金柑には注目すべき栄養素がたっぷり~健康効果や食べる量を徹底解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 松原知香が担当しました。
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近年、冬になるとスーパーなどでもよく見かける金柑。
金柑はみかんのように鮮やかなオレンジ色をしており、皮まで食べられる珍しいフルーツです。はるか昔より日本人に食されていたと思われがちですが、金柑は18世紀に中国から日本にやってきたといわれています。
そんな金柑には、体を健康に保つ栄養がたっぷり!生薬としても使われるほど、その効果は大きいようです。
今回は、金柑の驚くべき栄養とその効果についてご紹介します。食べる量や、栄養を逃さず食べる方法についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
金柑の栄養と効果
さっそく、金柑の栄養についてご紹介しましょう。
よく耳にするものから、最近の研究でわかってきたものまで、金柑には健康に役立つ効果が期待できます。
風邪に負けない体づくりを助けるビタミンC
ビタミンCは「抗酸化ビタミン」とも呼ばれており、活性酸素(※)の増加を抑えて免疫力の低下を予防する効果が期待できます。
(※)活性酸素とは、免疫機能など私たちの体にとってよい働きをするが、増えすぎると細胞を傷つけてしまう物質。
金柑には100gあたり49mgのビタミンCが含まれており、実は同量のみかんよりも多いです。
参考記事:みかんの栄養と効能効果〜肌&身体に良い成分・皮や筋についても紹介〜
おなかをスッキリさせる食物繊維
食物繊維はおもに腸内で働き、おなかをスッキリさせてくれます。また食物繊維は2種類あり、それぞれの働きは以下の通りです。
・不溶性食物繊維:水に溶けにくく、便のかさを増やして腸を刺激することで排便を促す
なお金柑には水溶性と不溶性、両方の食物繊維が含まれます。
そしてその量は、みかんやグレープフルーツと比べると約5倍です。
参考記事:グレープフルーツのカロリーと糖質は低め〜効果的な食べ方・注意点なども解説〜
血管の老化を防ぐヘスペリジン
ポリフェノールの一種であるヘスペリジンは、血管の壁をしなやかにする働きがあります。
そのため血圧の上昇を抑制したり、血管の老化を防止したりする効果が期待されています。
おもに柑橘類などの皮や筋に多く含まれているため、皮ごと食べる金柑はヘスペリジンをより手軽にとれる食材だといえるのです。
注目の成分!β‐クリプトキサンチン
抗酸化力の強いβ-クリプトキサンチンは、いま注目の栄養素です。
ビタミンC同様、体中で活性酵素の増加を抑えるほか、閉経後の骨粗しょう症予防効果も期待されています。
またある研究で、β-クリプトキサンチンの血中濃度が高い方と低い方を比べたところ、次のような結果が得られました。
・β-クリプトキサンチンの血中濃度が高い方は、動脈硬化の進行を抑える効果が期待できる
このようにさまざまな働きが期待されるβ-クリプトキサンチンは、農産物で初めて機能性表示(※)が認められ、注目度の高さが伺えます。
(※)機能性表示とは、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示すること。β-クリプトキサンチンは、温州みかんで機能性表示が認められている。
参考記事:【医師監修】インスリンとは〜糖尿病との関係・治療・注射についてわかりやすく解説〜
みかんとの違い
金柑とみかんは同じミカン科ですが、属性に違いがあります。
まず金柑はキンカン属、そしてみかんはカンキツ属です。
さらに栄養面を比較すると、金柑はみかんよりもカロリーやビタミンCがやや多く、食物繊維が豊富であるとわかります。
また、皮まで食べられる金柑に対して、みかんを皮まで食べる方はいないですよね。
金柑は、丸ごと食べられるためゴミを出さずに栄養を無駄にすることなくとれる、エコなフルーツなのです。
参考記事:みかん1個のカロリーと糖質は低いの?ダイエットや糖質制限に良いのか分かりやすく検証
「生で皮ごと」がオススメの食べ方!
金柑を生のまま食べると、ビタミンCなど熱に弱い栄養素を無駄なく摂れます。
皮が薄くほんのり甘みもあるので、ぜひ生の金柑を皮ごと食べてみてくださいね。
皮まで食べることで、血管の老化予防が期待できるヘスペリジンもたっぷりと摂れますよ。
一方で生の皮を食べるのに抵抗がある方は、砂糖を加えて煮込む甘露煮にしてもよいでしょう。
なお金柑の甘酸っぱさを好む方は、大根と一緒に酢の物にするのがオススメです。
甘露煮にしたときの栄養価の変化
金柑を砂糖で煮込んだ甘露煮は柔らかく食べやすい反面、生の状態に比べてカロリーと糖質が高くなります。ゆえに金柑の甘露煮は、食べる量に気を付けましょう。
また金柑を加熱することでビタミンCが壊れ、生のときに比べて含まれる量が少なくなる可能性もあります。
のどの痛みや咳に効果的ってホント?
金柑の甘露煮はのどの痛みや咳を緩和する効果が期待できるとして、古くから生薬として親しまれてきました。現代でも、のど飴などに金柑が使われますよね。
ただし甘露煮にするとカロリーと糖質が上がるため、毎日食べ続けるのはオススメできません。たまに食べたり、風邪症状を和らげたりするときに用いたり食べ方を工夫しましょう。
金柑を食べすぎるとどうなるのか
金柑を食べすぎると、胃腸に負担がかかります。
金柑に含まれる食物繊維は、適量であれば腸内をキレイにする働きがあるのは、先ほどご説明した通りです。
一方で、摂りすぎると消化に時間がかかったり、便が硬くなることで便秘になったりする可能性があるのです。
生の金柑を食べる際は1日5個、甘露煮を食べる際は2~3個までなど目安量を参考にするとよいでしょう。
まとめ
皮ごと食べられる金柑には食物繊維やビタミンCの他に、注目の栄養素であるβ-クリプトキサンチンやヘスペリジンなどが含まれます。
とくに、β-クリプトキサンチンは抗酸化力が強く、健康的な体作りに役立つ栄養素です。
ただし金柑の加工品である甘露煮は、大量の砂糖を使って作るためカロリーが高くなります。食べすぎは太る原因になるので、ご注意ください。
それでは、当記事の情報から手軽に栄養が補える金柑を食べて、風邪に負けないような体を作りましょう。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
文部科学省 食品成分データベース
J-Stage 糖転移ヘスペリジンの血流改善作用 ミカンの摂取と健康に関する栄養疫学調査:三ヶ日町研究
農研機構 カンキツのβ(ベータ)-クリプトキサンチン高含有品種
消費者庁 「機能性表示食品」って何?
公益財団法人 日本薬学会 キンカン | 公益社団法人 日本薬学会