きな粉の栄養と効能がスゴイ!~健康効果から食べ過ぎによる注意点も解説~
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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きな粉は、炒った大豆を粉にして作ったもので、お餅にからめたり和菓子の材料としてもよく使われますね。
「畑の肉」と呼ばれるほど栄養豊富な大豆から作られるきな粉には、どんな栄養と効果が期待できるのでしょうか。
今回は、きな粉の栄養や効能をわかりやすくお伝えしていきます。
さらに種類による栄養の違いや、きな粉を食べ過ぎると体に悪いのかについてもご紹介しますので、最後までお付き合いください。
目次
きな粉の栄養成分と効能
大豆から作られているきな粉には、私たちの体にとって嬉しい栄養素がたくさん含まれています。
では早速、順に解説していきますね。
更年期障害を軽くする大豆イソフラボン
きな粉は、大豆イソフラボン(※)が豊富です。
※大豆や大豆胚芽に多く含まれるポリフェノールです。
大豆イソフラボンは、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンと化学構造が似ているため、植物性エストロゲンとも言われています。エストロゲンは更年期に差し掛かると急激に減少するため、のぼせやほてりといった更年期障害があらわれるのです。
そこで、近年の研究から大豆イソフラボンには更年期障害を軽くするほか、骨粗しょう症の予防、脂質代謝の改善効果といった期待できると考えられています。ただし、人への効果はいまだ研究途上なので、今後の発表に期待しましょう。
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体をサビつかせない大豆サポニン
きな粉は大豆サポニンも豊富です。
抗酸化(※)作用がある大豆サポニンは、免疫力を向上して風邪をひきにくくしたり、肥満の予防や血流を良くして冷え性予防にも役立ちます。
※体をサビつかせないようにすることを抗酸化という。
ちなみにきなこのもとになる大豆には、豆類の中でも特に多くのサポニンが含まれています。
また、一般的に豆をゆでる過程で出てくるアクは取り除きます。しかし、サポニンは水に溶け出るためゆで汁にもふくまれているので、可能な限りゆで汁も活用しましょう。
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たんぱく質で健康な生活を維持
“畑の肉”と呼ばれる大豆から作られているきな粉は、肉や魚などのたんぱく質食品に分類されます。
たんぱく質は、筋肉や皮膚など体の構成成分だけでなく、酵素やホルモンといった体の機能を調整する役割もあります。
さらにたんぱく質が不足すると筋力が低下するため、健康な生活を維持するためにも重要な栄養素と言えるでしょう。
血中コレステロールを調整するレシチン
リン脂質のひとつであるレシチンは、脳や神経組織の構成成分です。
レシチンには、健康診断で気になる血中コレステロールや中性脂肪の低下が期待できます。
カルシウムでストレスを緩和
きな粉には、骨と歯の構成成分であるカルシウムが豊富です。
カルシウムは、私たちの体に最も多く存在するミネラルで、ストレスを和らげる他に血が固まる際にも重要な役割をします。
意外に豊富なきな粉の鉄
きな粉は、鉄も豊富です。
鉄は、赤血球を作る際に必要なミネラルで貧血予防に効果が期待できます。
そして鉄には、ヘム鉄(※1)と非ヘム鉄(※2)があり、きな粉に含まれているのは非ヘム鉄です。
※1 肉や魚などの動物性食品に多く含まれる
※2 大豆などの植物性食品に多く含まれる
非ヘム鉄はヘム鉄と比べると体への吸収率が低い一方で、動物性たんぱく質やビタミンCを一緒に摂ると吸収を助けてくれます。
便秘を解消してくれる食物繊維
きな粉には水溶性食物繊維(※)も含まれていますが、多くが不溶性食物繊維です。
※水に溶けやすい食物繊維で、食後の血糖値の上昇をゆるやかにする働きがある。
水に溶けない不溶性食物繊維は、便秘の予防に効果があると言われています。
というのも不溶性食物繊維は、水を吸収すると数倍にふくれあがり、腸を刺激して排便が促進されるからです。なおきな粉には、食物繊維が多いことで知られているごぼうの約4倍もの不溶性食物繊維が含まれているのです。
きな粉の種類で栄養は変わる?
きな粉には原材料別に「黄大豆」「青大豆」「黒大豆」に分けられます。
栄養的な違いはほどんどありませんが、黒大豆(いわゆる黒豆)のきな粉は他の2種類と比べてアントシアニンが多く含まれています。
アントシアニンは先ほどご紹介したサポニンと同様に抗酸化作用があり、体を若々しく保つためのサポートをしてくれます。
黒ゴマきな粉の栄養
黒ゴマきな粉には、きな粉の栄養以外に私たちの体を活性酸素から守る抗酸化作用の強いセサミンが含まれており、老化防止や動脈硬化を防ぐ効果が期待できます。
しかし黒ゴマの主成分は脂質のため、黒ゴマきな粉は普通のきな粉に比べるとカロリーや脂質が高くなります。
よって、黒ゴマきな粉は食べ過ぎないように心がけると良いでしょう。
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きな粉を毎日食べるとどんな効果がある?
きな粉を毎日食べると便通の改善により腸内環境が整ったり、骨粗しょう症や貧血予防にもなります。
なぜならきな粉には、不溶性食物繊維やカルシウム・鉄などが豊富だからです。
そしてきな粉は、同じ大豆製品である豆腐や厚揚げと比べると水分量が少ない分、少量で豊富な栄養が摂れるため、毎日手軽に取り入れやすい点も嬉しいですね。
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ヨーグルトきな粉は体に良いのか?
結論から申し上げますと、ヨーグルトきな粉は体に良いと言えます。
というのもきな粉には大豆オリゴ糖が含まれ、ヨーグルトには乳酸菌が含まれるからです。
大豆オリゴ糖は、ビフィズス菌などの善玉菌と呼ばれる腸内細菌のエサとなり、腸内細菌を増やしたり整腸作用が期待できます。
一方、ヨーグルトに含まれる乳酸菌は腸内菌のバランスを整えて、便通の改善だけでなくコレステロールの低下や免疫機能を高める効果が期待できます。
しかし、砂糖が添加されているヨーグルトやきな粉を使うとカロリーを摂り過ぎてしまう可能性があるため、無糖のヨーグルトや砂糖不使用のきな粉を使用すると良いでしょう。
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【体に悪い?】きな粉を食べ過ぎると危険なのか
きな粉を食べすぎると、きな粉に豊富な不溶性食物繊維の摂り過ぎにより、便が固くなったり、逆に便通が悪くなったりする可能性があります。
きな粉に限らず、食べ過ぎは体に良くありません。適度な量を楽しむことで、健康効果も得られます。
よって、きな粉は1日大さじ1程度(6g)を目安にすると良いでしょう。
まとめ
以上、たんぱく質食品に分類されるきな粉には、大豆イソフラボンや大豆サポニン・食物繊維などを含み、栄養豊富な食材であることがわかりましたね。
またヨーグルトきな粉は、大豆オリゴ糖や乳酸菌が含まれているため体に良いこともポイントです。
しかし、砂糖が添加されているヨーグルトやきな粉は、カロリーが高くなるためなるべく無糖のヨーグルトや砂糖不使用のきな粉を使うのがオススメです。
そして、不溶性食物繊維が多いきな粉は、食べ過ぎると便秘がひどくなる場合もあるので注意しましょう。
今回の記事により、風味豊かなきな粉を日々の生活にうまく取り入れていただけると嬉しいです。
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参考文献
文部科学省 食品データベース
農林水産省 食材を知ろう 大豆編 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A ゴマについて、黒ゴマ、白ゴマなど種類がありますが、何が違うのですか。
厚生労働省 e-ヘルスネット
公益財団法人 日本豆類協会
JAグループ 秋の旬野菜 黒ゴマ