ほっけにはどんな栄養が入っている?~体に悪いと言われるのはなぜか~
当記事の執筆は、管理栄養士 佐藤久美が担当しました。
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家庭用グリルがいっぱいになるほど、大きなほっけ。
身はふっくらとしていて、クセのない味わいは居酒屋でも人気のメニューです。
そこで今回は、ほっけの栄養や効能について解説していきます。
ダイエット中や糖尿病の方が食べるときのポイントについてもお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ほっけの栄養と効能
ほっけには、筋トレに励む方に嬉しい栄養素が含まれます。
さっそく順に見ていきましょう。
筋力アップに欠かせないたんぱく質
ほっけは、100gあたり17.3gのたんぱく質を含みます。なお、ほっけ1尾は約400gなので、たんぱく質量は69.2gです。
参考までに、1日に摂取したいたんぱく質量は18〜64歳の男性で65g、同年代の女性で50gです。ホッケ半身で1日に必要なたんぱく質の50%以上を摂れますね。
また、たんぱく質は筋肉など体を構成する主要な栄養素です。
とくにほっけに含まれるたんぱく質は「良質なたんぱく質」と言われ、体内での利用効率が優れています。
そのため、ほっけは筋トレに励む方々にオススメの食材です。
いくら筋トレを頑張っても、筋肉のもととなるたんぱく質が不足していると筋力アップは叶いません。筋力アップを目指す方は、たんぱく質もしっかり摂りましょう。
筋肉の収縮に関わるカルシウム
カルシウムと言えば、煮干しなど骨まで食べられる魚を想像する方がほとんどだと思いますが、実はほっけにも豊富に含まれます。
とくに開き干しのほっけに多く、100gあたり170mgと身だけを食べる魚の中でカルシウム含有量がトップクラスです。
ちなみに生のほっけ100g中には、22mgのカルシウムが含まれますよ。
なおカルシウムは、丈夫な骨を作るのに欠かせない栄養素として有名です。しかしそれ以外にも、カルシウムは筋肉の収縮にも関わっています。
さらに、ほっけはカルシウムの吸収を助ける栄養素であるビタミンDも豊富です。カルシウムとビタミンDが同時に摂れるほっけは、カルシウムを補いたい方に適した食材と言えますね。
エネルギー作りに役立つナイアシン
ほっけに多く含まれるナイアシンは、ビタミンB群の1種です。
ナイアシンは糖質や脂質、たんぱく質からエネルギーを作り出す過程で役立つ栄養素です。
またナイアシンは、水に溶けやすい性質を持っています。したがってほっけを煮物にすると、煮汁にナイアシンが流れ出てしまいます。ただしナイアシンは熱や光、酸には強いので、加熱や保存中に損失する心配はありませんよ。
ほっけのカロリーはどのくらい?
ほっけは100gあたり、103kccalです。
このカロリーが高いのか低いのか、他の魚と比べてみましょう。
上の表からほっけのカロリーはたらより高いですが、比較的低めであることがわかります。
ただし、さけなどは1切れ100gほどの場合が多いのに対して、ほっけは半身でも200gと大きいです。食べる量が増えれば、当然摂取カロリーも増えますので注意してくださいね。
干物のカロリーはどうか
ほっけの干物は100gあたり161kcalと、生の状態に比べるとカロリーが高いです。なぜなら、干物の水分は少なく栄養が濃縮されているからです。
では他の干物と比べると、どうでしょうか?
生魚の比較と同様に、干物でもほっけのカロリーは比較的低めと言えますね。
ダイエット中にも食べられるのか
ほっけは、ダイエット中にも食べられます。
先ほどご紹介したように、ほっけは生でも干物でもカロリーが低めです。
したがってダイエット中のように摂取カロリーが気になるときでも、ほっけは取り入れやすいですね。
ただし、ダイエット中にほっけを楽しむときの注意点が2つあります。
・塩分量
すでにお伝えしているように、ほっけは他の魚に比べて1身が大きいです。
それゆえカロリーが低めだからといって油断すると、食べすぎてしまうことも。あらかじめほっけの大きさを確認し、食べる量を調節しましょう。
また、ほっけの干物は塩分が多いです。塩分は摂りすぎるとむくみの原因となります。すっきりした体を目指すときには、塩分の摂りすぎに気を付けたいですね。
ちなみに、生のほっけは塩分が少ないです。干物は保存性が高いなどメリットもありますが、塩分が気になる場合は生のほっけを選びましょう。
糖尿病の方がほっけを食べるときの注意点
糖尿病の方もほっけを食べられますが、食べ方には注意しましょう。
そうはいっても、あまり難しいことではなく「食べる量」と「塩分量」に配慮すればよいのです。
味の濃いおかずを食べたときに、お米をたくさん食べたくなった経験はありませんか?塩分の多いおかずはむくみの原因になるだけでなく、カロリーや糖質の摂りすぎにもつながります。
ダイエット中の方も糖尿病の方も、塩分量にはとくに注意してくださいね。
ほっけが体に悪いと噂される理由
ほっけが体に悪いと言われる理由は「塩分量」にあります。
なお、ほっけの干物1尾(300g)あたりの塩分は5.4gです。さらにほっけの干物に醤油をかけて食べると、より塩分が増えますね。
塩分の摂りすぎはむくみの原因になるだけでなく、高血圧のリスクも高めます。
そのためほっけは体に悪いと噂されることもあるようですが、適量を食べればその限りではありません。
また塩分が高いのはほっけだけではなく、干物全般に言えることです。
干物のメリットとデメリットを理解したうえで、楽しめるとよいですね。
適切な塩分量とはどのくらいか
日本人の食事摂取基準によると、1日の塩分摂取量の目標は18歳以上の男性で7.5g未満、同年代の女性で6.5g未満とされています。
つまり1食あたり塩分摂取量の目安は男性2.5g、女性2.1gです。
したがってほっけの干物1尾には、2食分以上の塩分量が含まれているとわかりますね。
なお塩分はほっけだけでなく、他の料理にも含まれます。ほっけの干物を食べるときには、1/3尾ほどにしておくと安心ですよ。
まとめ
以上、ほっけの栄養について解説しました。
ほっけの特筆すべき栄養素は、以下の通りです。
・カルシウム
・ナイアシン
ほっけは筋トレに励む方にオススメの魚です。ただしほっけの干物は塩分が多いので、食べる量や頻度には注意しましょう。
それでは当記事が参考となり、ほっけの魅力を再発見していただけたら嬉しいです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット(厚生労働省)
厚生労働省 ナイアシン
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報 ナイアシン
文部科学省 食品成分データベース
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020 年版) 「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書