糖尿病とチョコレートのほろ苦い関係~かんたん低糖質レシピも!~
当記事の執筆は、管理栄養士 高木万智が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧はこちらをご覧ください
「糖尿病になったらチョコレートを楽しめない」
「このまま食べ続けていたらいつか糖尿病になってしまうかもしれない」
そのような不安を抱えている人は少なくないでしょう。
一方でチョコレートは血糖値に良いという話を聞き、悩む方も見受けられます。そこで当記事では、糖尿病と甘いお菓子の代表格であるチョコレートの関係について解説していきます。
低糖質な上に簡単に作れるチョコクリームのレシピも紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
糖尿病にチョコレートが悪いとされる理由
糖尿病にチョコレートが悪い影響を及ぼす最大の原因は、チョコレートに含まれる糖質と脂質の量が多いことです。
糖尿病は血糖値のコントロールがうまくいかなくなる病気です。血糖値が下がらずに高血糖状態が続くことで体がダメージを受けます。そのため、血糖値が上がりやすく、高カロリーで体重増加を招きやすいチョコレートは、糖尿病を悪化させる要因となります。まさに大敵といえるでしょう。
市販のチョコ菓子だとどのくらいが適量?
第一に、チョコレートは少量でも血糖値や体重に影響を及ぼすことがありますので、糖尿病患者さんの場合は控えるに越したことはありません。血糖コントロールが良好な場合でも、間食での血糖変動を抑えるためには糖質を10g程度に抑えると良いでしょう。ミルクチョコレートの場合、糖質10gは約20g(板チョコ4かけら程度)となります。
また、チョコレートはカロリーも高いお菓子です。食べ過ぎると当然体重も増加します。
体重増加は糖尿病に近づいてしまう要因なので、注意が必要です。いま糖尿病ではない方も、板チョコであれば1日1/3枚程度としておく方が体重への影響は抑えられるでしょう。
参考記事:チョコレートはダイエットに良い?〜カカオの効果やお勧めランキングも紹介〜
糖尿病に向いているのはハイカカオチョコレート
ここでいうハイカカオチョコレートは、「カカオ72%」や「カカオ86%」といった、カカオ由来の成分が70%以上のチョコレートです。糖尿病の方や、血糖値が気になる方には、カカオ豆がたっぷりと使用されていて、独特の苦味と香りの強いハイカカオチョコレートがおススメです。
食後高血糖を抑える?
ハイカカオチョコレートは他のチョコレートに比べると使用している砂糖の量が少ないため低糖質であり、食物繊維が多く含まれることから食後に高血糖が起きにくいといわれているのです。
この食後に起こる急激な血糖上昇を「血糖値スパイク」といいます。
血糖値スパイクを繰り返すと血管が傷ついたり、後に糖尿病を発症する方も多くいます。通常のチョコレートは糖質も多く血糖値スパイクを起こしやすい食品ですが、その点ではハイカカオチョコレートは安心して食べることができます。
食べるタイミングと量
ハイカカオチョコレートは食物繊維と脂質が多く含まれているので、食後の血糖上昇を抑える、満腹感を得やすい、といわれています。そこで血糖値のことを考えると、食前に食べると効果的です。
国内の研究をもとにすると、食べる量は1日15~25g程度を目安に食べ、1片5gを数回に分けて食べたほうが効果的だそうです。そして、前述のとおりハイカカオチョコレートだけで食べたとしても血糖上昇が緩やかですので、間食に摂っても問題はないでしょう。
食べ過ぎるとどうなる?
ハイカカオチョコレートは通常のチョコレートに比べると1.5倍程多く脂質が含まれ、その分カロリーも高くなるので、食べ過ぎると体重が増えてしまう可能性があります。
一方で、ハイカカオチョコレートに含まれる脂質は太りにくいという報告もあるので、こまめに体重増加がないことを確認すると安心ですね。
また、ハイカカオチョコレートはカフェインやテオブロミンという神経興奮作用や利尿作用、気管支拡張作用のある成分が普通のチョコレートよりも多く含まれることも特徴です。栄養ドリンクや服薬をしている人、これらの成分に敏感な人は注意が必要する必要があります。
参考記事:チョコレートのカロリーと糖質は高い?~健康効果についても管理栄養士が詳しく解説~
間違えないで!ブラックチョコレートの罠
ハイカカオチョコレートはカカオ成分が70%以上のチョコレートを指しますが、チョコレート菓子の中で「ブラックチョコレート」と売られているものはハイカカオチョコレートではありません。
たしかにミルクチョコレートと比べると苦味はあるものの、砂糖がたくさん含まれていますのでハイカカオチョコレートと同じようには食べないようにしましょう。
糖尿病でも食べられる甘いチョコレートの種類
「ハイカカオチョコレートは苦い!普通の甘いチョコレートが食べたい・・・」
そのような方は多くいらっしゃるかと思います。現在では、血糖値を気にされる方でも安心して食べられるチョコレートがたくさん売られていますので、お近くのコンビニを覗いてみてください。
一方で、チョコレートは口溶けを良くするために脂肪分の添加が欠かせず、カロリーが高い食品です。そのため、どのような商品でも体重増加には注意が必要です。
低糖質・糖質オフ・糖質ゼロのチョコレート
糖質量の少ないチョコレートは通常、チョコレートに使われている砂糖を少なくしたり、人工甘味料で甘く加工されているチョコレートです。しっかりと甘いので、低糖質ながらチョコレートを食べる幸せを感じられます。
糖尿病の方や血糖値が気になる方はまず糖質ゼロのチョコレートから試してみるのがよいでしょう。糖質オフの商品は、糖質が10gを超えないよう食べる量をコントロールしていくことが大切です。
糖質の吸収が穏やかなチョコレート
糖質の吸収が穏やかなチョコレートは、糖質は入っているものの、血糖値スパイクを起こさないように工夫されているチョコレートです。以下に代表的な3つの種類を紹介します。
・添加されている糖分がフラクトオリゴ糖という吸収されにくい糖分である
・パラチノースという消化がゆっくりとすすむ糖分を使っている
これらのチョコレートは、少しずつ食べれば血糖値が上がりにくい点が大きなメリットです。ただし、商品によっては砂糖が含まれているものもあります。血糖値が上がりにくいからといって、一袋を一気に食べきってしまうのは避けたほうが良いでしょう。
チョコレート味の食品
チョコレートの美味しさはカカオ豆からくる特有の苦みや香りにあります。同じカカオ豆からできているココアでも似た美味しさがありますので、純粋なチョコレート以外にも選択肢を広げてみるのはいかがでしょうか。
たとえば、チョコレート味のプロテインやプロテインバーであれば血糖値の上昇が緩やかなうえ、満足感が得られます。
また、純粋にチョコレートだけのものよりも、アーモンドチョコレートやマカダミアナッツチョコレートのように、ナッツにチョコレートがコーティングされているものもおススメです。
噛み応えがあり満足感もあるうえ、チョコレートの量は減るので摂取する糖質の量も抑えられます。
低糖質なのに絶品!かんたん濃厚チョコレートクリームのレシピ
市販のチョコレートクリームは糖質たっぷり。でもこのレシピなら、とても低糖質で濃厚なチョコレートクリームを楽しめますよ。低糖質パンに塗れば最高の低糖質おやつです。
【低糖質&濃厚チョコレートクリーム】
・純ココア 8g
・スキムミルク 10g
・ラカント 12g
・薄力粉 2g
・牛乳 40g
【作り方】
①牛乳以外の材料を合わせ、泡だて器で混ぜておく
②牛乳を2回に分けて加え、よく混ぜる
③ふんわりとラップをして、電子レンジ600wで40秒加熱、一度混ぜたら20秒加熱してさらに混ぜる。全体の色が濃くなってもったりとしたらOK。足りなければ10秒ずつ追加で加熱
④③の表面にラップを密着させ、冷蔵庫で冷やす
⑤冷えた④を泡だて器で混ぜて、クリーム状になったら完成
まとめ
以上、通常のチョコレートは血糖値を上げやすく太りやすいため、糖尿病や血糖値が気になる方には不向きな食品とわかりました。
一方で、カカオがたっぷりと使用されたハイカカオチョコレートは、血糖値を急激に上げにくく、健康効果を得られる食品であることがわかりました。
最近では、チョコレートでも血糖値スパイクを防ぎながら美味しく食べられるものが多く販売されています。しかし、いずれにしてもカロリーは高く、体重増加の心配はありますので、適量を食べてチョコレートの良い効果を得たいですね。
この記事を読んで、血糖値が気になる方が、少しでも安心してチョコレートを楽しめるようになると幸いです。
なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは体重・カロリー&糖質を含む、食事・血糖値などの記録がカンタンにできます。日々の健康管理でぜひ活用してみてください。
【参考文献】
national Library of medicine Chocolate consumption and risk of diabetes mellitus in the Physicians’ Health Study
株式会社 明治 乳酸菌研究所 健康科学研究部 夏目みどりチョコレートの歴史・機能性と食文化
独立行政法人国民生活センター 高カカオをうたった商品について