ピーマンの栄養成分は素晴らしい!種やわたの健康効果についても解説
当記事の執筆は、管理栄養士 前間弘美が担当しました。
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子どもの嫌いな野菜ランキング、上位に入るピーマン。
私たちがよく目にする緑色のピーマンは、とうがらしの仲間ですが辛みの無い品種です。
そして緑色をしているのは、未熟果を収穫しているためで、完熟すると「カプサンチン」という赤い色素が増えて赤ピーマンになります。
今回は、そんなピーマンについて栄養のすばらしさを、効能とともにわかりやすくお伝えしていきます。栄養たっぷりのピーマンレシピもご紹介しますので、最後までお付き合いください。
目次
ピーマンの栄養素と効能
緑黄色野菜(※)に分類されるピーマンには、健康や美容に嬉しい栄養素が豊富に含まれています。
(※)緑黄色野菜とは、食べられる部分100g中にカロテンを600㎍(マイクログラム)以上含む野菜のこと
ではさっそく、効能と共に順を追って解説していきますね。
参考記事:ピーマンのカロリーと糖質は低く栄養豊富!~ダイエットにも活用しよう~
抗酸化作用のあるβ-カロテン
β-カロテンには抗酸化作用があり、体内の活性物質を減らしてくれます。
さらにβ-カロテンは、体内に入ると必要に応じてビタミンAに変換され、免疫機能や目にも重要な働きをします。
なお、緑ピーマンにはβ-カロテンが400㎍しか含まれていませんが、食べる回数や量が多いことから緑黄色野菜に分類されている野菜です。
美肌をサポートするビタミンC
ピーマンには、美容によいビタミンCが豊富に含まれています。
ビタミンCの抗酸化作用が、シミやしわといった老化防止に役立ちますので、美肌をサポートしたいときには嬉しい食材ですね。
さらに、Lサイズ(約50g)のピーマン3個で、1日のビタミンC摂取推奨量(※)を満たせます。
(※)厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、成人のビタミンC摂取推奨量は100mg/日
本来ビタミンCは水に溶けやすくて熱に弱いので調理過程で失われやすいのですが、ピーマンの場合果肉が厚いので、加熱調理してもビタミンCの損失がほとんどありません。
便秘解消に役立つ食物繊維
ピーマンには、水溶性食物繊維(※1)より不溶性食物繊維(※2)の方が多く含まれます。
(※1)水に溶ける食物繊維で、体内での栄養素の吸収をゆるやかにすることで食後の血糖値をゆっくり上げる
(※2)水に溶けない食物繊維で、便のカサを増やすことにより大腸が刺激することでスムーズに排便する効果が期待できる
腸をすっきりさせたいときは、ピーマンを選ぶとよいですね。
参考記事:ししとうの栄養と効能~ピーマンとの違いからレシピ紹介まで解説!~
赤・黄・オレンジ色のピーマンとの比較
ピーマンは色によって栄養価が変わります。
それでは緑ピーマンと、赤・黄・オレンジ色のピーマンの栄養を比較してみましょう。
緑ピーマン | 赤ピーマン | 黄ピーマン | オレンジピーマン | |
β‐カロテン | 400μg | 940μg | 160μg | 420μg |
ビタミンC | 76mg | 170mg | 150mg | 150mg |
水溶性食物繊維 | 0.6g | 0.5g | 0.4g | – |
不溶性食物繊維 | 1.7g | 1.1g | 0.9g | – |
※100gあたり |
このようにβ-カロテンは、赤ピーマンの方が緑ピーマンより約2.4倍も多く含みます。
さらに緑ピーマンと比べ、ビタミンCにおいては赤ピーマンは約2.2倍、黄・オレンジピーマンは約2倍も多く含まれます。
カラーピーマンは緑ピーマンに比べて苦みが無く、甘みもあるためサラダに入れても美味しいですね。また炒め物に入れても、彩りが鮮やかになるのでオススメです。
なお、カラーピーマンには、赤・黄・オレンジ・黒・紫・茶・白の7色ありますが、赤・黄・オレンジ・茶が完熟した色で、果実が170g程度の大きさのものをパプリカとしています。
さらに、赤はカプサンチン色素、紫はアントシアニン色素、黄色はカロテノイド色素によって発色しています。
参考記事:パプリカはビタミンが豊富!~管理栄養士おすすめ美肌レシピもご紹介~
ピーマンを加熱すると栄養成分は変わる?
ピーマンを加熱しても、栄養成分はあまり変わりません。
なぜなら、さきほどお伝えした通り、ピーマンに含まれるビタミンCは加熱調理しても栄養を逃しにくい特徴があるからです。
なお、パプリカも緑ピーマンと同じく加熱してもビタミンCの損失が少ないです。さらに、脂溶性ビタミンに分類されるカロテンは、油と一緒に摂取する事で吸収されやすくなります。
栄養を逃しにくい調理法
ピーマンは過熱による栄養の損失が少ないとはいえ、加熱しすぎるとどうしても栄養価は落ちてしまいます。そこで、加熱する時は強火でサッと調理するのがオススメです。
そして緑のピーマンは、生のままだと独特の香りと苦みがありますが、炒めることで甘みも出てきます。
なぜなら、ピーマンの苦み成分は油に溶けやすいという性質があるからです。そのため、油通しや油で炒めることで苦みを感じにくくなりますよ。
ピーマンの種やワタは体に悪い?
ピーマンの種やワタには、体に悪い成分は含まれていませんが、苦みの強い部分です。そのため、ピーマンの種やワタを取り除いて調理されている方も多いと思います。
なおピーマンの独特な香りは、「ピラジン」という物質が関係しており、ピーマンの種やワタにも含まれています。
ピラジンは、運動不足や血液中の脂肪分が多くなることによって発生する血栓を防ぐので、脳梗塞や心筋梗塞の予防に効果があると言われています。
血液をサラサラにしてくれるので、血管の老化防止にも嬉しい成分ですね。
種やワタの食べ方と注意点
ピーマンの種やワタは苦みが強くそのままでは食べ辛いですが、ハンバーグやピーマンの肉詰めを作る際にミンチ肉等に混ぜ込むと苦みも和らぎます。
ちなみに種とワタは傷みやすいため、ピーマンを切った後は取り除いてから保存するのがオススメです。
栄養たっぷりで美味しいピーマンレシピをご紹介
今回は、ピーマンの実と一緒に種やワタも使ったレシピをご紹介します。
苦みが強い種やワタもツナ缶やマヨネーズと合わせることにより、食べやすくなりますよ。
【ピーマンのツナマヨグリル】
・ピーマン 2個
・ツナ缶(水煮) 1缶
・マヨネーズ 大さじ2
・ピザ用チーズ 適量
・粉パセリ 適量
【作り方】
①ピーマンは軽く洗い、縦半分にカットし、種とワタを取り除く。
②ボールに①の種とワタ、水気を切ったツナ缶、マヨネーズを入れて混ぜ合わせる。
③①のピーマンに②を詰めて、上にピザ用チーズをのせる。
④トースターで、チーズに焦げ目がつくまで焼いて、粉パセリを振りかけたら出来上がり。
※ピーマンに火が通るより先にチーズが焦げそうな時は、アルミホイルをふんわりと被せて焼くとよいですよ。
参考記事:ツナ缶はダイエットの味方!~効果的な活用方法を管理栄養士が解説~
まとめ
以上、ピーマンにはβ-カロテンやビタミンC、食物繊維など健康や美容に嬉しい栄養素がたくさん含まれているとわかりましたね。
さらにピーマンに含まれるビタミンCは、加熱しても壊れにくいことが特徴です。そしてサラダやマリネに入れると彩りのきれいなパプリカは、緑ピーマンよりビタミンCやβ-カロテンが多く含まれることもポイントです。
苦みは強いけれど、栄養のある種やワタを美味しく食べられるレシピもぜひ作ってみてくださいね。
今回の記事により、緑ピーマンやパプリカを美味しく料理に取り入れて頂けると嬉しいです。
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参考文献
食品成分データベース
独立行政法人農畜産業振興機構 ピーマン
J-Stage 緑および赤ピーマンの調理に関する研究
厚生労働省 e-ヘルスネット
神奈川県農業技術センター 三浦半島における無加温パイプハウスによるパプリカ栽培体系の確立
野菜等食生活協議会 野菜のおいしさ検討部会報告書
農畜産業振興機構 平成25年6月中下旬の「おすすめ野菜」