【医師監修】食後高血糖になるとどんな症状が起こる?〜改善方法を紹介〜
当記事は、内科認定医・糖尿病専門医 古賀 萌奈美先生にご監修いただきました。執筆はライター 前間弘美(管理栄養士)が担当しました。
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食後に眠気やだるさを感じたことはありませんか?その症状は、食後高血糖によるものかもしれません。
血糖値は1日の中でも常に変動しています。誰でも食事を摂ると血糖値は一時的に上昇します。血糖値が上昇すると、ホルモン(インスリン)が分泌され、上昇しすぎないよう血糖値の調整をしているのです。
しかし、食事のペースや内容、膵臓のホルモン分泌能によっては、ホルモン分泌が遅れ、血糖値の急激な上昇につながります。
このように食後に血糖値が急上昇する状態が食後高血糖です。
食後高血糖を放置すると、体への負担は避けられません。血管が傷つき、動脈硬化が進む要因となります。
食後高血糖によってどんな症状が起こるのか知っておくと、改善にも役立てられますね。
そこで今回は、食後高血糖の具体的な症状や危険性について詳しくお伝えします。改善方法も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
食後高血糖の症状として起こり得るもの
食後高血糖により起こる可能性がある症状には、
・倦怠感
・空腹感
・眠気
・集中力の低下
などがあげられます。
このうち喉の渇きや倦怠感などの症状は、血糖値が著しく高くなった場合に見られやすいといわれています。
ただしどの症状も、食後高血糖だけが原因となって起こるわけではありません。そのため症状が出ていても、ご自身が食後高血糖だと判断するのは難しいでしょう。
自覚症状がほとんどない
血糖値上昇の程度がそれほど大きくなければ、基本的に自覚症状はほとんどありません。
食後に高血糖状態であっても、血糖値の上昇の程度や普段の血糖値の程度によって、症状が出る場合と出ない場合があります。
先ほどご紹介した喉の渇きや倦怠感などの症状は、血糖値が著しく高くなった場合に見られやすいといわれています。
食後の眠気は反応性低血糖の可能性も
血糖値が急上昇すると、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが分泌されます。しかし、インスリンの分泌が過剰になったり、インスリン分泌のタイミングがずれたりすると、血糖値が下がり過ぎてしまいます。高血糖に反応して低血糖となった状態が、反応性低血糖です。
反応性低血糖では、食後2-4時間に眠気や集中力の低下、不安感や空腹感などの症状が見られます。
皆さんが困っている食後の眠気は、反応性低血糖の症状のひとつかもしれませんね。
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食後高血糖の基準値は?
食後高血糖の基準値は、食後2時間の血糖値140mg/dL以上です。
健康な人は基本的に、多くの量を食べても血糖値が140mg/dL以上になることはほとんどありません。このことから食後の血糖値は140mg/dLを基準として、上回っていれば食後高血糖であるといえます。
糖尿病との違い
食後高血糖と糖尿病の違いは、血糖値の高い状態が食後だけ起こるか、そのほかの時間帯にも続いているかというところです。
食後のみ高血糖を呈している状態は、境界型糖尿病(いわゆる糖尿病予備軍)であることが多いです。
一般的に膵臓のインスリン分泌能が低下してくると、まずは食後高血糖が生じ、進行に伴い食前の血糖値も高くなってきます。
ただし、食後血糖値が200mg/dl以上を2回以上認めた場合は、空腹時血糖が正常であっても、それで糖尿病の診断に至ります。
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健康診断で見逃されているかも
健康診断では、空腹時の血糖値を測定しています。
食後高血糖で高くなるのは、「食後」の血糖値です。そのため空腹時の血糖値を測定する健康診断では、食後高血糖を見逃してしまう恐れがあります。
そこで食後の血糖値を調べる検査として、75gOGTTというブドウ糖負荷検査があります。75gのブドウ糖入り飲料を摂取し、血糖値の変動をチェックするのです。
75gOGTTを行うと、空腹時血糖値が正常範囲内である100-109mg/dlの方のうち 25~40% が境界型(※1)や糖尿病型(※2)に属するとされています。
(※1)糖尿病予備群ともいわれ糖尿病一歩手前の状態
(※2)糖尿病の領域に入っている状態
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痩せ型の方も注意が必要
血糖値が高いと聞くと、太っている方によく起こることだと思う方もいらっしゃるかもしれません。実は、痩せ型の方も食後高血糖になる可能性があります。
痩せ型でも筋肉量の少ない方や、肝機能の低下している方などでは、血中の血糖を取り込むことができず、高血糖が持続します。また低糖質食で食事の脂質量が増えている場合も食後高血糖が持続しやすくなります。
放置するとどうなるのか
食後高血糖に気づかず放置してしまうと、特に血管に負担がかかります。血管に負担がかかることで、さまざまな病気に進展する可能性があります。
糖尿病や動脈硬化のリスクが上がる
食後高血糖が起こっているということは、膵臓が血糖値の上昇に対応できず血糖値を下げられないのです。この状態が続けば食後だけにとどまらず、空腹時も血糖値が高い状態となります。放置すれば、糖尿病の発症リスクが高まります。
食後高血糖により、空腹時から血糖値が急激に高まると、血管へのダメージは避けられません。血管のダメージが蓄積すると、やがて動脈硬化につながります。
また食前よりも食後の高血糖の方が動脈硬化症の危険性が高いとされており、心血管疾患リスク、総死亡リスクを上昇させることが判明しています。
食後高血糖を放置するのは、とても危険ですね。
食後高血糖は治るの?血糖値を下げる4つの改善法を紹介
食後高血糖は、生活習慣を見直すことで改善が見込めます。血糖値を下げる改善法を4つ紹介します。
②野菜から食べ始める
③よく噛んでゆっくり食べる
④食後に軽く運動する
それでは、以下で詳しく説明しますね。
①3食規則正しく食べる
時間がないと食事を抜いてしまうことがありますよね。特に朝食を抜いてしまいがちな方は多いのではないでしょうか。
食事を抜くと、次の食事後の血糖値が通常より上昇しやすくなります。3食規則正しい時間に食べることで、血糖値を安定させることができますよ。
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②野菜から食べ始める
野菜に含まれる食物繊維は、腸での糖の吸収速度をゆるやかにする働きがあります。食物繊維を先に食べることで、糖の吸収を抑え、血糖値の上昇を防げるのです。
野菜から食べ始めるのが難しい場合はタンパク質の豊富な肉や魚、卵を使ったおかずから食べ始めても良いでしょう。タンパク質は糖の吸収速度を抑えるだけでなく、インスリン分泌を促す効果が期待できます。
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③よく噛んでゆっくり食べる
よく噛まずに食べると、食事のペースが早くなります。消化吸収の速度が上がるため、血糖値の急上昇につながります。よく噛んで食べれば、食事のペースをコントロールできるので、血糖値の上昇もゆるやかになるでしょう。
また、よく噛むと満腹中枢が刺激され、食事量を抑えることにも効果的です。
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④食後に軽く運動する
食後に運動をおこなうと、筋肉でエネルギー源として糖を消費するため、血糖値の急上昇を抑えられます。激しい運動は消化の妨げとなってしまいますが、軽くなら運動しても問題ありません。
まずは食後は座らず、できるだけ立ちあがるところから始めてみると良いでしょう。
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食後は立ち上がる習慣がついてきたら、ストレッチなどの軽い運動を取り入れてみるとよいですね。
血糖値の見える化も食後高血糖の対策になる
血糖値の上昇や低下を症状だけで判断するのは、なかなか難しいことです。血糖値の状態やあらわれる症状にも個人差があります。
最近では、血糖値を測定できる機械が身近に増えています。中でも、CGM(※)はセンサーを一定期間装着することで、24時間の変動を継続して把握できるのです。
(※)皮下の間質液中のグルコース値を持続的に自動で測定する機器
ご自身の食後の血糖値がどのように上昇したり、低下したりするのか、血糖値の状況がグラフで見えると安心できますよね。食後高血糖とならないように、生活習慣の見直しへのモチベーションも高まります。
血糖値の見える化で食後高血糖が判明した場合は、上記で紹介した改善法を取り入れてみると良いでしょう。
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シンクヘルスアプリで血糖変動を把握しよう
シンクヘルスアプリは、血糖値や血圧、体重などのデータと食事・運動・服薬・気分・日記などの日々の記録を一括で管理できる健康管理アプリです。
シンクヘルスアプリを使うと、血糖変動を把握できるだけでなく食事や運動などのさまざまな記録と照らし合わせて確認できます。血糖値と生活習慣の関連がわかると、改善に向けて取り組みやすいですよね。
ぜひあなたの健康管理にお役立てください。
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まとめ
食後高血糖の症状には、喉の渇き・倦怠感・空腹感・眠気・集中力の低下などがあげられます。自覚症状はないことが多く、健康診断でも見逃されがちです。
しかし、食後高血糖を放置すると、糖尿病や動脈硬化のリスクが高まります。
生活習慣を見直すことで、食後高血糖の改善が見込めるので、以下の血糖値を下げる改善法を実践してみてくださいね。
②野菜から食べ始める
③よく噛んでゆっくり食べる
④食後に軽く運動する
血糖値の見える化も食後高血糖を防ぐ上で、効果的な手段です。
弊社の無料アプリシンクヘルスでは血糖値を見える化し、生活習慣などの日々の記録と一括して管理できます。ぜひご活用ください。
それでは当記事が参考となり、あなたの健康な生活のお役に立てばうれしいです。
参考文献
日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2024
厚生労働省 糖尿病に関する留意事項
International Diabetes Federation (2007) 食後血糖値の管理に関するガイドライン
順天堂大学 日本人低体重若年女性の耐糖能障害(IGT)の割合と特徴
空腹時・食後高血糖とその診断基準 日内会誌 98:717~724,2009