オリーブの実にはどんな栄養がある?~健康効果を管理栄養士が解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 佐藤久美が担当しました。
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ピザやパスタの具として利用されることの多い、オリーブの実。
オシャレなイメージはあってもあまり馴染みがなく、自ら購入したことのない方が大半かもしれません。
「オリーブオイルは健康にいいって聞くけど、オリーブの実はどうなの?」
そう感じる方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、オリーブの実に含まれる栄養について解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
オリーブの栄養と効能
オリーブの実には健康に嬉しい栄養素が詰まっています。
さっそく順に見ていきましょう。
悪玉コレステロールを減らす「オレイン酸」
オリーブに含まれる油の主成分は、オレイン酸です。
オレイン酸には善玉コレステロールを減らさずに、悪玉コレステロールを減らす働きがあります。
またオリーブの油を多く摂取する地中海地方では、心臓病が少ないといった調査結果も報告されているのです。
ただし、オレイン酸も摂りすぎれば脂質の過剰摂取となります。
オレイン酸は体内でも合成できる脂質ですから、たくさん摂る必要はありません。
オリーブの実や油を食べすぎて、カロリーオーバーにならないよう注意しましょう。
抗酸化作用のある「ビタミンE」
オリーブの実には、ビタミンEが含まれます。
とくに注目されているビタミンEの働きは、体内の脂質が酸化されるのを防ぐことです。
体内の脂質が酸化されると、細胞が正常に働かなくなり、動脈硬化の進行につながる恐れがあります。
つまりオリーブの実に含まれるビタミンEには、健やかな血管を保つ働きが期待できるというわけです。
スムーズな排便を促す「食物繊維」
オリーブの実には、食物繊維も含まれます。
先ほど紹介したオレイン酸やビタミンEはオリーブオイルにも含まれますが、食物繊維は「実」ならではの栄養素です。
オリーブの実に含まれる食物繊維は、おもに便のカサを増す働きがあります。
便のカサが増せば腸が刺激され、スムーズな排便につながりますよ。
お腹の調子が気になる方は、オリーブの実を試してみるのもよいですね。
色による違いはあるのか
オリーブの色によって、含まれる栄養素に大きな違いはありません。
実のところオリーブの実は、成熟する過程で色が変化します。
・ブラックオリーブ:完熟
実が熟すと水分量が増えるため、ほとんどの栄養素で未熟(緑色)の方が濃縮されています。
ただし上の表のように、栄養素量に大きな差があるわけではありませんから、好みに合わせて選ぶとよいですね。
オリーブのカロリー
先ほどお伝えしたように、オリーブのカロリーは100gあたり121〜148kcalです。
ちなみにオリーブの種をくり抜いて、赤ピーマンなどのペーストを詰めた「スタッフドオリーブ」も同程度のカロリーです。
実の大きさにもよりますが、オリーブは1個3g程度、つまり4kcalほどですから「意外と低カロリー」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
オリーブの実から抽出されたオリーブオイルが有名なため、実も脂質が多く高カロリーと思われがちです。
しかし、オリーブの実はそこまでカロリーが高くないといえますね。
参考記事:オリーブオイルのカロリーは高い?〜ダイエット効果や糖質オフレシピも紹介〜
オリーブが体に悪いといわれる2つの理由
オリーブの実が体に悪いと噂される要因は「塩分が多いこと」と「脂質が多いこと」だと考えられます。
ではオリーブの塩分と脂質がどのくらい多いのか、詳しく見ていきましょう。
①塩分が多い
市販のオリーブは塩漬けのものが多いため、塩分量が高いです。
とくにスタッフドオリーブは100gあたり5.1gと、かけうどん1杯分の塩分とほぼ同じ量を含みます。
塩分の摂りすぎはむくみやのどの渇きの原因となるだけでなく、高血圧のリスクを高めます。
日本人は塩分を摂りすぎる傾向にありますから、オリーブの食べる量にも注意しましょう。
サラダやパスタの具材に入れるときには、オリーブの塩味を利用し調味料は少なめにするとよいですね。
オリーブをそのまま食べたい方は、水にさらして塩抜きするのも減塩方法の1つです。
②脂質が多い
市販のオリーブは塩漬けのほかに、オイル漬けのものがあります。
オイル漬けに使われるオリーブオイルは、大さじ1杯で107kcalと高カロリーです。
したがってオイル漬けのオリーブを食べすぎると、脂質やカロリーの過剰摂取につながりますよ。
参考までに塩漬けのオリーブであれば、脂質の含有量は100gあたり12〜15gほどです。
塩漬けのオリーブ1個あたりの脂質は1gに満たないため、意外と少ないと感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。
オリーブの適量は1日何個?
オリーブの実は「1日何個まで」といった基準はありません。
あえて提示するのであれば、1日5個程度が目安となるでしょう。
なぜなら市販のオリーブは塩分や脂質が多いため、ほかの食事とのバランスを考慮しなければならないからです。
スタッフドオリーブも1日5個であれば塩分は1g未満となり、食事全体を通して塩分量の調整がしやすいです。
もちろん普段の食事で味の濃いものを食べている方や、外食が多い方は慢性的に塩分の摂取量が多い可能性もあります。
その場合はオリーブの食べる量を減らしたり、刻んで調味料代わりに楽しんだりと食べ方を工夫しましょう。
まとめ
以上、オリーブの栄養について解説しました。
オリーブにはオレイン酸、ビタミンE、食物繊維など健康に嬉しい栄養素が含まれます。
ただし市販のものは塩漬けやオイル漬けになっているため、好き放題食べてしまうと塩分や脂質の摂りすぎにつながります。
最近ではスーパーなど身近なお店でもオリーブの実を販売していますので、料理のアクセントとして適度に楽しんでみてはいかがでしょうか?
それでは当記事が参考となり、オリーブの実に対する興味を持っていただけたら嬉しいです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
東京聖栄大学 オリーブオイル
J-STAGE 高度不飽和脂肪酸とオレイン酸の健康栄養機能
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報 ビタミンE
香川県 オリーブの品種・生態
農林水産省 フードガイド(仮称)検討会報告書案