トクホのお茶はどんな効果があるの?~おすすめをランキングで紹介~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください
特定保健用食品、通称トクホは、科学的根拠に基づいて健康の維持や増進に役立つと認められ、効果の表示が許可されている食品です。
トクホの食品というだけで健康によさそうなイメージはありますが、実際にどのような効果の期待できる栄養素が含まれるのでしょうか?
現在トクホは、飲み物や食品などさまざまな商品が販売されています。その中でも、私たちが毎日飲むものといえば、お茶です。食事や水分補給に欠かせないお茶は、私たちの食生活にトクホを広めるきっかけとなりました。
そこで今回はトクホのお茶について、管理栄養士が効果をくわしく解説いたします。おすすめ商品もランキング形式で紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
トクホのお茶の効果
トクホのお茶の効果は、大きく分けて5種類です。
それではそれぞれの栄養成分と効果について、順に解説いたします
脂肪の分解を助ける
脂肪の分解を助ける成分は、ケルセチン配糖体といいます。
そもそもケルセチンとは、玉ねぎやりんご、ブロッコリーなどの野菜に含まれるポリフェノールです。
ケルセチンは動物を用いた研究で、中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解する働きがあると確認されました。つまり、体内の中性脂肪を分解することで体脂肪を減らす作用をもつ可能性がある、とわかったのです。
さらに、お茶に溶けやすいよう水溶性であるケルセチン配糖体を使って、ヒトにおいても長期継続摂取による脂肪低減作用があると示しています。
参考記事:玉ねぎの栄養成分が健康をサポート!~調理による栄養の変化もポイント解説~
食後血中中性脂肪の上昇を抑える
食後血中中性脂肪の上昇を抑える成分は、ウーロン茶重合ポリフェノールです。
ウーロン茶重合ポリフェノールは、ウーロン茶独特の製造方法(半発酵)で生成されるポリフェノールです。食事に含まれる脂肪の分解を抑え、体内に吸収されにくくなる作用によって、血中中性脂肪の上昇を抑えるといわれています。
さらにヒトを対象とした試験において、ウーロン茶重合ポリフェノール強化ウーロン茶は対象飲料と比べて20%血中脂質の上昇が抑えられた、という結果が出ています。
参考記事:お茶は脂質異常症を予防・改善できるの?〜オススメのお茶も紹介〜
食事による脂肪や糖質の吸収を抑える
食事による脂肪や糖質の吸収を抑える成分は、難消化性デキストリンです。難消化性デキストリンは、トウモロコシでん粉を利用して作られた水溶性食物繊維で、安全性や使いやすさが評価されて世界中で使用されています。
難消化性デキストリンの効果や安全性を確かめる試験は、健康な成人男女を対象に行われました。そして脂質が40g含まれる食事を用意し、難消化性デキストリンを5g入れた飲料と摂取したところ、難消化性デキストリンが入っていない飲料を摂取した場合と比べて、食後血中脂質が優位に低かったそうです。
また、難消化性デキストリンは食事に含まれる糖質の吸収を遅らせ、食後血糖値の急上昇を抑える働きがあります。さらに食後血糖値の上昇が緩やかになると、インスリン(※)の過剰な分泌が抑えられ、中性脂肪の増加や脂肪組織での脂肪合成を抑制する働きにつながります。
(※)血糖値を下げるホルモン
なお、グァバ葉ポリフェノールにも血糖値の上昇を抑える効果があるとわかっています。ヒトにおいて、米飯と一緒にグァバ茶を飲んだ場合、一緒に白湯を飲んだ場合と比べて食後血糖値が明らかに低かったそうです。
LDLコレステロールの吸収を抑える
LDLコレステロールの吸収を抑えるのはカテキンです。
カテキンは、主にお茶の苦み成分に含まれるポリフェノールでさまざまな健康効果が期待されています。
コレステロールを下げる作用はそのうちの1つで、食事由来のLDL(悪玉)コレステロールの吸収を抑えて、排出を促します。LDLコレステロールが低下すると動脈硬化の進行が防げるため、心筋梗塞や脳梗塞予防につなげられるでしょう。
参考記事:脂質異常症と動脈硬化の関係~メカニズムや予防方法についても解説~
血圧を上がりにくくする
血圧を低下させる成分として注目されているのは、ゴマペプチドです。
ゴマペプチドはゴマのたんぱく質を分解すると得られる物質で、血圧を下げる効果が期待されています。
正常高値(※1)もしくは軽症高血圧者(※2)を対象に行った試験では、ゴマペプチド250mgもしくは500mg含むお茶190mlを4週間飲み続けると、血圧が有意に低下するという結果が出たそうです。
(※1)収縮期血圧130-139 かつ/または 拡張期血圧80-89
(※2)収縮期血圧140-159 かつ/または 拡張期血圧90-99
参考記事:血圧を下げるお茶~選び方やオススメ商品をランキングでご紹介~
特定保健用食品ってなに?
特定保健用食品は通称「トクホ」と呼ばれ、かんたんにいうと効果の期待できる健康食品です。
健康食品の中でも効果が期待できるものを保健機能食品と呼び、
・栄養機能食品
・機能性表示食品
の3つに分けられます。
保健とは健康を保つことの意味なので、トクホは特定の健康を保つための保健機能食品といえます。ほかの2つの保健機能食品と異なる点は、個別に消費者庁の審査を受けて認められていることです。
トクホは特定の保健目的に対する有効性や安全性が、消費者庁の審査を受けて承認されているのです。
ただしトクホには通常の特定保健用食品以外に、
・疾病リスク低減表示
・規格基準型
・再許可等
・条件付き
の4種類あります。
このうち「条件付き」は、ある程度科学的根拠はあるものの特定保健用食品の審査で要求されるレベルまでは届いていないトクホです。そのため、条件付きとして表示するに留められています。
栄養機能食品とは
栄養機能食品とは、ビタミン・ミネラル・脂肪酸などが国の定めた基準量含んでいれば、効果についての定型文を記載できる食品です。消費者庁の審査だけでなく、届出も必要ありません。
機能性表示食品について
機能性表示食品は、ある一定の科学的根拠があると考えられる場合に、消費者庁へ届出れば効果をうたえる食品です。
機能性表示食品は消費者庁への届出は必要であるものの、審査は要りません。
トクホのお茶をランキング形式で紹介【ダイエット】
ダイエットを目的としてトクホのお茶を選ぶ際に役立つランキングを作成しました。今回は手軽に飲めるペットボトル入りのお茶にしぼって紹介いたします。
1位:サントリー 特茶
特茶は食事由来の脂肪ではなく、体脂肪を減らすことを目的としているため、1位としました。特茶は、長期継続摂取による脂肪低減作用があるといわれているケルセチン配糖体を含みます。特茶を飲むだけで痩せるとはいえませんが、ダイエットをサポートしてくれるでしょう。
2位:コカ・コーラ からだすこやか茶W
からだすこやか茶Wは、食事由来の脂肪だけでなく糖質の吸収も緩やかにする点がメリットとなるため、2位です。からだすこやか茶Wに含まれる難消化性デキストリンは、食事中に含まれる脂肪と糖質の吸収を緩やかにします。ダイエットをする際は、脂肪と糖質どちらも摂り過ぎないことが大切です。一度に脂肪と糖質どちらの対策もできるのはメリットといえますね。
3位:サントリー 黒烏龍茶
黒烏龍茶は食後血液中に増える中性脂肪の上昇を抑えるウーロン茶重合ポリフェノールが含まれます。注意していただきたいのは、黒烏龍茶は3位だからといって1・2位に劣るわけではありません。大切なのは、自分の目的に合ったトクホの中から生活に取り入れやすいものを選ぶことですよ。
血中脂質が気になる方
血中脂質が気になる方におすすめできるトクホのお茶は、こちらの4商品です。
・サントリー 黒烏龍茶
・コカ・コーラ からだすこやか茶W
・花王 ヘルシア ( ヘルシア緑茶 うまみ贅沢仕立て)
・伊藤園 お~いお茶 カテキン緑茶
くり返しになりますが、黒烏龍茶とからだすこやか茶Wは、食後の血中中性脂肪を上昇させにくくします。
そしてヘルシアとお~いお茶カテキン緑茶には、カテキンが入っています。カテキンの働きは食事に含まれるLDL(悪玉)コレステロールの吸収を抑え、排出を促すことです。
血中中性脂肪が気になる方は黒烏龍茶やからだすこやか茶Wを、血中LDLコレステロールが気になる方はヘルシアやお~いお茶カテキン緑茶を選ぶとよいでしょう。
血糖値が気になる方
血糖値が気になる方にすすめたいトクホのお茶は、2商品あります。
からだすこやか茶Wの難消化性デキストリンは、食事由来の脂肪だけでなく糖質の吸収も緩やかにします。脂肪と糖質の2つという意味で、名前に「W」が付くのも納得ですね。
なお、蕃爽麗茶はグァバ葉ポリフェノールを含みます。グァバ葉ポリフェノールは血糖値の上昇を抑えるといわれています。
血圧が気になる方
血圧に効果のあるとされているペットボトル入りトクホのお茶は現在、サントリーの胡麻麦茶だけです。
ただし、胡麻麦茶は血圧高めの方に対しての効果だけが確認されています。高血圧や正常な血圧の方に対する効果はわかりませんので、注意してください。
トクホは危険って本当?
トクホは決して危険なものではありません。なぜなら、トクホは特定の保健目的に対する有効性や安全性が認められている健康食品だからです。
ただしトクホの商品を摂りすぎた場合、体調を崩す可能性はあります。そのためトクホの商品には、安全に効果を得るための摂取量が決められています。
たとえば、トクホの商品によく使用されている難消化性デキストリンは、適量であれば食事由来の脂肪や糖質の吸収を抑えますが、摂りすぎるとおなかが緩くなることも。
トクホは決められた量を守って使用しましょうね。
まとめ
以上、トクホのお茶について効果をくわしく解説いたしました。
トクホのお茶は大きく分けて、
②食後血中中性脂肪の上昇を抑える
③食事による脂肪や糖質の吸収を抑える
④LDLコレステロールの吸収を抑える
⑤血圧を上がりにくくする
の5つの効果をもつものがあります。
ただし、トクホはあくまで健康効果が期待できる食品です。効果を得ようと摂取しすぎると、健康を害するおそれもあります。食事の補助として、適量利用するようにしてくださいね。
それでは、当記事を参考にトクホのお茶をあなたの健康に役立てていただけると、うれしいです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
【参考文献】
消費者庁 特定保健用食品について
J-STAGE 体脂肪低減効果を有するケルセチン配糖体配合飲料の研究開発 難消化性デキストリンの血糖値抑制効果と糖負荷の関係 内臓脂肪蓄積に及ぼす難消化性デキストリン長期投与の影響 グァバ葉抽出茶の糖類分解酵素活性阻害ならびに消化管輸送およびグルコース吸収抑制による血糖値上昇抑制作用
サントリー「肥満研究」ウーロン茶重合ポリフェノールの血中トリグリセリド上昇抑制作用メカニズム
サントリー株式会社 食と健康のサイエンス
健康栄養・食品研究 ゴマ蛋白質由来ペプチド添加茶飲料の血圧に対する作用
ライフサイエンス出版 薬理と治療 第36巻第5号445-441(2008)
公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット