シンクヘルスユーザーインタビュー⑦私なりに見つけた血糖値との付き合い方は対話~考え方と行動の変化~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください
厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、日本では糖尿病の方が1000万人、さらに糖尿病予備群(境界型糖尿病)が1000万人いると推測されます。
境界型糖尿病とはまだ糖尿病にはなっていないものの、正常よりは血糖値の高い状態をいいます。
「まだ糖尿病じゃないなら食事や運動には気を付けなくてもいいかな」
そう思ってしまいがちですが、境界型糖尿病のうちに食事や運動などの生活習慣を見直すことはとても大切です。
今回は、糖尿病ではないものの血糖値が高め、と診断されていたマリチビさんにお話をうかがいました。生活習慣を改善するようになったきっかけや、継続のコツも教えていただきます。
目次
マリチビさんのプロフィール
マリチビさん(40代・女性 2022年2月~シンクヘルス利用)
毎年の健康診断で血糖値が高めと診断され、気を付けて生活するも改善されずやる気をなくしていた。体の中で起こっていることをデータで見てみたいと、シンクヘルスの保健指導プログラムに参加。
健康診断ではいつも血糖値が高め
マリチビさんはまだ糖尿病と診断されたことはないものの、10年程前から健康診断で血糖値が高めのため、要再検査といわれてきました。
「自覚症状はないです」とおっしゃるマリチビさん。
実は境界型糖尿病は症状のない場合が多いため、知らず知らずのうちに血糖値が上がり、気付いたときには糖尿病へ進行していた、というケースがよくあります。
また境界型糖尿病は自覚症状がないものの、体の中で変化が起こり始めているのは事実です。たとえば、血糖値の高い状態が続くことで、血管がダメージを受け動脈硬化が進行します。動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞が起こりやすくなるのです。
祖母と両親は糖尿病
マリチビさんが血糖値高めである要因の1つに、遺伝が考えられます。
2型糖尿病の発症リスクを高める要因は大きく2つあるといわれていて、1つは遺伝的因子、もう1つは環境的因子です。
遺伝的因子とは両親から受け継いだ遺伝子の性質によって、遺伝的にインスリンが分泌しにくいことです。環境因子とは、食べすぎや運動不足といった生活習慣のことをさします。
遺伝的因子は生まれもったものなので変えることはできませんが、環境因子は自分で変えられます。そのため、糖尿病の改善や予防には生活習慣の改善が大切なのです。
気を付けているのに改善されない
健康診断で血糖値高めとなり再検査の診断を受けるたびに、環境因子を変えるため食事に気を付けていたマリチビさん。しかしまた翌年の健康診断で引っかかるため、やる気をなくしていました。
血糖値を改善するために食事を見直すことは大切ですが、血糖値の上がりやすい食材やタイミングは人それぞれです。さらに血糖値は目に見えないものなので、成果がわかりにくくモチベーションを保つのも難しいのです。
シンクヘルスの保健指導プログラムに参加
そんな中マリチビさんは勤めている会社の福利厚生で、シンクヘルスの保健指導プログラムに参加する機会がありました。
マリチビさんが参加されたのは、境界型糖尿病の方を対象とした2週間の行動変容プログラムです。CGMセンサー(※)とシンクヘルスアプリを使って、食事や運動といった生活習慣がどのように血糖変動に影響するのか視覚化するものです。
(※)間質液中のグルコース値を持続的に測定できる機器のこと
※CGMセンサーとシンクヘルスアプリを使うと、食事を食べると血糖値が上がったり、運動すると血糖値が下がったり、生活習慣と血糖変動の関係が視覚化します。
参考記事:【医師監修】CGMとは?~毎回針を刺さない持続血糖測定器で血糖値を知ろう~
血糖変動を持続的にみると納得の連続
CGMセンサーを装着して今まで通りの食事をすると、血糖値がどんどん上がることに気付いたマリチビさん。
今まで知識として知っていたことでも、数値として視覚化すると受け止め方が変わります。
自分の食べたものによって違う血糖値の動きを見たマリチビさんは、さっそく行動を開始します。
食べ方や行動の変化
シンクヘルスアプリを通して、糖尿病療養指導士からの次のようなアドバイスを受けたマリチビさん。
・腹八分目を心がける
・運動をする
すぐに、食べ方や行動を見直していきました。
いくらよいアドバイスを聞いたとしても、実践や継続するかどうかは自分次第です。マリチビさんの素直でまっすぐな性格が伺えますね。
メモ機能で血糖値に語りかけ
シンクヘルスアプリ内でマリチビさんがオススメしたい機能は「メモ」だと教えてくださいました。
億劫に感じがちな記録を、遊び心を交えることで楽しめるのはすてきなことです。マリチビさんが考えた、継続のコツの1つといえるでしょう。
シンクヘルスアプリのメモは自由に記述できる機能です。マリチビさんのような使い方だけでなく、日記を付けたりその日の気持ちを詳しく書いたり、使い方はたくさんあります。
オリジナルの使い方でモチベーションを維持し、継続できるとよいですね。
参考記事:ジャーナリングのやり方と効果を知りたい!~頭スッキリ!生産性アップ~
気持ちの面での変化
以前は健康診断で再検査となるたびにネガティブな気持ちになっていたマリチビさんでしたが、今では考え方を見直すきっかけだと捉えるようになったといいます。
「考え方が変われば行動も変わります」とおっしゃるとおり、食べ方や運動習慣といった行動を変えていったのです。
その1つがヨガです。ヨガを始めとした運動が糖尿病の改善や予防に効果的だということは、よく知られています。
さらにヨガは、ストレスの軽減につながる可能性のある呼吸法や瞑想を大切にしています。ストレスを感じると、血糖値を上昇させるホルモンの分泌が増えるためリラックスして生活することはとても大切なのです。
参考記事:糖尿病の運動にヨガを取り入れよう〜効果・ポーズ・やり方をカンタン紹介〜
参考記事:ストレスで起こる体や心の異変~生活習慣病への影響も解説~
ヨガや瞑想をゆるく取り入れて生活
現在マリチビさんは、YouTubeで観たヨガのチャンネルがきっかけで、生活にヨガを取り入れているそうです。
出勤前の習慣として毎朝1時間15分、オンラインレッスンで行っているとのこと。睡眠も大事にし、早寝早起きを実践されています。
とはいえ、自分に厳しすぎるのはよくないとゆるく続けるよう心がけている、マリチビさん。これも自分にとってよい生活習慣を継続するコツですね。
参考記事:マインドフルネスの効果とは?~初心者でも始めやすいやり方をご紹介~
まとめ
毎年の健康診断で、血糖値が高めと診断されていたマリチビさん。CGMを使って血糖変動を見ることで自分の血糖値と向き合い、考え方や行動の変化していく姿がとても印象的でした。
目に見えない血糖値と向き合って、生活習慣の改善を継続するモチベーションを保つのは難しいことです。マリチビさんも試行錯誤されて、自分なりの向き合い方を見つけていらっしゃいました。
糖尿病ではないものの正常よりも血糖値の高い状態は、糖尿病予備群や境界型糖尿病と呼ばれます。まだ糖尿病ではないものの、体の中では少しずつ変化が起きているので生活習慣の改善は必要です。
自分にとってよい生活習慣の継続には、モチベーションを維持する工夫が必要です。日記やアプリに記録すると、どれだけ継続してきたか可視化できてモチベーションの維持につながりますよ。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは、食事内容・血糖値・体重などの記録が手入力や音声入力でかんたんにできます。ぜひご活用くださいね。
参考文献
・厚生労働省 平成28年「国民健康・栄養調査」の結果
・国立国際医療センター糖尿病情報センター 糖尿病予備群といわれたら