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低血圧の人が食べてはいけないものとは?~予防にオススメな食材まで医師が解説~

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急にクラクラする「低血圧」食べてはいけないものはあるの?~症状から予防にオススメの食材までご紹介~

当記事は、内科認定医・糖尿病専門医 古賀 萌奈美先生にご監修いただきました。
執筆はライター  松原知香(管理栄養士)が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください

「朝起きられない」「立ち眩みやめまいがつらい」

このような悩みをお持ちの方は、低血圧である場合が多いようです。血圧は生活習慣、特に食べ物と密接な関係があります。

そこで、今回は低血圧の方が食べてはいけないものから予防にオススメの栄養素と食材について解説します。

起きられなくてつらい朝でも、簡単に用意できる朝食メニューもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

低血圧とは~症状と原因~

低血圧とは

そもそも、医学的に低血圧と言われるのは、収縮期血圧(血圧測定をした際に高い値の血圧)が100mg未満、拡張期血圧が60mmHg未満の状態とされています。そして、急性低血圧・慢性低血圧・起立性低血圧に分けられます。

では、具体的にどのような症状がみられるのでしょうか。

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主な症状

低血圧になった際、以下のような症状がみられます。

・立ち眩みやめまい
倦怠感、易疲労感
・頭痛
・息切れ
・手足が冷たくなる(四肢冷感)

さらに、血圧低下が高度であれば失神発作や一過性脳虚血発作を招くこともあります。

ちなみに、低血圧と貧血は症状がよく似ていますが、低血圧は血流の低下、貧血は全身に酸素を運ぶ血液中のヘモグロビンの低下が関わっています。

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低血圧になる原因

低血圧の原因として挙げられるのは

・自律神経障害
・血流の低下
・薬物
・心疾患
・食事摂取

などがあります。

食後に血圧低下を招く、食後低血圧が報告されています。その原因はまだ明確にはされていませんが、自律神経障害や神経機能障害、食事による消化管ホルモンの変化、胃拡張など複数の要因が示唆されています。

神経疾患(パーキンソン病やアルツハイマー病など)、高血圧、糖尿病、心不全患者では特に発現しやすいとされています。

また脱水や出血、熱傷、副腎機能低下症、甲状腺機能低下症などによって血流が低下し、低血圧を引き起こすことも。

そのほか降圧薬や抗うつ薬、向精神病薬といった薬や、大動脈弁狭窄症、収縮性心膜炎などの心疾患が影響して低血圧を引き起こすこともあるのです。

なお、上記のように原因の特定できる低血圧は二次性低血圧といい、明らかな原因がないものは本態性低血圧といいます。

本態性低血圧は日本では1.5~7%の人にみられ、そのうち自覚症状を訴える人は約10~20%といわれています。

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食事摂取と低血圧の関係

食後低血圧とは、食事摂取後2時間以内に収縮期血圧が 20 mmHg以上低下した場合または 100 mmHg 以上あったSBPが 90 mmHg未満に低下した場合に判定することが多いです。

食後に血圧が低下しふらつきがあるなどの症状がみられる場合、食事が低血圧の原因かもしれません。

低血圧を惹起しやすい食事内容としては、

・炭水化物の多い食事
・食事の温度が高い
・大量の食事


などが知られています。炭水化物はたんぱく質、脂質と比較して
血圧低下効果が大きいと報告されています。

低血圧の人が食べてはいけないものはあるのか

低血圧の人が食べてはいけないものはあるのか

残念ながら「低血圧の人はこれを食べてはいけない!」と断言できるものはありません。それは、症状や原因に個人差があるからです。

ただし、控えたほうがよい食品はあります。その一つがアルコールです。

アルコールを飲むと、顔が赤くなり心臓がドキドキすることから血圧が上がると思われがちですが、血管が広がるため血圧は低下します。一度に大量のアルコールを摂取することは、急激な血圧低下を引き起こす場合があるため、注意が必要です。

一方で、継続的なアルコール摂取は高血圧の要因となります。正常な血圧維持のためにも、節度のある飲酒を心がけましょう。

トマトジュースで血圧はもっと下がる?

トマトジュースは血圧を下げるから、低血圧の人が飲んでもよいのか?と疑問に思う方もいらっしゃいますよね。

結論からいうと、低血圧の人もトマトジュースを飲めます。

たしかに、トマトジュースに含まれるGABAという栄養成分は、血圧を上昇させるホルモンであるノルアドレナリンの分泌を抑制することで、血圧上昇を抑えるとされています。ただしこの効果は血圧高値の場合には有効であるものの、正常血圧の方では影響がなく正常血圧が維持されたと報告されています。

そのため低血圧の方でも、トマトジュースは飲んでよいといえるでしょう。

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低血圧の人にオススメの栄養素と食材

低血圧の方が控えたほうがよい食材についてわかったところで、今度は低血圧の方にオススメの栄養素と食材について解説いたします。

たんぱく質(肉、魚、乳製品、大豆製品)

たんぱく質(肉、魚、乳製品、大豆製品)

低血圧の原因となる血流の低下を防ぐには、体をあたためることが大切です。たんぱく質は筋肉の材料となり、運動とあわせることで筋肉量が増えます。すると代謝量が上がり、体を温めることにつながります。

ほかにも髪、爪など私たちの体を作る材料としても欠かせない栄養素ですよ。

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ビタミンE(かぼちゃ、ほうれん草、ナッツ)

ビタミンEは抗酸化作用があり、動脈硬化の進行を抑制する働きがあります。また、ビタミンEは血行改善効果が報告されており、低血圧による手足の冷えを改善する可能性があると考えられます。

一方でビタミンE摂取による収縮期血圧低下も報告されているため、適度に摂るようにしましょう。

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低血圧の改善には食生活も大切

低血圧を改善には食生活も大切

低血圧の人にオススメの食材を食べているだけでは、低血圧を改善するのは難しいです。なぜなら、血圧の調整と普段の食生活は密接な関係にあるからです。

低血圧の症状がある場合、適切な食事や水分、塩分摂取、睡眠など生活習慣の見直しが主な治療方法です。

適度な塩分と十分な水分補給

近年は「塩分は減らすのが当たり前」というほど減塩の考え方が浸透していますが、低血圧の方には適度な塩分補給が必要です。塩分のもとであるナトリウムには、血圧を上昇させる働きがあります。

また、体をめぐる血液量が低下すると血圧がさがるため、こまめな水分補給も同時に行いましょう。

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アルコールは控え目に

先ほども触れましたが、アルコールには血管を拡げて一時的に血圧を下げる作用があります。禁酒する必要はありませんが、飲む際には量を控え目にするとよいですよ。

1日3食をしっかり食べる

低血圧で朝起きるのがつらく、朝食を抜くという方は多いのではないでしょうか。朝食を食べる時間があるなら一分でも長く寝ていたいという気持ち、よくわかります。

一方で、食事をとると血流がよくなり体があたたまり血圧も上がるので、3食きちんと食べるということは低血圧予防に欠かせないポイントなのです。

簡単なものだけでもよいので、できるだけ3食食べることを心がけましょう。

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食事内容を見直す

食後低血圧の場合は、日中の炭水化物量を少なめにするとよいでしょう。なぜなら、食後低血圧は朝食後または昼食後に発症しやすいからです。

また、食事の温度が高すぎないようにする、大食い、一気食いは避ける、食事前に適量の飲水を行うことなどが、食後低血圧の対応として挙げられています。

1分で完成!低血圧な朝に食べたい簡単メニュー

低血圧の改善に欠かせない朝食。今回は、起きるのがつらい朝でもすぐに食べられる朝食メニューをご紹介します。

しかもコンビニで揃うものだけを使うので、帰宅が遅くなってスーパーが開いていなくても準備できますよ。

【お湯を注ぐだけ!梅と鶏の即席お茶漬け】

起きるのがつらい朝でも大丈夫!コンビニにあるもので作る簡単メニュー

【材料~2人分】
・梅おにぎり   1個
・サラダチキン  50g
・こぶ茶(粉末)    適量

【作り方】
①大き目のお茶碗に材料を入れてお湯を注ぐ
②おにぎりを少し崩したらできあがり

【ポイント】
・お湯を注ぐだけでできるから忙しい朝でもサッと作れる
・梅、こぶ茶の塩、サラダチキンでたんぱく質を補給
・お茶漬けにすることで水分も同時に摂れる

今回は塩分補給をかねて梅おにぎりを選びましたが、気分によって昆布など他の具でも試してみてはいかがでしょうか。

まとめ

低血圧の方が食べてはいけないものは特にありませんでしたが、アルコールなど控えたほうがよい食品をご紹介いたしました。

基本的には食べ物だけではなく、休息をとるなど生活習慣の改善が必要ですので、当記事を参考に低血圧予防を行っていただければ幸いです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。

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参考文献
高齢者の食後高血糖  日本老年療法学会誌 Vol. 3 (2024), 1–9
日本神経治療学会 標準的神経治療:自律神経症候に対する治療
GABA の血圧降下作用に対する系統的レビューおよび メタアナリシス  就実大学薬学雑誌 第7巻 (2020)厚生労働省 健康づくりサポートネット
井部明広(2019)
食品中のアミン類について,日本醸造協会誌,114巻5号,p.248-257
病気がみえるvol.2 循環器 医療情報科学研究所編 株式会社メディックメディア 2017年 p397ー398
Vitamins (Japan), 94 (3), 166-173 (2020)
標準的神経治療: 自律神経症候に対する治療

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