糖尿病とビールの付き合い方をサクッと解説~気になる選び方もご紹介~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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「糖尿病になったらビールは控えないと」
「ビールは血糖値も上がりそう」
そう思う要因は、“ビールといえば糖質が入っているお酒だから”ではないでしょうか。
本記事では気になる糖尿病や血糖値とビールの関係を解説していきます。なお、糖尿病患者さんがお酒を飲む際は必ず医師と相談し、飲酒の許可が出てから飲むようにしてくださいね。
目次
糖尿病の人はビールを飲めるのか
糖尿病の方は飲酒を控えるに越したことはありませんが、医師が許可した上であれば、アルコール飲料やビールを飲んではいけない、ということはありません。
ただし、いくらでも飲んでいいとはならないので、ご注意ください。
ビールは糖質高めのお酒
一般的なお酒の栄養成分を下記にまとめました。
※100mlあたり | カロリー(kcal) | 糖質(g) | 度数(%) |
ビール | 42 | 3 | 5 |
糖質ゼロビール | 29 | 0 | 5 |
発泡酒 | 45 | 3.2 | 5.5 |
糖質ゼロ発泡酒 | 24 | 0 | 4 |
レモンサワー | 48 | 4.8 | 5 |
ハイボール | 48 | 0 | 7 |
※「糖質ゼロ」表記は100ml中0.5g未満の糖質量で表示される
ご存じのとおりビールはウイスキーや焼酎、ワインと比較すると糖質量が多いお酒です。そしてビールよりも発泡酒の方が糖質を多く含む傾向にあります。
また、焼酎は単体だと糖質量の少ないお酒ですが、サワーとして飲むときには割る物によって糖質の量が増えるので注意が必要です。
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糖尿病の人がビールを飲むとどうなるの?
糖尿病の方がビールを飲むと血糖値が上がりやすくなったり、下がりやすくなったりします。なぜなら、お酒を飲むと体内でアルコールを分解する過程で、ホルモンの分泌が乱れるからです。
また、アルコールによって血圧が上昇したり、おつまみによっては摂取カロリーがオーバーして体重の増加につながることもあります。
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血糖値はどのように変化するのか
ビールを1杯だけ飲んだ程度では、大きな血糖値上昇が起きる可能性は低いといえます。実は食品全体の中で見ると、ビールは糖質が多い食品とはいえません。
しかし、お酒を飲むときにはひたすらビールを飲み続ける「ビール党」のあなたは注意が必要です。500mlの缶だと糖質はおおよそ15gあります。これを3杯飲んだとすると、ご飯1杯弱の糖質量になるので、糖質による血糖への値影響も出てくるというわけです。
そして、もちろん一緒に食べるおつまみの内容によっても血糖値に大きな差が出てきます。
ビール腹の原因
ビール腹の原因は実はビールそのものではなく、一緒に食べるおつまみが主な原因です。
そもそも、お腹がポッコリとするのは内臓脂肪の蓄積が大きな要因です。お酒を飲みながら食べる食事がいつもよりも増えたり、締めの食事を摂るとカロリーオーバーになり、内臓脂肪がつきます。
また炭酸による食欲増進効果もあるので、ビールが好きな方にお腹のポッコリしている人が多い、とはいえるかもしれませんね。
お酒が強い人ほど糖尿病になりやすいって本当?
最近の研究で、お酒に強い遺伝子を持つ人は糖尿病になりやすい、という報告があります。研究によると、お酒に強いからといってたくさん飲むと肝臓で血糖値を下げるホルモンが効きづらくなり、空腹時の血糖値を上げる可能性があるそうです。
このような方は、お酒の量を適量にすると糖尿病への進展を抑えられる可能性があります。また、やせ型の男性で大酒飲みの人は糖尿病になりやすいともいわれているので、自分は痩せているから大丈夫と安心することはできません。
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糖尿病とビールの付き合い方の秘訣
お酒を長く楽しむには、適量摂取と休肝日が必須です。たった1日の禁酒でも肝臓は休んで回復することができます。多量飲酒の方には脂肪肝の人も多くいますが、脂肪肝を放置してしまい肝硬変へと移行すると肝臓の機能は元に戻りません。そうなると禁酒生活が待っています。
お酒は百薬の長とはいいますが、それは適量範囲内でいえること。飲みすぎれば害の方が大きくなります。
適量はどのくらい?
糖尿病の方が飲酒をする場合、日本人の適量といわれる純アルコール量で20gと同程度の量がよいでしょう。飲みすぎないよう上限が定められることがほとんどです。
純アルコール量20gとなるのは5%のビールだと500mlになるので、「とりあえず生中!」の中ジョッキ1杯ほどの量です。
飲酒を禁止される場合も
糖尿病の方で、すでに肝臓に疾患がある方や合併症の有無、血糖コントロールの状態などによっては医師から禁酒といわれることもあります。必ず担当医に相談しましょう。
糖尿病でもオススメできるビールはなに?
アルコール度数3%など低めで、糖質が3g/100ml以下の発泡酒がオススメです。
また、最近ノンアルコールビールであるビールテイスト飲料が進化して、味が非常によくなっています。毛嫌いせずにぜひ色々な種類を飲んでみましょう。
ノンアルコールビールも試してみよう
ノンアルコールビールはアルコールが入っていないので、アルコールによる血糖の乱れは起こりません。その代わり、ジュースを飲むときと同じように、糖質量に注意する必要があります。ビールと同じく糖質は3g/100ml以下のものを選ぶと良いでしょう。
最近のノンアルコールビールはとても進化して美味しくなっていますよ。昔飲んで美味しく無かった、という方ももう一度試してみてください。まずは飲みすぎ防止のために、1杯目をノンアルコールビールに変えてみるのはいかがでしょうか。
糖質オフ・糖質ゼロのビールは大丈夫?
糖質オフ・糖質ゼロビールは、もちろん糖尿病の人が飲んで大丈夫です。とくに、ビール党のあなたにはオススメです。
先ほどお話した通り、ビール1杯で満足できるのであれば糖質量は多くありませんので、通常のビールでもよいでしょう。しかし、ビールばかり飲むビール党の人にとっては、糖質オフ・糖質ゼロ商品で摂取する糖質を抑えるのは良い手です。
カロリーオフ・カロリーゼロのビールはあるの?
まず、カロリーゼロのビールは存在しません。アルコール自体にカロリーがありますので、カロリーゼロなのは、ビールテイスト飲料のノンアルコールビールのみです。
またカロリーオフを売りにしているビールはあまりないですが、アルコール度数が低いものや糖質の少ないものは、カロリーが低いといえるでしょう。
おつまみにも要注意
先にも述べた通り、ビールを飲んだ時の血糖値はおつまみの内容にも左右されます。
アルコールを肝臓で分解している最中は血糖値も上がりやすくなりますので、糖質がたくさん含まれるポテトや衣をまとった揚げ物は控える方が無難です。
代わりに、血糖値を上昇させにくいたんぱく質源であるお刺身、冷ややっこや、糖質の吸収を穏やかにする食物繊維が含まれる、サラダや野菜の串焼きなどを選ぶとよいですよ。
また、油を使わない焼く・蒸す等の調理法のものを選ぶと低カロリーになります。
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まとめ
まず、糖尿病の方はビールを飲まないに越したことはありません。もしビールを飲むなら医師へ相談のうえ適量を飲むようにしましょう。
ビールはアルコールの中では糖質量の多い種類でしたが、適量の範囲では大きく血糖値を上げるほどの糖質量ではありませんでした。しかし、アルコール自体やおつまみによって血糖値を乱高下させてしまう可能性があります。アルコールを飲むときはかかりつけの医師に確認してから飲むようにし、飲酒量に注意して休肝日を作ることで、長くお酒を楽しんでいきましょう。
それでは、この記事を読んで、糖尿病の方もビールとうまくお付き合いできると幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
日本糖尿病学会 糖尿病治療ガイド2022-2023
国立研究開発法人国立がん研究センター 飲酒と2型糖尿病発症について
順天堂大学大学院医学研究科 代謝内分泌内科学・スポートロジーセンター
アルコールに強い人が糖尿病になりやすいメカニズムを明らかに