パイナップルの栄養と効能~健康効果や妊婦さんへの影響も詳しく解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 松原知香が担当しました。
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デザートとしてだけではなく、酢豚など料理にも使われるパイナップル。
そしてパイナップルに含まれている栄養の効能効果は、便秘解消や美肌など私たちの健康的な体づくりをサポートしてくれます。
そこで今回はパイナップルの栄養と効能について詳しく解説いたします。保存状態による栄養の違いや、普段あまり食べない芯の栄養についてもお話ししますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
パイナップルの栄養素と効能効果
パイナップルに含まれている主な栄養素として糖質、食物繊維、たんぱく質分解酵素(ブロメライン)、ビタミンC、ビタミンB2、カリウムがあげられます。
ここでは、それぞれの働きについて解説いたします。
糖質は体を動かすエネルギー源
糖質は体を動かす際のエネルギーとして使われる栄養素です。パイナップルには100gあたり12.6gの糖質が含まれています。
最近では糖質制限がダイエットの選択肢としてメジャーになり、糖質が悪者扱いされるケースも少なくありません。しかし、必要以上に糖質を制限してしまうと、エネルギー不足となり体を動かす元気がなくなったり、頭が働かないといったデメリットにつながります。
なお、パイナップルは糖質が少ないといわれるグレープフルーツやキウイフルーツよりは多い一方、バナナやマンゴーなど糖質の多い果物に比べると少なめです。
参考記事:糖質の多い果物ランキング~糖質制限中にオススメの果物もご紹介~
食物繊維で便秘解消
食物繊維は、水に溶けて糖の吸収を穏やかにする水溶性食物繊維と、便のかさを増やして腸を刺激し便通を促す不溶性食物繊維があります。
パイナップルにはどちらの食物繊維も含まれますが、不溶性の方が多く存在します。他の果物と比較すると、じつはバナナと同じくらい含まれているのです。
水溶性食物繊維(g) | 不溶性食物繊維(g) | |
パイナップル | 0.2 | 1.0 |
バナナ | 0.1 | 1.0 |
参考記事:食物繊維を多く含む食べ物をランキング形式でご紹介~ダイエット中にオススメな理由も解説~
たんぱく質分解酵素が消化吸収を助ける
パイナップルに含まれるたんぱく質分解酵素(ブロメライン)は、名前の通りたんぱく質を分解する酵素です。酵素は私たちの体の中で、栄養素の消化・分解・吸収・代謝を助ける重要な役割をもっています。
ちなみに、パイナップルをミキサーでペーストにしたものにお肉を漬けておくと、たんぱく質分解酵素の働きにより、焼いても硬くならず柔らかい状態で食べられます。
また、パイナップルを食べると舌がピリピリするといった経験はありませんか?あれは、たんぱく質分解酵素が舌の上のたんぱく質を分解することで起こる現象です。
この現象は、パイナップルを一度にたくさん食べると起こりやすいので、食べ過ぎにはご注意ください。
ビタミンC・ビタミンB2で美肌効果
ビタミンCは、美肌には欠かせないコラーゲンを作る際に必要となる栄養素です。しみの原因となるメラニン色素の生成を抑える、日焼けを防ぐといった女性には嬉しい働きなども多くあります。
さらに、パイナップルに含まれているビタミンB2は美肌の大敵、ニキビの対策に有効です。ビタミンB2は皮脂の分泌を調整する働きがあり、「皮膚のビタミン」とも言われています。
カリウムで高血圧対策
カリウムは、余分な塩分を水分と一緒に体の外へ排出する働きがあります。パイナップルは生で食べる機会も多いですが、100gあたり150mgのカリウムが含まれており、フルーツの中では平均的な含有量です。
私たち日本人は調味料からの塩分を摂取する機会が多く、世界的に見ても塩分摂取量が多いといわれています。
パイナップルのように生のフルーツを間食やデザートで上手に取り入れて、高血圧予防に努めましょう。
参考記事:【医師監修】高血圧とはどんな状態?~症状や生活習慣での改善ポイントを解説~
冷凍や缶詰でも栄養はあるの?
冷凍すると、生の状態より栄養が減ってしまうイメージですよね。たしかに冷凍することで細胞が壊れるため、解凍した時に細胞内に存在しているカリウムや水分が抜けやすくなります。
また缶詰と生のパイナップルを比較すると、ビタミンCが缶詰にすることで1/5まで減ってしまいます。
※100gあたり | ビタミンC(mg) |
パイナップル(生) | 35 |
パイナップル(缶詰) | 7 |
しかし、他の栄養面で大きな変化はありません。
さらに、冷凍や缶詰には水分が多く傷みやすいパイナップルを日持ちさせるというメリットがあります。
生の状態と比べて全く栄養がないというわけではないため、好きな時に食べられるという手軽さを求めている方には、冷凍も缶詰もおすすめです。
参考記事:冷凍野菜に栄養はあるの?~オススメレシピとともに管理栄養士が解説~
ドライフルーツはどうか
ドライフルーツにする際に加熱する工程が含まれていると、たんぱく質分解酵素(ブロメライン)とビタミンCが壊れてしまいます。
そのため、はっきりとした数値は不明ですが上記2つの栄養素については、生の状態と比べて少ない可能性があります。ただし冷凍や缶詰のパイナップルと同様に、ドライフルーツにすると日持ちする点はメリットです。
パイナップルの芯にも栄養はあるのか
普段、パイナップルの芯は食べずに捨ててしまったり、そもそも芯を取り除いた部分しか買ったことがないという方は多いですよね。
実はパイナップルの芯にも、たんぱく質分解酵素であるブロメラインが含まれています。芯は他のフルーツとともにミキサーにかけると、スムージーとしておいしく食べられますよ。
丸ごとパイナップルを買う機会があったら、ぜひ芯まで食べてみてください。
毎日パイナップルを食べるメリット
先ほども触れた通り、生のパイナップルは不溶性食物繊維が豊富なので、毎日食べると便秘の解消に役立つメリットがあります。
ただし、1度に食べる量が多すぎると糖質の摂り過ぎにつながる可能性も。
適量として1日の目安量を200g(約13切れ)程度、ダイエット中でカロリーや糖質が気になる方は100gまでにするとよいでしょう。
参考記事:パイナップルのカロリーと糖質はやや低め〜缶詰やダイエットでの活用法も紹介〜
妊婦がパイナップルを食べてはいけないの?
妊婦さんがパイナップルを食べてはいけない、ということはありません。むしろ、パイナップルは妊婦さんにも食べていただきたいフルーツです。
理由は、パイナップルに含まれている食物繊維の効果です。妊娠すると腸の動きが鈍くなり便秘になりすいため、パイナップルに含まれる食物繊維の働きにより、便秘解消が期待できます。
注意点は、缶詰のパイナップルのカロリーや糖質量です。缶詰のパイナップルはシロップ漬けになっているため、生の状態よりカロリーや糖質が高くなります。
食べ過ぎには気を付けて、できるだけ生のパイナップルを食べるとよいでしょう。
【話題の】台湾パイナップルってなに?
台湾パイナップルと一般的なパイナップルの違いは甘さと柔らかさです。通常のパイナップルと比べてより濃厚な甘みと柔らかさが特徴で、固くて捨ててしまいがちな芯までおいしく食べられます。
スーパーではなかなか見かけないですが、ぜひ一度食べてみたいですね。
まとめ
パイナップルには糖質や食物繊維、ビタミンC、ビタミンB2、カリウムが含まれ、毎日食べることで便秘解消や美肌効果が期待できます。
またいつもは捨ててしまいがちな芯にも、私たちの体に重要なたんぱく質分解酵素が含まれているので、捨てずに活用するとよいでしょう。
パイナップルは生の状態が1番多くの栄養素を摂取できます。一方で生は傷みやすいため、冷凍や缶詰、ドライフルーツといった日持ちする状態で保存すると、好きな時に食べることができます。
それでは当記事を参考に、パイナップルの栄養成分で健康な生活を送っていただけるとうれしいです。
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【参考文献】
文部科学省 食品成分データベース
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
経済産業省 ケミカルワンダータウン パイナップルの逆襲!?
農林水産省 医療分野でも活用される冷凍技術
福島県 県産果物の加工 ドライフルーツの加工
東京かつしか赤十字母子医療センター 母子日赤だより 食物繊維について
台湾新聞 「台湾パイナップルのご紹介」~低カロリーでヘルシーな果実