ストレスで太る?メンタルヘルスケアをダイエットに活かそう!
当記事の執筆は、臨床心理士・公認心理師 石倉美希が担当しました。
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忙しい毎日でストレスの多い生活を続けた結果、気がついたら体重が大幅に増えてしまった!とお悩みではないでしょうか?ストレスが体に及ぼす影響として、体重が増えてしまうことはよくあります。
ダイエットしたい場合、食事や運動は必須ですが、メンタルヘルスのケアが結果としてダイエットにつながることもあります。
今回はストレスと太りやすさの関係や対策について、メンタルヘルスケアの視点からまとめました。
どうぞ最後までお付き合いください。
目次
食べていないのに太るのはストレスのせい?
ストレスが多い生活を送っていると、食べていないのに太ることはあります。
主な原因はホルモンと活動量の大きく2つに分けられます。
ホルモンとの関係
ストレスがかかると、抗ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増えます。コルチゾールはストレスから身を守るだけでなく、糖を作る、脂肪の分解、抗炎症、免疫抑制といった作用があり、体に必須のホルモンです。
しかし、ストレスによってコルチゾールの分泌が慢性的に多くなると、インスリンの効きが悪くなり、血糖値が上がりやすくなります。
そのまま対処せずにいると、体重増加だけでなく、糖尿病をはじめとした生活習慣病のリスクが高まります。
食べる量に気を付けていても、ホルモンバランスの乱れによる代謝の異常で太る場合があるのです。
また、忙しさから睡眠不足になると、食欲抑制ホルモンであるレプチンの分泌が減り、食欲増進ホルモンのグレリンの分泌が増えます。
自分では「あまり食べていない」と思っていても、実は食欲が増して食べ過ぎていることもあるかもしれません。
活動量の減少
ストレスが多いとき、体や心は消耗し「動くのがつらい」と活動量が減り、必然的に消費カロリーが減ります。
体重が増えてしまうのは消費カロリーが摂取カロリーより少ないときです。
なかなか思うように体が動かせず、消費カロリーが低下している中、いつもと同じ食事を取っていると「食べる量は増えていないのに太ってしまった」と感じるでしょう。
ストレスで太りやすい人の特徴
ストレスで太りやすい人には以下のような特徴があります。
ご自身はいくつ当てはまるでしょうか。
▢ 慢性的に睡眠不足
▢ 体が冷えやすい
▢ 基礎代謝が低い
▢ 肩が凝りやすい
多く当てはまるほど、ストレス太りのリスクは高まります。
太りやすい体質だからと諦めず、メンタルヘルスケアを意識的に取り入れてみましょう。
ストレス太りはメニューと食べ方に注意!
ストレスは体へ影響するだけではなく、食事内容や食べ方などの生活習慣にも影響を与えます。
疲れているとき、普段ならしない行動をしたり、いつも気にしていることをしなくなったりしませんか?食事に関して起こりやすい変化は食事の選び方・速食い・やけ食いの3点です。
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食事の選び方
ストレスが多い人ほど、ストレスに対抗しようと脳がエネルギーを必要とするため、高カロリーの食事が食べたくなるといわれています。
疲れていると健康的な食事のためにいろいろと気をつかう気力がなくなり、ついついファストフードやコンビニを利用することもありますよね。そのとき、手早く満足感が得られる高カロリーの食事を選んでしまうと体重増加につながってしまいます。
速食いのリスク
速食いは満腹感を得にくく、カロリーの過多につながりやすいです。
満腹感は食事を始めてから約20分後に出てくるといわれています。また、速食いをする人はお腹いっぱいになるまで食べてしまう傾向が、調査によって明らかになっています。満腹感が得られる20分の間に速いペースで食べると、食べ過ぎてしまうのです。
さらに、急いで食べると食後の血糖値は急上昇します。血糖値が急上昇すると血糖値スパイクが起き、隠れ糖尿病のリスクが高まります。ゆっくり食べて、少しでも血糖値の上昇をゆるやかにしたいですね。
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速食いをする理由は長年の習慣だけでなく、忙しい毎日の中で食事という時間の優先順位が下がっている場合もあります。食事をゆっくり楽しむ余裕がない状態は食べ過ぎて体重増加につながるだけでなく、メンタルヘルスにとっても良くないことですね。
※早食いと表記される場合もありますが、ここでは「食べるスピードが速い」ことを意味するために「速食い」と表記しています。
やけ食いによる影響
ストレス解消の手段として、おいしいものを食べる、スイーツなどの甘いものを食べる、お酒を飲むという方は多いでしょう。
適量であれば食事もよいストレス解消法ですが、気晴らしの手段が食べることばかりに偏ってしまうと、食べ過ぎになってしまいますね。
ストレス解消法として、食べる・飲む以外の手段も取り入れていくのが大切です。
ダイエットにもつながるメンタルヘルスケア
メンタルヘルスのケアをダイエットに応用した方法をご紹介します。
マインドフル・イーティングのやり方
マインドフルネス瞑想を食事に応用したマインドフル・イーティングという方法があります。マインドフル・イーティングとは、価値判断せずに食べ物や食事で感じることに意識的に注意を払うことです。
マインドフルに食べると、食事の満足感がアップするだけでなく、気持ちの安定にもつながります。
① 味噌汁の入ったお椀を目の前に置き、2~3回深呼吸して自分に集中を向ける
② 口に入れる前に、手でお椀の温かさを感じたり、味噌の香りを嗅いでみる
味噌の色もじっくり観察する
③ 味噌汁を口に含む 飲み込まず、だしや味噌の味を味わう
④ 飲み込み、喉を通るのを感じる
⑤ 豆腐やわかめもそれぞれ、目で観察した後に口に入れ、食感や味を確かめる
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本当の空腹感をチェック
ストレスを感じて「何か食べたい」という時には、本当に今空腹なのかを確認することが重要です。空腹感がよくわからない場合は、一度あえて食事の間隔を空けてみてください。自分の空腹の状態をよく観察してみることもマインドフル・イーティングの一歩です。
自分の空腹の状態がわかったら、空腹度を10段階評価(0:まったく空腹でない~10:最高レベルの空腹)でチェックしてみましょう。
「何か食べたい」気持ちは身体的な空腹ではなく、気分転換したいという思いかもしれません。食べるという方法以外の気分転換をおこなうと、カロリーの摂りすぎを防げるでしょう。
五感を満たしてストレス解消!
食べたい気持ちをコントロールするのには、五感をフル活用するような手段がオススメです。
五感とは、味覚・聴覚・嗅覚・視覚・触覚のことです。
味覚は上記のマインドフル・イーティングが活用できますので、その他の感覚について紹介します。
嗅覚:アロマやお香を焚く、香水をつける、花を飾る
視覚:自然の中を歩く、景色のよい場所に出かける、アートを見る
触覚:フワフワでやわらかいクッションを抱える、肌ざわりのよいタオルを使う
それぞれの感覚に集中することでストレス解消するだけでなく、食欲も落ち着くでしょう。
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まとめ
以上、ストレスと太りやすさの関係や対策について、メンタルヘルスケアの視点からご紹介しました。
まとめますと、以下の通りです。
・ストレスによって活動量が減ると、消費カロリーが減少し、太りやすくなる
・ストレスがかかると食事の選び方や食べ方に変化が起きる
・メンタルヘルスケアはこころの健康とダイエットに活かせる
・満足感をアップする食べ方や食事以外のストレス解消法でストレス太りの対策ができる
ストレスによって太ってしまったとお悩みの方が、無理なくメンタルヘルスケアとダイエットを両立する参考になりますと幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
深尾他(2020). 内分泌・代謝領域の心身症再考. 心身医学研究. 60(2). 142-149.
速食いと肥満の関係 -食べ物をよく「噛むこと」「噛めること」 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
井上他(2022). 摂食行動の情動調整効果における有効性認知及び食事時間の関連の検討. 感情心理学研究. 29(1). 9-15.
ジーン・クリステラー他(2020). マインドフル・イーティング 過食から自由になる心理学. 日本評論社.
日本肥満学会(2022). 肥満症診療ガイドライン2022. ライフサイエンス出版.