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【医師監修】糖尿病が脂質異常症を起こしやすいのはなぜ?〜理由や対策も紹介します〜

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糖尿病が脂質異常症を起こしやすいのはなぜ?〜原因や対策も紹介します〜

当記事は、内科認定医・糖尿病専門医 古賀 萌奈美先生にご監修いただきました。
執筆はライター 前間弘美(管理栄養士)が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

糖尿病の栄養指導で「脂質異常症にも気を付けてください」と言われたあなた。

糖尿病の方は、健康な方と比べて脂質異常症になりやすいといわれています。

でも、どうして糖尿病だと脂質異常症になりやすいのか気になりますよね。

そこで今回は、糖尿病の人が脂質異常症を起こしやすい理由をわかりやすく解説いたします。対策についてもお伝えするので、ぜひ最後までご覧ください。

 

なぜ糖尿病は脂質異常症を合併しやすいのか

糖尿病の方は中性脂肪を作りやすく、血液中の脂質が増えやすいからです。

私たちの体は血糖値が高くなると、肝臓が体の中で余った糖を使って中性脂肪を作ります。糖尿病とは、血糖値の高い状態が長く続く病気です。そのため、糖尿病の方は中性脂肪を作りやすいと考えられます。

また血糖値を下げるホルモンであるインスリンは、脂肪を分解する働きももちます。しかし糖尿病の方はインスリンの分泌が不足したり、働きにくくなったりするので、中性脂肪が分解されず血液中の脂質が増えてしまうのです。

参考記事:糖尿病とはどんな病気?症状・原因・治療などをわかりやすく解説

脂質異常症とは

脂質異常症とは

脂質異常症とは、血液中の脂質の数値が基準値から外れている状態のことです。

健康診断で血液検査を受けると、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)・HDLコレステロール(善玉コレステロール)・トリグリセライド(中性脂肪)の数値が記載されています。この3つが血中脂質の値です。

そしてHDLコレステロールとトリグリセライドは、メタボリックシンドローム(※)の診断基準に用いられる数値でもあります。

(※)内臓脂肪が原因で肥満となっている状態に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさって、心臓病や脳卒中のリスクが高まっている状態のこと

糖尿病と脂質異常症の関係

糖尿病と脂質異常症は、どちらも動脈硬化を進行させる原因となります。

さらに、脂質異常症の中でもトリグリセライド値が高いとインスリンの効きが悪くなります。つまり、糖尿病と脂質異常症は互いに悪い影響を与え合うのです。

動脈硬化とは

動脈硬化とは

動脈硬化とは、血管が硬く詰まりやすい状態のことです。

脂質異常症の場合、LDLコレステロールが血管の壁に張り付き動脈硬化を引き起こします

また血管壁に余分な脂が沈着し、プラーク(粥腫)と呼ばれる塊が作られます。そして時間の経過とともに血管の壁がどんどん分厚くなり、血管が詰まりやすい状態につながるのです。

参考記事:糖尿病は心筋梗塞・脳梗塞に要注意〜リスクと予防のポイントをシンプルに解説〜

脂質異常症の診断基準

実際にどのくらいの数値になったら脂質異常症と診断されるのかをまとめました。

コレステロールと中性脂肪の目標値を紹介
食前空腹時の値

なお近年、食後トリグリセライド値が高いと心血管疾患の発症が多いことが判明したため、食後中性脂肪を175mg/dl以下に抑えることも重要だといわれています。

LDLコレステロールと中性脂肪は基準値を超えないこと、HDLコレステロールは基準値を下回らないようにしましょうね。

糖尿病に脂質異常症を合併させないためには

糖尿病に脂質異常症を合併させないためには、食事と運動をはじめとした生活習慣を整えることが大切です。

参考記事:脂質異常症は治るの?~日常生活の改善点や食事の摂り方までサクッと解説~

食事のポイント

食事のポイント

食事の主なポイントは以下の5つです。

カロリーと糖質は適量に
栄養バランスのとれた食事を3食規則正しく食べる
脂肪の質と量
食物繊維をたっぷりと摂る
お酒は控える

 

カロリーや糖質、脂質、アルコールの摂りすぎは中性脂肪の増加につながります。また、LDLコレステロールが高い場合には、動物性の脂肪(ラードやバターなど)を控えることも大切です。

なお、野菜や海藻類などの食物繊維が多い食べ物は、血中コレステロール値の上昇を抑える作用があります。積極的に食べるとよいでしょう。

参考記事:脂質異常症になったら食べてはいけないものってあるの?~コンビニ食の活用方法の解説付き~

運動はできることの継続を

運動はできることの継続を

運動は、HDLコレステロール値を上げ中性脂肪値を下げる、とわかっています。

おすすめの運動は、ウォーキングや水泳のような有酸素運動で、1日合計30分間を毎日行うのが理想です。

とはいえ、血中脂質は短期間で改善できるものではありません。継続することが大切なので、少しずつでも毎日運動する習慣をつけていきましょう。

薬が処方される場合も

脂質異常症の対策として生活習慣の改善は有効ですが、主治医の判断で薬が処方されることもあります。

また300人に1人程度いるといわれている家族性高コレステロール血症の場合、生活習慣の改善だけでLDLコレステロール値を改善するのは難しいです。家族性高コレステロール血症は、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患を引き起こしやすい病気でもあります。

生活習慣の改善だけでは脂質異常症に効果がみられない場合は、薬による治療を行うことも大切ですよ。薬を処方された場合は、しっかりと飲みましょうね。

まとめ

以上、糖尿病と脂質異常症はどちらも動脈硬化を進行させる原因だとわかりました。

さらに、糖尿病と脂質異常症は互いに悪い影響を与え合います

糖尿病と脂質異常症を合併させないためには、食事や運動などの生活習慣の改善が有効です。また薬が処方される場合もあるので、しっかりと飲みましょう。

それでは当記事を参考に、あなたの生活習慣の改善につながると嬉しいです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは血糖値や運動の記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。

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参考文献
・厚生労働省 e-ヘルスネット
・国立循環器病研究センター病院 脂質異常症
・検査値に基づいた栄養指導(新改訂版)せんぽ東京高輪病院 足立香代子著 チーム医療出版
一般社団法人日本動脈硬化学会 脂質異常症診療のQ&A 脂質異常症治療のエッセンス

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