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脂肪肝を改善する食事療法とは~食事を整えるコツや外食についても解説~

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脂肪肝を改善する食事療法とは~食事を整えるコツや外食についても解説~

当記事の執筆は、管理栄養士  松原知香が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

脂肪肝は、肝臓を構成する肝細胞の5%に脂肪の蓄積がみられた場合に診断されます。痛みもない脂肪肝ですが、放置すると肝炎や肝硬変につながり肝臓の機能が低下することもあります。

そもそも脂肪肝の主な原因は、アルコールの過剰摂取やカロリーの摂り過ぎです。そのため、食事や生活習慣を見直すことで脂肪肝は改善できる可能性が高いのです。

そこで今回は、脂肪肝の改善を目指す食事療法についてお伝えします。食事内容を考える時のコツや、外食する時にカロリーや脂質を抑える方法が身に付きますよ。

当記事をご覧になって、明日からの食事改善へ役立てていただければと思います。

脂肪肝の食事療法

脂肪肝は、原因によって2つに分けられます。

アルコールの過剰摂取により引き起こされる脂肪肝はアルコール性脂肪肝、食べ過ぎや生活習慣病が原因となるものは非アルコール性脂肪肝といいます。

食事療法の内容も変わってくるため、分けて解説しましょう。

アルコール性脂肪肝の場合は飲酒をやめる

アルコール性の場合は飲酒をやめる

アルコール性脂肪肝の方は、なんといってもお酒をやめることが重要です。

肝臓ではアルコールや脂肪の分解が行われており、アルコールの分解を優先的に行うため脂肪が後回しになり中性脂肪として蓄積されます。

長期にわたりアルコールを摂取していると、このような状態が改善されずに肝臓へ脂肪が溜まり続け、脂肪肝になってしまうのです。

ちなみに、アルコール性脂肪肝の発症は長期(5年以上)にわたるアルコールの過剰摂取が目安となり、ボーダーラインとなるアルコール量は1日あたりエタノール換算で60g以上となります。

エタノール換算60gの目安量
ビール1500ml(ロング缶3本)
日本酒500ml(約3合)
焼酎220ml(1.2号)
ウイスキー180ml(ダブル3杯)
ワイン699ml(グラス5杯)


個人差はあるものの、お酒の弱い方はアルコール量40g以上でもアルコール性脂肪肝を引き起こす場合があります。

脂肪肝の原因がアルコールである場合は、禁酒や食事改善により脂肪肝が改善する可能性もあるため、長期にわたる多量飲酒に心当たりがある方は、すぐに飲酒をやめましょう。

非アルコール性脂肪肝の場合は食事内容を見直す

非アルコール性の場合は食事内容を見直す

非アルコール性の方はまず食事の内容を見直さなくてないけません。

非アルコール性脂肪肝は脂肪肝の所見がみられるものの、アルコール摂取量が男性で30g、女性で20g以下の場合に診断されます。

非アルコール性脂肪肝の発症には、肥満やメタボリックシンドロームの関連疾患である2型糖尿病、脂質異常症、高血圧などが大きく関わっており、とくに肥満は非アルコール性の方の大半にみられます。(※)

※なお、近年非アルコール性脂肪肝であっても肥満ではないケースも報告されており、そのような場合は遺伝子の影響が背景としてある。

肥満やメタボリックシンドロームの関連疾患の改善には、食事や生活習慣の見直しが重要です。以上のことから、非アルコール性脂肪肝は自分に適正なカロリーを知って、糖質や脂質をどれくらい抑えればよいのかを理解して実行できれば、改善に向かう可能性があります。

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非アルコール性脂肪肝の食事改善ポイント

非アルコール性脂肪肝の食事改善ポイント

非アルコール性脂肪肝の方が食事を改善する場合、どのようなことをポイントとして抑えたらよいのか、わかりやすく4つお伝えしましょう。

1日3食・夜遅くは食べ過ぎない

1日3食・夜遅くは食べ過ぎない

1日3食を摂ることはもちろん、同じような時間に食べることで体内のリズムが整います。

朝食を抜くと昼食を食べた際に血糖値が急上昇しやすくなり、インスリン抵抗性を増長して脂肪を溜め込みやすくなってしまいます。忙しい朝でもできるだけ朝食は食べるようにしましょう。

また仕事の影響で夕食を食べる時間が遅くなると、中性脂肪が溜まりやすくなり脂肪肝の悪化につながります。どうしても遅くなる場合は、食べる量を減らしたりカロリーや脂質の少ないメニューにしたりするといった工夫が必要です。

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カロリー・糖質・脂質の摂り過ぎに注意する

カロリー・糖質・脂質の摂り過ぎに注意する

非アルコール性脂肪肝の方は、食べ過ぎによるカロリーや脂質の摂り過ぎがみられるため、自身の適正カロリーや糖質、脂質の量を知って摂り過ぎないよう注意しましょう。

まず適正カロリーを計算してみましょう。適正カロリーは、適正体重を計算したのち以下のように算出します。

適正体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
適正カロリー(kcal)=適正体重(kg)×25~30kcal


デスクワークなど運動量が少ない方は25、立ち仕事や力仕事の方は30で計算します。

たとえば、身長170cmの方で外回りをする営業職の方は

1.7(m)×1.7(m)×22=63.58(kg)
63.58(kg)×30(kcal)=1907.4(kcal)

約1900kcalが適正なカロリーだとわかりますね。

さらに、糖質量は適正カロリーの55~60%、脂質は25%以下に制限します。

先ほどの例を元に算出すると、

糖質
1900(kcal)×0.6÷4(kcal)=285g
※ご飯1杯(200g)の糖質量は76.2g

脂質
1900(kcal)×0.25÷9(kcal)=52.8g
※ロースとんかつ1枚(160g)の脂質量は49.3g

それぞれの量は上記のとおりです。

参考までに糖質はご飯、脂質はロースとんかつの量を比べていますが、脂質についてはとんかつ1枚でかなりの脂質量になることがわかりますね。

脂質は1g9kcalと糖質やたんぱく質よりも1gあたりのカロリーが高いため、脂質量を抑えるとカロリー削減に効果的です。

揚げ物や炒め物など油を多く使う料理は避けて、煮る・蒸す・茹でる調理を選びましょう。

また、糖質はご飯1杯(200g)を3食食べてもまだ余裕はありますが、糖質の摂取源はご飯以外にもあるため、できるだけ抑えておきたいところです。

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バランスのよい食事内容にする

カロリーや脂質の制限も大切ですが、食事のバランスを整えることも脂肪肝の方の食事改善には重要なポイントです。

また最近の研究で、日本の伝統的な食事が非アルコール性脂肪肝を含めた、非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)(※)の進行スピードを遅らせるということもわかりました。

NAFLDは、過剰な飲酒歴がなく脂肪肝の所見がみられ、肥満や生活習慣病が原因であることが多い。

この研究における「日本の伝統的な食事」とは、白米を中心に魚、海藻、きのこ、大豆製品で構成されたものを指します。

主食(米やパン、麺類)、主菜(肉や魚、大豆製品)、副菜(野菜やきのこ、海藻類)がそろった定食スタイルを意識すると、自然とバランスのよい食事が準備できるようになりますよ。

ジュース類は控える

体にいいと思っている野菜ジュースや果汁100%のジュースは、脂肪肝の方にとって控えたほうがよいものの1つです。

ジュースには、野菜や果物をそのまま食べた時に摂れる食物繊維がほとんど含まれていません。食物繊維は血糖値の急上昇を抑える働きがあるので、生のフルーツを食べた時よりジュースを飲んだ方が血糖値の急上昇がみられ、中性脂肪の増加につながります。

脂肪肝の方は、野菜や果物をジュースで摂るのではなく、調理したものや生の状態で食べるよう心がけましょう。

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肝臓にいい食べ物を紹介

ここからは、脂肪肝の方にオススメしたい肝臓にいい食べ物をご紹介します。

納豆

納豆

日本食の定番である納豆は、大豆からできているため筋肉の材料となるたんぱく質が豊富です。筋肉量とインスリン抵抗性には関係があり、筋肉量が落ちるとインスリン抵抗性が高まるといわれています。

先ほどもお伝えした通り、インスリン抵抗性が増すと肝臓に脂肪が溜まりやすくなるため、たんぱく質豊富な納豆は肝臓をいたわりたい脂肪肝の方にオススメな食材と言えるのです。

納豆を食べたからといって脂肪肝が治るわけではありませんが、普段の食事に取り入れることで肝臓によい働きがもたらされるようです。

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コーヒー

コーヒー

コーヒーを飲む習慣のある方は、ない方に比べて非アルコール性脂肪肝のリスクが低くなるという研究報告があります。詳しいメカニズムについては現在も研究が進められており、脂肪肝にならないための予防策として、期待が高まっています。

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外食でカロリーと脂質を抑えるコツ

外食でカロリーと脂質を抑えるコツ

毎日自炊が難しいと、外食や中食(※1)に頼る方もいらっしゃいますよね。しかし、一般的に外食や中食はカロリーが高く、脂肪肝の方が食べる時は調整が必要です。
※1 テイクアウトをして自宅で食べること

外食の場合、定食スタイル(※2)のメニューを選ぶと食事のバランスを整えやすくなります。
※2 定食スタイルというのは、ご飯、主菜(肉や魚などを使ったおかず)、副菜(野菜、海藻、きのこなどを使ったおかず)、汁物が揃った食事スタイルのこと

そして、主菜はできるだけ油の多い料理を避けるとカロリーを抑えられます。具体的には、天ぷらやとんかつ、唐揚げといった揚げ物、炒め物は避けて焼き魚や蒸し料理に変えるとよいでしょう。

ただし、注文したものを完食するとカロリーオーバーなので、ご飯やおかずの量でカロリーを調節します。

たとえば、一般的に定食に付いてくるご飯は普通盛りで200g(312kcal)です。これを1/3残す(130g程度にする)と、約100kcalもカロリーを抑えられます。ご飯を残すことに抵抗のある方は、ご飯を少なめで注文するとよいですよ。

また生活習慣病予防の観点から、脂肪肝の方も減塩が必要となるため付け合わせの漬物を残したり、汁物を飲み干したりしさないといった工夫を取り入れましょう。

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惣菜やお弁当はどうする?

惣菜やお弁当はどうする?

惣菜やお弁当を選ぶ時も外食と同じように

・油を使った料理は避ける
・ご飯を残す
・漬物など塩分の高いものを残す


以上の3点が基本のポイントとなります。

さらに、惣菜やお弁当を家で食べる中食で気を付けたいことは、買い過ぎないことです。

惣菜を買う際は主食、副菜を意識して選ぶこと、お弁当を買う時はお弁当以外に買い足さないことを徹底しましょう。

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まとめ

脂肪肝はアルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝に分けられ、アルコール性は禁酒、非アルコール性は食事の見直しが重要であるとお伝えしました。

とくに、非アルコール性の方は

・1日3食、夜遅くは食べ過ぎない
・カロリー、糖質、脂質の摂り過ぎに注意する
・バランスのよい食事内容にする
・ジュースは控える


以上の4点がポイントとなります。

また、外食や中食は注文したものや買ったものを完食するのではなく、ご飯やおかずの量を調整してカロリーの摂り過ぎを防ぎましょう。

脂肪肝は生活習慣や食事を見直すことで改善に向かう場合もあります。食事だけではなく、運動習慣を取り入れるとさらに効果的なので、当記事でご紹介した改善ポイントをぜひご自身の生活にも取り入れていただければ幸いです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。

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参考文献
泉並木,よくわかる最新医学肝臓病,主婦の友社
医療情報科学研究所編,病気がみえるvol.1消化器,メディックメディア
米田正人他,非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD)/非アルコール性 脂肪肝炎(NASH),日本内科学会雑誌,110巻,4号
Severity of Liver Fibrosis Is Associated with the Japanese Diet Pattern and Skeletal Muscle Mass in Patients with Nonalcoholic Fatty Liver Disease
Coffee consumption and risk of nonalcoholic fatty liver disease: a systematic review and meta-analysis

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