明太子の栄養と健康効果~塩分やプリン体についてもわかりやすく解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 佐藤久美が担当しました。
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うま味が強くピリッとした味わいでご飯、パスタ、パンなどさまざまな食材との相性がバッチリな明太子。
「明太子の食べすぎはよくない」と耳にすることもありますが、なかなか箸が止まらないこともありますよね。
では明太子を食べすぎると、どのような影響があるのでしょうか?
今回は明太子の栄養と健康効果について、詳しく紹介していきます。
気になるダイエットや痛風との関係についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
明太子の栄養と効能
明太子は魚の卵で、たんぱく質やEPA、DHAなどが豊富に含まれます。
さっそくどのような効能があるのか見ていきましょう。
体を作るもととなる「たんぱく質」
明太子100g中のたんぱく質量は21.0gと、全体の約20%を占めます。
これは、魚や肉と同じくらいの割合です。
参考までに、私たちが普段口にすることの多い鶏卵のたんぱく質は、全体の約12%です。
明太子のたんぱく質はあまり注目されませんが、意外と多く含まれていることがわかりますね。
明太子のたんぱく質量が注目されにくい理由は、1回に食べる量が少ないからです。
明太子は1本約40g、おにぎりの具材に使う場合は10g程度です。
そうすると含まれるたんぱく質量は、それぞれ8.4gと2.1gとなります。
したがって、明太子だけでたんぱく質を摂るのは非効率的といえるでしょう。
一方で「今日はたんぱく質が足りない」と感じるときには、明太子を取り入れるとよいですね。
たんぱく質は、筋肉や臓器、髪や爪などを作るのに欠かすことのできない栄養素です。
健康維持のためにも、たんぱく質が不足することのないよう、うまく補いましょう。
赤血球の合成に欠かせない「ビタミンB12」
ビタミンB12は、正常な赤血球を作るのに重要な役割を持っています。
そのためビタミンB12が不足すると、貧血になることもあります。
天然由来のビタミンB12は動物性食物にのみ含まれるため、野菜ばかり食べるなど偏った食事にならないよう注意しましょう。
参考までに、18歳以上の方は1日2.4μgのビタミンB12を摂ることが推奨されています。
おにぎり1個に入っている明太子にはおおよそ1.1μgのビタミンB12が含まれますから、これだけで1日に摂りたい量の半分近くを摂れますね。
生活習慣病予防に役立つ「DHA」と「EPA」
DHA(ドコサヘキサエン)とEPA(エイコサペンタエン酸)は魚油に多く含まれる、脂肪酸の1種です。
DHA、EPAそれぞれに期待される働きは、以下の通りです。
なおDHAやEPAは、脂の多い魚や部位に多く含まれます。
そのため100gあたりで比べると、明太子に含まれるDHAやEPAはスケトウダラの魚肉よりも多いです。
ただし上の表のように、1回に食べる量に換算すると明太子よりも魚肉にDHAやEPAが多いとわかりますね。
たんぱく質と同様にDHAやEPAも明太子だけで補うのは難しいですが、魚の食べる頻度が少ないときにはうまく取り入れるとよいでしょう。
参考記事:オメガ3脂肪酸とは?効果と多く含まれる食材をシンプルに解説
明太子とたらこの栄養面での違い
明太子とたらこの主な栄養素について、比べてみましょう。
上の表で紹介したすべての栄養素において、たらこは明太子よりも含有量が多い結果となりました。
ただし明太子とたらこで、あまり大きな違いがないこともわかります。
これは明太子とたらこ、どちらもスケトウダラの卵を原材料にしているからです。
・たらこ:スケトウダラの卵を塩漬けにしたもの
このように、明太子は塩漬けにした卵に調味液を加えているので、塩分はたらこよりも多くなりますよ。
食べすぎに注意すべき理由
明太子は体に嬉しい栄養素も含まれますが、塩分やプリン体が多いので食べすぎると健康を損ねる可能性もあります。
どのくらいの量なら安心して食べられるのかを知るために、塩分とプリン体について詳しく見ていきましょう。
塩分
明太子100g中には、5.6gの塩分が含まれます。
明太子は1本約40gですから、塩分量は2.2gとなりますね。
日本人の食事摂取基準によると18歳以上の方が1日に目標とする塩分摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満です。
つまり1食に摂る塩分の目安は男性2.5g、女性2.1gです。
したがって明太子を1本食べると、1食分の塩分量を摂っていることになります。
塩分は浸透圧の調整に関わっているため、熱中症や脱水の予防に重要です。
一方で塩分の過剰摂取は高血圧、むくみ、口の渇きなどにつながります。
また最近の調査では「塩分摂取量が目標よりも平均で2g上回っている」との報告があります。
明太子に関わらず、塩分の多い食品は食べる量や頻度に注意しましょう。
プリン体
明太子はプリン体が多く、100g中に159.32mg含まれます。
参考までに、ほかの魚卵と比べてみましょう。
この表では、明太子のプリン体の多さが際立っていますね。
プリン体は代謝されると尿酸になり、通常の量であれば排泄されます。
しかし尿酸が多くなりすぎると血液中に溜まるので、痛風を引き起こすリスクが高まるのです。
ちなみに、プリン体摂取の目安は1日400mgとされています。
明太子由来のプリン体だけで400mg以上摂ることは考えにくいですが、ほかの食品との組み合わせには配慮しましょう。
1日に食べる量の目安はどのくらいか
明太子は1日に、10~20gでしたら安心して食べられます。
なぜならこの量を食べる分には、塩分の過剰摂取につながりにくいからです。
先ほど、1日に摂る塩分の目安は男性7.5g未満、女性6.5g未満と紹介しました。
明太子1本(約40g)に含まれる塩分は2.2gですから「もっと食べてもいいのでは?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ただし塩分は明太子だけでなく、ほかの料理にも含まれます。
トータルの塩分摂取量を考慮すると、10~20gが安心して食べられる明太子の量となるでしょう。
ちなみに明太子に含まれる食べすぎに注意したい栄養素の2つ目に「プリン体」を紹介しました。
ただし明太子由来のプリン体だけで目安量を超えることは考えにくいため、食べる量の目安は塩分量を基準としています。
ダイエット中に明太子は食べられる?
ダイエット中でも、明太子は食べられます。
ただし、塩分が多くピリッとした味わいの明太子は食欲が増して、ついご飯を食べすぎてしまうこともあるので注意が必要です。
もしかすると、いつの間にかカロリーや糖質を摂りすぎているかもしれません。
ダイエット中に明太子を食べるときには、食事全体の量にも気を付けましょう。
まとめ
以上、明太子の栄養について解説しました。
明太子はたんぱく質やビタミンB12、DHA、EPAといった健康に嬉しい栄養素が含まれます。
ほかの食材とうまく組み合わせて、明太子を健康維持に活用できるとよいですね。
一方で明太子の食べすぎは、塩分の過剰摂取につながります。
塩分を摂りすぎると、高血圧やむくみ、食べすぎのリスクが高まります。
ゆえに、明太子は1日10〜20gを目安に楽しみましょう。
それでは当記事を参考に、明太子を適度に楽しんでいただければ幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
文部科学省 食品成分データベース
厚生労働省 eJIM
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020 年版) 「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書
農林水産省 特集1 だから、お魚を食べよう!(1)
厚生労働省 全国辛子めんたいこ食品公正取引協議会
厚生労働省 e-ヘルスネット