ピーナッツの栄養がもたらす健康効果~薄皮の栄養や適量についても解説!~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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豊かな香りが特徴のピーナッツ。おやつやおつまみにピーナッツを食べる方も少なくないでしょう。
実はピーナッツは美味しいだけでなく、健康な身体を作るのにも役に立つ食べ物です。
今回は、ピーナッツの栄養について詳しく解説します。薄皮の栄養や食べる量についてもお伝えしますので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
ピーナッツの栄養素と効果
ピーナッツは、ズバリ栄養満点の食べ物です。
その理由は、私たちの体に必要な栄養素を数多く含んでいるからです。
それでは、詳しく解説していきます。
身体を作るたんぱく質
ピーナッツは、体を作るうえで欠かせないたんぱく質が豊富です。
たんぱく質は皮膚や臓器、筋肉、ホルモン、抗体など身体を作る材料になります。またエネルギー産生栄養素(※)でもあるので特に重要な栄養素です。
(※)私たちの身体にエネルギー源として必要な「炭水化物・たんぱく質・脂質」の総称のこと。「三大栄養素」とも呼ばれます。
ちなみに、ピーナッツには100gあたり25gのたんぱく質が含まれています。
おなじナッツ類であるくるみは100gあたり14.6gと約10gもの差があり、ナッツ類の中でもピーナッツがたんぱく質豊富であることがおわかりいただけるでしょう。
体に必要不可欠な不飽和脂肪酸
ピーナッツは約半分が脂質からできています。肥満の原因にもなる脂質ですが、ピーナッツの脂質には不飽和脂肪酸という、体にとって有益な脂質が多く含まれているのです。
不飽和脂肪酸は魚や植物の油に含まれており、青魚で有名なDHAやEPAも不飽和脂肪酸です。
ピーナッツにはリノール酸という不飽和脂肪酸が豊富に含まれており、悪玉(LDL)コレステロールを減らすことに加えて、血圧を下げる作用があります。
また、リノール酸は体内では作ることができず、食事からの摂取が必要なため「必須脂肪酸」と呼ばれます。
ピーナッツは、リノール酸を補うのにピッタリな食材ですね。
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便秘改善が期待できる食物繊維
ピーナッツには、現代人が不足しがちな食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維の主なはたらきは、お通じを改善させることや、血中のコレステロールや血糖値の急上昇を抑えることで、生活習慣病予防に効果的です。
便秘に悩む方や血中コレステロール値・血糖値が気になる方は、積極的に摂るべき栄養素といえます。
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身体のさまざまな反応に必要な亜鉛
亜鉛もピーナッツに豊富な栄養素の一つで、体内で作ることができないため食事による摂取が必要です。
亜鉛は細胞や酵素の中に存在しており、たんぱく質やDNAの合成、免疫に関わります。また細胞を作るにも必須な栄養素です。
欠乏すると、味覚障害や成長障害が起こる可能性があります。
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身体の調子を整えるビタミン
ビタミンの役割は身体の状態を正常に維持することです。ここではピーナッツに豊富なビタミンを挙げ、その作用についてご紹介します。
ビタミンB1
糖質からエネルギーを作り出すのを助ける
ナイアシン
糖質やたんぱく質、脂質の代謝を始め、ホルモンやDNAを作り出す反応など、様々な反応の手助けをする
ビタミンE
抗酸化作用により、皮膚や血管を正常に保つ
薄皮に含まれる栄養がすごい!
ピーナッツの薄皮にはポリフェノールの一種であるレスベラトロールが豊富に含まれています。
そのレスベラトロールが持つ効果は、アンチエイジングです。
レスベラトロールの抗酸化作用が、肌が老化する原因の一つである活性酸素(※)などを増えすぎないようにしてくれます。また、心臓病や生活習慣病の予防にも効果的です。
(※)活性酸素は私たちの体に必要なものですが、酸化ストレスなどにより増えすぎると、細胞を傷つける可能性があります。
薄皮の栄養を余すところなく摂取するためにも、ピーナッツはぜひ皮ごといただきましょう。
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茹でるとピーナッツの栄養は変わるのか
ピーナッツを茹でると、ビタミンB1やナイアシン、ビタミンCなど水に溶けやすい栄養素が減る可能性があります。
これらの栄養素を無駄にすることなく摂りたい方は、炒る・揚げるといった調理法がよいでしょう。
ちなみに、ピーナッツは茹でるとじゃがいものようにホクホクした食感が楽しめます。塩味をきかせると、いつもとは異なる食感のおつまみになりますよ。
なお、作り方はこちらになりますので、気になった方はぜひ作ってみてくださいね。
①殻のついたピーナッツをよく洗う
②たっぷりの塩水に入れ、蓋をして火にかける
③沸騰したら弱火で40分間加熱する
④火を止めて10分間蒸らす
【注目】酢ピーナッツって何?
酢ピーナッツとは、その名の通りピーナッツを酢に漬けたもので、シャキッとした食感が楽しめます。
そして、酢に含まれる酢酸はとても健康に良い成分です。酢酸の効能に次のようなものがあります。
・消化促進
・糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病の予防
このように、酢ピーナッツを食べるとピーナッツの栄養に加えて、健康面で嬉しい効果を得ることができます。
ピーナッツのカロリーは高い?
先ほども触れましたが、ピーナッツは半分が脂質からできているためカロリーが高い食材です。
ちなみに100gあたりのカロリーは613kcalで、これは30~40代男性の1日のエネルギー必要量の約23%、女性の約30%に相当します。
スーパーなどで売られているピーナッツは一袋あたり100g前後ですので、一袋食べてしまうとかなりのカロリーを摂取することになります。
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ピーナッツを食べ過ぎることによるデメリット
カロリーの高いピーナッツは、食べ過ぎると体重増加の原因になる可能性があります。
また、脂質の多い食品は、食べ過ぎると下痢や便秘などのお腹のトラブルを起こしやすくなります。ピーナッツは脂質が約半分を占めるので、注意が必要です。
また、バターなどで味付けされた商品はさらに脂質が増えます。その場合は脂質の摂り過ぎにならないようより一層気を付けましょう。
毎日食べると身体に悪いのか
食べ過ぎ注意のピーナッツですが、「適量」を心がければ毎日食べても体に悪いわけではありません。
適量については、1日20〜30粒程度がオススメです。間食として丁度いい量ですので、小腹がすいた時に食べるのがよいです。
また、日本や訪米諸国が行ったいくつかの研究によると、ピーナッツの摂取量が多いと脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患の発症リスクが低下することが明らかになっています。
適量を心がけて、健康のためにピーナッツの栄養を役立てたいですね。
ピーナッツバターはどうか
ピーナッツの加工品であるピーナッツバターも、カロリーが高いため食べ過ぎると体重増加につながります。
ピーナッツバターはピーナッツをすりつぶして作りますが、商品によってピーナッツのみを使用したものから、食べやすくするために砂糖や食塩、脂肪分を加えたものもあります。
ピーナッツのみのものと比べて、砂糖や脂肪分を加えたものは当然加えた分のカロリーや糖質は増えるため、食べ過ぎには注意が必要です。
一方でピーナッツバターはパンに塗って食べる方が多いと思いますが、薄く塗るなどの工夫をすれば食べ過ぎることはないでしょう。
【比較】ピーナッツとアーモンドの栄養
最後に、ピーナッツと同じく、食べる機会の多いアーモンドの栄養を比べてみました。
ピーナッツ (いり) | アーモンド (いり/無塩) | |
カロリー | 613kcal | 608kcal |
たんぱく質 | 25.0g | 20.3g |
脂質 | 49.6g | 54.1g |
不飽和脂肪酸 | 39.4g | 47.7g |
食物繊維 | 11.4g | 11.0g |
亜鉛 | 3.0mg | 3.7mg |
ビタミンB1 | 0.24mg | 0.03mg |
ナイアシン | 23.0mg | 3.9mg |
ビタミンE | 10.0mg | 29.0mg |
*100gあたり
上の表を見ると、カロリーやビタミンB1、ナイアシンはピーナッツの方が多くなっています。反対にアーモンドの方に多く含まれているのは脂質、不飽和脂肪酸、ビタミンEです。
そして、カロリー、たんぱく質、食物繊維、亜鉛の量には大きな差がありません。そこでピーナッツとアーモンドはその時に摂取したい栄養素によって食べ分けると良いでしょう。
豆知識になりますが、実はピーナッツとアーモンドは栄養面だけでなく植物学的な分類も異なります。
ピーナッツがマメ科であるのに対し、アーモンドや他のナッツが種実類です。ピーナッツは土の中に実がなりますが、アーモンドは地上に実がなります。栄養の違いの他に、植物としても異なるのは意外ですね。
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落花生とピーナッツはどう違うの?
ピーナッツはしばしば落花生と混同されることがありますが、全く同じものではありません。
まず、ピーナッツは殻に入っている実のことを指します。対して落花生は実の部分だけでなく、殻や根、葉、茎、花などピーナッツがなる植物全体を意味します。
つまり、落花生からピーナッツが作られるといえますね。
まとめ
以上、ピーナッツの栄養について解説しました。
まとめますと、
・薄皮には抗酸化作用のあるレスベラトロールが豊富
・茹でピーナッツや酢ピーナッツは異なる食感が楽しめる
・カロリーが高いので食べ過ぎには注意
・1日20〜30粒を目安にする
となります。
食べ過ぎに注意しつつも、ピーナッツの良さを最大限に引き出して食べるとよいでしょう。
それでは、当記事があなたの食生活のお役に立てれば幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット
千葉県 落花生/旬鮮図鑑 レシピ/ゆで落花生
一般財団法人全国落花生協会 栄養満点の落花生
国立がん研究センター ピーナッツ摂取と脳卒中および虚血性心疾患発症との関連
J-STAGE 生活習慣病に及ぼす食酢の効果