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【医師監修】傷の治りが遅い原因は糖尿病?~理由や対処法をわかりやすく解説~

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傷の治りが遅いのは糖尿病が原因?~仕組みと対応をわかりやすく解説~

当記事は、内科認定医・糖尿病専門医 古賀 萌奈美先生にご監修いただきました。
執筆はライター
  松原知香(管理栄養士)が担当しました。
*シンクヘルスブログ監修・執筆者情報一覧は
こちらをご覧ください

「そういえばこの傷、なかなか治らないけど何故だろう…」

ちょっとした傷の治りが悪く、困った経験はありませんか?

傷の治りが遅くなる原因はいろいろありますが、もしかすると糖尿病が原因かもしれません。

そこで今回は、傷の治りが遅い理由と糖尿病との関係についてお伝えいたします。ぜひ最後までご覧ください。

傷の治りが遅い原因

傷の治りが遅くなると考えられる原因には、

・糖尿病
・ストレス
・栄養や食べ物

などがあります。

糖尿病で傷の治りが遅くなる理由

糖尿病の方は、感染を防ぐ力が低下しやすいと同時に、血流障害や神経障害により感染が悪化しやすいため、傷が治りにくいのです

私たちの体は血糖値の高い状態がしばらく続くと、傷を治すのに適さない環境が生まれます。それが、血流の障害感染を防ぐ力の低下です。

血流障害とは

血流障害とは血液の流れが悪くなり、酸素や栄養が手や足の先まで届きにくくなることです。

そもそも血糖値とは血液中のブドウ糖濃度のことなので、血糖値が高いと血液はドロドロになって流れが悪くなります。

また高血糖状態により血管自体が損傷し、血流低下を来すこともあります。

血液は、体中に酸素や栄養を届ける役割をしています。つまり、酸素や栄養が足りないと、傷の治りが悪くなるのです。

そこで、血流の障害があると傷の治りが遅くなる可能性があるといえます。

感染を防ぐ力の低下

感染を防ぐ力が低下すると、傷が悪化しやすくなり治すのに時間がかかります

血液の中には、白血球という体内に入った菌を攻撃する成分があります。しかし、糖尿病の影響で白血球の一種である好中球の機能が低下するため感染症にかかりやすく、また重症化しやすくなりるのです。

とくに糖尿病の合併症で神経障害も来している場合は、感染を生じても痛みを感じにくくなっているため、足など目につきにくい場所に感染すると、気付きにくく重症化しやすくなります。

参考記事:その痛みは糖尿病性神経障害の可能性~予防や治療方法もわかりやすく解説~

ストレスとの関係

心理的なストレスが、傷の治りに影響すると言われている理由は2つあります。

1つ目は、ストレスの影響で糖質コルチコイド(※)の産生が活発になり、免疫機能の抑制を引き起こしていることです。

(※)糖質コルチコイドは、抗ストレス・抗炎症作用を持つホルモン

2つ目は、ストレス解消するために食べ過ぎたり飲み過ぎたりした結果、血糖値が高い状態が続いてしまうことです。

参考記事:糖尿病とストレスの関係~適度にリラックスして生活しよう~

栄養や食べ物の影響

傷を早く治すには、バランスのよい食事と水分が必要です。そして、とくに重要となるのは、たんぱく質・鉄・ビタミンAの3つの栄養素といえます。

【各栄養素の特徴と代表的な食品】
<各栄養素の特徴と食品を紹介>

傷の治りが遅くならないよう、特に3つの栄養素が不足しないように気をつけましょう。

糖尿病の方が気を付けるべき傷とは

切り傷や擦り傷はもちろん、靴ずれやタコも糖尿病の方には気を付けていただきたいです。

糖尿病の影響で温度や痛みに対する感覚や触覚が鈍くなるので、とくに足は傷ができやすく悪化もしやすい場所といえます。

だからこそ、フットケアを行い毎日ご自身の足を観察することは、糖尿病の方に大切にして欲しいポイントです。

参考記事:糖尿病足病変とは~原因から初期症状・予防法まで解説~

傷の治りが悪い場合の対処法

糖尿病で傷の治りが遅い場合の治療法

傷の治りが遅いと感じたら、糖尿病やストレス、栄養などに問題がないか振り返ってみましょう。

そして原因がわからない場合や、創部の状態が改善しない、もしくは悪化する場合は医療機関に早期に相談しましょう。

傷の治療法

傷の治療には色々ありますが、ここではかなり悪化した場合の治療方法を3つ紹介いたします。

抗菌薬の内服、点滴投与(傷口が感染している場合)
ドレッシング(浸潤した環境で傷を保護する)
デブリドマン細胞が死んでしまっている部分を削る)


なお糖尿病の方は足に傷ができることが多く、その場合
に体重をかけないようにすることが大切です。

もしも、足の傷が潰瘍(かいよう)になり、これらの治療を行っても改善せず壊疽(えそ)してしまった場合は、足を切断する手術をすることもあります。

そのような事態を防ぐために、こまめに傷がないかチェックしましょう。

一言メモ
潰瘍:表皮の深層にある真皮まで及ぶ組織の状態
壊疽:皮膚および皮下組織、筋肉などの組織が壊死に陥り、黒色や黄色に変化した状態

傷の治りが早い人に見られる特徴

糖尿病の方であっても、傷の治りは比較的早い場合があります。

それは、血糖値が安定しているからと考えられます。

すでにお伝えしたように、血糖値の高い状態が続くと傷の治りは遅いです。つまり、傷の治りを早くするためには、血糖コントロールがうまくいっているとよいといえるでしょう。

糖尿病の方で傷の治りの遅さが気になっている方は、治療や食事、運動などの生活習慣を見直すとよいかもしれません(主治医に相談してみてくださいね)。

参考記事:【医師監修】糖尿病は生活習慣の改善で予防〜今から食事・運動・生活を見直そう〜

もしも身体に傷跡が残ったら

糖尿病で傷の治りが遅く身体に傷跡が残ったら

傷跡が残った場合は、保湿やバランスのよい食事で補うことが大切です。

保湿や食事で完全に傷跡が消えるとは言い切れませんが、乾燥を防ぐと新たな傷は防げます。さらに、食事で肌の材料を摂取すると新しい皮膚ができます。

新たな傷を防ぎ、新しい肌をつくることで傷跡が薄くなるでしょう。

なお、傷ができてしまったときは、傷口を清潔に保ち、傷口に体重をかけたり触ったりして刺激を与えないことをオススメします。

参考記事:皮膚の乾燥やかゆみは糖尿病が原因?~症状や改善方法も解説~

まとめ

以上、傷の治りの遅さには、糖尿病やストレス、食べ物や栄養が関連しているとわかりました。

もしも原因や対処方法がわからない場合は、医療機関に相談してみましょう。

それでは当記事が参考となり、傷の治りが遅い際の役に立てば嬉しいです。

なお、弊社の開発する無料アプリ・シンクヘルスでは血糖値や食事の記録がカンタンにできます。薬の記録まで出来ますので、日々の健康管理でぜひ活用してみてくださいね。
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参考文献
医療情報科学研究所編(2019),病気がみえるvol.3 糖尿病・代謝・内分泌 第5版
・国立国際医療研究センター:糖尿病足病変
昭和学士会誌 74(2) 褥瘡と栄養
・安彦 善裕, 齊藤 正人, 長澤 敏行, 永易 裕樹, 古市 保志, 辻 昌宏:糖尿病における口腔粘膜の創傷治癒遅延のメカニズムについて,北海道医療大学歯学雑誌,29(1),25-32

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