鰹節の栄養はすごい!~メリットデメリットなど健康への効果を解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 佐藤久美が担当しました。
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鰹節はその名の通り、かつおを原料とした削り節のことです。
削り節はかつお以外にも、さばやまぐろ、いわしを使用しますが、1番メジャーなのは鰹節です。
鰹節は上品な味の出汁として使われることが多いので、うまみのイメージが強いかもしれません。ところが鰹節はうまみだけでなく、栄養も豊富なのです。
そこで今回は、鰹節の栄養と効能について詳しく解説していきます。だしがらを活用して、鰹節の栄養を余すことなく摂る方法もお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
鰹節の栄養成分と効能
普段何気なく使っている鰹節、実は私たちの健康を維持する上で嬉しい栄養素がたくさん詰まっているのです。
さっそく見ていきましょう。
生きていくうえで欠かせないアミノ酸
鰹節には、必須アミノ酸(※)が全て含まれます。
(※)体内で合成できない9種類のアミノ酸。アミノ酸はたんぱく質のもととなる。
【鰹節100gに含まれる必須アミノ酸】
このように鰹節には、アミノ酸がたくさん含まれます。
とくにイソロイシン、ロイシン、バリンはまとめてBCAAと呼ばれ、筋肉量を増やすために重要な栄養素で、BCAAを強化した栄養補助食品も市販されているほどです。
鰹節は冷奴やサラダにかけて手軽に取り入れられるので、この機会にぜひ活用してみてください。
また購入した弁当や総菜を食べるときに鰹節をプラスすれば、かんたんに栄養価を高められオススメですよ。
鉄の補給源としても有効
鰹節100gあたりには、5.5mgの鉄が含まれます。
18〜74歳の男性が1日に摂取したい鉄の量が7.5gであることからも、鰹節に含まれる鉄の多さがおわかりいただけると思います。
ただし鰹節を1日に100g食べることはありませんから、鉄の主な補給源とはなりません。
一方で鰹節には、普段の食事にプラスしやすいといったメリットがあります。普段の食事で鉄の十分な摂取を目指しつつ、鰹節を利用して不足分を補ってみてはいかがでしょうか?
なお、鉄が不足すると体が重く感じたり、息切れしやすくなったりと疲れやすくなりますから、体の不調が生じる前から対策を始めましょう。
鰹節を毎日食べるとどうなる?
鰹節は栄養豊富ですが一度にたくさん食べるものではないので、毎日少しずつ食べると健康維持に役立ちます。
ここでは、肌への影響とコレステロールとの関係について詳しく解説いたしましょう。
肌への影響
睡眠不足の時に肌の不調を感じる方もいらっしゃるかもしれません。実は、睡眠不足は肌のバリア機能を低下させます。
鰹節に含まれるグリシンというアミノ酸は、睡眠の質を改善する働きがあります。食事に少しずつ鰹節を取り入れると、睡眠の質を高め健やかな肌へとつながるでしょう。
参考記事:肌の老化は糖化が原因?〜4つの対策を徹底解説〜
エイジングケアは何から始めればいいの?〜肌対策や生活習慣についても紹介~
コレステロールとの関係
鰹節には血中コレステロールを減らす働きがあるといわれる「タウリン」が含まれます。
含有量が多いとは言えませんが、コレステロール値が気になる方は手軽に食べられる鰹節で対策するとよいかもしれませんね。
少し話は逸れますが、鰹節には独特の香りや旨味があるので、料理に活用すると塩分量の多い調味料の削減が狙えます。
塩分を減らすことは高血圧の予防や、食べすぎ防止といった生活習慣病の予防につながります。
なお、肥満もLDLコレステロール値が高くなる原因なので、鰹節で食べすぎが防止できれば一石二鳥ですね。
健康に悪いと言われる理由
鰹節が健康に悪いと噂される理由は、製造方法にあります。
実のところ鰹節を製造するときには、次のような工程を必要とします。
・カビを付ける
魚を燻す際の煙が体に与える影響を気にする方もいらっしゃいますが、国内やEUの基準を大きく下回っているため健康に害を与えるリスクはとても低いです。
また鰹節を作るときに使用するカビは、味噌などの発酵食品に使われるこうじカビ同様に毒性がありません。
したがって鰹節が健康に悪いといった噂は、気にしなくてもよいです。
すでにお伝えしているように、鰹節にはアミノ酸など健康に嬉しい栄養素が含まれます。鰹節が健康を害するリスクよりも、食べるメリットの方が大きいのではないでしょうか。
食べすぎると痛風になる?
鰹節を食べすぎて痛風になるリスクは、非常に低いです。
そもそも痛風とは、体内に尿酸がたまり激しい関節痛の症状が出る病気です。その尿酸のもとになるのがプリン体で、鰹節100g中に493.3mgと多く含まれます。
なお高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインでは、食品100gあたりのプリン体が200mg以上のものを高プリン食と呼んでいます。
上の表からおわかりいただけるように、鰹節のプリン体含有量は極めて多いです。
ただしこれは、鰹節100g中の場合です。
普段スーパーなどで目にする鰹節は小袋1つ2〜3gのことが多いですから、1袋(3g)を食べてもプリン体は14.8mg程度となります。
ちなみに普段の生活では、プリン体の摂取量を1日400mg未満にすることが望ましいです。1日に鰹節を28袋食べない限り、プリン体の過剰摂取にはなりません。
一般的な鰹節の摂取量を考慮すれば、鰹節の食べすぎが原因で痛風にはならない、といえるでしょう。
鰹節を使った出汁の取り方
和食に欠かすことのできない出汁は、海外の料理人も注目しています。
普段出汁を作り慣れていない方にとっては少し面倒に感じるかもしれませんが、意外とかんたんに作れるのでぜひお試しください。
・鰹節 30g
・水 1000ml
【作り方】
①鍋に水を入れ、沸騰させる
②沸騰したら火を止め、鰹節を入れて1〜2分間待つ
③鰹節がなべ底に沈んだら、キッチンペーパーを敷いたざるに②をこす
※キッチンペーパーに残った鰹節は、えぐみが出るので絞らないでください
出汁を取った後の活用法をご紹介
出汁を取った後の鰹節(だしがら)は、有効活用できます。
もちろん栄養は出汁を取る前の鰹節に多いですが、だしがらにも旨味や栄養は残っています。
だしがらは冷凍保存ができますので出汁を取るたびに冷凍し、まとまった量を一気に調理するのもよいですね。
ここでは「だしがらふりかけ」をご紹介します。
・だしがら 50g
・白ごま 大さじ1
・醤油 大さじ1
・みりん 大さじ1
【作り方】
①フライパンに水気を切っただしがらと醤油、みりんを入れて炒る
②①の水分がなくなったら、白ごまを入れ混ぜ合わせたら完成
まとめ
以上、鰹節の栄養と効能についてご紹介しました。
鰹節にはアミノ酸や鉄、イノシン酸、タウリンなどたくさんの栄養素が含まれます。鰹節は一度にたくさん食べるものではないので、毎日少しずつ食べ健康維持に役立てましょう。
出汁の取り方や、だしがらの活用方法も参考にしてみてくださいね。
それでは当記事を参考に、鰹節を健康維持に役立てていただけたら幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
文部科学省 食品成分データベース
厚生労働省 e-ヘルスネット
J-STAGE スポーツ医学的観点からのアミノ酸機能 異なる工程で造られたかつお節の普通肉 および血合肉に含まれるエキス成分 睡眠を介した全身健康「睡眠ヘルスケア」価値の創出 睡眠改善食品
National Library of Medicine Does poor sleep quality affect skin ageing?
一般社団法人 全国削節工業協会
公益財団法人痛風・尿酸財団 食品中プリン体含量(mg/100g) 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン ダイジェスト版