬化の進行予防につながるのです。
なお先ほどの実験では食酢(酸度5%)約15mlを食事と一緒に摂ることで、お酢を摂らなかったときと比べて、食後血糖値の上昇率が89%に留まったと報告されています。
これは、酢酸が糖質の吸収を穏やかにしたためと考えられます。
参考記事:【医師監修】血糖値を下げる飲み物&食べ物ランキング〜注目の食材とは?〜
参考記事:血糖値を下げるために運動が有効〜初心者でもできる5つの運動を紹介〜
④骨粗しょう症の予防
殻付きの貝や骨付き肉などをお酢で煮ると、そうでないときと比べカルシウムを多く摂れるようになり、骨粗しょう症の予防に有効です。
なぜなら、お酢には本来捨ててしまう殻や骨に含まれるカルシウムを引き出す力があるからです。
しじみの味噌汁を例に、どのくらいカルシウム量が増えるのでしょうか?
水200ml、殻付きしじみ50g、お酢7.5mlを8分間加熱し、味噌小さじ2を入れると、お酢を入れなかったときに比べてカルシウム量が3.4倍多く溶出するそうです。
ちなみにお酢の量を増やすと、カルシウムの溶出量は増えますが酸味も強くなりすぎると報告されています。
カルシウムは骨粗しょう症予防に欠かせませんが、私たちにとって不足しがちな栄養素です。
しじみの味噌汁のように、酢を入れて煮込んだものを汁ごと摂れば、手軽にカルシウム摂取量を増やせますね。
⑤疲労回復
お酢には、運動後に生じる身体的疲労感の自覚を軽減する効果が期待されています。
7日間毎日お酢を摂取したのち運動(自転車こぎ)をした集団は、お酢を摂らなかった集団と比べて、運動後30分および就寝前の身体的疲労感の自覚が軽減したそうです。
身体的な疲労を軽減したいときには、お酢を習慣的に摂取するのがよさそうですね。
⑥便秘解消
お酢は、便秘解消にも役立つでしょう。
なぜならお酢やお酢によって分泌された胃酸には、胃や腸を刺激し蠕動(ぜんどう)運動を活発にする働きがあるからです。
蠕動運動とは消化管にみられる運動の1つで、内容物を先へ押し出していく役割があります。
つまり蠕動運動が活発になれば、便がスムーズに排出しやすくなるのです。
参考記事:腸活とは?~何から始めるとよいのか管理栄養士が徹底解説〜
参考記事:腸活に良い食べ物ランキングTOP5~続けられる簡単レシピもご紹介~
お酢の調理効果4選!
ここからは、お酢の調理効果について紹介します。
②減塩に役立つ
③肉や魚を美味しくする
④食材の色を鮮やかにする
さっそく見ていきましょう。
①抗菌作用
お酢には抗菌作用があります。
なぜならお酢はpH2.5〜3.5の強酸性であり、微生物が増殖しにくい環境(※)だからです。
(※)微生物が活発に増殖するのは、pH5.0~9.0のとき
したがって食材を長持ちさせるために、お酢で締めたり酢漬けにしたりすることもありますね。
②減塩に役立つ
お酢には「塩味の強調」と「塩味の物足りなさを補う」といった、2つの減塩効果があります。
塩味の強調とは、お酢を少量使用したときに生じるものです。
隠し味程度にお酢を入れることで、塩分が控えめでも塩味を感じやすくなるでしょう。
反対にお酢を多めに入れれば、酸っぱさによって塩味の物足りなさをカバーできます。
塩分の摂りすぎは高血圧やむくみの原因になりますので、お酢を使って美味しく減塩できるとよいですね。
③肉や魚を美味しくする
お酢は肉を軟らかくしたり、魚の生臭さを抑えたりもします。
これには、お酢のpHが関係しているようです。
お酢を加えることで肉が酸性になると、たんぱく質分解酵素の働きが強くなります。
その結果、肉が軟らかくなったり骨離れがよくなったりするのです。
また魚の生臭みは、トリメチルアミンなどアルカリ性の物質が原因となります。
つまり酸性の酢を加えて中和すれば、生臭さが抑えられるというわけです。
④食材の色を鮮やかにする
酢は、食材の色を鮮やかにしてくれます。
赤しそやみょうがを酢で漬けると、赤みが強くなりますよね。
これは赤しそやみょうがに含まれるアントシアニンが、酸性で赤くなるためです。
また、レンコンやごぼう、カリフラワーなどを白く仕上げたいときにも酢が役立ちます。
これらを茹でるときに、少量の酢を加えてみてはいかがでしょうか?
【りんご酢や黒酢】種類による違いとは
酢は原料によって種類が異なります。
ここでは代表的な4種類の酢「穀物酢、米酢、黒酢、りんご酢」についてまとめました。
種類 | 主原料 | 特徴 |
米酢 | 米 | ・米の甘みとアミノ酸が豊富 ・和、洋、中すべての料理に適している |
穀物酢 | 米、酒粕、小麦、コーンなどの穀物 | ・米酢よりも香りや酸味が強め ・スッキリしていてクセがない |
黒酢 | 玄米 | ・コクがある酸味 ・まろやかで甘みがある ・肉や揚げ物との相性がよい |
りんご酢 | りんご果汁 | ・フルーティーな香り ・爽やかな酸味 ・ドレッシングやソースに適している |
いずれのお酢も酢酸が4~5%含まれるため、健康や調理への効果は大きく変わりません。
それぞれの特徴や好みに合わせて活用するとよいですね。
参考記事:りんご酢はダイエット向き?~効果や栄養士オススメの飲み方を大公開~
酢は健康に悪いって本当?
お伝えしているように、酢は健康を維持、増進する上で役立つ食材です。
ただし、お酢を原液で摂取すると刺激が強く、胃に不快感が生じることもあるでしょう。
そのため、お酢は調味料やドレッシングとして使用したり、水で薄めて飲んだりするとよいですね。
毎日飲むとどんな効果があるのか
ご紹介した健康効果の多くは、毎日継続してお酢を摂ることで得られます。
ドリンクタイプのお酢もうまく活用すれば、手軽に続けられる方法の1つとなるでしょう。
ただし商品によっては、飲みやすくするため砂糖や果糖ぶどう糖液糖など糖分が多く添加されているものもあります。
これらを飲みすぎれば、肥満へとつながる恐れもありますので注意が必要です。
ドリンクタイプだけに頼らず、普段の食事で酢を使った料理も取り入れたり、無糖のお酢を薄めて飲んだりと、さまざまな方法でお酢を取り入れられるとよいですね。
参考記事:もずくの栄養成分と効能効果~健康に効果的な食べ方も伝授~
まとめ
今回は、お酢の効果について解説しました。
①ダイエット効果
②高めの血圧を下げる
③血糖値の上昇率を穏やかにする
④骨粗しょう症の予防
⑤疲労回復
⑥便秘解消
①抗菌作用
②減塩に役立つ
③肉や魚を美味しくする
④食材の色を鮮やかにする
なおご紹介した健康効果の多くは、毎日継続してお酢を摂ることで得られます。
1日1品はお酢料理を取り入れてみてはいかがでしょうか?
それでは当記事が参考となり、健康のためにお酢を取り入れていただけたら幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは血糖値や体重、運動や食事の記録がカンタンにできます。日々の血糖コントロールにてぜひ活用してみてくださいね。
参考文献
J-Stage 食酢の多彩な効用 Effects of black vinegar beverage intake on exercise-induced fatigue in untrained healthy adults: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial